FASは、会計・財務・コンサルティングの専門性を活かせる転職先として注目されることの多い業界です。
しかし一方で、「FASに転職して後悔した」「FASはやめとけ」といったネガティブな声も散見されます。高い年収やスキルアップが期待できる反面、激務やプレッシャーの強さに悩む人も少なくありません。実際の働き方や求められる資質を知らずに転職してしまうと、「想像と違った」と感じてしまうリスクもあるでしょう。
本記事では、FASへの転職で後悔しないために、事前に知っておきたいポイントを解説します。業務内容やデメリット、向き・不向き、実際の声やキャリアパスなどを紹介しますので、転職の判断材料としてぜひ活用してください。
コンサル業界向け
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そもそもFASとは?
FAS(Financial Advisory Services)とは、企業の財務に関する高度な支援を行う専門サービスです。主にM&A(買収・合併)のサポートや企業再生、事業再編、財務デューデリジェンス、バリュエーション(企業価値評価)などを担当します。
Big4と呼ばれる大手会計系ファームに設置されていることが多く、公認会計士や税理士、コンサル出身者が多く在籍しています。FASは会計・財務の知識に加えて、論理的思考力やスピード感、調整力も求められるハードな環境ですが、その分専門性の高いスキルが身につくことから近年は転職市場でも人気が高い業界です。
「FASはやめとけ」と言われる理由・デメリット
FASへの転職については、インターネットを検索すると「やめたほうがいい」「FASへ転職して後悔した」といったマイナスの意見も聞かれます。
これは、FASの業務が以下のような性質を持っているためと考えられます。
激務・長時間労働になりやすい
FASの業務は、短期間で成果を出すことが求められるプロジェクトベースの働き方が中心です。特にM&Aや事業再生、財務調査といった案件では、納期がタイトで顧客の都合に振り回されやすく、突発的な対応が頻発します。プロジェクトの山場がいつ来るか予測しづらいため、計画的に働きたい人にとっては大きなストレスとなるでしょう。
また、複数案件を同時に抱えることもあり、タスク管理や時間管理が苦手な人は対応しきれない可能性もあります。ワークライフバランスを重視して転職を考えている人にとっては、FASの働き方は慎重に検討すべきポイントといえます。
高い能力が求められ続けるプレッシャー
FASの仕事では、常に高いレベルの知識と成果が求められます。会計や税務、法務、ファイナンスといった専門領域はもちろんのこと、業界ごとの事情や経営戦略の理解、顧客のニーズに応じた提案力まで求められる場面も多く、幅広いスキルが必要です。
加えて、FASでは年次に関係なくクライアント対応や提案資料の作成を任されることが一般的で、若手であっても責任ある仕事を担う場面が多くなります。業務外での自己研鑽も欠かせません。こうした環境にやりがいを感じる人もいる一方で、「常に追い立てられている感覚がある」と感じて疲弊してしまう人も少なくありません。
成長の機会が多い分、ストレス耐性や自己管理能力が求められる職場であり、覚悟なく入社すると後悔につながる可能性があります。
グローバル環境や独自の文化への適応が必要
FASの現場では、グローバル案件や外資系クライアントと関わる機会も多く、日本的な商習慣や暗黙の了解が通用しない場面が少なくありません。ドキュメントの作成や会議も英語で行われるケースがあり、英語力や異文化への理解が求められます。
また、プロジェクトごとに関わるメンバーが変わるケースも多いため、属人的なフォローよりも、成果物のクオリティやスピードが重視されやすい環境です。このような環境では、常に高い自律性と柔軟な思考が求められ、協調性よりも個人のパフォーマンスが評価される傾向があります。
日本企業のような丁寧なOJTや配慮ある職場環境に慣れてきた人にとっては、FASの独特な文化にストレスを感じることもあるでしょう。環境適応力に自信がない方には注意が必要です。
FASに転職して後悔した人の意見
「FASに転職して後悔した」という方のリアルな意見は次のようなものがあります。
FASと監査法人
ワークライフバランスは監査法人の圧勝
給料は額面でいうとFASだが時給でいうと怪しいかな、、
定期的に転職失敗だったかと考えてしまうが、1年後にはこれで良かったんだと思えていたらいいな— タカハシ (@kOX1GsVbFy4244) March 11, 2025
監査法人からFASへ転職した人の意見です。ワークライフバランスの面ではFASが監査法人に劣ると感じているとの内容で、現時点では転職失敗だったのではないかという疑問を持っています。給料についても、「額面では監査法人を上回るものの時給にすると怪しい」ということから、労働時間の長さに問題を感じている模様です。
FASに転職して成功した人の意見
一方、こちらは「FASに転職してよかった」という意見です。
会計士が最初のキャリアに悩む分岐点が、実務試験に受かって晴れて会計士になった時。自分もめちゃくちゃ悩んだ。次は、マネージャーに上がれる手前ぐらい(大体、入社して6~8年ぐらい)。自分の場合は、実務試験に合格⇒海外留学⇒FASというキャリアを選択。今でもそれは後悔してないな~。
— 中辻仁@公認会計士×ファンドアドミ×スタートアップ (@Naka_CPA) December 1, 2022
こちらは、キャリアアップのためにFASへの転職を選択した方の意見です。公認会計士の資格を取得した後、海外留学を経るというキャリアパスを経ています。FASで結果を出せる下地がしっかりとできていると感じられます。
忙しいけれどやりがいがある仕事につければ、前向きに取り組めるという方もいるでしょう。
FAS転職で後悔しないためのコツ
ここでは、FASの転職を成功させるためのコツを紹介します。
財務関連知識、コンサルティング経験をアピールする
FASでは即戦力が求められるため、財務やコンサルティングの知識・経験をしっかりアピールすることが重要です。新卒であれば教育体制がありますが、転職者には即業務に貢献できるスキルが期待されます。
たとえば、大手商社や事業会社で財務会計業務を経験していた、あるいはコンサルティング会社でプロジェクトを主導していた経歴などは大きな武器になります。また、前職での実績や数字で語れる成果を具体的に示すことも効果的です。自分のキャリアがFASのどの業務に活かせるかを意識しながら、志望動機や自己PRを構築しましょう。
資格をアピールする
FASへの転職では、財務・会計に関する資格を保有していると高く評価されます。代表的なものとしては、公認会計士や税理士、USCPA(米国公認会計士)などが挙げられます。USCPAは日本国内でそのまま公認会計士として働けるわけではありませんが、語学力やグローバルな知見を持つ人材として重宝されるケースが多いです。
また、TOEICや中国語検定などの語学系資格も、海外案件が多いFASでは有利に働く場合があります。さらに、簿記2級以上を取得していれば、財務・会計の基本的な知識を持っている証明にもなります。資格がない場合でも、「今勉強中です」といった前向きな姿勢を見せることで、評価につながることもあります。
転職エージェントを活用
FAS業界を目指すなら、転職エージェントの活用も有効な選択肢です。エージェントは企業との独自のつながりを持っており、自分だけでは見つけられない非公開求人を紹介してもらえることもあります。
特に、FAS未経験の方や業界内の人脈が乏しい方にとっては、エージェントの情報力やサポートは非常に心強い存在になります。志望先ごとの選考対策や書類添削、面接アドバイスなど、手厚いサポートを受けられるのもメリットです。
自分の強みを客観的に引き出してもらえる点も、転職活動を成功に導く大きなポイントといえるでしょう。FAS業界に強いエージェントを選ぶことで、後悔のない転職が実現しやすくなります。
FASに転職するメリット
FASに転職するメリットについて解説します。「キャリアアップのために転職する」という方が多いですが、それ以外にもメリットがあるのです。
専門知識が身に付けられる
FASの職務内容は、コンサルティング業務・M&A・財務関係の業務など幅広く、特に大手会社には、それぞれのスペシャリストが在籍しています。FASへの転職者は、すでに一定のキャリアを積んでいる方が多くいますが、FASに転職後、さらなる専門知識を身に付けられるといえます。
たとえば、公認会計士として企業監査を行っていた方がFASに転職し、経営やM&Aの知識を身に付ければ、より仕事の幅を広げることが可能です。
また、FASの業界内で転職し、さらなるキャリアアップをしたり、独立してコンサルティング会社を設立したりする際も、業務で培われた専門知識は大きく役立つでしょう。業務内で築ける人脈も、その後のキャリアパスで役立ちます。
高い年収が得られる
FASは専門性の高い知識と成果が求められる分、高年収を狙いやすい業界です。ハードワークである一方、その成果が年収に明確に反映されやすく、年次にかかわらず評価される環境も魅力の一つです。
頑張った分だけ年収アップが期待できる環境で働きたい方にとって、FASは非常にやりがいのある職場だといえるでしょう。また、昇給やボーナスの水準も比較的高く、年収の伸びしろが大きいこともポイントです。
キャリアの選択肢が広がる
FASで得た知識や経験は、今後のキャリア形成にも大きな影響を与えます。たとえば、戦略コンサルや投資銀行、PEファンド、上場企業の財務部門やM&A部門など、次のステージとなる選択肢が豊富です。FASでは短期間で専門知識や実務経験が積めるため、自分の強みや志向を見極めながらキャリアの方向性を広げていけます。
また、ハードな環境で成果を出した実績は評価されやすく、転職市場での価値も高まりやすいです。将来的に独立や海外勤務を視野に入れている人にとっても、FASでの経験は強いアピール材料となるでしょう。
FASへの転職に向いている人
FASへの転職が向いている人の一例としては、以下のような特徴が挙げられます。
タフで仕事にコミットできる人
FASの仕事は短期集中型のプロジェクトが多く、繁忙期には深夜残業や休日対応も珍しくありません。特にM&Aや事業再生などは顧客の都合でスケジュールが変動しやすく、柔軟な働き方と高い負荷耐性が求められます。
こうした状況を前向きに受け止め、一定期間は仕事を最優先にして結果を出す覚悟のある人は、FASに向いています。また、プレッシャーの中でやりがいを見出し、自分を成長させたいという意欲がある方には、最適な環境といえるでしょう。
顧客視点で動ける人
FASでは、ただ資料を作るだけではなく、顧客の立場で物事を考え、課題を解決する提案力が求められます。多くの案件では複数の関係者が絡み、利害調整やコミュニケーション能力も必要です。
一方的に自分の意見を主張するのではなく、相手のニーズを汲み取って柔軟に対応できる人は、クライアントからの信頼も得やすく、高い評価を受けやすいです。関係構築力や論理的な対話力を活かしたい方にとって、FASはやりがいのある職場といえるでしょう。
主体的に判断・行動できる人
FASでは、正解が一つでない複雑な課題に取り組むことが多く、指示待ちでは通用しません。若手であっても、現場で状況を読み取り、自分の頭で考えて動くことが求められます。
仮説を立てて検証し、必要に応じて判断を変更できる柔軟性や、責任を持って行動できる主体性がある人は、FASのスピード感にフィットしやすいでしょう。自ら考えて動く力を武器にしたい方にとって、FASは成長の機会にあふれた環境です。
FASへの転職に向いていない人
本項目では、FASへの転職に向いていない人の特徴を解説しています。
安定した働き方を最優先したい人
FASでは、プロジェクトの繁閑によって労働時間が大きく変動することがあります。顧客対応や急なトラブルによってスケジュールが乱れることも珍しくなく、定時で退社したい、残業をできるだけ避けたいという方には負担の大きい環境です。
生活リズムやプライベートとの両立を第一に考えたい方にとっては、FASの働き方はミスマッチとなる可能性が高いでしょう。安定した環境で長く働きたいという志向の方は、他の選択肢も検討したほうがよいかもしれません。
学習や成長に消極的な人
FASでは、常に知識のアップデートが求められます。会計・財務・税務に加え、業界知識や経営戦略の理解も必要で、学び続ける姿勢が欠かせません。また、英語やデータ分析など、領域を超えたスキルも求められる場面があります。こうした学習を「負担」と感じてしまう人や、「覚えたことだけで何とかしたい」と考える人には厳しい職場となるでしょう。
継続的なインプットを苦とせず、成長を楽しめる人でないと、FASで成果を出し続けるのは難しいかもしれません。
指示がないと動けない人
FASの現場では、常に自分で考えて行動する力が求められます。業務の進め方や優先順位の判断を上司やクライアントに任せきりにするのではなく、自分なりに課題を見つけ、仮説を立てて動く姿勢が重要です。
明確な指示がないと動けない、責任のある判断を避けたいという方には、FASのスピード感や期待値の高さは大きな負担になるでしょう。自走力や判断力に自信がない方は、段階的に経験を積める職場を選んだほうが安心です。
FASに有利な資格は?
FASへの転職では、財務・会計・語学などの専門スキルが求められるため、関連資格を保有していると高く評価される傾向にあります。とくに以下の5つは、選考や実務で評価されやすく、FASの業務と親和性が高い資格といえるでしょう。
公認会計士
公認会計士は、FAS業務と最も親和性が高い資格の一つです。会計監査や財務諸表の分析に関する深い知識は、財務デューデリジェンスやバリュエーション(企業価値評価)などの実務で即戦力として活かされます。
FASではBig4を中心に公認会計士が多数活躍しており、資格の有無が選考や配属に影響するケースもあります。特に、M&Aや組織再編のような複雑な会計処理が必要な場面では、会計士としての視点が大いに役立つでしょう。FAS転職を本格的に考えている方にとっては、非常に強力な武器となる資格です。
USCPA
USCPA(米国公認会計士)は、グローバルな案件を多く扱うFAS業界において高く評価される資格です。日本ではそのまま監査業務に就くことはできませんが、英語での会計・財務知識を有している証明となるため、外資系クライアントや海外関連プロジェクトで重宝されます。
また、試験の取得過程で国際会計基準(IFRS)や米国会計基準(US GAAP)を学ぶため、国際案件に即した知識をアピールできます。TOEICスコアと併せて示せば、語学力と専門性の両方を持つ人材として認識されるでしょう。
税理士
税理士資格もFASでは一定の評価を受ける資格です。特に、組織再編や事業再生など税務リスクの検討が必要なプロジェクトにおいて、専門性を発揮できます。
税務面からのアプローチが必要な局面では、会計士やコンサルタントと連携しながら業務を進めることもあり、税理士の視点は非常に重要です。また、タックス・デューデリジェンスやクロスボーダー取引においても知識が役立つ場面が多いため、FASにおける貴重な人材として活躍できる可能性があります。
簿記
日商簿記2級以上は、FAS未経験者や会計士・税理士資格を持たない方にとって、最低限の会計知識をアピールするための有効な資格です。財務三表の読み方や仕訳処理の理解は、財務分析や企業評価を行ううえでの基礎スキルとして重宝されます。
特にコンサルタント出身者や異業種からFASを目指す人にとっては、簿記の資格が「会計の基礎を理解している」証明になり、選考での評価にもつながります。2級以上の取得を目指して学習中であることを伝えるだけでも、前向きな姿勢として好印象を与えるでしょう。
TOEIC
FASではグローバル案件が多く、英語での資料作成や会議対応が求められる場面もあります。そのため、TOEICスコアは語学力の指標として一定の評価を受けます。とくに外資系クライアントやクロスボーダーM&Aなどに関わる可能性がある場合、TOEIC800点以上を目安にしておくと安心です。
語学力を強みにしたい方は、TOEICだけでなく、英会話の実務経験や英語でのドキュメンテーション経験なども併せて伝えると説得力が増します。USCPAと併せて取得していると、語学×専門性という強力なアピールポイントになります。
FASから転職する場合のセカンドキャリア
ここではFAS経験者が転職する場合のセカンドキャリアを3つに分けて紹介します。
同業他社への転職
FASからの転職先として多いのが、別のFAS系ファームへの移籍です。BIG4や中堅FASなど、それぞれに業務領域や社風の違いがあり、自分に合った働き方を求めて転職するケースが多く見られます。
FAS業界では転職が比較的活発で、キャリアアップや待遇改善を目的に移ることも一般的です。今の職場で経験を積んだうえで、より自分にフィットする会社に移るというキャリアの築き方は珍しくありません。同じ業界内でも、得意分野を伸ばしたり、年収や働き方を見直したりと、自分の志向に合わせた選択が可能です。
コンサルファームや企業の財務・M&A部門
FASで培った分析力や財務知識を活かし、戦略コンサルファームや事業会社の財務・経営企画部門へ転職する人も多くいます。コンサルファームでは、より上流の戦略設計や業務改善に携わることができ、思考力や提案力を活かしたい人に向いています。
一方、企業の財務やM&A部門では、実務を通じて自社の成長に深く関わることができ、腰を据えて働きたい人に人気です。「FASで幅広く経験した結果、自分の専門領域を深めたい」という志向の人にとっては、これらの道が自然といえるでしょう。
投資銀行やPEファンドへのキャリアチェンジ
M&Aや企業価値評価の経験を活かして、投資銀行やPEファンドに転職する道もあります。これらの業界では、高度な財務スキルと実行力が求められるため、FAS出身者は即戦力として評価されやすい傾向があります。特に、FASで多数の案件を担当してきた方や、ファイナンス志向の強い人にとっては、より専門性の高い環境でスキルを磨くチャンスです。
また、成果がダイレクトに年収やキャリアに反映される業界でもあるため、実力で勝負したい人には魅力的な選択肢です。キャリアアップや年収アップを狙う転職先としても注目されています。
FAS業界の年収は?
FAS業界は、高度な専門性とハードな労働環境に見合うだけの高年収が期待できる業界です。
dodaによると、2025年7月時点で掲載されていたFAS求人1,082件のうち、年収650~700万円の求人が847件※1と最も多く、1,000万円以上の求人も608件にのぼります。これは非常に高い水準であり、年齢や職種によっては20代後半〜30代前半でも年収1,000万円に届くケースもあります。
一方で、国税庁によると令和5年の民間給与の平均年収は約460万円※2であり、FAS業界の給与は全体平均と比べても明らかに高水準といえるでしょう。実力主義の色が強く、成果に応じて年収が大きく伸びる点も特徴です。ハードワークにはなりますが、努力が年収にしっかり反映される環境を求めている方にとって、FASは非常に魅力的な選択肢となるでしょう。
参照元
※1 doda「【財務・会計アドバイザリー(FAS)】の転職・求人・中途採用情報」(2025年7月29日時点)
※2 国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」
FASの初任給はいくらが目安?
FAS業界の初任給は、一般的な新卒給与と比べて高い水準にあります。明確な平均データは公開されていませんが、各社の新卒採用ページを見ると、その目安がわかります。
たとえばKPMG FASでは基本年俸580万円〜※1、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社では550万円※2と記載されていました。さらに、成果に応じたインセンティブが別途支給される場合もあります。
一般的な新卒の初任給が月給22〜25万円程度であることを考えると、FASの初任給は突出して高く、専門性の高さと業務の負荷が反映された水準といえるでしょう。高収入を得たいという動機でFASを志望する人にとっては、大きな魅力のひとつです。
参照元
※1 KPMG FAS Recruiting Website「新卒採用情報:M&A・戦略コンサルタント職(国内大卒)」
※2 デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社「新卒採用 募集要項/エントリー」
FASコンサル業界の大手企業・BIG4の年収ランキング
本項目では、OpenWorkのアンケート結果をもとにしたFASコンサル大手企業(BIG4)の平均年収ランキングを紹介しています。
1.株式会社 KPMG FAS
- 平均年収:1232万円※
KPMG FASは、BIG4の中でもとくに高年収で知られるFAS系ファームです。M&A、バリュエーション、事業再生など幅広いサービスを展開しており、ハイレベルな人材が集まる環境です。若手でも責任ある業務を任されることが多く、成果を出せば昇給も早い傾向にあります。年収の高さは激務と表裏一体ではありますが、やりがいや成長機会を重視する人には魅力的な選択肢といえるでしょう。
参照元
※ OpenWork「KPMG FASの「年収・給与制度」 」(2025年7月29日時点)
2.PwCアドバイザリー合同会社
- 平均年収:1075万円※
PwCアドバイザリーは、FAS業界でもトップクラスの規模と実績を誇ります。グローバル案件や大型M&A支援に携われる機会も多く、専門性の高い人材が集まっています。年収も高水準で、20代後半〜30代前半で1,000万円を超える人も少なくありません。給与だけでなく福利厚生やワークスタイルの柔軟さでも一定の評価があり、バランスの取れた環境で働きたい方に人気です。
参照元
※ OpenWork「PwCアドバイザリーの「年収・給与制度」 」(2025年7月29日時点)
3.デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社
- 平均年収:977万円※
デロイト トーマツ FASは、事業再生やM&Aなどの分野で強みを持ち、国内外の多様な案件を経験できるファームです。平均年収は約977万円と高水準で、成果主義が根付いているため、若手でも実力次第で早期に昇給が狙えます。デロイトグループのネットワークを活かし、グローバルなキャリアを築くことも可能です。成長意欲の高い人にとって、刺激的な環境といえるでしょう。
参照元
※ OpenWork「デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーの「年収・給与制度」 」(2025年7月29日時点)
4.EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社
- 平均年収:907万円※
EYストラテジー・アンド・コンサルティングは、FAS領域においても存在感を強めており、近年は事業再編・企業再生・PE向け支援などに注力しています。平均年収は約907万円とやや控えめながら、業務範囲の広さと成長機会の豊富さから、キャリアの土台を築きやすい環境といえます。組織風土としては落ち着いた雰囲気もあり、丁寧に経験を積みたい人にとってはフィットしやすいファームです。
参照元
※ OpenWork「EYストラテジー・アンド・コンサルティングの「年収・給与制度」 」(2025年7月29日時点)
FASへの転職におすすめのエージェント
ここでは、FASへの転職におすすめのエージェントを紹介します。FASへの転職に強いエージェントはいくつもあるため、どこを利用しようか迷っている方は参考にしてください。
MyVision

引用元:MyVision
- 戦略・FASなど200社超との強固なネットワーク
- 業界出身コンサルタントによる高度な選考対策
- 未経験からのFAS転職支援実績も多数
MyVisionは、戦略系・総合系・財務系コンサルファームなど200社以上との強固なネットワークを持つ、コンサル特化型の転職エージェントです。FAS領域においても、M&Aアドバイザリー、財務DD、バリュエーション、PMIなど幅広いポジションをカバーしており、求職者の経験とキャリア志向に応じた最適な提案が可能です。
在籍するエージェントは、コンサルファーム出身者や同領域での支援実績が豊富なプロフェッショナルばかり。過去の面接情報に基づいた「頻出問答集」や模擬面接などを活用した本番レベルの選考対策により、未経験者からハイレベルなファームへの転職を成功に導いています。
業界未経験の利用者が7割を占めており、FAS領域に挑戦する方にも丁寧な業界解説から支援を開始。「転職しない」という選択肢も含めた中長期視点でのキャリア設計を重視しており、パートナーとして安心して相談できる存在です。
MyVisionの基本情報 | |
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運営会社 | 株式会社MyVision |
公式サイト | https://my-vision.co.jp/ |
公開求人数 | 非公開(2025年8月6日現在) |
主な求人職種 | コンサルタント ほか |
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MS-Japan

引用元:MS-Japan
- 経理・財務領域に強い職種特化型エージェント
- 35年以上の支援実績と豊富なノウハウ
- 年収アップ・キャリアアップ支援の実績多数
MS-Japanは、経理・財務などの管理部門や士業に特化した転職支援で35年以上の実績を持つエージェントです。FAS業界を目指す方にとっても、会計・財務の専門性を活かした転職や、監査法人・税理士法人出身者の事業会社へのキャリアチェンジに強みがあり、高年収ポジションやIPO準備企業などのニーズにも対応しています。
取引企業は大手企業をはじめ、IPOを目指す成長企業や外資系まで幅広く、管理系職種で19,000件以上の求人を保有。質の高いマッチングや、希望に沿った求人提案に定評があり、キャリアに悩む方にも安心して相談できる体制が整っています。
転職者の84%が年収アップを実現しており、FAS領域においてもキャリアと報酬の両立を目指した転職をサポート。模擬面接や職務経歴書の添削など手厚いサポートで、初めての転職でも安心して選考に臨めるのが魅力です。
MS-Japanの基本情報 | |
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運営会社 | 株式会社MS-Japan |
公式サイト | https://www.jmsc.co.jp/ |
公開求人数 | 10,760件(2025年8月6日現在) |
主な求人職種 | 公認会計士、税理士、弁護士、管理部門、コンサルタントなど |
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レックスアドバイザーズ

引用元:レックスアドバイザーズ
- 会計・税務分野に特化した専門エージェント
- 非公開求人・ハイクラス案件が充実
- FAS特有の手厚い転職支援と選考対策
レックスアドバイザーズは一人ひとりの状況に寄り添い、安心して活動できるサポート体制を整えています。履歴書・職務経歴書のブラッシュアップや面接想定問答の練習といった実践的なアドバイスに加え、キャリアの方向性が定まっていない段階から相談できるのも大きな魅力です。
また、初めての転職やFAS未経験からの挑戦にも対応しており、応募企業の特徴や求められるスキルを踏まえた丁寧な指導を行います。単なる求人紹介にとどまらず、中長期的なキャリア形成を視野に入れた伴走支援を受けられるのは、専門エージェントならではの強みです。
FAS業界での新しい一歩を踏み出す際、レックスアドバイザーズは安心できるパートナーとなるでしょう。まずはぜひ、転職支援サービスの登録をしてみてください。
ヒュープロの基本情報 | |
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運営会社 | 株式会社レックスアドバイザーズ |
公式サイト | https://www.career-adv.jp/ |
公開求人数 | 2,752件(2025年8月22日現在) |
主な求人職種 | 税理士、経理、公認会計士、FASなど |
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ヒュープロ

引用元:ヒュープロ
- M&A・FASを含む士業・管理部門特化のエージェント
- BIG4や上場企業など幅広い求人を保有
- 非公開の好条件求人や1回完結型選考の案件も豊富
ヒュープロは、M&A・FAS領域をはじめとする士業・管理部門に特化した転職エージェントで、全国12,000件以上の求人を掲載する業界最大級の転職プラットフォームです。税理士法人や会計事務所、監査法人だけでなく、FAS案件を扱う大手コンサルティングファームや上場企業との豊富なコネクションを活かし、FAS志望者に適した求人を提案しています。
特に「面接1回で完結」「リモート勤務OK」「高年収帯」のような限定条件にマッチする非公開求人も多数あり、M&Aや企業再生、財務デューデリジェンスなど、実務志向に応じた多様なキャリア選択肢を提供。業界特化型ならではの知見と情報量により、初めてのFAS転職でも安心して活動を進められます。
また、登録から内定・年収交渉までスムーズに進む支援体制を整えており、多忙な専門職の方でも効率的に転職活動を進めることが可能です。FAS領域で専門性を活かしながらさらなるステップアップを目指す方にとって、心強いパートナーとなるでしょう。
ヒュープロの基本情報 | |
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運営会社 | 株式会社ヒュープロ |
公式サイト | https://hupro-job.com/ |
公開求人数 | 12,864件(2025年8月6日現在) |
主な求人職種 | 税理士、経理、公認会計士、コンサルタントなど |
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FASへの転職に関する疑問
最後に、FASへの転職に関するよくある疑問を紹介します。
FASへの転職は未経験でも可能ですか?
会計監査・財務関連・コンサルティングの経験があれば、FASへの未経験転職は可能です。
資格も重宝されるので、公認会計士や税理士の資格を持ち、監査法人などに勤めたキャリアパスがあれば、問題ないでしょう。ただし、資格もなくコンサルティングなどの経験もないといった場合は、少々難易度が高くなります。
FASは優秀な人材が集まってくる業界なので、まずは資格を取得するかキャリアパスを積むなどするのがおすすめです。
FAS転職後のキャリアパスは?
FASに転職した後は、社内でアソシエイト、マネージャー、パートナーといった階層を順に上がっていくのが一般的なキャリアパスです。アソシエイトとして実務を経験し、プロジェクト管理やチームマネジメントを担うマネージャーへと昇格し、最終的には経営的な立場から組織をけん引するパートナーを目指す流れです。
ただし、すべての人が社内昇進だけを選ぶわけではありません。「今の会社ではこれ以上の役職は目指しにくい」と感じた場合、より自分に合ったカルチャーや事業領域を求めて同業他社へ転職する選択肢もあります。また、事業会社やコンサルティングファーム、PEファンドなど、FASで培ったスキルを活かせる業界への転身も可能です。多様な道が開けているのがFASキャリアの特徴といえるでしょう。
FASのBIG4に新卒で就職する難易度は?
BIG4のFAS部門に新卒で入社するのは決して簡単ではありませんが、不可能ではありません。公認会計士試験合格者や、大学で経済・会計を専門に学んだ学生など、一定の専門性や志望動機が明確な人材が優遇されやすい傾向にあります。特にM&Aや企業再生に興味があり、ケース面接や適性検査にしっかり備えることができれば、チャンスは十分にあります。
ただし、FASは採用枠が限られているため、同じBIG4でも監査部門よりも競争率は高くなる点には注意が必要です。選考対策としては、財務分析・会計知識・ビジネス思考の3点を意識して準備することが重要です。
KPMGFASなどBIG4の就職偏差値は?
FAS業界のBIG4各社は、就職偏差値においてもコンサル業界の中ではトップクラスの位置づけです。
日本企業格付センターによる「2025年版コンサルティング業界・就職偏差値ランキング」によれば、KPMG FAS・PwCアドバイザリー・デロイト トーマツ FASは偏差値66、EYストラテジー・アンド・コンサルティングは63という結果でした。※ 最大値はマッキンゼーの偏差値70であることから、FAS各社の評価が非常に高いことがわかります。
難関である一方、入社できれば専門性・年収・キャリアの面でも高い価値がある業界と言えるでしょう。
FAS転職まとめ
FASは、多様な業務を行っており、そのときの情勢に即した決断や選択が求められます。上司から指示されたことやルーチンワークをやっておけば大丈夫、といった会社はほぼありません。したがって、「仕事と同じくらい私生活を大切にしたい」といった方は、転職後に後悔する可能性もあります。
反対に、「働けるときにキャリアを積み、できるだけ自分の価値を高めておきたい」といった方は、大きなやりがいを感じられるでしょう。自分が仕事に何を求めているか、よく考えたうえで転職を決断するのがおすすめです。
コンサル業界向け
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