戦略コンサルの就活では必須のフェルミ推定は、就活生の思考・分析力を問う面接です。
「フェルミ」と聞くと尻込みする人もいますが、質の高い対策本で努力をすれば、誰でも一定の実力を身に着けられます。
- 本だけでスキルを習得できる?
- どんな本をどう使えばいい?
この記事では、現役戦略コンサルの筆者が、未経験からでも実践できるフェルミ推定のトレーニング本を解説します!
>>【コンサル面接対策まとめ】元面接官がよくある質問や逆質問の回答例を解説
フェルミ推定対策は本を読めば十分
ケース面接というと敷居が高いイメージがありますが、その基本である「フェルミ推定」にはきちんとしたフレームワークがあり、対策本もたくさん出版されています。
「地頭力なんて磨けないから対策するだけ無駄」と端から尻込みしてコンサルファームを諦めたり、あるいは高いお金を払って講座や添削サービスを受けたりしなくても十分に対策でき、おまけにフェルミ推定で磨いた思考力はコンサルファーム限らずあらゆる仕事や活動にも活かせるスキルです。
しかし、対策を怠っては肝心の人物評価の前に落とされてしまうリスクもあります。
おまけに最近は就活生の対策も進んでいるので、私も実際に受けた面接で「8畳間にピンポン玉はいくつ入る?」という体積の問題や、「今現在鳴っているスマホは日本全体で何台?」といった本当に答えのない設問を出されたことがあります。
トレーニングにはフェルミ対策本を活用しよう
こういったひねりのある問題は解き方が複雑で思考プロセスも必要な計算もひとつではないので、きちんと対策をして挑む必要があります。
数十冊と売り出されている関連書籍の中からフレームワークと演習のバランスのよい本ばかりを厳選したので、まずはあきらめずに1冊読んで演習してみましょう。
トップファームを目指すなら5冊の中から数冊をピックアップする方がいいですが、この記事の最後にはおすすめの組み合わせと読むべき順番もご紹介します。
おすすめのフェルミ推定トレーニング本7選
それでは早速、コンサルファームのケース面接を勝ち抜くためにおすすめのトレーニング本を紹介します。
全部で5冊ありますが、まずは小手試しに興味の沸いた1冊からはじめてみてください。
地頭を鍛えるフェルミ推定ノート
フェルミ推定といえばとにかくこの一冊。
「地頭を鍛えるフェルミ推定ノート」(1,595円)は2009年の初版から現在まで常にランキング上位に入る超定番です。
この本の最大の特徴は、コンサル経験のある社会人ではなく純粋に問題を解くことを楽しむ現役の東大生が書いたということ。
総計1,000題以上を解いてきた演習マスターたちが考案した模範解答が満載なので、流し読みしているだけで頭のいい人の思考をのぞき見するような感覚になれます。
薄くて読みやすい横書きの一冊の中に、手書きのノート形式の図解や口語体で書かれた面接実例が散りばめられ「解答の取っ掛かり」をきれいに体系化してくれています。
フレームワークの解説の後に130問の演習問題が載っているので、この1冊で対策を終えるという人もいる定番です。
日本の世代別人口や地球の直径など、暗記しておけばフェルミ推定に有利な数字が載っているのも面接に使えて実践的でした。
ケース面接に挑むほぼすべての学生が手にする1冊なので、まずどれにしようか迷った方はこの本を手に取ってみてください。
【外資コンサル志望者🙋♂️必読⚠️】
フェルミ推定の基本がつまった教科書📚
わかりやすさならNo.1🏆✨
京大生もオススメです😳#22卒 #フェルミ推定 pic.twitter.com/HwUfLu1fG3— 京大サラリーメン (@kyodaisalarymen) May 14, 2020
地頭力を鍛える
そもそもフェルミ推定と聞いてピンとこない人には、その土台となる「地頭力」を鍛えることに特化した一冊「地頭力を鍛える」がおすすめです。
そもそもケース面接の目的は「日本中に電柱は何本ある?」といったクイズへの回答を精緻に出すことが問題ではなく、コンサルファームでの実務に求められる、知的瞬発力や論理的思考力があるかどうかを見極めることにあります。
ロジカルな考え方が求められるフェルミ推定は問題解決の縮図であり、簡単に作成できる上に内容も身近であることから地頭力を試したり鍛えたりするためのツールとして非常に有用です。
そしてその対策には「結論から」「全体から」「単純に」考える三つの思考力が必要であり、これらはどれも訓練によって鍛えることができるというのが「地頭力を鍛える」の筆者の考え方です。
また本書は売上20万部を超えるベストセラーで、コミック化もされています。
漫画版は、真面目なのにリストラ予備軍になってしまった27歳がけっぷちOLが地頭力を鍛え人生をよい方向に切り替えていくというポップなストーリー。
他の本のハードルが高いと感じる人は、最初にこのマンガ本を読んで、さらに別本で演習問題の対策をするのもよいと思います。
この本で解説されている仮説思考、フレームワーク、抽象化思考といった物事を瞬時に整理する能力は、フェルミ推定のみならず実際のビジネスシーンにおいても大いに活用することができるので、現役コンサルタントや他の業界を志す人にも読み物としておすすめできる一冊です。
【おすすめの本①】
毎回聞かれることになる本について。初めに、ロジカルシンキング・フェルミ推定等を学ぶ際の教科書として必ず読んでほしいのが
『地頭力を鍛える』です!
就活を進めるほど、この本の凄さを目の当たりにするほどホントに全てが詰まってます。#就活 #ケース面接 #フェルミ推定 pic.twitter.com/3OdFOix6Q5— オスカー (@oscar_shukatsu) November 21, 2021
フェルミ推定力養成ドリル
フェルミの基本は分かっているから、実践的に演習問題をゴリゴリ解きたい!という人にはこの「フェルミ推定力養成ドリル」。
ドリルという名の通り「人体に細胞は何個ある?」「4光年を旅する宇宙船に必要な燃料量は?」などのバラエティ豊かな76問が掲載されているので、千本ノック的に訓練して万全の体制で挑むことができます。
無料記事をかじったくらいでいくつかの設問パターンを覚えると、フェルミ推定をある程度習得した気になってしまいますが、実際の面接では設問のバリエーションは無限大です。
特に最近は就活生側の対策も進んでいるので、トップファームをはじめとする戦略部門の面接では、人口や面積などの基本問題ではなく、奇をてらった設問や面接官の思い付きなど少しひねった発題がされることも少なくありません。
フェルミ推定は、単なる知識や計算力を問われているのではなく、瞬発的な思考力とそれを論理的に説明できる力が求められているので、面接官のタイプや選考の状況によってどんな問題を出されても応用が利くようにたくさんの演習問題で対応力を磨いておくのがとても重要です。
この本は著書が外国人で表紙もとてもポップな1冊で、コンサルだけではなくグーグルなどのIT企業の傾向にも対応しているのも魅力的です。
就職活動対策シリーズ ― フェルミ推定の教科書
「就活対策シリーズ」という名の通り、とにかく教科書的に学んで面接に役立てたいという人におすすめなのがこの「フェルミ推定の教科書」。
「理論」「解法」「演習」の3部構成で、そもそもフェルミ推定とは何なのかという本質から、「シカゴにいるピアノ調律師の数は?」などの超定番10問の解説が載っており、この1冊で基本からテクニックまで網羅的に学ぶことができます。
この本の最大の特徴は、マッキンゼーやBCGなどをはじめとする難関コンサルティング企業の実際の面接における評価ポイントに則って解説されていること。
業界大手の採点基準に沿った解答テクニックが詳しく解説されており「面接の時間内に解くにはどうしたらいいか」「どういった板書をしながら説明すべきか」といったポイントにも言及しています。
より実践的にステップアップするための知識や情報が詰まった指南書なので、ケース面接のイメージが湧かなくて困っている人や、テクニック面まで本で勉強したいという人におすすめです。
Kindle Unlimitedなら無料で読むことが出来るので、Amazonユーザーなら気軽に読むことができます。
メタ思考トレーニング 発想力が飛躍的にアップする34問
続いて紹介するのはメタ思考についての一冊「メタ思考トレーニング」。
既存の演習を一周してから少し違った切り口で対策をしたい人や、もう一段階レベルアップした思考力のトレーニングをしたい人はぜひ読んでみてください。
「メタ思考」とは物事を俯瞰して考えることで、足元の知識やタスクに捉われずに一段高い視座から全体観を捉えるため物事の本質や論点を見極めるのに有効な力です。
具体的には「Why型思考のトレーニング」と「アナロジー思考のトレーニング」という二つの思考法が解説されており、それを実践することで、これまでのテクニック頼りのケース対策では見落としがちだったポイントも見つけることができるようになったり、考える力が向上して思考回路がアップグレードした実感を得ることができるという本です。
ただし演習問題には解説がないため、初学者にはやや不向きです。
演習問題に疲れてしまった時や面接直前の総仕上げの時期などに活用するのがおすすめです。
こちらもKindle Unlimitedなら無料で読むことが出来ます。
【読了📕】メタ思考トレーニング
日頃の業務は、手段であって目的ではないことがほとんど。(例 文書作成は作成が目的じゃない)
なぜその業務をしないといけないのか、その業務の先に達成できることはなにか。
目先にだけとらわれず、いろんな見方や視点を養いたい#メタ思考 pic.twitter.com/8F0hQw3XKm— Shotaro Ogi 大木翔太郎 (@Flyingsheep1326) May 22, 2023
過去問で鍛える地頭力―外資系コンサルの面接試験問題
続いて、実際に外資系戦略コンサルティング会社の面接問題を収録している一冊「過去問で鍛える地頭力―外資系コンサルの面接試験問題」。
「実際の外資系の戦略コンサルタントはどのように考えるのか?」という疑問を元に、現役の外資系戦略コンサルタントが答えた模範解答を提供しています。
模範解答の作成にあたっては、筆者と外資系の戦略コンサルタントが実際にディスカッションを行い、過程や結論をほぼそのまま反映しています。
この本を通じて、ケース面接のやり取りをシミュレーションすることをおすすめします。
論理的思考、問題解決、構造化、定量分析、クリティカルシンキング、創造的思考など、これまで個別に学んできたビジネススキルをどのように統合して活用するかを実践的に学ぶことができます。
「フェルミ推定」から始まる問題解決の技術
最後に紹介する一冊は、「「フェルミ推定」から始まる問題解決の技術 」です。
こちらの本は、ベストセラーともなった『ロジカルシンキングを超える戦略思考 フェルミ推定の技術』から6ヶ月後に登場した、高松智史氏による待望の新刊です。
前作が「テキスト&問題集」だったのに対し、本作は実践問題集編となっています。
「フェルミ推定」は、市場規模推定や売上予測に使うだけの方法ではなく、成長戦略や新規事業の立案に幅広く適用でき、戦略思考の基本的な考え方と言えますが、この考え方を一冊の本に凝縮したのが本書です。
従来の「ロジカルシンキング」や「問題解決」の書籍とは異なり、実践的でわかりやすく、新しい問題解決のアプローチを提供します。
高松節が満載の、非常に読みやすく魅力的なビジネス書です。
ビジネススキルの新たな展開としてのフェルミ推定を、ぜひ楽しんで学んでみてください。
フェルミ推定に関するよくある質問
フェルミ推定に関するよくある質問を以下で回答しています。
そもそもフェルミ推定とはなんですか?
フェルミ推定とは、正確な数値を持っていない問題に対して、論理的な推論を用いて素早く概算する方法です。
この手法は、ノーベル賞物理学者エンリコ・フェルミにちなんで名付けられました。
フェルミ推定は、特にキャリア志向の学生にとって、外資系企業や総合商社などでの選考プロセスで頻繁に求められるスキルです。
正確な数値を知っているかどうかや、専門的な知識の有無に関するものではありません。
むしろ、一般的に知られている数値や、自分で推定した数値を利用して問題にアプローチし、その推論の根拠を論理的に説明できるかどうかが評価されます。
フェルミ推定はくだらない、意味ないという意見も聞くが本当?
フェルミ推定は、大きな数や規模を正確に把握するのが難しい場合に、数式や一般的なデータを元に、おおよその推定を行う方法です。
この手法は、採用担当者によっては「対策ができる問題」としても捉えられるため、意味がないと言われる原因になっています。
フェルミ推定の問題は、インターネットや書籍に情報がなく、正解が不透明なことが多いのが特徴です。
フェルミ推定を成功させるために最も重要なのは、論理的に数値を導き出すスキルです。
キャリア志向の高い学生にとって、外資系企業や総合商社などの入社試験で頻繁に求められる重要なスキルの一つです。
コンサルタントの転職にもフェルミ推定対策は必須
ケース面接が課されるようなコンサルティングファームの就職選考は、倍率が数百倍を超えるような激戦になることも少なくありません。
有名大学や理系学部出身でも、しっかりと対策しなければ選考を勝ち抜くのは難しいです。
しかし一方で、数字に苦手意識があったりロジカルシンキングにピンとこなかったりする人でも、きちんと対策すればコンサルタントに求められる論理的思考力を面接でアピールすることは充分に可能です。
本日紹介した本を上手く組み合わせれば、ほんの数千円で短期間での対策ができます。
たとえばコミック版「地頭力を鍛える」で大枠を掴んだ後に「フェルミ推定力養成ドリル」でビシバシ演習問題を鍛えて「メタ思考トレーニング 発想力が飛躍的にアップする34問」で総仕上げをすれば、トップファームであっても自分なりの切り口であらゆる問題に答えられるように仕上がると思います。
もしくは「地頭を鍛えるフェルミ推定ノート」でしっかりと基礎を固めてから「就職活動対策シリーズ ― フェルミ推定の教科書」でテクニック面を磨いて卒なく本番に挑むのもよいと思います。
フェルミ推定で磨いた思考力はどの会社に入っても活きるスキルです。
面接で悔いのないパフォーマンスをして、内定という結果を勝ち取れるよう頑張ってください!
以下の記事ではコンサルティングファームのケース面接対策についても詳しく解説しています。こちらも併せて参照してみて下さい。