FASは、コンサルティング・会計監査・財務関係の仕事をして来た方にとって、魅力的な転職先です。
その一方で、インターネット上では、「FASへ転職して後悔した」といった声も見受けられます。FAS転職に関してネガティブな意見を聞くと、転職をためらってしまう方もいるでしょう。
本記事では、FASへの転職を後悔しないためのポイントを解説します。
また、FASへ転職するデメリットや実際の声も紹介するので、FASへの転職を迷っている方は決断の参考にしてください。
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「FASはやめとけ」って本当?FAS転職のデメリット
FASへの転職は、インターネットを検索すると「FASへの転職はやめたほうがいい」「FASへ転職して後悔した」といったマイナスの意見も聞かれます。
これは、FASの業務が以下のような性質を持っているためと考えられます。
- 仕事が立て込んでいるときは残業時間が月50時間を超える場合も珍しくない
- 深夜残業・休日出勤も当り前のように行われる場合がある
- 求められる能力が高く、常に勉強が必要で気を抜く暇がない
- いつ、どのようなタイミングで仕事が忙しくなるか分からない
FASの仕事は顧客の都合しだいで忙しさが変わりがちです。
また、グローバルな会社も多く、日本の仕事の常識や暗黙の了解が通じないところも多いでしょう。
それに加えて「仕事の内容や繁忙期がある程度決まっており、仕事を覚えてしまえば後はそれを繰り返して行けば大丈夫」といった仕事ではありません。
そのときの社会情勢や経済の動き、相手の出方によって臨機応変な対応が求められます。
ですから、「余裕のある働き方をしたい」「前の会社では激務でライフワークバランスが取れなかったので、転職を決意した」といった理由でFASへ転職すると、「こんなはずではなかった」と後悔する場合もあるでしょう。
FASに転職するメリット
FASに転職するメリットについて解説します。
「キャリアアップのために転職する」という方が多いですが、それ以外にもメリットがあるのです。
専門知識が身に付けられる
FASの職務内容は、コンサルティング業務・M&A・財務関係の業務など幅広く、特に大手会社には、それぞれのスペシャリストが在籍しています。
FASへの転職者は、すでに一定のキャリアを積んでいる方が多くいますが、FASに転職後、さらなる専門知識を身に付けられるといえます。
例えば、公認会計士として企業監査を行っていた方がFASに転職し、経営やM&Aの知識を身に付ければ、より仕事の幅を広げることが可能です。
また、FASの業界内で転職し、さらなるキャリアアップをしたり、独立してコンサルティング会社を設立したりする際も、業務で培われた専門知識は大きく役立つでしょう。業務内で築ける人脈も、その後のキャリアパスで役立ちます。
高い年収が得られる
FASは経験を積んで実績を上げることで、キャリアだけでなく年収もアップします。
FASは高収入なイメージがありますが、入社したばかりのころは、600万~700万円程が平均です。
それでも、国税庁が発表した「令和3年分民間給与実態統計調査」のデータによると、20代後半の平均年収は371万円となっているため、同世代の平均よりは高いといえます。
実績を積み上げて昇進していけば、30代で年収1千万円超、40代で2千万円超の年収を得ることも可能です。
年齢ではなく実績で昇進・昇給できるのは、やりがいのある環境といえます。
さらに、スキルを活かして同業他社に転職すれば、さらなる収入アップも見込めます。
詳しいFASの年収については以下の記事から確認してみてください。
>>FASとは?コンサルとはどう違う?年収、業務内容、大手企業Big4について解説
FASへの転職に向いている人
FASへの転職が向いている人の一例としては、以下のような特徴が挙げられます。
- 上昇志向があり、肉体的・精神的なタフさを持っている
- 自分の意見を相手に押しつけず、顧客の立場で思考できる
- 現状を見て素早い判断ができる
- 仕事を第一に考え、キャリアアップに意欲的
- 専門的な知識を身に付けたいと考えている
- 一定期間、仕事第一の生活ができる
FASは、M&Aや事業再生などが主な業務であり、企業の経営を大きく左右する仕事も珍しくありません。
顧客の期待も高く、責任も重大です。
単に上司や顧客の指示通りに仕事をしていれば良い、といったケースはほとんどありません。
たとえ経験の浅い社員でも、素早い判断と臨機応変な対応が求められるでしょう。
自分のアドバイスや分析が会社の将来を大きく左右するかもしれない、と考えればいいかげんなことはできません。
かといって、無難な選択ばかりしていればFASに依頼した意味もないでしょう。
その一方で、仕事が成功したときの達成感ややりがいは大きく、成功が収入と直結します。
このようにスケールや責任感が大きい仕事であると理解できている人もFASへの転職に向いています。
FASのセカンドキャリア
FASのセカンドキャリアとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 同業他社
- コンサルファーム
- 会社の財務部門
- 会社のM&A部門
- 投資銀行
- PEファンド
同業他社以外は、すべてFASで培った専門知識や、人脈を使って関連する業務を専門とする会社に転職する形です。
FASの業務は多岐にわたり、複数の分野の知識を駆使して仕事をする場合も珍しくありません。
その中で、得意分野や興味がある分野を深掘りして、それを専門とする会社に転職することもできれば、そのままさらなるキャリアや年収アップを目指して同業他社に移ることもできます。
FASを主な業務とする会社にもいろいろな種類があり、いわゆるBig4と呼ばれる大手もあれば1つの業務に特化している中堅会社もあります。
自分はどちらで仕事をするのに向いているか、FASに転職したうえで改めて見極めて再度転職、といったキャリアの築き方をしている方も珍しくありません。
FAS業界では移籍はそう珍しいことではないので、転職が多いからといって不利になることもないでしょう。
また、「いろいろな業務を行うより、得意な分野のみに絞って仕事をしたい」といった場合は、コンサルファームや大手企業の財務部門やM&A部門に転身する道もあります。
このように、自分のライフワークバランスや適性に応じて豊富なセカンドキャリアが多く用意されているのも、FASの魅力といえます。
以下の記事で、コンサル業界に強い転職エージェントを確認いただけます。
>>コンサル業界におすすめ転職エージェントを比較【専門領域別】
M&A業界への転職については以下の記事からチェックしてみてください。
>>M&A業界への転職 | 未経験でも可能?転職難易度や求められる経験やスキルも解説
FASに転職して後悔した人の意見
FASに転職して後悔した、という方のリアルな意見は次のようなものがあります。
総合商社からFASに転職してくる人は一定数いるけど皆後悔しているよ
— 剣持 (@mavdachi_sec) February 9, 2023
こんなに安いフィーで夜中まで使い倒されるなんて…商社で業者を使う立場はなんて良かったんだ…ってね
給料も良いんだし、悪い事は言わないから商社で働き続けた方がベター
FASは顧客の会社経営や財務に深く関わりますが、その会社の従業員ではありません。
そのため、顧客によっては無茶な要求などをされる場合もあるでしょう。
「顧客サービス」と思っても割り切れない体験をすることもあります。
転職した人達に話聞くとそのようですね
— める | FAS→事業会社 (@shibuyaMandA) February 11, 2023
FASはなんやかんやで拘束時間が長いので特に時間給で換算すると総合商社より劣後する印象です
こちらは、FASの拘束時間の長さに後悔を覚えている意見です。
いくら給与が高くても、労働時間が長ければメリットも帳消しになるかもしれません。
FASに転職して成功した人の意見
一方、こちらでは、「FASに転職してよかった」という意見を紹介します。
会計士が最初のキャリアに悩む分岐点が、実務試験に受かって晴れて会計士になった時。自分もめちゃくちゃ悩んだ。次は、マネージャーに上がれる手前ぐらい(大体、入社して6~8年ぐらい)。自分の場合は、実務試験に合格⇒海外留学⇒FASというキャリアを選択。今でもそれは後悔してないな~。
— 中辻仁@公認会計士×スタートアップ×海外ガバナンス (@Naka_CPA) December 1, 2022
こちらは、キャリアアップのためにFASへの転職を選択した方の意見です。
公認会計士の資格を取得した後、海外留学を経るというキャリアパスを経ています。
FASで結果を出せる下地がしっかりとできていると感じられます。
最近Twitterを見てると監査現場の悲壮感が半端ない。自分は監査を5年やってFASに転職したけど、その時の感想は「あと2年早く転職してればよかった」。もちろんFASも忙しかったけど、内向きの資料作りが一切なく、100%クライアント向きの仕事だったのが精神衛生上かなりよかった。早期転職おすすめです
— えすた@CPA (@kbs_48) May 24, 2022
こちらも、監査会社からFASに転職した方の意見です。
この方は監査の仕事よりFASの仕事のほうが合っていたのでしょう。
忙しいけれどやりがいがある仕事につければ、前向きに取り組めます。
FAS転職のコツ
FASは人気のある職種なので、転職希望の方もたくさんいます。
決意して転職活動をしてもうまくいかなければ、意味がありません。
ここでは、FASの転職を成功させるためのコツを紹介します。
ぜひ、参考にしてください。
財務関連知識、コンサルティング経験をアピールする
FASの業務は幅広く深い知識が求められます。
新卒者ならある程度教育してもらえますが、転職者に求められるのは即戦力です。
したがって、すぐに業務に役立てられる知識や経験をアピールしましょう。
そのためのキャリアパスも大切です。
例えば、大手商社で財務会計関連の仕事をしていた、コンサルティング会社に勤めていたといった経歴は大きな武器になります。
また、前職で出した仕事の実績なども提出すれば、強力なアピールポイントになるでしょう。
資格をアピールする
公認会計士、税理士といった財務会計関連の資格はFASでも役立ちます。
また、USCPA(米国公認会計士)も取得していると有利になるケースもあります。
USCPA(米国公認会計士)を取得していても、日本では公認会計士として働けません。
しかし、取得するには高い語学力とアメリカの財務・会計関連の知識が必要です。
FASはグローバルな仕事をする会社も多いので、重宝される場合も多いでしょう。
また、語学力を証明するTOEICや、中国語検定、スペイン語検定なども一定の評価が得られます。
このほか、「コンサルティングファームに勤めていて、コンサル経験はあるが財務会計関連の知識はない」という方は、簿記2級以上とっておくと、一定の知識があることを証明できます。
資格を取得していない場合でも「近いうちにこの資格取得を目指して勉強しています」といった姿勢を見せるとプラスに働くこともあるでしょう。
資格を取得している場合は、積極的にアピールしていきましょう。
転職エージェントを活用
転職エージェントは、転職希望者と企業を結ぶ橋渡し役をしてくれます。
自分だけで転職活動をするより、有益な結果につながるケースも多いでしょう。
また、転職エージェントは独自の人脈を持っています。
企業から内々に示された求人を優秀な人材のみに提示する場合もあるでしょう。
特に、FAS業界未経験で人脈も乏しく、初めて転職活動をする場合は、転職エージェントに依頼するメリットは大きくなります。
FASへの転職におすすめのエージェント
ここでは、FASへの転職におすすめのエージェントを3つ紹介します。
FASへの転職に強いエージェントはいくつもあるため、どこを利用しようか迷っている方は参考にしてください。
MyVision
運営会社 | 株式会社MyVision |
公式サイト | https://my-vision.co.jp/ |
公開求人数 | 非公開(2024年11月7日現在) |
主な求人職種 | 各種コンサルティングファーム、シンクタンク |
MyVisionは、コンサル転職エージェントとトップ戦略ファームの出身者が提供するコンサルに業界に強みを持つ転職支援サービスです。
累計内定者数800名以上の実績があり、他業種や未経験からのコンサル転職にも強みをもっています。
国内に展開するほぼ全てのコンサルファームとネットワークを構築しているため、財務コンサルやFASの求人についても多様なポジションにて個々の求職者の経験と将来のキャリアビジョンに応じた最適な求人紹介が可能です。
個々の経歴やキャリア志向に応じて最適な転職戦略を提示してくれ、選考対策についてもレジュメ添削や過去の面接内容を分析した「独自の面接対策資料」、本番想定の模擬面接によるフェルミ推定・面接対策など徹底したサポートが受けられます。
全くの未経験からFASやコンサルファームを目指したい方にも適した転職エージェントです。
ヤマトヒューマンキャピタル
運営会社 | ヤマトヒューマンキャピタル株式会社 |
公式サイト | https://yamatohc.co.jp/ |
公開求人数 | 2,903件(2024年11月7日現在) |
主な求人職種 | M&A・PEファンド・VC・CFO・投資銀行・事業再生・経営企画 |
ヤマトヒューマンキャピタルは、経営×ファイナンス領域の転職支援実績NO1クラスを強みとしている転職エージェントです。
コンサルタントファームや投資銀行など幅広い業界への転職支援を行っているため、「キャリアアップのためにFAS以外の転職先も視野に入れている」といった方にもおすすめです。
イベントやセミナーも随時開催しており、「すぐに転職するつもりはないが、将来のために最新の業界情報を知っておきたい」という方も、登録してみましょう。
そうすれば、いざ転職する際にも有益なアドバイスやサポートを受けやすくなります。
コトラ
運営会社 | 株式会社コトラ Kotora Co., Ltd. |
公式サイト | https://www.kotora.jp/ |
公開求人数 | 27,476件(2024年11月7日現在) |
主な求人職種 | 金融・コンサルティング・監査法人・IT関係・製造業 |
コトラは、特定の業界ではなく「ハイクラス転職」を強みとしている転職エージェントです。
金融・IT・コンサル・製造業・経営関係など幅広い業界に対応しているため、FAS以外の業界にも興味がある方には適しています。
また、求人を行っている企業へのインタビュー動画も作成しており、「転職希望の会社のトップの考え方を知りたい」といった方にも役立ちます。
このほか、コトラを利用して転職に成功した方の声も多く掲載しているため、安心感を得られるのも魅力です。
転職を希望しているが、FASに転職すればいいのか他の分野のほうがいいのかわからない、と悩んでいる方にもおすすめです。
こちらの記事ではここで紹介した以外にもFAS業界におすすめの転職エージェントを掲載しています。
FASへの転職に関する疑問・Q&A
最後に、FASへの転職に関するよくある疑問・質問を紹介します。
FASへの転職は未経験でも可能ですか?
FASが未経験でも、会計監査・財務関連・コンサルティングの経験があれば、転職可能です。
資格も重宝されるので、公認会計士や税理士の資格を持ち、監査法人などに勤めたキャリアパスがあれば、問題ないでしょう。
ただし、資格もなくコンサルティングなどの経験もないといった場合は、少々難易度が高くなります。
FASは優秀な人材が集まってくる業界なので、まずは資格を取得するかキャリアパスを積むなどするのがおすすめです。
>>FASへの転職|未経験でも可能?面接のポイントやおすすめエージェントを紹介!
FAS転職後のキャリアパスは?
FAS転職後のキャリアパスは、アソシエイト・マネージャー・パートナーと出世していくのがスタンダードです。
アソシエイトでは平均年収が500万円ほどですが、マネージャーならば1,000万円、パートナーならば年収2.000万円も珍しくありません。
「現在の会社ではマネージャーまでなら出世できるが、パートナーは難しい」といった場合、同業他社に転職するのも一つの有効な手段です。
いろいろな道が選択できるのもFASの魅力といえます。
FAS転職まとめ
FASは、多様な業務を行っており、そのときの情勢に即した決断や選択が求められます。
上司から指示されたことやルーチンワークをやっておけば大丈夫、といった会社はほぼありません。
したがって、「仕事と同じくらい私生活を大切にしたい」といった方は、転職後に後悔する可能性もあります。
反対に、「働けるときにキャリアを積み、できるだけ自分の価値を高めておきたい」といった方は、大きなやりがいを感じられるでしょう。
自分が仕事に何を求めているか、よく考えたうえで転職を決断するのがおすすめです。