商社営業、いわゆる商社マンは花形と言われていますが、人材の流動性が高まる現在では、商社からの転職希望者も増加傾向にあります。
商社からの転職理由は、激務であることや会社の意思決定のスピードの遅さ、専門スキルが身に付かないといったものが多い状況です。
しかし、商社から転職する際の注意点やアピールすべき内容、転職活動の進め方などを十分に理解せず、転職活動されている方も多くおります。
この記事では、誰もが気になる商社から転職する際の進め方と注意点、おすすめの転職先や商社からの転職でおすすめのエージェントをご紹介します。
転職市場において、商社からの転職は注意すべき点が複数あるため、この記事を通じて転職活動において大事なポイントを整理することができます。
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商社からの転職は難しいのか?
転職市場で重視されるポイントは、ポータブルスキル(業界や業種を超えて使える力)と専門スキルの2つです。
商社マンは、営業スキル、資料作成やプレゼンテーションスキル、事務処理能力、交渉力など、様々なポータブルスキルを身に付けることが可能です。
しかし、一方で、専門スキルが身に付きにくい一面もあります。
多岐に渡る業務を行うために、専門性の高いスキルを身に付けることが難しいという側面があるのが、商社マンの実情です。
転職市場において、汎用性の高いスキルを評価されるのは20代まで。
即戦力として見られる30代になると、ポータブルスキルだけでなく、専門性も求められます。
つまり、商社から転職する場合、20代若手層は転職のチャンスがあり、30代以降の即戦力層は専門性が低いために、転職市場で不利になると言えます。
商社出身者の市場価値やアピールポイント
商社で勤めている方は、以下のようなスキルを身に付けることができます。
- 地頭の良さ(論理的思考力・創造的思考力)
- 語学力、グローバルな視野(異文化への理解や対応力)
- 事務処理能力
- 営業スキル(資料作成、プレゼンテーション能力)
- 利害関係を調整する力・交渉力
- リーダーシップ
中途採用では基本的に即戦力採用になるため、ポータブルスキルは必須です。
転職でのライバルは、同じく営業経験のある方になるので、ポータブルスキルだけでは差別化ができません。
差別化するためには、専門スキルも必要になるため、年齢を重ねることに商社マンの転職市場での需要は下がっていきます。
商社からの転職先を成功させるポイント
確かに商社からの転職は年齢を重ねるに伴って難しくなっていきますが、決して転職できないわけではありません。
転職を成功させるためには、いくつかポイントがあるため紹介させていただきます。
キャリアを棚卸しする
これまで経験してきた業務、その中で達成したこと、工夫したことなどを書き出して整理してみましょう。
書き出すことで、目標達成のためのプロセスの中での工夫したポイントや、自分自身の強みになる要素が必ずあります。
紙やPCに書くことで、自分自身を客観的に見つめ直すことができます。
転職をしたい理由は何かを考える
今の会社の何が不満なのか、何を実現したくて、転職をしようとしているのか、転職理由を整理してみましょう。
仕事がしんどいから転職したい場合、商材が多岐に渡り激務だからなのか、人間関係が良くないからなのか。
また、ステップアップしたいと思っている場合は、どんなスキルを身に付け、10年後どうなっていたいのか。
転職を考える要素を細かく分析しましょう。
漠然と転職してしまっては、転職先でもまた同じような失敗を繰り返す可能性があります。
在職中に転職活動を始める
転職活動は在職中に行うことをおすすめします。
確かに離職後に転職活動をすることによって、時間を確保でき、ゆっくりと転職先を探すことができますが、その間の収入源が途絶えてしまうことによって、経済面での不安が膨らんでいきます。
すぐに次の会社が決まればいいですが、そうでない場合、経済的な理由で焦り、本意でない転職をしてしまう可能性があります。
在職中であれば、そのような経済面の心配がなく、落ち着いて転職活動ができるのです。
転職活動の期間を設ける
いつまでに転職活動を終えるのかを事前に決めておくことも大切です。
惰性で転職活動を行うと、転職活動が長期化し、転職意欲が低下してしまいます。
折角、内定が出ても決断できないという事態になりかねません。
期間を決め、集中して転職活動を行うことをおすすめします。
短くて2か月以内、長くても半年以内など、具体的な計画を立てて転職活動を進めましょう。
転職エージェントに登録してみる
転職エージェントに登録すれば、転職アドバイザーと一緒に自身のキャリアの棚卸しを行った上で、アピールポイントや実現したいことを整理できます。
また、これまで身に付けてきたスキルや人柄も踏まえ、希望条件に合わせた求人の紹介もしてもらえるため、内定に繋がる可能性が高い求人に出会えます。
商社から転職する際の注意点
転職に強いのは20代
上述の通り、20代はポータブルスキルを評価されます。
商社は、ポータブルスキルが身に付けられる環境であるため、若いうちは転職がしやすいのです。
また、若年層の採用を行う企業は、素直さ、吸収力を含め、ポテンシャルを重視した採用を行うことも少なくありません。
素直さや吸収力、そして、ポータブルスキルを身に付けていれば、今は即戦力でなくても将来的に活躍できる可能性を大いに秘めています。
このことから、専門スキルが身に付きにくい商社からの転職は、20代で行うのがおすすめです。
収入が下がる可能性がある
異業種への転職をする場合、収入が減ることを覚悟する必要があります。
特に、総合商社にお勤めの方は、今の収入と転職先の収入とで大きなギャップを感じる可能性が高いです。
現状の収入が転職市場の企業よりも高いという認識を持った上で、転職活動した方がいいと言えます。
この感覚の調整ができれば、収入面で納得感を得られず、ずるずると転職活動を続けてしまうという事態を避けられます。
このような転職市場とのギャップも転職エージェントに相談することによって、理解を深めることができます。
商社からおすすめの転職先
商社からの転職先としておすすめなのは、以下のようなキャリアです。
・商社間での転職(総合商社から専門商社、専門商社から総合商社)
・戦略系コンサルティングファーム
・外資系投資銀行
・メーカーへの転職
・ベンチャー企業、スタートアップ企業
・財務のスペシャリスト
・M&A仲介
・起業
商社からの転職先としては、上記の通り様々なものがあり、未経験業界への転職が増えてきています。
しかし、他の業界と比較すると商社は高年収であることや、未経験での転職になることから、年収が下がってしまう覚悟は必要になります。
総合商社か専門商社かによってもおすすめできる転職先が異なるため、以下で詳しく見ていきましょう。
総合商社出身者へおすすめの転職先
その中で、まず総合商社出身者におすすめの転職先としては、個人の営業力が非常に重要になる、無形商材の法人営業職です。
というのも、総合商社に勤務している場合は、特に専門スキルが身に付きにくいためです。
商材ありきではなく、自身の営業力が試される無形商材の法人営業職がマッチする可能性が高いのです。
・商社間での転職(総合商社から専門商社、専門商社から総合商社):今よりも条件面を良くしたい場合
・戦略系コンサルティングファーム:経営により近い仕事がしたい場合
・外資系投資銀行:英語が使える、財務関連資料の作成などのスキルを活かしたい場合
・M&A仲介:今よりも条件面を良くしたい場合
・ベンチャー企業、スタートアップ企業:条件面は下がるが、やりたいことが明確な場合
・財務のスペシャリスト:事業部長などのポジションから転職を希望する場合
・起業:やりたことが明確で、経営にチャレンジしたい場合
商社から商社への転職を希望する方は少ないですが、今よりも条件を良くしたい場合には同業他社への転職はおすすめです。
また、商社から転職先として希望される方々が特に多いのが、戦略系コンサルティングファームや外資系投資銀行です。
>>コンサルタント転職に強いおすすめエージェント17社を比較【専門領域別】
>>金融業界転職におすすめ転職エージェント比較|選び方や注意点も解説
ただし、外資系投資銀行の場合は、高学歴であることや入社3年目までといった20代若手であることなど、求められる条件レベルが高いので、その点は注意が必要です。
また、やりたいことが明確になっている方にとっては、ベンチャー企業やスタートアップ企業への転職、起業するという選択肢もあります。
今よりも格段に収入が減ってしまいますが、それでも、やりたいことに向け努力できると思える方は、覚悟を持って飛び込んでもいいかもしれません。
専門商社出身者におすすめの転職先
専門商社出身者におすすめの転職先は、以下のものになります。
・メーカー営業:専門商社での知識、経験を活かしたい場合
・総合商社:同業かつ幅広い商材を扱う業務をしたい場合
・外資系企業:語学力を活かしたい場合
・経営コンサルタント:様々な企業を見てくる中で身に付けた経営の見極め力を活かしたい場合
専門商社出身者の場合は、特定の業界や製品の理解ができていることから、メーカー営業がおすすめです。
これまで商社の「仕入れる側」立場からメーカーの「売る側」の立場へシフトすることで更にその業界での知識経験を身に付け、専門性を高めることができるからです。
総合商社と同じく希望する方は少ないですが、専門商社で培ってきた営業力を活かしながら幅広い商材を扱う総合商社への転職も道としてはあります。
また、例えば、ITや医療機器を扱う外資系企業で、語学力を活かしつつ、実力主義の外資系企業で高いインセンティブも望み転職される方もいます。
営業以外にも専門商社は、海外との商品の輸出入のやりとりがあるため、通関、貿易会社、船会社、貿易事務などを経験することから、貿易事務として勤務することもおすすめです。
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商社からの転職におすすめの転職エージェント
商社から転職する際には、特定の業界を扱う特化型ではなく、総合型エージェントを選ぶことをおすすめします。
総合型エージェントは、様々な業界・職種の求人を取り扱っているため、多種多様な求人の中からご希望とマッチする求人に出会える可能性が高いためです。
総合型エージェントといっても、エージェントの規模によって取り扱っている求人が異なるため、複数のエージェントに登録することもポイント。
大手の総合型エージェントは、国内有数の企業の求人を取り扱っていることが多く、一方、中小規模の総合型エージェントでは、大手エージェントにはない求人を取り扱っていることがあります。
各エージェントは、自社しか取り扱いのない求人を保有しているため、複数のエージェントを並行して利用することで、幅広い求人情報を得ながら転職活動をすることが可能です。
つまり、複数エージェントに登録することで、各社が保有している求人情報を知ることができ、多くの選択肢の中から、自身にマッチした求人を選ぶことができるのです。
リクルートダイレクトスカウト
運営会社 | 株式会社リクルート |
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公式サイト | https://directscout.recruit.co.jp/ |
公開求人数 | 395,741件(2024年11月7日現在) |
主な求人職種 | 全職種 |
リクルートダイレクトスカウトは、株式会社リクルートが運営するハイクラス求人をメインに取り扱うエージェントサービスです。業界や職種、あらゆる求人を幅広く取り扱っており、中には他社ではなかなか見ない希少な求人もあります。
商社から別業界へ、商社から別の商社への転職など、ご希望に合わせ、ご希望にマッチする求人を紹介してもらえるはずです。
【特徴】
・担当コンサルタントを選べる
・ヘッドハンティングを受けることができる
・70,000 件以上のハイキャリア案件から求人検索、応募できる
MyVision
運営会社 | 株式会社MyVison |
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公式サイト | https://my-vision.co.jp/ |
公開求人数 | 非公開(2024年11月7日現在) |
主な求人職種 | コンサルティング業界 |
MyVisionは、コンサル転職エージェントとトップ戦略ファームの出身者が提供するコンサルに特化した転職支援サービスです。
累計内定者数800名以上の実績があり、うち95%以上の利用者が年収増(転職後3年以内)しており、他業種や未経験からのコンサル転職にも強みをもっています。
紹介企業はBig4をはじめ外資系戦略ファームやシンクタンク、領域特化型ファーム(財務・組織人事・事業再生・医療)を含め、国内のほぼ全てのコンサルファームの紹介が可能としています。
個々の経歴やキャリア志向に応じて最適な転職戦略を提示してくれ、選考対策についてもレジュメ添削や過去の面接内容を分析した「独自の面接対策資料」、本番想定の模擬面接によるフェルミ推定・面接対策など徹底したサポートが受けられます。
商社から未経験でコンサル業界への転職を目指す際には利用をおすすめしたいエージェントです。
【特徴】
・コンサル転職エージェントと戦略ファームの出身者が提供する転職サービス
・Big4や外資系コンサルファームはじめ200社以上1,000ポジション以上の求人を用意
・未経験からのコンサル転職に強く、キャリア相談から転職後まで一気通貫で徹底サポート
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コトラ
運営会社 | 株式会社コトラ |
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公式サイト | https://www.kotora.jp/ |
公開求人数 | 27,476件(2024年11月7日現在) |
主な求人職種 | 金融・コンサル・経営幹部・IT/WEB・製造業 |
コトラは、金融、コンサルティング、IT、製造業、経営者層などを目指す方の支援を行っている転職エージェントです。
これまで800社以上の企業との取引実績があり、ハイクラス向けの求人を多数取り扱っています。
特化型にはなりますが、商社からの転職先として多い、金融業界やコンサルティング業界の求人を取り扱っているため、ある程度希望が固まっている方にとっては、希望条件にマッチした求人を紹介してもらいやすいです。
【特徴】
・取り扱い求人の半数以上が年収800万円以上の案件
・経験や実績が豊富な30代〜40代の求職者の利用が多い
・金融・投資・コンサルティング業界の詳しい仕事探しが可能
商社からの転職についての疑問Q&A
専門商社からの転職は難しい?
一般的に専門商社から他業種への転職は難しいですが、同業界への転職はこれまで培ってきた知識・経験を活かすことができるため、一概に転職が難しいとは言えません。
また、他業種であっても、転職市場や採用企業の状況によっては、未経験者を採用することもあります。各業界状況を熟知している転職エージェントを活用し、転職活動を進めていくことがおすすめです。
商社の辞め時はいつ?
定年まで働き続けられそうな会社だと思っているのであれば、無理して辞める必要はありません。
ただし、商社からの転職にかかわらず、仕事が原因のストレスから体調不良になっている、なりたい自分像と今の会社のキャリアにギャップが生じはじめているという場合は、一度、転職エージェントに相談してみるのはいいかもしれません。
転職は今後の人生を大きく左右します。
「転職して年収がアップしてよかった!」と思える方もいれば、「思っていた業務と違った」と後悔する方もいるのが実情です。
転職について、慌てず冷静に考えるためにも客観的に状況を見てくれる転職エージェントへの相談は効果的です。
中小専門商社からのおすすめは転職先は?
メーカーや外資系企業、総合商社、経営コンサルタントなどです。
大手・中小にかかわらず上記で見た通り、これまでの専門性を活かしてメーカー営業で更に専門性を培うこともでき、総合商社で幅広い商材を扱うことで知識量を増やすということもできます。
また、中小規模の商社で求められるのは「クリエイティビティ」だと言われています。
企業によっては直販や、ECサイトで販売をし、メーカーと消費者が直接つながるケースが増えてきています。
そこで、いかにして「商社」の必要性を取引先であるメーカーに感じてもらうか、それを考える必要があります。
そんなクリエイティブな発想を活かし、どこで活躍できそうか、自身で考えてみましょう。
一人ではなかなか答えが出ない場合は、転職エージェントへ相談してみるといいでしょう。
総合商社から転職した後、出戻りは可能?
出戻り可能な商社が増えています。
出戻りを希望する理由としては、転職先の外資系企業がこれまでの社風と全く異なり会社になじめなかった、未経験で入社したコンサルティング企業での思うように実力を発揮できなかったなどがあるようです。
最近では、転職後でも商社への出戻りが容認されるケースが増えてきているようです。
商社からの転職まとめ
商社からの転職はリスクを覚悟することも大事ですが、なるべく取りたくないものです。
一人で行う転職活動は、リスクからの不安を伴うため、冷静に自分自身に合う企業なのかを判断できない可能性があります。
一人で転職活動を行うよりも、転職エージェントを活用して市場の状況を知り、転職活動におけるアピールポイントの整理することで、活動する方が転職の成功確率は高まるでしょう。
現職の業務が忙しい場合でも、選考日時の調整や年収の交渉など、応募者に代わって対応してもらえます。
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