コンサルティング事業に身を置いている方々にとって、起業をすることも一つの選択肢です。
「これまで培ってきたスキルや経験を活かして、起業をしてみたいが自信がない」
「失敗が怖く、なかなか一歩踏み出せない」
といった方も多いのではないでしょうか。
しかし、いつまでも行動を起こすことができなければ、起業や独立は夢物語で消えていくことでしょう。
そこで、この記事では、コンサルティング業で起業したい方に向けて、具体的な起業方法など解説していきます。
また、起業に失敗しないコツや役立つ資格、案件獲得のマッチングサイトも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
>>【2024年11月最新】フリーコンサルタントにおすすめの案件紹介サービス・マッチングサイト比較
コンサルティングでの起業とは?
世の中には「コンサルタント」という肩書きを持つビジネスマンは多く存在しますが、コンサルティングで起業するということは、どのようなことを指すのでしょうか。
「コンサルタント」を日本語に訳すと、「相談役」のニュアンスを持ちます。
つまり、「コンサルティング」を掲げる事業は、相談を受けてアドバイスをする事業ということになります。
「ITコンサルタント」や「金融コンサルタント」などさまざまな分野に特化したコンサルティング業がありますが、いずれもクライアント企業の課題に対する解決方法の提示、改善などを行う業務内容です。
コンサルティング起業のメリット
ここでは、コンサルティングで起業することのメリットにつてい見ていきましょう。
以下のメリットについて詳しく解説していきます。
- 起業のハードルが低い
- 特別な資格が必要ない
- 利益率が高く安定しやすい
起業のハードルが低い
実は、コンサルティング事業で起業することは、ハードルが高くありません。
まずは、個人事業主として開業届けを出すことで起業できます。
従業員を持たず、法人化せずにスタートを切るのであれば、即日中の起業も可能です。
特別な資格が必要ない
「コンサルティングで起業をするなら、資格がいるのでは?」と考える方も多くいらっしゃるかもしれません。
もちろん、スキルアップや顧客の信頼を獲得するために、経営や金融に関する資格や業界に特化した資格を取ることは必要ですが、起業するために取得しなければならない資格はありません。
今までの業務経験を通して自身が学んできたコンサルティングノウハウを武器にして、起業することが可能です。
ただし、取得していた方が顧客に安心感を与えられる資格も存在しますので、後の章で詳しく解説します。
利益率が高く安定しやすい
コンサルティングを主軸とする事業は、基本的に「無形商材」となり、利益率は高いものとなります。
コンサルティングビジネスに必要な書籍や、顧客に渡すための資料などのコストを考えても、薄利多売になることは考えにくいといえます。
コンサルティング起業に関わらず、独立や起業をしてすぐの頃は、実績が少ない、知名度が低いなどのことから、売上が安定しないことも多くあります。
しかしコンサルティング業の場合、開業資金があまりかからず、業務上のコストも大きくはかからないことを考えると、比較的安定しやすい業種といえるでしょう。
コンサルティング起業のデメリット
ここまでは、コンサルティング起業におけるメリットをお話ししてきました。
一方で気になるのは、デメリットです。
例えば、以下のようなものが挙げられます。
- 参入するカテゴリによっては競合が多い
- 集客に労力がかかる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
参入するカテゴリによっては競合が多い
コンサルティング業で起業する際は、参入分野を見極める必要があります。
例えば、ITの分野でコンサルティング事業を始める場合、競合が多い市場への参入となります。
同じく経営コンサルタントとして起業する場合にも、ライバルが多い傾向です。
一方、法律に絡めたコンサルティングや、ニッチな分野のコンサルティング事業であれば、激戦区でのビジネスを避けられます。
集客に労力がかかる
いくら経験やスキルを持っていたとしても、それを提供できる相手がいなければ、起業後に存続が難しくなってしまいます。
コンサルティング事業の起業後、優先的に行わなければならないのが、集客です。
独立、または少人数で仕事をする場合、目の前のクライアントへの対応も必要ですが、未来の顧客への集客にもしっかりと時間を割く必要があり、負担と感じる方も少なくありません。
具体的な集客の方法としては、例えば以下のようなものが挙げられます。
- 前職でつながりのある企業へアプローチする
- 顧客になりうる企業をリサーチしてアプローチする
- SNSの利用して潜在顧客へアプローチする
- セミナーを開して集客をする
- クラウドソーシングサイトを利用する
集客方法はさまざまですが、まずはどの領域でビジネスを進めるのかをしっかりと念頭に置いて、然るべき場所で顧客獲得を目指しましょう。
コンサルティング起業の選択肢
実際にコンサルティング起業を考えた時に、どのような起業方法があるのかについて、例を出して解説していきます。
起業を考えている方の経験や能力によって、独立方法はさまざま存在します。
副業から始め個人事業主として起業
まずは、本業を離職せずに副業としてコンサルティング起業をする場合です。
コンサルティング業は、仕事をする場所が自由に決められ、昨今の「リモートワーク推奨」の流れが、さらに働き方を柔軟にしているため、本業があっても副業として始めやすいといえます。
隙間時間を利用して、コンサルティング事業を立ち上げることも可能です。
>>フリーコンサルの副業|始め方や注意点と単価相場や案件例も解説
コンサルティング会社から独立
本業でコンサルティング事業を行っている企業に所属している場合、現職で培った経験やノウハウ、人脈を活かした独立の選択肢もあります。
弁護士や税理士などの士業から独立
特にプロダクト(商品など)を生み出す事業会社にとっては、法務や知財という部門がとても重要な要素になっています。
こういった専門的な部門でのコンサルティングを行う士業の方々が存在します。
士業の有資格者であれば、資格自体を強みとして独立をし、各企業へアプローチすることが可能です。
起業におすすめのコンサルティングの種類
コンサルティング業には、さまざまありますが、起業におすすめのコンサルティング業には、どのような種類があるでしょうか。
例えば、以下のようなものが挙げられます。
- Webコンサルタント
- ITコンサルタント
- 戦略コンサルタント
それぞれ詳しく解説していきます。
Webコンサルタント
Webコンサルタントは、対象の企業が運営しているウェブサイトについて、効率的かつ価値のある運用方法や集客の導線を作るコンサルタントです。
具体的には、クライアント企業のウェブサイトのデザインや運営方法についてのコンサルティングを行います。
ウェブサイトからの集客や利益を発生させる導線作りを支援するのもWebコンサルタントの業務の一つです。
>>WEBコンサルタントになるには|年収と必要とされるスキルや役立つ資格を解説
ITコンサルタント
ITコンサルタントは、対象企業における、部署横断的な社内システムの開発から運用、メンテナンスに至るまでを請け負います。
特に、社内の基幹システムの入れ替えや、システム導入後におけるクライエント企業の社員へのレクチャーなど実施することもコンサルティングに含まれているケースがあります。
>>ITコンサルタントとして独立後のフリーランス案件獲得方法と単価や年収のリアル
戦略コンサルタント
戦略コンサルタントは、対象企業の経営戦略立案を始め、現状の経営方針や体制を調査して課題を抽出します。
その課題に対して、アドバイスを行い、会社に利益をもたらすのがコンサルタントの業務です。
主に、クライアント企業の経営陣と常にコミュニケーションをとり、利益最大化を支援する重要な役割を担っています。
戦略コンサルタントは、コンサルティングファーム業界などで、実際に企業の経営戦略立案などのに携わった実務経験が重視される傾向にあります。
コンサルティング起業で失敗しないためのコツ
ここからは、コンサルティング起業をする際、失敗をしないためのコツをいくつか紹介していきます。
口コミを活用する
コンサルティング業で独立、または起業をする際は、顧客から信頼を獲得している証明となる「口コミ」の活用がキーポイントとなります。
コンサルティング起業を果たしても、顧客から信頼されていなければ仕事を見つけるのに苦労するでしょう。
良い口コミをもらうためには、顧客に対し、いかに「丁寧かつ親身になって接しているか?」という点が重視される傾向です。
さらに、良い口コミを見た人が、顧客になってくれたり、既存顧客が新たな顧客を紹介してくれたりする可能性もあります。
そうした良い循環を生み出せれば、自然に顧客が集まる状態を作れ、集客費用を抑えることも可能です。
過去の経歴からの人脈を活かす
コンサルティング起業をする場合、これまで築き上げてきた人脈を積極的に活用するのがおすすめです。
現職の職種にもよりますが、取引先の人脈や個人的につながっている人脈を、独立時にそのまま潜在顧客としてアプローチをするところから始めてみましょう。
そういった方々に対し、普段から真摯に接していれば、応援する意味も込めて、独立後に協力をしてくれる可能性が高くなります。
起業直後の案件獲得はコンサルタントマッチングサイトがおすすめ
コンサルティング起業で独立したばかりの時は、営業がうまくいかないケースもあります。
そんな時は、コンサルティング起業家にうれしい、案件獲得サービスを展開するマッチングサイトの利用がおすすめです。
ここでは以下のサービスを紹介します。
サービス | 特徴 |
---|---|
POD | ITコンサル案件が多く、約85%が非公開案件になっている |
ハイパフォコンサル | 登録者数が約30,000名の実績を誇るマッチングサービス |
プロフェッショナルハブ | 高単価案件豊富、コンサル出身の担当者多数在籍 |
POD
運営会社 | ランサーズ株式会社 |
公式サイト | https://pod.jp/ |
登録者数 | 約3,300名(2023年9月6日現在) |
公開求人数 | 899件(2024年10月24日現在) |
得意領域 | 経営コンサル、ITコンサルなど |
PODはランサーズ株式会社が運営する独立系コンサルタント向けの案件マッチングサービスです。
大手企業から直接請け負っている案件が豊富です。
プロジェクト数の多さを重視しているのであれば、PODのマッチングサービスを利用するメリットがあります。
ハイパフォコンサル
運営会社 | INTLOOP株式会社 |
公式サイト | https://www.high-performer.jp/consultant/ |
登録者数 | 約30,000名(2023年9月6日現在) |
公開求人数 | 8,084件(2024年10月24日現在) |
得意領域 | ITコンサル、PM・PMO、SAPなど |
ハイパフォコンサルは、東証グロース市場に上場している、INTLOOP社が展開するマッチングサービスです。
フリーランスコンサルタントに向けた高単価案件を多く保有していることが特徴です。
特にIT関連に強みを持っています。
また、ハイパフォコンサルの公式サイトで掲載されている案件以外にも、独自の非公開案件なども多く所有しています。
>>ハイパフォコンサルの評判・口コミは?案件の特徴など徹底解説
プロフェッショナルハブ
運営会社 | 株式会社エル・ティー・エス リンク |
公式サイト | https://professional-hub.jp/ |
登録者数 | 約7,000名(2023年9月6日現在) |
公開求人数 | 非公開(2024年10月24日現在) |
得意領域 | ITコンサル、戦略コンサル、業務コンサルなど |
プロフェッショナルハブは、エル・ティー・エス リンクが運営する、独立系コンサルタントに向けたハイクラス案件紹介サービスです。
2018年設立と、比較的若い企業ですが、高単価案件が豊富。担当者もコンサルタント出身者が多く手厚くサポートしてもらえます。
>>プロフェッショナルハブ(旧コンサルタントジョブ)の評判・口コミは?案件の特徴など徹底解説
コンサルティング起業の方法
ここからは、具体的にコンサルティング起業の方法を解説していきます。
個人事業主として開業するのであれば、お住まいの地域にある税務署で、開業届を出すことによって完了しますが、法人を設立する場合はまた異なる手続きが必要になってきます。
本記事では、法人を設立することを前提としたコンサルティング起業の方法を解説していきます。
流れとしては以下の通りです。
- 事業計画書作成
- 資金調達
- 会社設立
まず、事業計画書の作成から解説していきます。
事業計画書作成
事業計画書は、事業を始めるうえで必要になってくる重要な書類です。
事業計画書が無くとも、個人事業主として開業可能ですが、法人設立を考える場合は、資金調達や今後のビジネスを考えたうえで、事業の財務計画、運営の方針を具体的に記載することが求められます。
事業計画書は、資金を集める際に活用できるだけでなく、自分自身のビジネスが今後どのように展開していくかの道しるべにもなります。
ただし、あまりにも現実離れした事業計画を作成しないよう注意しましょう。
資金調達
基本的には、金融機関からの資金調達がメインとなります。
ここでは、上記で作成した事業計画書をもとに、金融機関の担当者と打ち合わせを行います。
金融機関側が、事業に対して返済の余地がある、リターンを得られると判断した場合に初めて資金調達が可能です。
また、資金調達をする金額も現実的なものを考えておきましょう。
申請額が高額すぎると、事業計画書と内容が合わずに資金調達が失敗に終わる可能性もあります。
その他の資金調達方法としては、補助金や助成金の利用、投資家から出資を受けるというパターンも考えられます。
まずは、金融機関からの融資を受けることを進めながら、補助金や助成金各種の手続きを並行して行いましょう。
会社設立
ここでいよいよ会社設立となります。
会社設立に関しては、司法書士など専門家に依頼して、会社の登記などをするのが最も効率的でしょう。
司法書士へ依頼するときの費用相場は、登記以外にも「登録免許税」や「定款承認」などの手数料、「印紙税」など、合わせて15万円くらいから30万円弱となっています。
コンサルティング起業の際に役立つ資格
コンサルティング起業をするために、必須の資格はありません。
ただし、経営戦略や事業に直接関わるような資格を持っていれば、クライアント企業から信頼されるなどメリットもあります。
例えば以下のような資格が挙げられます。
- 社会保険労務士・・・労働者の観点から、労務問題や組織コンサルティングなどに役立つ
- 中小企業診断士・・・経営課題の発見と改善、事業拡大のための知識を活かせる
- 公認会計士・・・独占業務を持ち、会計に関するコンサルティングに重宝される
- 税理士・・・税務関連のコンサルティングで必要とされる
- 経営学修士(MBA)・・・経営全体の見通しや、事業開発、マーケティングなど会社を運営する上で必要なアドバイスが可能
- キャリアコンサルタント・・・人材に寄り添ったコンサルティングができ、組織強化にもつなげることが可能
コンサルティング起業に関する疑問・Q&A
これからコンサルティング起業を予定している方にとって、気になる疑問がありますよね。
ここからはよくある疑問に関して、Q&A形式にて解説していきます。
コンサルティングとして起業するにはいくらぐらい必要?
コンサルティング起業をする際に掛かる費用ですが、どのくらいの規模にするかで、コストはさまざまです。
例えば、自宅で開業するのであれば、名刺を準備する数百円から数千円ほどでスタートできます。
ただし、事務所を構えて起業する場合は、事務所の賃料なども考慮しておく必要があります。
コンサルティング起業は、個人と法人どちらがおすすめ?
個人事業主と法人化のそれぞれにメリットとデメリットがあります。
それぞれ見ていきましょう。
個人事業主・・・起業までにコストと時間がかからない。簡単に届出(開業届)をすることで開業可能。
法人・・・社会的信用度が高く、融資が通りやすい傾向。個人事業主と比べて税率の上がり方が緩やか。
個人事業主・・・所得税の課税。累進課税により、収入が大きくなるほど税率も急激に増加する。信用度が低い。
法人・・・会社設立までに費用がかかる。最低でも15〜25万円程度のコストがかかる。
以下の記事では、個人事業主と法人化、それぞれのメリットやデメリットをメインに、違いについて詳しく解説しています。
>>コンサルタントは個人事業主で起業すべき?法人設立との違いを比較
コンサルティング起業のまとめ
コンサルタントとして独立起業することについて解説をしてきました。
以下が本記事のまとめです。
- コンサルティングでの起業について説明
- コンサルティング起業のメリットについて解説
- コンサルティング起業のデメリットについて解説
- コンサルティング起業の選択着について紹介
- 起業におすすめのコンサルティングの種類を紹介
- コンサルティング起業で失敗しないためのコツを紹介
- コンサルタントマッチングサイトの紹介
- コンサルティング起業の具体的な方法について解説
- コンサルティング起業で役立つ資格の紹介
- Q&A
個人事業主と法人で開業方法は異なりますが、コンサルティング起業は比較的実現しやすいものです。
現在、コンサルティング業界でスキルを磨いており、近い将来、起業を検討している方にとって、本記事が参考になれば幸いです。