MBAという言葉は日本でも広く知られるようになりました。
「MBAってよく聞くけど、どういう意味なんだろう」「MBAを学んだらキャリアアップできるのだろうか」と思っている方もいらっしゃるでしょう。
そこで本記事では、MBAの概要、就職先、学ぶメリットやデメリットについて解説します。
MBAを学ぼうか検討している方は参考にしてください。
- MBAとは?
- MBAを活かせる就職先とは
- MBAを取得するには
MBAとは?ビジネスエリートの登竜門
MBAは英語のMaster of Business Administrationの略です。
日本語では経営学修士などと訳されます。
修士という言葉からわかるとおり、教育機関が提供する一定のプログラムを修了した学生に与えられる学位です。
経営についての学術的な研究よりも、経営に関する実践的な知識やノウハウに主眼を置いた教育を提供するのがMBAプログラムです。
MBAの種類
現在、世界には数多くのMBAプログラムがあります。
こうしたMBAプログラムに対して、様々な機関が様々な切り口でランキングを発表しています。
例としてここでは、フィナンシャル・タイムズによるグローバルでのMBAランキングと、USニュースによるアメリカのMBAランキングをご紹介します。
日本にもMBAプログラムはあるのか?
経営学についての大学院レベルの学位であるMBAは、19世紀にアメリカで発祥したと言われます。
現在、世界のトップMBAプログラムの一つとされるペンシルバニア大学のウォートン(Wharton)スクールは、こうした経営学教育を行うビジネススクールの草分けです。
その後、MBAプログラムは世界に広がり、現在では日本にも数多くのMBAプログラムがあります。
以下に日本の代表的なMBAプログラムをご紹介します。
慶應ビジネススクール
日本のMBAプログラムの草分けと言えるのが慶応ビジネススクールです。
まだ大学院は学術研究をするところという認識が一般的で、実務的な経営を学ぶMBAプログラムは海外で受講する必要があった1978年に設立されました。
歴史がある分、日本のビジネス界に著名人を含む数多くの修了生を送り出してきています。
早稲田大学ビジネススクール
2002年に設置された早大大学院商学研究科ビジネス専攻と、2004年に設置された大学院ファイナンス研究科を、2016年に統合して設立されたのが早稲田大学ビジネススクールです。
MBAに加えてMSc in Financeという、グローバルに活躍するファイナンスのプロを養成するプログラムも設置されています。
名古屋商科大学ビジネススクール
現在は、世界中にMBAプログラムが開設されていて、いくつかの機関が世界のMBAプログラムをランキング付けしています。
そのうちの一つであるFinancial Timesのランキングで、日本のプログラムで最上位に評価されているのが名古屋商科大学ビジネススクールです。
さらにマネジメント教育の認証機関として、世界有数の歴史を持つアメリカのAACSBから認証を取得しています。
日本国内でこの認証を得ているビジネススクールは、前出の慶應ビジネススクールと名古屋商科大学ビジネススクールのみです。
グロービス経営大学院
2003年に日本の法律が改正されて専門職大学院制度が設けられると、国内でもMBAプログラムを設置する教育機関が増えました。
そうした中、それまで社会人教育の分野で実績を残してきていた企業であるグロービスが学校法人を設立し運営しているのがグロービス経営大学院です。
グロービスのMBAと聞いて、民間企業が独自設定した資格と思う人もいるかもしれませんが、れっきとした学校教育法上の大学院の学位です。
現在、東京・大阪・名古屋・仙台・福岡と、国内5か所にキャンパスを設置しています。
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公認会計士や税理士などの資格との違いは?
時々「転職に有利な資格は?」といったようや記事などで、公認会計士や税理士などの資格とMBAが同列で語られることがあります。
MBAと公認会計士などの資格の違いは何でしょうか?
MBAは法律で定められた資格ではない
公認会計士は公認会計士法、税理士は税理士法に基づき認定される国家資格です。
一方、MBAはあくまでも教育機関が与える学位ですから、国のような公的な後ろ盾がある訳ではありません。
そして、すべてのMBAが同じ基準で授与されている訳ではなく、求める知識の内容やレベルは各教育機関の判断によって定められています。
現在は様々なMBAランキングが発表されていますが、そのようなランキングが求められる背景には、教育内容の違いによる各MBAプログラムの個性があるのです。
MBA資格の試験がある訳ではない
公認会計士、税理士を取得するには、それぞれの資格認定試験に合格しなければなりません(厳密にいえば、経験などを評価して試験を受けずに資格取得する方法もありますが)。
一般的に、資格を得るためには試験で合格することが必要で、これは国家資格に限らず、簿記や英検など民間の団体が認定する資格でも同様です。
一方、MBAは学位ですから、その取得のためには一定の期間をかけて教育を受けることが必要になります。
ですから「MBA資格試験」というものは存在しません。
MBAプログラムで得られること
MBAプログラムを受講することで何を得られるのでしょうか?
筆者はアメリカのビジネススクールに留学しましたが、その体験から感じるMBAで得られることを6点ご紹介します。
経営理論や経営に関するノウハウ
MBAプログラムでは経営に関する理論や、経営に関するノウハウを学べます。
その授業の様式は多様で、教授が理論を説明するという伝統的なスタイルもあれば、学生達によるディスカッションやプレゼンテーションによるものもあります。
最近はコンピューターを使って、投資ファンドなどの運営をシミュレーションするといったより実践的な経験を積める授業などもあります。
MBAプログラムで学んだことを、卒業後に実際の経営に携わる中で使うことも数多くあります。
論理的な思考の習慣
MBAプログラムでは日常的に議論が行われます。
そうした議論の中で自分の思考経過や意見を伝えるには、その内容が論理的で聞いている人にわかりやすいことが必須です。
そのため、様々なことについて考える際に、論理的に考え論理的に伝えることが求められます。
こうした思考方法は、考えるテーマが変わったとしても同じです。
自分の結論は何で、何故そのような結論になるのか、そうした考え方はどのような事実やデータによって裏付けられるのか、といった思考を日々繰り返す中で、論理的な思考の習慣が身についていきます。
最新の経営理論も必ず古くなります。
しかし論理的な思考方法は古くなることは無く、いつの世でも共通して必要です。
その意味で論理的思考力はMBAプログラムで身につけられる、とても重要な財産と言えます。
タイムマネジメント力
MBAプログラムの学生はとても多忙です。
まず、授業の準備のために多くの資料に目を通す必要があります。
授業の中には事前に学生同士でディスカッションしたり、ワークシート分析などを行ったりしておく必要があるものもあります。期日を区切って、課題提出を求められることもあります。
また、日本人が海外のMBAプログラムに留学する場合、ネイティブの学生より英語の読み書きに時間がかかることも多くあります。それに加えて、パーティーやイベントなど、仲間同士での交流の機会もあります。
卒業後の就職を見据え、学校を訪れる企業による会社説明会に出席したり、オン・キャンパスでのインタビューを受けたりと、MBAプログラムの学生は多忙なのです。
こうした中で自分がやるべきことをきちんとこなすには、タスクと期日を整理し、優先順位を付けて優先度の高いものからこなしていくことが必要です。
時には、「これは70%の出来だが仕方がない」といった“割り切り”を求められることもあります。
自分の使える時間をやらなければいけないことにどう割り振るのか、といったタイムマネジメントを意識しないうちに強いられるのです。
この経験はビジネスの世界に戻った時にとても役に立ちます。
ダイバーシティ環境
MBAプログラムには様々なバックグランドの人が集まってきます。
海外の著名MBAプログラムであれば、世界中の国から学生が集まってきますし、国内のMBAプログラムであっても、様々な職歴・経歴の人が集まってきます。
つまりMBAプログラムは、国籍、性別、経歴などが多種多様な人々が集まった、まさにダイバーシティな環境で進められるのです。
当然ながら、議論の際などにも各学生が自分のバックグランドを反映した、多様な意見を述べます。
自分とはまったく異なる業界から来ている学生が、その業界の人ならではの視点から意見を述べるのを聞いて「目からうろこ」といった経験をすることも多くあります。
これは特に日本の大企業のような、どちらかと言えばモノカルチャーの組織から加わった学生にとって、とても新鮮なカルチャーショックですし、自分の視野を広げるためにとても役に立ちます。
人的ネットワーク
MBAプログラムでは学生同士の議論なども頻繁にあるため、自然と仲間同士の連帯感が強まります。
その中で構築された人的なネットワークは、MBAプログラム在学中だけでなく卒業後も大きな財産になります。
中にはMBAプログラム時代の友人同士で、起業をするといったケースもあります。
そしてMBAプログラムの卒業生は、各業界でリーダーとなっていく人達です。
各業界にネットワークがあるということは、卒業後のビジネス生活に大きなメリットをもたらします。
企業とのネットワーク
MBA卒業生は将来のビジネス界を担う、ビジネスエリート候補生です。
したがって、著名なMBAプログラムには、各企業が学生を採用しようと積極的にアプローチをします。
ビジネススクール自体も、ある意味では就職予備校的な色彩があり、学生の受け入れ先になる企業とのネットワークを大切にしています。
こうした環境を受けて、著名な企業が学校内で会社説明会を開催したり、学校内で採用面接を行ったりすることが頻繁にあります。
MBAの就職先
MBAプログラムで得られることの一つとして、企業とのネットワークを挙げました。
MBAを取得した学生はどのような企業に就職するのでしょうか?
MBAの人気就職先は?
少し古いですが、下の表は2015年にアメリカのCNNが調査したMBAが卒業後に働きたい企業のトップ10です。
GAFAと称されるIT企業、コンサルティングファーム、投資銀行の他、ウォルト・ディズニーやNIKEといった有名ブランドの消費財企業が人気のようです。
また、アメリカのトップMBAプログラムの一つであるWharton (ペンシルバニア大学ビジネススクール)が公表している2018年の主要就職先が以下の表です。
上で触れたMBAの人気企業、業種に加えて、投資ファンド、製薬会社なども含まれています。
日本のMBAプログラムの例を見てみましょう。下記は慶應ビジネススクールが公表している、2020~2022年度のMBA卒業生の主要な進路です。やはりコンサルティング、金融、IT企業が多いようです。
MBA就職先人気企業のプロフィール
上記のように、MBAの就職先としてはコンサル、金融、IT企業、製薬などが人気です。
上記のリストに出てきたような企業はご存知の方が大半とは思いますが、念のために代表的な企業のプロフィールを以下でご紹介しておきます。
マッキンゼー&カンパニー
ボストンコンサルティンググループ(BCG)と並び、昔からMBAホルダーの人気就職先であるコンサルティングファームの代表的な企業といえるのがマッキンゼー&カンパニーです。
1926年にカーニー&マッキンゼーというコンサル会社が2つに分離し、マッキンゼー&カンパニーとして設立されました(ちなみに分離したもう一つの会社も大手コンサルティングファームのA.T. カーニーです。現在では競合関係にある両社ですが、実は同じルーツを持っています。)。
現在では日本を含む世界中にオフィスを持ち、数多くの有名企業をクライアントに持っています。
多くのコンサルティングファームと同様に、アップ・オア・アウト(一定期間で昇進できなければ退職勧奨)というカルチャーがあることも有名です。
ゴールドマン・サックス
MBAの伝統的な人気就職先である投資銀行(「銀行」とついていますが、街で見かけるいわゆる銀行ではなく、日本でいえば証券会社の法人部門に近いイメージです)の代名詞的な企業がゴールドマン・サックスです。
1869年に創業され、ニューヨークを本拠地として日本を含む世界中の主要な金融市場でビジネスを展開しています。
尚、投資銀行業界は金融業界の中でも、MBAの就職先として長くトップの人気業界でしたが、最近はプライベートエクイティファンドなど投資ファンド業界を希望するMBAホルダーが増えているようです。
グーグル
コンサルティングファームと投資銀行をMBAの伝統的な人気就職先とすると、この10年ほどの間に大きく人気を高めたのがグーグルなどのIT企業(いわゆるGAFAと呼ばれる企業に代表されます)です。
グーグルは1998年に設立されました。当初は検索エンジンを提供していましたが、その後幅広いIT分野にビジネス領域を広げています。
自由な社風で知られ、勤務時間の20%を自分の好きな開発プロジェクトのために使うといったルールがあることも有名です。
もちろん日本でもビジネスを展開していて、日本法人は2001年にアメリカ国外初の現地法人として設立されました。
ジョンソン&ジョンソン
マーケティングを志すMBA学生の間で、長く人気企業であったのがアメリカの大手ヘルスケア企業です。
ジョンソン&ジョンソンはそうしたヘルスケア企業の一社であり、1887年に設立され現在は製薬、医療機器、家庭用医療品(バンドエイド等)、コンタクトレンズ(アキュビュー等)など、数多くのビジネスを展開するトータルヘルスケアカンパニーとなっています。
日本でも幅広いビジネスを展開していて、ジョンソン&ジョンソンブランドの他、医療用医薬品事業はグループ会社であるヤンセンファーマが担っています。
その社訓にあたるOur Credo(わが信条)や、1982年に起きたタイレノール毒物混入事件への対応は、多くのビジネススクールが授業でケース(教材)として取り上げることから、MBAホルダーにとても馴染みのある企業と言えます。
楽天
MBA採用を積極的に行っている日本企業の一つが楽天です。
創業者である三木谷社長自身がハーバード大学ビジネススクール卒業のMBAホルダーであり、数多くのMBAホルダーが働いています。
1997年にオンラインのECモール「楽天市場」を展開する企業として設立され、現在では金融事業や通信事業など幅広いビジネスを行っています。
また、英語を社内公用語とした日本企業の先駆けとしても知られ、社内では数多くの外国人も働いています。面白いところでは、社員食堂が原則として三食無料といったユニークな施策も知られています。
MBAを取得するには
では、MBAを取得するにはどうしたらよいのでしょうか?
現在は国内・海外に数多くのMBAプログラムがあり、内容も学習の仕方も多様です。
昔より自分に合ったプログラムを見つけやすくなっているので、あとはMBAを取得したいという本人の意思の問題です。意思があることを前提とした上で、MBA取得に際して事前に考えておくことを以下で紹介します。
新卒ではなく社会人経験を積んでから学ぶ場
本人の意思が重要とはいえ、MBAプログラムに受け入れてもらうための最低限の要件として社会人経験があります。
大学の学部を卒業してすぐにMBAプログラムに進むというのは、ビジネススクール側も歓迎しませんので、多くの場合は入学が許可されません。
仮に入学できたとしても、実践的なビジネスを学ぶというMBAプログラムの性格からして、社会人経験が無い人が授業を受けても現実感を持って捉えにくく、その効果は小さなものになってしまうでしょう。
新卒の人はまずは社会人として数年のビジネス経験を積んでから、MBAを目指すことをお薦めします。
国内MBAと海外MBA
昔はMBAというと、海外のビジネススクールに留学して取得するというイメージが強くありました。
しかし海外に留学するには言葉や滞在費用などの壁が存在します。
一方、上でご紹介したように、現在は国内にも実績のあるMBAプログラムが数多く存在しています。
海外で異文化の体験を重ねたい、英語でコミュニケーションする環境下で英語力をもう一段高めたいなどの希望もあれば海外留学はお薦めです。
しかし、ビジネスに関するスキルや知識を高めることを主眼に置くのであれば、国内のMBAプログラムでも学べることは多くあります。
ビジネススクールはヨーロッパにもある
また、海外留学をする場合もアメリカだけが候補ではありません。
確かにビジネススクール発祥の地であるアメリカには、数多くの優れたMBAプログラムがあり、それぞれの個性を競っています。
しかし、例えば英国には世界ランキングの上位にあがるロンドン・ビジネススクール(LBS)や、ロンドンスクール・オブ・エコノミクス(LSE)を筆頭に、数多くのMBAプログラムがあります。
また、フランスには、ヨーロッパのMBAプログラムの中で最も評価が高いと言われるINSEADや、フランス国内で歴史ある名門校として知られるHEC経営大学院があります。
この他にもスペインのIESE、スイスのIMDなどヨーロッパにあっても、世界的に名を知られたMBAプログラムが数多く存在しています。
尚、フランスやスペインのビジネススクールでも基本的に授業は英語で進められます。
フルタイムかパートタイムか
通常の大学院のようにフルタイム(全日制)で学ぶプログラムの他に、多くのビジネススクールが働きながら学べるパートタイムのプログラムを持っています。
パートタイムの場合は、仕事の終わった後の夜や週末に授業を受けるのですが、仕事と掛け持ちで負荷が高い分、フルタイムのMBAプログラムにあるような1年とか2年といった期間の縛りが緩く設定されます。
国内MBAのパートタイムプログラムであれば、日本で現在の仕事を続けながらMBAを取得することもできます。
また、海外勤務時に現地のビジネススクールのパートタイムプログラムで学ぶというオプションも考えられます。
MBAを取得するには
ビジネスエリートの登竜門として得るものの多いMBAプログラムですが、どんなものにでもプラスとマイナスがあるものです。
まずは、MBAのメリットを見ていきましょう。
最新のビジネスメソッドを学べる
現代は時代の変化が激しいため、変化に対応する柔軟性が重要です。
MBAは基本的な経営学だけでなく、AIやビッグデータ、IoTの最先端技術がビジネスに与える影響やどのように活用するかを学べます。
時代の変化に対応できる、最新のビジネスメソッドが身につきます。
経営学を学べる
「ヒト・モノ・カネ」の3要素など経営に必要な知識を学んで、リーダーとしてのスキルを身につけることができます。
さらに交渉術や異文化マネジメントなども学べるので、人間力やコミュニケーション力も向上します。
経営者になるには現場の経験も必要ですが、MBAを取得することで基礎知識を身につけられるため、将来に役立つでしょう。
英語力が身につく
海外のビジネススクールは授業が英語で行われるため、英語力を身につけることができます。
ディスカッションやネゴシエーションを通じて実践的なビジネス英語も磨けるでしょう。
英語力を身につければ、海外でビジネスを展開したり、海外に転職も可能です。
キャリアアップできる
MBA取得により転職の幅が広がったり、年収が上がったりとキャリアアップできます。
MBAは経営戦略やマーケティング、組織論、経済学、財務・会計、情報管理システムなど、経営に必要な知識を学べます。
これにより、現職で役職が上がったりベンチャー企業に転職など、キャリアの幅が広がる可能性が高まります。
人脈が広がる
MBA取得を目指す仲間たちとの人脈やネットワークを築けます。
MBA取得を目指している人たちは、強い目的意識や学習意欲を持った国内外の企業で活躍するビジネスパーソンが多数在籍しています。
異なる業界や職種のビジネスパーソンと議論したり授業を受けることで、視野が広がり思考も深くなるでしょう。
築いた人脈は卒業後のビジネスや起業の際に役立ちます。
MBAのデメリット
最後に、MBAを取得することのデメリットを見ていきましょう。
「現場」からは遠い
MBAプログラムで学習する内容が、常に最先端の経営手法かと言えば、必ずしもそうとは言い切れません。
何故ならMBAプログラムで学習するのは、実際に経営現場で起きた内容を整理・分析して理論化したものであり、「現在進行形」で起きている事象とは言い切れないからです。
本当の最先端、最前線で起きているビジネスイシューに関する知見を得るということであれば、企業の経営部門や、コンサルティングファームなどの方が機会としては多いでしょう。
もちろんMBAプログラム側もこうした点は承知していて、学生が最新の経営現場に触れる機会を作る努力をしています。
無料のボランティアワークとして、学生のチームが教官のアドバイスを受けながら企業やNPOにコンサルティングを行う機会を設けている学校は数多くあります。
また、学校側が用意した基金を使って、実際に市場で投資を行う経験をするといった授業を行う学校もあります。
お金がかかる
MBAプログラムの学費は一般の大学・大学院と比べて高いと言われています。
特にアメリカのビジネススクールの場合、著名なMBAプログラムの学費は年間500万円以上するケースもあり、2年間で1,000万円以上かかることもあります。
また、日本から留学する場合は留学中の生活費も必要で、特に家賃・物価の高い大都市のMBAプログラムに留学する場合は、学費と合わせてかなりの経済的な負担がかかります。
国内のMBAで学ぶ場合、アメリカに留学するほどの大きな出費は必要ありません。
例えば慶應ビジネススクールの場合、初年度納付金は220万円程度ですし、グロービス経営大学院は標準終了年限である2年間の学費を約300万円としています。
しかし、それでも大きな出費であることに変わりはありません。
また、フルタイムMBAプログラムの場合は、その期間の収入は基本的にゼロになる訳ですから、お金の問題は事前に十分検討しておく必要があります。
時間がかかる
「時は金なり」と言いますが、MBA取得に必要な時間もデメリットと言えます。
MBAプログラムを修了するには、最低でも1年、通常は2年以上の時間が必要です。
フルタイムMBAで学ぶ場合はもちろん、働きながら学ぶパートタイムMBAで学ぶ場合でも、授業の準備や課題の作成などで授業時間以外に多くの時間を取られます。
自分の人生の中の貴重な時間を投資することの投資と期待リターンを考え、自分の現在のライフステージも考え合わせて判断する必要があります。
キャリアプランの一つとしてMBAを考える
MBAプログラムでは様々なものを得ることができ、ビジネスパーソンにとって一生の財産となることは間違いありません。
ただし、それを得るためにはお金や時間といった投資が必要です。
また、それだけの投資をするのですから、自分のキャリアプランを良く考え、自分に最適なライフステージ上のタイミングを計り、自分にあった特徴のあるプログラムを選ぶことが重要です。
自分のキャリアプランを考える中で、MBAプログラムで学ぶことを一つの選択肢として考えてみては如何でしょうか?