様々な企業課題や企業ニーズに対して客観的な視点で助言・指導を行う専門性の高い人材として、外部顧問が注目されています。
解決したい企業課題がある企業と、顧問として活躍する専門家をマッチングしてくれるのが「顧問紹介サービス」です。
顧問紹介サービスは、企業にとっても顧問にとっても有用なサービスである反面、多くの顧問紹介サービスのうちどれを選べば良いかわからない、質が良いサービスかどうか不明で利用するのが不安、などと悩んでいらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
そこで、この記事では、顧問サービスへの依頼をお考えの企業経営者・担当者や顧問サービスへの登録を検討中のフリーランスコンサルタント等の方向けに、顧問紹介サービスを選ぶポイントや利用のメリット、注意点、費用相場などについて詳しく解説します。
顧問紹介サービスとは
顧問紹介サービスとは、何らかの企業課題を解決したい企業と、企業の外部顧問として活躍できる人材とをマッチングするサービスです。
顧問となる人材は、大手企業・優良企業の役員・管理職等の重要ポストの経験があるなど、様々な企業課題を解決するノウハウや専門知識、人脈が豊富な人で、客観的な立場・視点で助言や指導を行います。
このようなブレーンとしての人材を外部顧問として招聘したい企業と、顧問候補者である人材をつなぐのが顧問紹介サービスです。
顧問を必要としている企業は、業種・業界も解決したい経営課題も多種多様です。
顧問紹介サービスには多くの顧問候補者が登録しているので、顧問紹介サービスを利用すれば、当該企業のニーズに合致する得意分野や専門知識、経験を有する顧問を効率的に見つけることが可能となります。
顧問紹介サービスを選ぶポイント
多くの顧問紹介サービスの中から自社にとって最適なサービスを選ぶためのポイントとして、主に次の3点が挙げられます。
依頼する目的に合っているか
顧問紹介サービスを選ぶポイントとしてまず重要なのが、依頼する目的に合っているかどうかを確認することです。
顧問紹介サービスには、顧問の候補者を紹介してもらえるエージェント型のサービスと、自社で検索や公募を行うプラットフォーム型のサービスがあります。
顧問と企業とのマッチングだけではなく契約手続きや契約後のサポートも受けられるなど、一つのサービス内に複数の機能がある場合もあります。
サービス内容によって費用も変わりますので、あらかじめ顧問紹介サービスに問い合わせ、自社にとっての使い勝手や費用をしっかりと調べてから利用しましょう。
自社に合った人材が見つけやすいか
自社に合った人材が見つけやすいかどうかも、顧問紹介サービスを選ぶ大切なポイントです。
顧問紹介サービスには、顧問の候補者である人材が登録していて、その中から自社に合いそうな人材がマッチングされます。
そのため、登録している人材が多い方が選択肢が増えて、マッチングしやすいことになります。
人材が少なすぎると求める人材が見つからない可能性がありますので、利用する前にチェックしましょう。
その上で、自社に合う人材がいそうかどうかの見極めも必要です。
企業課題は経営戦略、新規事業、収益性向上など多岐に渡りますし、業界・業種も様々です。
自社の業界に明るく、自社が抱える問題・課題を解決できる知見・ノウハウを有する人材を見つけるため、あらかじめ自社が求める顧問の人材像を明らかにしておき、そのような人材がいそうかどうかを顧問紹介サービスに問い合わせて確認しましょう。
費用が見込まれる効果に対して適正か
費用が見込まれる効果に対して適正かどうかも、顧問紹介サービスを選ぶ際に必ずチェックすべきポイントです。
顧問紹介サービスを利用することで、自社にとって最適な人材を見つける手間や時間が大幅に削減できます。
ただ、顧問紹介サービスを利用することによる料金はかかりますので、自社で人材を採用したり育成したりする場合と比べて、サービスを利用してどの程度費用を抑えられるのかをしっかりと計算しておきましょう。
なお、費用については後述の「顧問紹介サービスの費用相場」もご参照ください。
顧問紹介サービスの種類
顧問紹介サービスの種類には、主に「専任の担当によるエージェント型」と「検索や公募によるプラットフォーム型」の2種類があります。 これはマッチング方法の違いによるもので、次表の通りそれぞれにメリット、デメリットがあります。
サービスの種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
専任の担当によるエージェント型 | ・自社のニーズにマッチする適任者を紹介してもらえる ・契約手続きや契約後のサポートもある | ・プラットフォーム型より高コスト ・紹介してもらえるまでに時間がかかることがある |
検索や公募によるプラットフォーム型 | ・エージェント型と比べて低コスト ・顧問とすぐに接触できる | ・検索や連絡、契約等の工数・時間がかかる ・ミスマッチが生じる可能性がある |
それぞれの違いや特徴について以下で解説しますので、ニーズに合う方法を選んでください。
専任の担当によるエージェント型
専任の担当によるエージェント型は、エージェントから顧問を紹介してもらう方法です。
顧問紹介を行っているエージェントに登録し、登録後に自社の企業課題や解決したいニーズなどについてヒアリングを受けます。その結果に基づいて、エージェントが自社のニーズに合う適任者をマッチング・紹介してくれます。
顧問を探す手間をかけずに最適な人材に出会えるメリットがありますし、顧問との契約のサポートや、顧問サービス開始後のサポートも受けられるので、サービスの利用に不慣れな企業でも安心してスムーズに利用できます。
デメリットとして、検索や公募によるプラットフォーム型と比べてコストが高いことや、顧問を紹介してもらえるまでに時間がかかるケースがあることが挙げられます。
コストやスピードを重視する場合は、検索や公募によるプラットフォーム型を利用するか、両者を併用すると良いでしょう。
検索や公募によるプラットフォーム型
検索や公募によるプラットフォーム型は、人材のデータベースから検索して探したり、人材を公募したりして顧問を探す方法です。
専任の担当によるエージェント型と比べてコストが抑えられますし、探した顧問とすぐに接触できるメリットもあります。
ただし、検索や連絡、契約等をすべて自社で行うことになるため、それにかかる工数・時間といった社内リソースが割かれるデメリットがあります。
また、見つけた人材が適任者かどうかを自社で判断するので、見極めが甘いとミスマッチが生じるリスクがあります。
おすすめの顧問紹介サービス5選
多くの顧問紹介サービスの中から、特におすすめの顧問紹介サービスを厳選して5社ご紹介します。
顧問バンク
顧問バンクは、顧問を必要としている企業と顧問希望者のマッチングを行うプラットフォームサービスです。
顧問を必要とする企業が自社の課題を記載した案件票を提示して顧問を公募し、案件票を閲覧して手を挙げた顧問候補者(専門家)の提案を見て人材を選ぶ仕組みや、案件票の情報をもとにシステム上で顧問がリストアップされ、そこから候補者を選ぶ仕組みなどがあります。
また、顧問バンクに登録している顧問を企業が検索して、自社のニーズに合う顧問を見つけることも可能です。
このように、複数のマッチングの仕組みが用意されているので、自社の課題解決に最適な顧問を見つけやすくなっています。
長期契約はもとより、スポット起用も可能で、企業課題に応じて必要なタイミングで必要な人数を依頼できます。
企業と顧問は直接やり取りができ、契約時の中間マージンが0円なのも嬉しいところです。
自社の課題にピンポイントで応えてほしい顧問をお探しの企業、アプリで簡単に顧問を探したい企業に利用をおすすめします。また、案件を厳選したいプロフェッショナル人材、顧問候補者の方にもぜひ登録をおすすめします。
JOB HUB 顧問コンサルティング
JOB HUB 顧問コンサルティングは、顧問・プロフェッショナル人材紹介サービスです。
人材事業大手のパソナグループの企業で、顧問紹介サービスだけではなく、社外取締役・監査役、事業や組織のリーダーとなるエグゼクティブ人材などのマッチングも手掛けていることから、幅広い業界・企業等とのネットワークがあり、多様なプロフェッショナル人材が揃っています。
顧問候補となる登録人材は60000人以上、導入実績は4000社以上にのぼります。
企業の役員経験者、事業責任者、大学教授など、幅広い人材が登録しているので、人事、新規事業、IT・DX推進、営業戦略など、幅広い経営課題に対応できます。
最短1週間で顧問の稼働をスタートできるので、喫緊の企業課題がある企業、スピード感重視の企業に利用をおすすめします。また、即戦力として活躍したい顧問・プロフェッショナル人材にも登録をおすすめします。
顧問名鑑
顧問名鑑は、上場企業の取締役や役職経験者が豊富な経営顧問紹介サービスです。
2009年に経営顧問サービスをスタートした、顧問紹介サービスの先駆け的な存在で、参画顧問は30000人以上と国内最大級を誇っています。顧問としての登録をお考えの方は、まずは登録すべきサービスと言えるでしょう。
顧問が多い分、多様な企業課題に対応してきており、大手企業だけではなく、中堅・中小企業やベンチャー企業の支援も多数行ってきていて、累計支援実績は2022年時点で23672社となっています。
顧問を紹介してほしい企業1社ごとに専属の担当者がついて、顧問の紹介からプロジェクト完了までを一貫してサポートしますので、依頼する企業側の負担が少なくてすみます。
1か月前に連絡すれば、顧問の交代・解約が無料でできるメリットもあります。
自社で一人の顧問を採用すると、当該顧問のノウハウや人脈に限界を感じたり、契約を更新しない場合の交渉が煩雑になったりするリスクがありますが、顧問名鑑を利用すればそのような心配は不要で、サービス利用に不慣れな企業でも安心して利用できるでしょう。
マイナビ顧問
マイナビ顧問は、経営課題を解決したい企業に顧問、社外取締役、アドバイザー等を紹介するマッチングサービスです。
全業界・領域を対象としていますが、就職・転職支援や人材派遣、人材紹介などを手掛ける株式会社マイナビが運営しているサービスということもあり、特に人事・採用領域を得意としています。
経営課題を抱える企業と顧問候補者である専門家の双方に丁寧なヒアリングを行った上でマッチングを行うため、高いマッチングの精度を誇っています。
企業の経営課題やビジョン、予算・期間などに応じて、複数の顧問でプロジェクトチームを組むようなオーダーメイド式のオーダーも可能です。
専門分野が異なる顧問を必要な人数、必要な期間で依頼することで、相乗効果も期待できます。
人材事業大手のマイナビによるサービスで、多様な企業とのマッチングが期待できますので、経験を積みたい専門家の方にも登録をおすすめします。
HiPro Biz
HiPro Bizは、経営課題を抱える企業に専門家を提案・紹介する経営支援サービスです。
企業の経営課題に対して、経営顧問、アドバイザー、監査役・取締役などの形で最適な専門家を紹介し、実働的な課題解決を図ります。
転職サービス「doda」などを運営しているパーソルキャリア株式会社によるサービスで、幅広い業界・業種の企業とのネットワークを背景に、多くの企業に対する支援実績と信頼を積み重ねています。
コンサルティングプラン、成果完全型プラン、独立役員紹介プランという3種類のプランが用意されているので、自社に合う契約方法で利用できます。
経営顧問だけではなく、アドバイザーなどの人材紹介も行っているので、コンサル経験を積みたいフリーランスのコンサルタントの方などにも登録をおすすめします。
フリーランスコンサルタント向け案件紹介エージェント
この記事をご覧の方の中には、顧問としてサービスへの登録を検討中のフリーランスコンサルタントの方もいらっしゃるでしょう。
ここでは、コンサルとして案件を受注したいフリーランスコンサルタントの方向けにおすすめの案件紹介エージェントを3社ご紹介します。
ハイパフォコンサル
ハイパフォコンサルは、フリーランスのコンサルタント向けの案件紹介エージェントです。
20年以上の運営実績があり、多くの上場企業、外資企業などとのネットワークを基に、高額の独自案件を多数保有しています。
プロジェクト管理、戦略、マーケティングなど、コンサルタントやアドバイザー、顧問として活躍しやすい案件が揃っています。
支払いサイトも業界最速水準を誇っており、翌月15日払いなども可能です。
案件紹介後のフォローアップも充実しているので、フリーランスが長期にわたって利用しやすいエージェントです。
案件の60%以上が120万円/月以上の高単価案件で、独自の非公開求人も多いので、興味がある方はぜひ登録をおすすめします。
運営会社 | INTLOOP株式会社 |
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公式サイト | https://www.high-performer.jp/consultant/ |
公開案件数 | 8,120件(2024年12月4日現在) |
主な求人職種 | PM・PMO、IT関連、SAP、戦略系、その他 |
POD
PODは、フリーランスのコンサルタント向けの案件・求人紹介サービスです。
大手事業会社等のクライアント企業からの直請け案件が多いため、単価が高額の案件が多数揃っています。
大手ファーム出身のコンサルタントサポーターが、キャリア面談や案件紹介、営業代行のほか、プロジェクト開始後の各種調整、トラブルシューティングに至るまで、丁寧にサポートします。
将来のキャリアビジョンやチャレンジしたい分野などの希望も踏まえて案件を紹介してもらえるので、フリーコンサルとして長く活躍したい人に利用が向いています。
全案件の85%以上が非公開求人なので、登録して優良な案件情報を入手することをおすすめします。
運営会社 | ランサーズ株式会社 |
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公式サイト | https://pod.jp/consultant/ |
公開案件数 | 961件(2024年12月4日現在) |
主な求人職種 | 経営/戦略、PM/PMO、IT関連・SAP、戦略系、その他 |
プロコネクト
プロコネクトは、フリーランスのコンサルタント向けに特化した案件紹介エージェントです。
大手コンサルファーム出身者や上場企業出身者などが多数登録しており、登録時にはスクリーニング制度(書類審査)があるので、人材のレベルが担保されています。
これによりハイスキル人材、高品質の成果を求めるクライアント企業が多く集まっていることから、案件単価は軒並み高単価です。
人材紹介時には、クライアント企業とコンサルタント、プロコネクトの担当者の3者で面談を行うため、ミスマッチのリスクが低いのも特徴です。
フル稼働の案件はもちろん、低稼働の案件や、クライアント企業の社員とのチーム体制で参画する案件など、多様な案件タイプが揃っているので、フリーコンサルタントにとってもクライアント企業にとっても活用しやすいエージェントです。
幅広い案件タイプから案件をお探しの方、高額案件を受注したい方にぜひ登録をおすすめします。
運営会社 | 株式会社WorkX |
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公式サイト | https://pro-connect.jp/ |
公開案件数 | 158件(2024年12月4日現在) |
主な求人職種 | IT、PMO、戦略、業務改善、その他 |
顧問紹介サービスを利用するメリット
顧問紹介サービスを利用するメリットとして、主に次の5点があります。
多様な要望や特殊な案件にも対応できる
顧問紹介サービスを利用するメリットとして、多様な要望や特殊な案件にも対応できることが挙げられます。
顧問紹介サービスには、自社の人脈のみでは知り合えないようなプロ人材が多く登録しています。
このような人材を顧問として依頼すれば、自社のみでは解決できなかった経営課題や特殊な案件、新規プロジェクトなどにも着実に対応できるでしょう。
第三者の目線でのアドバイスが聞ける
第三者の目線でのアドバイスが聞けることも、顧問紹介サービスを利用するメリットの一つです。
企業活動は組織で行うため、それぞれに独自の習慣、企業文化などがありますが、それが企業の成長にとってプラスになっていないケースもあります。
「先代からの取引先だから」「このやり方でずっとやってきたから」といった理由で見直してこなかった点についても、顧問紹介サービスを利用すれば第三者の目線で指摘してもらえます。
顧問紹介サービスには企業経営や役員の経験者、国家資格保有者などが多く登録しており、豊富な経験・知見を生かして合理的かつ有益なアドバイスが得られるでしょう。
費用対効果を見定めながら導入を検討できる
費用対効果を見定めながら導入を検討できることも、顧問紹介サービスを利用する大きなメリットと言えます。
顧問がつとまるようなハイクラス人材を自社で正規雇用しようとすると、高額な報酬が必要となり、採用コストもかかる上、簡単に解雇することもできません。
顧問紹介サービスを利用すれば、顧問候補者を紹介してもらった上で人材や費用を見て依頼するかどうかの判断ができますし、短期でのスポット利用も可能です。
顧問を正規雇用しても、必ず求める成果があがるとは限りませんが、顧問紹介サービスでは、顧問との相性が悪い・成果が低いと判断したら交代を依頼する、契約を継続しないなどの対応が可能です。
必要な分のみを依頼できるため、高い費用対効果を期待できます。
新たな繋がりを持てる
顧問紹介サービスを利用するメリットとして、新たな繋がりを持てることも挙げられます。
顧問紹介サービスに登録している人材は、企業経営者や管理職、コンサルタントなどの経験で培った人脈、取引関係があります。
顧問紹介サービスで顧問を依頼すれば、それまで自社にはなかった新しい人脈を開拓できることになり、人的ネットワークやビジネスチャンスの広がりが期待できます。
育成をする必要がなくなる
人材を育成する必要がなくなることも、顧問紹介サービスを利用するメリットです。
企業課題を解決するにあたり、必要な人材を社内で育成しようとすると、膨大な時間や教育コストがかかります。
顧問紹介サービスを利用することで、人材育成は一切不要となります。
また、企業課題には様々なものがありますが、顧問紹介サービスを利用することで、課題が発生した都度、その解決に最適な人材を登用できます。
顧問紹介サービスを利用するデメリット
顧問紹介サービスを利用するデメリットとして、次の3点が考えられます。
依頼する仕事の領域には制限がある
顧問紹介サービスを利用するデメリットとして、依頼する仕事の領域には制限があることが挙げられます。
顧問紹介サービスを利用すれば、かなり多様な要望や特殊案件に対応してもらえることは事実ですが、すべての企業課題を顧問の助言・支援で解決できるわけではありません。
顧問に依頼するより、コンサルティング会社に依頼する方が適している案件・プロジェクトもあるかもしれません。
顧問紹介サービスを利用する前に、そもそも顧問を依頼することが最適なのかをきちんと検討しておく必要があります。
よくわからない場合は、事前に顧問紹介サービスに問い合わせて相談することをおすすめします。
必ず要件に合った顧問が見つかるとは限らない
必ず要件に合った顧問が見つかるとは限らないことも、顧問紹介サービスを利用するデメリットとして考えられます。
顧問紹介サービスには多様な人材が登録されていますが、依頼する企業側が求める人材像に完全に合致する人が見つかるとは限りません。
また、求める人材像があやふやだと、ミスマッチが生じる可能性もあります。
顧問紹介サービスを利用する際は、自社が求める人材像を明確にした上で、はじめは複数社を併用し、選択肢を増やしておくことをおすすめします。
長期的な課題には継続雇用しておく必要がある
長期的な課題には継続雇用しておく必要があることも、顧問紹介サービスを利用するデメリットです。
顧問紹介サービスを利用すれば、期間を限定して顧問を依頼できますが、契約が切れた後に再び同じ人に依頼したいと思っても、必ず依頼できるとは限りません。
長期課題には、コストがかかっても継続雇用しておくことが求められます。
また、顧問紹介サービスを通じて依頼した顧問は、契約期間後は他社の顧問となる可能性もありますので、機密事項・技術などに関連する業務の依頼は慎重に行いましょう。
顧問紹介サービスの費用相場
顧問紹介サービスを利用する場合、一般的に、契約料、顧問への報酬、仲介手数料、月額利用料金などがかかります。
多くの顧問紹介サービスでは、初期費用として契約料がかかります。
契約料の呼び方は頭金、入会金、契約手数料などサービスによって様々です。
顧問への報酬は、依頼する内容や期間、規模などによるため一概には言えず、顧問バンクによると1万円台から数百万円まであります。
仲介手数料は、JOB HUBによれば顧問報酬(年間報酬)の30%~40%、顧問バンクによれば35%が相場となっています。
これより高い50%程度の仲介手数料のサービスもありますし、0%のサービスもあります。
0%の場合、一見、安くて良さそうでも実際には他の項目に料金が上乗せされていますので、パーセンテージのみで高い、安いを判断しないようご注意ください。
なお、顧問報酬をもとにした手数料ではなく、月額の固定金額を利用料金としているサービスもあります。JOB HUBによれば、月額料金型は20万円以上が相場です。
顧問紹介サービスの費用として、トータルで年数十万円から数百万円がかかると考えられます。
費用を抑えたい場合は、エージェント型(コンサルティング型)ではなく、プラットフォーム型(マッチング型)のサービスを利用すると良いでしょう。
顧問紹介サービスを利用する際の注意点
顧問紹介サービスを利用する際には、次の3点に特に注意してください。
契約後の変更や解約には追加費用が発生する場合がある
顧問紹介サービスでは、契約後の変更や解約には追加費用が発生する場合がありますので、注意が必要です。
顧問と契約する際は、契約書を交わすのが一般的ですので、その際に契約後の変更や解約についての条項をしっかり確認しましょう。
顧問紹介サービスの中には、1ヶ月前までに連絡すれば無料で解約が可能なサービスなど、契約後の変更や解約に柔軟に対応してもらえるサービスもありますので、変更・解約が生じる可能性を考慮したい場合は、そのような顧問紹介サービスの利用をおすすめします。
機密情報の漏洩を防ぐための契約を徹底する
機密情報の漏洩を防ぐための契約を徹底することも、顧問紹介サービスを利用する上で重要です。
顧問紹介サービスを利用するにあたり、社外の人に自社の機密情報を話す必要があるケースがあります。
その際、情報漏洩の可能性が皆無とは言い切れませんので、賠償責任や情報の扱いなどについて契約できちんと定めておきましょう。
自社の風土や文化に対し理解されない場合もある
自社の風土や文化に対し理解されない場合もあり、この点にも注意が必要です。
企業には独特の社風、習慣、組織文化などがあるものです。社内の人にとっては当たり前と思っていることでも、社外から来た顧問には理解してもらえない風土・文化があるかもしれません。
無用な衝突を避けるためにも、自社の風土・文化を丁寧に伝えるよう心がけましょう。
顧問紹介サービスの導入手順
顧問紹介サービスを実際に導入する際の手順について解説します。
自社の課題を洗い出し依頼内容を明確にする
顧問紹介サービスの導入手順としてまず必要なのが、自社の課題を洗い出し、依頼内容を明確にすることです。
顧問を依頼してどのような企業課題を解決したいのかや、達成したい目標のために自社に不足していること、顧問に求めるスキル、知見、ノウハウなどをはっきりさせておきましょう。
自社に合った顧問紹介サービスを選定する
依頼内容が決まったら、自社に合った顧問紹介サービスを選定します。
顧問紹介サービスはそれぞれに特徴や強みが異なります。
この記事の前半でご紹介した顧問紹介サービスを選ぶポイントやサービスの種類、おすすめの顧問紹介サービスなどの情報を参考に、複数の顧問紹介サービスを比較検討し、自社に適した顧問が登録していると考えられる顧問紹介サービスを選んでください。
候補者のヒアリングを行う
選定した顧問紹介サービスに問い合わせると、顧問紹介サービスの担当者との面会がセッティングされるのが一般的な流れです。
この場で候補者についてのヒアリングを受けることになりますので、自社が顧問に求める希望条件や依頼したい理由などを伝えてください。
専任の担当によるエージェント型のサービスの場合、このヒアリングをもとに顧問候補者が選定されることになるので、希望条件などを丁寧に伝えた方がマッチングの精度が高くなると考えられます。
候補者と面談や打ち合わせを行う
顧問紹介サービスで顧問を検索・公募したり、エージェントから紹介されたりして顧問の候補者が見つかれば、候補者と面談や打ち合わせを行います。
顧問に依頼したい事項を伝え、候補者がその内容に対応できそうかどうか、十分な経験やスキルを有しているかどうかをしっかりと確認してください。
顧問を依頼したい期間や料金などについても、詳細に確認、交渉します。
顧問契約を締結する
顧問の候補者との合意が得られれば、顧問契約を締結します。
通常は顧問紹介サービスが契約書のひな型を準備しますが、特約を設けたい場合などはその旨を加筆修正するか、当事者間で契約書を用意します。
顧問紹介サービスについての疑問Q&A
顧問紹介サービスについて、よくある疑問をQ&A形式でご紹介します。
顧問紹介サービスは、問い合わせただけで料金がかかるということはありませんので、サービスの詳細を知りたい場合などは、積極的に問い合わせてみることをおすすめします。
顧問紹介サービスの登録にも費用がかかる?
顧問紹介サービスの登録には、費用はかかりません。
顧問として仕事を紹介してほしい方が顧問紹介サービスに登録すると、登録料や利用料などの費用がかかるイメージがおありの方もいらっしゃるかもしれませんが、実際にはそのような費用は不要です。
費用は顧問を派遣する会社が負担するので、顧問として登録した人が費用を負担する必要はなく、登録、面談、紹介などのサービスがすべて無料で利用できます。
顧問紹介サービスの登録前に準備しておくことはある?
顧問候補者の方が顧問紹介サービスの登録前に準備しておくことは、履歴書・職務経歴書を入念に作りこむことです。
優れた能力や専門知識、経験・スキルがある人が顧問紹介サービスに登録しても、案件が紹介されないことがあります。
その主な原因として、履歴書や職務経歴書の作りこみが不十分であることが考えられます。
対応として、顧問を必要としている企業や顧問派遣会社の担当者が見たときに魅力的だと思ってもらえるよう、プロフィールや実績を添削、ブラッシュアップする必要があります。
その上で、この記事で解説した顧問紹介サービスの選び方のポイントやおすすめの顧問紹介サービスの情報を参考に、ご自身に合うサービスに登録することで、案件を獲得できる可能性が高まるでしょう。
顧問紹介サービスを利用する企業は増えている?
現在は様々な業界で人手不足が深刻になっており、自社で顧問となる人材を育成したり、専任の顧問を雇用したりするのが難しい企業が多くあります。
顧問紹介サービスを利用すれば、自社で顧問となる人材を採用・育成するコストが不要となり、必要な期間のみの依頼が可能で高い費用対効果を期待できます。
このため、顧問紹介サービスを利用する企業は、増えていると考えられます。
顧問紹介サービスの市場規模はどれくらい?
顧問紹介サービスの市場規模についての統計データ等はありませんが、2016年の時点で数十億円と言われていました。※
顧問紹介サービスを利用する企業が増えていることを考慮すると、現在では市場規模がさらに拡大していると考えられます。
顧問紹介サービスまとめ
この記事では、顧問サービスの種類や選び方、顧問紹介サービスを利用するメリット・デメリットなどについて解説しました。
顧問サービスを利用すれば、第三者の専門家としての視点で経営課題解決に向けた助言やノウハウを得られますし、自社で人材を育成するコストも不要となるメリットがある反面、費用や長期利用などに関してデメリット・注意点もあります。
自社のニーズにマッチする顧問をきちんと見つけ、高い費用対効果を得るためには、顧問紹介サービスの選び方が重要なポイントです。
自社にとって最適な顧問紹介サービスを見つけるため、記事内でご紹介したおすすめの顧問紹介サービスの情報などをぜひ参考にしてください。