SDGsやサステナビリティといった行動指標が、多くの企業で推進されている昨今。
環境問題はグローバルでも重要視されているテーマであり、民間企業や各国の公官庁にまで環境への対応を意識づけられはじめています。
そこで、環境コンサルタントの活躍に注目が集まっています。
しかし、その実態は広く知られていないのが現状です。
本記事では、環境コンサルタントの職業に興味がある方へ向けて、仕事内容や年収、将来性、必要な資格などについて解説していきます。
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環境コンサルタントとは
環境コンサルタントは、一言でいえば「環境保全に対してアドバイスをするエキスパート」です。
まずは、具体的に、環境コンサルタントの仕事内容を紹介していきます。
環境コンサルタントの仕事内容
環境コンサルタントの大まかな業務内容は、「環境保全に関してコンサルティングを実施する」ことです。
対象のクライアントは民間企業だけではなく、公官庁関連施設や各種団体にまでに及びます。
それぞれのクライアントが行う事業について、環境保全のためのアドバイスをしたり、環境に与える影響やリスクを調査の上、改善点を助言したりするのが、環境コンサルタントの主な仕事内容です。
環境コンサルタントの種類
環境コンサルタントの仕事内容として、以下のようなものがあげられます。
- CSRに関するコンサルティング
- 環境アセスメント
- 環境に関する法律関連への対応
これらの仕事内容について、一つずつ解説していきます。
CSR系の環境コンサルタント
民間企業の環境保全の観点からコンサルティングを行う活動です。
厚生労働省はCSRについて以下のようにコメントしています。
CSRとは、企業活動において、社会的公正や環境などへの配慮を組み込み、従業員、投資家、地域社会などの利害関係者に対して責任ある行動をとるとともに、説明責任を果たしていくことを求める考え方です。
引用元:厚生労働省(労働政策全般)
つまり、クライアントが軸としている事業以外の環境保全活動や地域貢献などでも、社会的責任を果たすことが求められているといえるでしょう。
CSR系の環境コンサルタントは、より良いCSR活動の実施や経営に関わるCSR項目へのアドバイスを実施します。
また、CSR関連の活動レポートや報告書の作成サポートも行います。
建設系環境コンサルタント
建設系環境コンサルタントの業務内容は、建設工事などが環境に与える環境被害や影響について調査することです。
建設や工事を実施すると、環境には少なからず影響がでてしまいます。
そのため、特に環境に大きく影響しそうな建設や工事を実施する場合は、環境調査が義務付けられています。
建設系環境コンサルタントは、環境への影響がどの程度のものかをあらかじめ調査し、大きなリスクや大規模な影響がでると予測できた場合は、改善策の策定や提案をします。
また、建設系環境コンサルタントは国土交通省に登録をしたうえでコンサルティング業務をしなければならない点が特徴です。
企業系環境コンサルタント
企業系環境コンサルタントは、製造業などで製品を開発する企業に対し、製品における環境調査を実施します。
例えば、対象企業の製造過程において、どのような影響を環境に与える可能性があるかの調査や、製造された製品の環境貢献度はどのくらいになるのかなどを調査するのが業務の一つです。
より環境に配慮をした製造ができるよう、製造工程で環境にリスクのある場合は、改善策を策定し提案します。
また、企業系環境コンサルタントの活動では、環境への配慮だけでなく、生産コストの抑制や製品の環境貢献度を向上させる提案をすることで、企業のイメージをアップさせることに大きく寄与します。
これらの活動によって、製品に付加価値をつけることが期待されており、よりビジネスを後押しするような業務が可能です。
法律関連の環境コンサルタント
環境問題が進行する中、環境に関連する法改正が行われることも予想され、これまでなかった規制やルールなどが設定される場合もあります。
そうした状況に必要となるのが、法律に詳しい環境コンサルタントです。
法律に特化した環境コンサルタントは、対象の企業がビジネスをする際、環境関連の規制や法令をきちんと守れているかを調査し、課題がある場合にはアドバイスを行い、改善していきます。
環境コンサルタントの年収
環境コンサルタントの平均年収は、求人検索エンジン「求人ボックス」によると、350万円程です。
給与幅は300万円台から900万円台と幅広く、中には専門性などを武器に1000万円近く稼いでいる人もいます。
一言に「環境コンサルタント」といっても、仕事の内容や熟練度、専門性などがさまざまで、幅広い年収の方が存在する状況です。
環境コンサルタントの将来性
環境コンサルタントの需要は、増加すると予想されています。
近年、「カーボンニュートラル」や「カーボンネガティブ」と言った地球環境にやさしい企業理念が多く打ち立てられています。
日本だけでなく世界的に、さまざまな規模の企業が環境に配慮した活動や環境に関するビジネスを加速させています。
大企業だけではなく、次世代エネルギーを開発しているベンチャー企業もあり、まさに今、「環境に対する意識」が高まっている状況なのです。
例えば、世界的な環境への国際的な取り組みの一つに、「RE100」があります。
それぞれの企業が、自社の事業活動において使用する電力を100%再生可能エネルギーで賄っていく事を目指すというもの。
環境省によると、日本は、「RE100」への参加企業数が世界で2番目に多いことがわかっています。
上記のような国際的な取り組みもあり、多くの企業には環境を意識した経営が求められます。
また、環境への配慮だけではなく、環境と法律の結びつき、化学に関する深い知識の必要性が問われ、今後ますます環境コンサルタントに期待される項目が増えていくと予想されます。
環境コンサルタントの転職に求められるスキルや経験
環境コンサルタントを目指すにあたって、転職に求められるスキルや経験はどのようなものがあるのでしょうか?
この章では以下、3つにポイントに絞って解説していきます。
- コミュニケーション能力
- 環境保全の知識
- 語学力
コミュニケーション能力
コミュニケーション能力は、環境コンサルタントに限った話ではありませんが、「コンサルティング」をする職業に関して必須のスキルです。
クライアントや関係者と仕事を進める中で、課題について解決策を提案したり、時には意見をぶつけ合ったりして仕事を進めていかなければなりません。
また、環境に対する取り組みは、多くの専門知識が必要となり、初めて取り組むクライアントにも分かりやすく解説する必要があります。
環境コンサルタントとして、いかに柔軟にコミュニケーションをとれるかが、ビジネスを成功させるうえでキーポイントとなっています。
環境保全の知識
環境保全とは、環境負荷を少なくする取り組みを意味します。
つまり、私たちの生活や経済活動の中で、環境に良くない影響を与えるものを軽減する取り組みです。
具体的には、海洋汚染や絶滅危惧を含む野生動物の減少による環境への負荷、さらにオゾン層の破壊や大気汚染などが挙げられます。
そうした地球全体が受ける被害を防止する取り組みを企業が行う上では、正しい知識をもった環境コンサルタントによる企画の立案、調査、企画の遂行などが必要です。
語学力
環境分野に国境はなく、環境コンサルタントは、日本にとどまらず国際的な目線を持ちながら職務を遂行する必要があります。
特に環境問題への取り組みを積極的に行うと宣言している、パリ協定参加国などとコミュニケーションを取ることを考えると、語学力は必須です。
したがって、環境コンサルタントとして活躍したい場合、外国語でのコミュニケーションスキルが必要とされます。
世界共通の長期目標として、世界全体の平均気温の上昇を抑えるなどの目標が組み込まれた協定。
科学的根拠に基づく中長期の温室効果額削減目標(SBT)などを打ち立てている。
環境コンサルタントに必要な資格
環境コンサルタントになるために必須とされている資格は特にありません。
しかし、業務を行う上で、環境に関する専門的な知識は必要となります。
環境コンサルタントとして活躍する上で役立つ資格としては、以下のようなものが挙げられます。
転職を有利に進めるためにも、環境関連のスキルや知識を身につけられる資格の取得を検討するのがおすすめです。
- 技術士(国家資格。いくつかの専門分野があり、環境部門と建設部門が環境コンサルタントに関連)
- 環境アセスメント士(環境アセスメント関連の調査および評価にまつわる資格)
- 環境カウンセラー(環境省が実施している登録制度。環境保全への豊富な知識を持ち活動し、基準を満たすことで登録可能)
- 公害防止管理者資格(国家資格。工場などに常駐し、大気汚染、水質汚濁、騒音、振動などの公害を防止するための資格)
- ビオトープ管理士(自然再生事業を効果的に推進するために必要な資格)
- 労働安全・労働衛生コンサルタント(国家資格。労働者の安全衛生水準向上のため、職場の診断・指導を行う資格)
- 環境計量士(国家資格。環境に影響を与える有害物質や騒音、振動などの測定や分析を行うための資格)
環境コンサルタントに向いている人
ここでは、環境コンサルタントに向いている人の特徴について、大きく2つに分けて解説します。
情報調査能力に長けている人
環境コンサルタントとして「情報調査能力」は必須要件です。
昨今のさまざまな環境問題の進行において、企業では、社会的責任を果たす意味を込めて環境への対策や取り組みをする事例が増えています。
その中で、現在のトレンド、特定の環境問題の動向などに念頭を置いて、調査を進める姿勢が重要です。
好奇心が旺盛な人
昨今、環境課題への取り組みの加速化が目覚ましく、新たな対策や提案が次々と生まれてきています。
また、環境コンサルタントはクライアントごとの状況や課題に対し、どのように解決していくのかを常に考えていかなければいけません。
環境に関する知識だけではなく、法律に関する知識も必要とされ、高い好奇心をもって、さまざまな職務に興味を持って取り組むことが必要です。
さまざまなことに興味を持って積極的に学ぶ姿勢があり、それを業務で活かしたいと考える人にとっては、やりがいの大きな職業といえるでしょう。
>>コンサルタントに向いている人の特徴とは?業務内容から適正や必要なスキルを解説
環境コンサルタントの大手企業
ここでは、環境コンサルタントととして活躍できる企業を解説していきます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
いであ株式会社
会社名 | いであ株式会社 |
公式サイト | https://www.ideacon.co.jp/ |
事業内容 | 環境コンサルタント事業、建設コンサルタント事業、情報システム事業、海外事業 |
特徴 | 社会基盤整備から環境保全までワンストップで提供可能。連結子会社が6社あり。 |
いであ株式会社は、環境保全の総合コンサルタントを行う会社です。
具体的には空港、港湾、ダムや河川道路などの社会インフラに関わる環境アセスメントなどを実施しています。
建設環境分野ではトップクラスと言われるコンサルティングを展開しています。
また、水域調査、生態系調査にも力を入れている企業です。
建設環境研究所
会社名 | 株式会社 建設環境研究所 |
公式サイト | https://www.kensetsukankyo.co.jp/ |
事業内容 | 河川・ダム・砂防、道路、自然環境などの調査、計画、設計 |
特徴 | 環境を軸とした建設コンサルタント。環境DNAなどの最先端技術も取り入れている。 |
株式会社建設環境研究所は、河川水辺の国勢調査において業界トップシェアを誇る、建設環境分野に特化したコンサルタント会社です。
その他、防災や減災のコンサルティングや自然環境の調査、改善策など幅広い環境コンサルティング事業を展開しています。
また、最先端の測定機器を採用し、「環境DNA」の解析などにも力を入れている企業です。
日本工営株式会社
会社名 | 日本工営株式会社 |
公式サイト | https://www.n-koei.co.jp/consulting/ |
事業内容 | 流域水管理、交通運輸、鉄道、国土基盤、開発と環境の調和を図る基盤技術の提供 |
特徴 | 日本トップクラスの環境コンサルタント。2023年には世界ランキングトップクラスを狙う。 |
日本工営株式会社は、建設コンサルタント業界の最大手企業です。
また、ダムなど流域水管理だけではなく、交通運輸、道路、空港、鉄道、防災、国土保全などさまざまな領域でのコンサルティングを展開しています。
その他、エネルギー事業の展開をしており、電力や再生エネルギーに関しても領域を広げている企業です。
エヌエス環境株式会社
会社名 | エヌエス環境株式会社 |
公式サイト | https://www.ns-kankyo.co.jp/ |
事業内容 | 環境コンサルティング、環境モニタリング、環境エンジニアリング |
特徴 | 広範囲の環境コンサルティングと日本全国ネットで拠点を展開している。 |
エヌエス環境株式会社は、地質や土壌の環境調査、分析を実施している企業です。
アスベストの除去工事にも力をいれており、健康被害対策にも貢献しています。
廃棄物コンサルティングにも強みを持ち、独自の分析や評価の技術を用いて、ゴミの資源化や減量をすすめています。
環境コンサルタントになるための近道
環境コンサルタントになるための近道として、転職エージェントを利用することが挙げられます。
その中でも、環境コンサルタントを含めた、コンサルティング業界に強い転職エージェントを3社紹介します。
それぞれ詳しく説明していきます。
MyVison
運営会社 | 株式会社MyVison |
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公式サイト | https://my-vision.co.jp/ |
公開求人数 | 非公開(2024年11月25日現在) |
主な求人職種 | コンサルティング業界 |
MyVisionは、コンサル転職エージェントとトップ戦略ファームの出身者が提供するコンサルに特化した転職支援サービスです。
累計内定者数800名以上の実績があり、他業種や未経験からのコンサル転職にも強みをもっています。
紹介企業はBig4をはじめ外資系戦略ファームや領域特化型ファームなど、国内ほぼ全てのコンサルファームの紹介が可能としています。
個々の経歴やキャリア志向に応じて最適な転職戦略を提示してくれ、選考対策についてもレジュメ添削や過去の面接内容を分析した「独自の面接対策資料」、本番想定の模擬面接によるフェルミ推定・面接対策など徹底したサポートが受けられます。
これらの実績からJapan Business Research転職エージェント部門では6項目も高評価を得ています。
JACリクルートメント
運営会社 | 株式会社JACリクルートメント |
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公式サイト | https://www.jac-recruitment.jp/ |
公開求人数 | 21,562件(2024年11月25日現在) |
主な求人職種 | ハイキャリア、各種コンサルティング職など |
JACリクルートメントは、即戦力人材やハイキャリア人材紹介に強い転職エージェントです。
コンサルタントの案件も多数保有しており、在籍する優秀なキャリアアドバイザーやキャリアコンサルタントが丁寧にカウンセリングしてくれます。
コトラ
運営会社 | 株式会社コトラ |
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公式サイト | https://www.kotora.jp/ |
公開求人数 | 28,068件(2024年11月25日現在) |
主な求人職種 | 金融系、各種コンサルティング職など |
コトラは、金融業界やIT業界、コンサルティング業界のハイキャリア人材の転職支援に特化した転職エージェントです。
コンサルティング業界出身の担当者が在籍しているので、コンサルティング業界への転職相談も安心できます。
環境コンサルタントに関する疑問・Q&A
環境コンサルタントに関してよくある疑問を、Q&A形式で解説していきます。
環境コンサルタントは激務?
環境コンサルタントの仕事は業務量が多くなる傾向があります。
プロジェクトの難易度によりますが、いくつもクライアントのプロジェクトを担当することによって、忙しくなる可能性が高くあります。
環境コンサルタントに限らず、コンサルタントを生業とする方は全体的に激務になりがちな職業です。
クライアント依存的に仕事を進めるため、深夜までプレゼン資料の作成を行ったり、複数クライアントを掛け持ちすると時間に追われる傾向にあります。
しかし、しっかりと課題や目の前のクライアントに向き合えるので、「思いっきり仕事がしたい」という方にはよい環境となるでしょう。
環境コンサルタントには文系学部出身でもなれる?
文系学部出身でも、環境コンサルタントになれます。
ただし、未経験の転職であれば、予備知識として先に紹介した資格を勉強しておくことをおすすめします。
また、30代以降の転職になると、どうしても即戦力としての採用が多くなる傾向にあるため、転職の際に提示できるスキルや経験、実績を作る意識をもって現職にあたるようにしましょう。
環境コンサルタントのまとめ
環境コンサルタントについて解説をしてきました。
以下が、本記事のまとめです。
- 環境コンサルタントの概要
- 環境コンサルタントの年収について解説
- 環境コンサルタントの将来性について説明
- 環境コンサルタントの転職に必要なスキルについて解説
- 環境コンサルタントに必要な資格とは?
- 環境コンサルタントに向いている人はこんな人!
- 環境コンサルタントの大手企業紹介
- 環境コンサルタントになるための近道
- Q&A
環境コンサルタントは今後ますます必要とされる職種といえます。
報酬の幅が広いという現状もありますが、環境に携わる仕事が好きな人にとってはとてもやりがいのある仕事ともいえるでしょう。
環境コンサルタントを目指す方にとって、本記事がお役に立てれば幸いです。