就職人気ランキングで急速に順位を上げてきているのが、マッキンゼーやアクセンチュアに代表される外資系コンサル企業です。
その人気は高く、就職・転職市場でも難関と言われます。
しかし外資系コンサルとはどんな仕事をする会社なのか、そこで働くとどんなメリットがあるのか、どんな人が採用されるのかといった実態を知っていますか?
この記事では日本の外資系コンサルについて、外資系コンサルで20年近い勤務経験を持つ筆者がインサイダーの目線も加えご説明します。
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外資系コンサルとは
一般的に外資系コンサルと言われるのは、世界的なネットワークを持つコンサルティングファームの日本支社もしくは、そうしたグローバルファームと提携契約を結び日本でそのブランドでコンサルティングを行っている会社です。
外資系コンサルの仕事内容
では外資系コンサルはどんな仕事をしているのでしょうか?
手短に言えば、企業の経営に関する様々な悩み事や取り組むべき課題の解決を支援する仕事です。
その意味で外資系でも日系でも、コンサルティング会社であれば仕事は同じと言えます。
ただし、コンサルティングというビジネス自体が海外で発祥したものですし、外資系コンサルは世界中にネットワークを張り巡らし多様な経営課題に取り組んでいるため、企業としての課題解決能力で一日の長があるということができるでしょう。
外資系コンサルの年収相場
外資系コンサルは実力主義で、実力があるコンサルタントであれば年齢が若くてもランクが上がっていきます。
30代で経営陣であるパートナーに昇進することも、それほど珍しいことではありません。
ベース給与は戦略コンサル(後述)が最も高く、総合系(後述)はその8~9割といったところです。
入社して最初のレベルのコンサルタントであれば、戦略系の新卒で600~700万円程度、転職組で800~1,400万円程度といったところが目安になります。
ベース給与に加えて、個人の業績やファーム全体の業績に応じて年に1度ボーナスが支給されます。
こちらは業績連動ですので幅が大きくなりますが、ベース年収の20%程度が一つの目安となるでしょう。
外資系コンサルに転職するメリット
恵まれた報酬は外資系コンサル就職のメリットですが、例えば以下は外資系コンサルに勤める人やその卒業生が、報酬以外のメリットとして挙げるポイントです。
自分自身のビジネススキルの向上
少数精鋭の外資系コンサルでは一人一人のコンサルタントが経験するテーマも様々です。
1つのプロジェクトは2~3か月であることが多いので、1年在籍するだけでも4~5つのテーマへの取り組みを経験します。
各テーマも「〇〇事業の戦略立案」「〇〇社買収・統合の立案・実行」「〇〇システムの導入計画~立ち上げ」等、日本企業に勤めていれば数年に1度関与できるかといった重要なテーマが多いため、ビジネスパーソンとしての経験の幅を短期間で拡げることが可能です。
ネットワークの構築
外資系コンサルでは、若手スタッフでもクライアントの上層部に報告したり、ディスカッションしたりする機会が数多くあります。
こうした経験を通じて、様々な企業のキーパーソンとのネットワークが拡がるのは外資コンサルで働くことのメリットの一つです。
また、外資系コンサルでは勤務するコンサルタントの入れ替わりが激しく、同僚や先輩だったコンサルタントが、異業種などに転職していくことは日常的です。
こうして「アルムナイ(卒業生)」と呼ばれるOB・OGが様々な業界に拡がっていき、人的なネットワークを構築しています。
こうしたネットワークにアクセスできることも、外資系コンサルで働くメリットです。
転職市場での優位性
上で述べたように、外資系コンサルで働く人は優れたビジネススキルと幅広いネットワークを有するため、転職市場でも「外資系コンサル勤務」自体がアピールポイントとなります。
実際、外資系コンサルで働いていると、ヘッドハンターから頻繁にメールや電話でアプローチされるようになります。
そうしたアプローチには具体的な話、つまり「〇〇社のXXのポジション」の引き合いもあれば、「今後のために幅広く情報交換したい」といった話もあります。
ヘッドハンターにとっても、外資系コンサルは優秀な人材が数多くいる「肥沃な畑」であり、自分が紹介できる人材のポートフォリオに入れておきたい集団と映っているのです。
外資系コンサル転職に必要なスキル・資格
外資系コンサルに転職するには、どのようなスキル・資格が必要なのでしょうか?
まず、医師・弁護士・会計士などと異なり、必要な資格はありません。
コンサルタントとして必要なスキルを備えている人であれば、資格の有無やバックグランドは問われません。
実際、コンサルタントの中には、医師をやっていた、起業家だった、研究者だったといった人も数多くいます(もちろん、かなりの割合の人が、大企業の出身であることは事実です)。
では、どのようなスキルが求められるのでしょうか?
細かなことを挙げればきりが無いのですが、大きなものとしては以下の3つが挙げられるでしょう。
論理的思考力
最も重要なのが、論理的思考力(ロジカルシンキング能力)です。
コンサルタントが取り組む課題の多くは、画一的な正解があるものではありません。
検討すべき課題の背景や原因を論理的に整理した上で調査・分析し、わかったことをベースにしてクライアントへの提言とその理由を論理的にまとめることは、どんなプロジェクトでも共通に求められるスキルです。
コミュニケーション力
コンサルタントはクライアントからの依頼があって初めて仕事が発生します。
従って、顧客が求めていることは何なのかを顧客から聞き取る力が無ければ、何に答を出すべきかがわかりません。
そして検討した結果、どんなに良いアイデアを思いついても、それをクライアントに伝え、クライアントが「この提言を実行したい」と思ってくれるように伝えられなければ、そのアイデアには価値がありません。
その意味で、口頭や文書でコミュニケーションする力は必須です。
粘り強さ・タフさ
コンサルタントの仕事は世間で想像されるより、地道で泥臭いものです。
細かい調査・分析を力技で積み上げていくことも多くあります。
また、短い期間で答を求められるためストレスも多く、精神的・肉体的にハードな局面にも直面します。
こうした仕事ですので、仕事を粘り強く仕上げる力や、ハードな状況でも仕事をやり遂げるタフさは重要なコンサルタントの資質です。
代表的な大手外資系コンサル会社
では、日本国内の代表的外資系コンサルをご紹介しましょう。
外資系コンサルは大きくわけて、総合系コンサルと戦略系コンサルに分けられます。
総合系コンサル
総合系という呼び方でのとおり、企業の抱える様々な課題を幅広く支援します。
その対象は、ビジョンや企業戦略といった経営の「最上流」課題から、戦略を実行するための仕組みや戦術の検討・設計、さらにそうした仕組みや戦術を実行するための最前線の活動(システムの設計や構築、制度の導入、営業の支援等)まで多岐に亘ります。
多くは監査法人を源流とし、現在はコンサルティングや税務・法務など多方面に事業範囲を拡大しており、以下の5社が有力企業として挙げられます。
PwC
ロンドンを本拠とする世界的なファームであるPricewatrehouse Coopersグループの日本法人です。
もともと監査法人から出発したグループであり、現在は監査法人(日本ではPwCあらた監査法人)とPwCコンサルティングがグループの中核となっています。
デロイトトーマツ
正確にはデロイト・トウシュ・トーマツで、ニューヨークに本拠を置くプロフェッショナルファームグループです。
トーマツは日本の等松・青木監査法人が源流の一つであることを表しています。
監査法人(日本では監査法人トーマツ)とデロイトトーマツコンサルティング(DTC)が現在の中核となっています。
DTCはBIG4と呼ばれる監査法人系コンサルの中では日本で最大の陣容を誇ります。
KPMG
オランダに本部を置くプロフェッショナルファームのグループです。
こちらも監査法人(日本ではあずさ監査法人)とKPMGコンサルティングが事業の中核となり、幅広いサービスを提供しています。
KMGコンサルはBIG4コンサルの中では規模が小さめで、少数精鋭の体制になっています。
EY
ロンドンに本拠を置くErnst & Youngの略称です。
他のBIG4グループ同様に会計・税務・コンサルティングを中心にグローバルに展開しています。
日本ではEY新日本監査法人を中心にコンサルティングはEYストラテジー・アンド・コンサルティングが展開しています。
関連記事>>Big4コンサルへの入社難易度は高い?
アクセンチュア
アクセンチュアは、現在実質的に世界最大のコンサルティンググループです。
主要なコンサルティングファームの中では唯一株式を上場しています。
源流は監査法人(アーサーアンダーセン)のコンサル部門でしたが、その後は分離され現在はグループに監査法人はありません。
戦略などの経営の上流の課題から、ITなどの下流まで幅広くサービスを提供していますが、特にITサービス企業大手としての色彩を強く持っています。
戦略系コンサル
戦略系という言葉のとおり、総合系がカバーする範囲のうち上流にあたる企業戦略に関するコンサルティングをメインにサービスを提供しています。
日本で本格的に経営コンサルティングが広まったのは、1960年代後半から70年代にかけて戦略系コンサルティングファームが日本で活動を活発化してからと言われています。
以下で紹介するマッキンゼー、BCG、にベイン・アンド・カンパニーを加えた戦略コンサルの代表的3社の頭文字をとって”MBB”と称されることもあります。
マッキンゼー・アンド・カンパニー
経営コンサルティングの代名詞とも言える知名度を誇るのが、マッキンゼー・アンド・カンパニーです。
1926年に設立され、日本には1971年に進出しました。
1980~90年代には、日本代表であった大前研一氏を中心にその知名度が日本でも一気に高まりました。
ボストンコンサルティンググループ(BCG)
マッキンゼーと双璧の戦略コンサルとして挙げられるのがボストンコンサルティンググループです。
マッキンゼーの大前氏同様に1980~90年代に代表だった堀紘一氏が露出を高め知名度が上昇しました。
現在では日本でマッキンゼーを上回る陣容を持つ、トップ戦略系コンサルに成長しています。
外資系コンサルになるための近道
外資系コンサルになるためにはどうすればよいのでしょうか?
中途入社の場合、これらの企業は通年採用を行っていますので、ホームページから応募できます。
ただし外資系コンサルの入社インタビューは難易度が高く、またケースインタビューなど特有のインタビュー形式もありますので合格を得るには準備が必要です。
その意味では、転職エージェントを上手に利用するのが良いでしょう。
各エージェントはコンサル各社とリレーションを持っていて、エージェントを通じて応募できます。
加えて、多くの候補者を紹介してきた実績から、各社の採用傾向やケースインタビューへの対応ポイントなども理解しているので、相談してみると参考になります。
以下では、外資系コンサルに実績のあるおすすめのエージェントをいくつかご紹介します。
MyVison
運営会社 | 株式会社MyVison |
公式サイト | https://my-vision.co.jp/ |
公開求人数 | 非公開(2024年10月24日現在) |
主な求人職種 | 各種コンサルティングファーム |
MyVisionは、コンサル転職エージェントとトップ戦略ファームの出身者が提供するコンサルに特化した転職支援サービスです。
累計内定者数800名以上の実績があり、他業種や未経験からのコンサル転職にも強みをもっています。
紹介企業はBig4をはじめ外資系戦略ファームや領域特化型ファームなど、国内ほぼ全てのコンサルファームの紹介が可能としています。
個々の経歴やキャリア志向に応じて最適な転職戦略を提示してくれ、選考対策についてもレジュメ添削や過去の面接内容を分析した「独自の面接対策資料」、本番想定の模擬面接によるフェルミ推定・面接対策など徹底したサポートが受けられます。
これらの実績からJapan Business Research転職エージェント部門では6項目も高評価を得ています。
JACリクルートメント
運営会社 | 株式会社 ジェイ エイ シー リクルートメント |
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公式サイト | https://www.jac-recruitment.jp/ |
公開求人数 | 21,619件(2024年10月24日現在) |
主な求人職種 | 管理職・エグゼクティブ・スペシャリスト人材(ハイクラス/ミドルクラス) |
JAC(ジェイエイシー)リクルートメントは、エグゼクティブやスペシャリストの転職に豊富な実績を持つエージェントです。
外資系への転職や、管理職などの転職支援に強みを持っており、外資系コンサルへの転職支援でも豊富な経験を誇ります。
1,200名の自社コンサルタントが企業と候補者とコミュニケーションをとっていますので、候補者と企業のニーズのマッチングもスムーズです。
エンワールドジャパン
運営会社 | エンワールド・ジャパン株式会社 |
公式サイト | https://www.enworld.com/ |
公開求人数 | 1,193件(2024年10月24日現在) |
主な求人職種 | テクノロジー・デジタル・通信/ライフサイエンス/製造業など(外資系・日系グローバル企業) |
エン・ジャパングループで、外資系企業・多国籍企業への転職支援に実績があるエージェントがエンワールド・ジャパンです。
年収800万円以上の求人を年間1万件以上扱っており、外資系コンサルへの転職支援実績も豊富です。
また「入社後活躍」を企業ミッションとしており、転職後も継続的なフォローアップをしてもらうことができます。
外資系コンサルまとめ
外資系コンサルについて、業務内容や就職・転職にあたってのポイントをご説明してきました。
外資系コンサルは年収の高さや、自分の成長を加速できるといったメリットが多くある職場である一方で、ハードワークが必要でストレスも多い職場であるのも事実です。
また採用インタビューも事前の準備が必要です。
その意味では、応募する前に外資系コンサルをよく知る人に話を聞き、自分のキャリアプランとフィットするかといった検討を十分に行っておくことが望ましいと思われます。
エージェントも上手に活用して、納得のいく就職・転職活動を進められることを祈っています。
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※2021年4月時点、ハイキャリア会員のみ