FAS業界におすすめの転職エージェント10選【2025年10月最新版】選び方や未経験転職の難易度を解説

FASは、M&A、企業再生、バリュエーションなどを専門とするプロフェッショナル領域です。M&A件数の増加や事業承継ニーズの高まりを背景に、転職市場では「高年収・高専門性」を目指せるキャリアとして近年注目を集めています。

一方で、専門性が高く「未経験からの転職は難しいのでは？」「どの転職エージェントを選べばよいかわからない」という方も少なくありません。

本記事では、FAS転職に強いおすすめの転職エージェントを紹介するとともに、エージェントの選び方や未経験からの転職難易度まで詳しく解説します。これからFASへの転職を検討している方が、自分に合ったキャリア戦略を立てるための参考になる内容です。

FAS業界におすすめの転職エージェント10選

FAS業界におすすめの転職エージェントを紹介します。

MyVision

MyVisionは、コンサルタント業界に特化したハイクラス向け転職エージェントで、FASへの転職支援にも定評があります。所属するエグゼクティブコンサルタントは全員、コンサルファーム出身者または支援実績が豊富なプロフェッショナルで構成されており、FAS系ポジションにおける実務理解と提案力にも優れています。

紹介先は、Big4をはじめとする大手FAS部門や、独立系ブティックファーム、M&Aアドバイザリー・DD・バリュエーション等の専門職まで幅広くカバー。累計支援実績は8,000名以上、非公開求人や特別選考ルートの保有など、他社では出会えない機会の提供が可能です。

さらに、過去数千件の面接情報を活かした独自の「想定問答集」や「模擬面接」の仕組みは、特にケースや志望動機が重視されるFAS選考において心強い武器となります。未経験からのFAS転職、あるいはFASから他ファームへのキャリアアップなど、FAS領域に強い専門エージェントを探している方におすすめです。

MyVisionの基本情報
運営会社	株式会社MyVision
公式サイト	https://my-vision.co.jp/
公開求人数	非公開（2025年10月27日現在）
主な求人職種	コンサルタント特化

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MS-Japan

MS-Japanは、公認会計士・税理士・経営企画・財務・法務など、管理部門および士業特化型の転職エージェントとして業界トップクラスの実績を誇ります。特にFAS領域では、M&A、バリュエーション、DD（デューデリジェンス）業務への転職支援にも定評があり、会計バックグラウンドを活かした転職を目指す方に最適なパートナーです。

取り扱い求人の90%以上が非公開求人※であり、IPO準備・新規事業支援・組織再編などの機密性が高いポジションにもアクセス可能。求職者一人ひとりの希望に応じて、キャリアビジョンの整理から、書類添削、面接対策、選考スケジュール調整、年収交渉まで丁寧にサポートしてくれます。

「いますぐ転職したい方」だけでなく、「数年後に向けた情報収集を始めたい方」にも対応可能で、無料の個別相談会やセミナーも随時開催中。会計士やFAS業界志望者にとって、専門性と安心感を兼ね備えた心強いエージェントです。

参照元

※ MS-Japan「転職サポートサービス」

MS-Japanの基本情報
運営会社	株式会社MS-Japan
公式サイト	https://www.jmsc.co.jp/
公開求人数	10,686件（2025年10月27日現在）
主な求人職種	公認会計士、税理士、弁護士、管理部門、コンサルタントなど

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レックスアドバイザーズ

レックスアドバイザーズは、公認会計士・税理士・経理財務分野に専門特化した転職エージェントで、FAS領域における実績も豊富です。Big4 FASや独立系ファーム、M&A仲介・会計系ブティックファームなど、多様なFAS系求人を保有しており、財専門性の高い業務に携われるポジションの紹介に強みを持ちます。

同社の特徴は、会計業界に精通した専任コンサルタントによる手厚い支援。履歴書・職務経歴書の添削から、過去事例をもとにした面接対策、希望に応じた年収交渉まで、入社まで一貫してサポートしてくれます。転職サポート満足度は4年連続で96%以上※と高く、初めてのFAS転職を目指す方にも安心です。

また、非公開求人の割合が高く、キャリア志向にマッチした希少案件に出会いやすいのも魅力の一つ。監査法人や税理士法人からFAS業務へのキャリアチェンジを目指す方、あるいは年収アップ・専門性強化を狙う方にとって、心強いエージェントです。

参照元

※ レックスアドバイザーズ公式サイト（レックスアドバイザーズ社のサポートで転職した方へのアンケート結果（2021/1-2024/12、回答数:794））

レックスアドバイザーズの基本情報
運営会社	株式会社レックスアドバイザーズ
公式サイト	https://www.career-adv.jp/
公開求人数	2,609件（2025年10月27日現在　REX公式サイトより）
主な求人職種	税務・会計・監査、経理・財務　など

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ヒュープロ

ヒュープロは、税理士・公認会計士・経理財務・人事労務など、士業・管理部門に特化した転職支援サービスです。FAS領域でもM&Aや企業再生といった分野の求人を数多く取り扱っており、特に税理士法人や会計事務所からの募集に強みを持ちます。大手から個人事務所まで幅広い選択肢も特徴です。

業界未経験者向けの求人特集も展開しており、会計・税務・財務の知識を活かしてFAS業界へ挑戦したい方にも適しています。働きやすさを重視した案件が多く、リモートワークやフレックス制度、残業少なめなどの条件も整っているため、ライフスタイルに合った転職が可能です。

また、ヒュープロでは、専任エージェントが履歴書添削や面接対策、年収交渉まで徹底サポート。公開求人に加えて独占非公開求人も多く、他では出会えないポジションに出会えるチャンスもあります。FAS業界を目指す方にとって、情報量・サポート力ともに頼れるエージェントといえるでしょう。

ヒュープロの基本情報
運営会社	株式会社ヒュープロ
公式サイト	https://hupro-job.com/
公開求人数	7,694件（2025年10月27日現在）
主な求人職種	税理士、経理、公認会計士、コンサルタントなど

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ヤマトヒューマンキャピタル

ヤマトヒューマンキャピタルは、FASやM&A、PEファンド、戦略コンサルなど、難関かつ人気の高い領域への転職支援に強みを持つエージェントです。特にFAS業界では、財務デューデリジェンス（DD）やバリュエーション、PMIといった職種の求人を幅広く網羅しており、未経験からのキャリア構築にも積極的にサポートしています。

特筆すべきは、選考対策の徹底度。面接官の性格や好み、過去の出題傾向などを踏まえた模擬面接やケース面接の支援を実施し、必要に応じて10回以上の模擬面接を行う徹底ぶりです。また、非公開の独占求人も多く、スタートアップの責任者ポジションや特別枠での未経験採用など、他では得られないチャンスも豊富です。

転職支援は短期的な内定獲得に留まらず、A→B→Cと段階的にキャリアを積み上げる長期視点の提案が特徴。FAS領域でスキルアップやキャリアチェンジを目指す方にとって、確かな実績と熱量を兼ね備えた信頼できるエージェントといえるでしょう。

ヤマトヒューマンキャピタルの基本情報
運営会社	ヤマトヒューマンキャピタル株式会社
公式サイト	https://yamatohc.co.jp/
公開求人数	2,903件（2025年10月27日現在）
主な求人職種	PEファンド・VC・コンサルタント　ほか

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ツインプロ

ツインプロは、FASや会計・経理分野に特化した転職支援を行うエージェントで、公認会計士や税理士、経理財務経験者から高く評価されています。FAS領域では財務デューデリジェンスやバリュエーション、PMIなどの求人を幅広く保有しており、会計事務所や税理士法人からのキャリアチェンジを目指す方にも適した選択肢です。

最大の特徴は、年収アップと内定獲得率の高さです。利用者の9割以上が年収アップを達成※し、中には300万円以上の増額を実現した例もあります。さらに、内定率は77%※と非常に高く、書類添削から面接対策まできめ細かいサポートが功を奏しています。

また、丁寧なカウンセリングにより、ホワイト企業志向やライフワークバランス重視など多様なニーズにも柔軟に対応。FAS業界で「市場価値の向上」「年収アップ」「理想の働き方」を目指す方にとって、心強いパートナーとなるエージェントです。

参照元

※ ツインプロ公式サイト

ツインプロの基本情報
運営会社	株式会社MyVision
公式サイト	https://twin-pro.jp/
公開求人数	非公開（2025年10月27日現在）
主な求人職種	税理士、会計士、経理 コンサル、FAS、監査法人など

ジャスネットキャリア

ジャスネットキャリアは、公認会計士が創業した専門性の高いエージェントで、FASや会計、税務、経理・財務分野に特化した転職支援を展開しています。大手FASファームや監査法人、コンサルティング会社への支援実績が豊富で、特に財務デューデリジェンスやバリュエーション、経営支援などの専門職種に強みを持ちます。

このサービスの特徴は、求人紹介だけにとどまらず、派遣や教育といった多角的な支援が受けられる点です。キャリア初期から管理職クラスまでの幅広い求人を保有し、非公開求人も多数。エージェントは現場の一次情報に精通しており、企業風土や募集背景まで詳細に把握したうえで最適なマッチングを実現してくれます。

また、転職活動の中での選考対策や条件交渉に加え、希望に応じて「経理実務の学校」など独自の教育サービスを活用する提案もあり、将来的なキャリア設計にも心強い存在です。FAS業界で長期的なキャリアを築きたい方に、専門性と実績を兼ね備えた信頼のパートナーといえるでしょう。

ジャスネットキャリアの基本情報
運営会社	ジャスネットコミュニケーションズ株式会社
公式サイト	https://career.jusnet.co.jp/
公開求人数	2,431件（2025年10月27日現在）
主な求人職種	会計、税務、経理・財務分野

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LHH転職エージェント

LHH転職エージェントは、世界最大級の人材サービス企業「アデコグループ」が展開するハイクラス向け転職支援サービスです。FASや財務アドバイザリー分野を含むコンサルタント職に対しては、専門領域に精通した職種別のコンサルタントがサポートを担当。

特に注目すべきは、企業と求職者の双方を一貫して支援する「360度式コンサルティング」。これにより、企業のカルチャーや実際の現場感を正確に伝えたうえで、求職者の意欲や価値観まで汲み取ったマッチングが実現します。FAS業界で重視される「専門性」と「人柄のフィット」を両立した転職支援が期待できます。

さらに、大手ならではの国内外ネットワークを活かした非公開求人も多数保有。FASファーム、グローバルコンサル、上場企業の経営企画・M&A部門など、多様な選択肢を提供してくれます。転職で年収アップを叶えたい方にとって、信頼できるサービスです。

LHH転職エージェントの基本情報
運営会社	アデコ株式会社
公式サイト	https://jp.lhh.com/
公開求人数	14,923件（2025年10月27日現在）
主な求人職種	営業、販売・サービス、ファッション、マーケティング、 クリエイティブ、IT、エンジニア、メディカル、人事等

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JACリクルートメント

JACリクルートメントは、課長～役員クラスの管理職や専門職の転職支援に特化した、東証プライム上場の人材紹介会社です。FAS業界をはじめ、財務・会計・コンサルタント職への支援実績が豊富で、専門分野に精通したコンサルタントが複数名体制で一人の求職者をサポートする点が特長です。

各業界出身のコンサルタントが在籍しており、たとえばFAS業界や金融機関のM&A部門から転身したアドバイザーが、業界構造やキャリアパスに即した提案を行ってくれます。また企業側とも密な関係を築いており、求人票には記載されない「求める人物像」「組織体制」などの解像度の高い情報を提供してくれる点も魅力です。

さらに、外資系FASファームやクロスボーダーM&Aに強い日系企業など、グローバルなキャリアを志向する方にも最適。英文レジュメや英語面接へのサポート体制も整っており、英語を武器にステップアップしたい方にも心強いエージェントです。

JACリクルートメントの基本情報
運営会社	株式会社 ジェイ エイ シー リクルートメント
公式サイト	https://www.jac-recruitment.jp/
公開求人数	23,426件（2025年10月27日現在）
主な求人職種	人事/労務、営業、コンサルティング、クリエイティブ、 IT、カスタマーサービス、技術系、建築系、土木系、医療系等

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リメディ

リメディは、M&A仲介やFAS領域など難関業界への転職支援に特化したハイクラス向け転職エージェントです。特にM&A仲介会社への内定率は業界トップクラスを誇り、想定年収1,000万円以上の求人を多数保有。FASファームや戦略系コンサルへの転職を目指す方にも非常に心強い存在です。

最大の強みは、各業界のトップ企業出身者がヘッドハンターとして在籍している点にあります。求人票に載らない経営者との直接のやり取りや現場情報をもとに、応募企業に合わせた戦略的な面接対策を実施。求人の質・情報の深さ・支援の精度において一線を画しています。

また、キャリア戦略の設計にも定評があり、「今すぐの転職」だけでなく「年収数千万円規模のキャリアゴール」から逆算した提案が受けられる点も特長。FASやM&A業界で高収入・高難度のポジションを狙う方にとって、有力な選択肢となるエージェントです。

リメディの基本情報
運営会社	リメディ株式会社
公式サイト	https://remedy-tokyo.co.jp/
保有求人数	15,000件以上（2025年10月27日現在）
主な求人職種	コンサル業界、M&A仲介、建設・不動産　ほか

FAS業界におすすめの転職エージェントの選び方

FAS業界転職の際のエージェント選びについて解説します。

業界専門性の高さを確認する

FAS業界は、M&Aや財務デューデリジェンス、バリュエーション、事業再生など、高度な専門性を要する領域です。そのため、転職支援を受ける際は、FASに特化した知見や支援実績を持つエージェントを選ぶことが重要です。

たとえば、Big4出身者が在籍していたり、FAS特化の支援を長年続けているサービスなどが該当します。そうしたエージェントは、職種ごとの年収レンジや昇進スピード、企業ごとの特色などにも精通しており、キャリア全体を見据えた適切な提案が可能です。

業界知識の浅い一般的なエージェントでは得られない、質の高いアドバイスを受けられる点が大きなメリットです。

ネットワークの広さや求人数をチェックする

FASファームの求人は、外部に公開されない非公開案件が多く、エージェント独自のネットワークによって紹介できる企業の数や質が大きく異なります。

Big4系だけでなく、PEファンド傘下のアドバイザリー会社や日系準大手など、幅広い企業とのパイプを持つエージェントほど、希望に合うポジションを見つけやすくなります。

また、求人票に書かれていない社風やチーム構成、離職率といった“生の情報”を持っているかどうかも、判断材料として重要です。紹介実績や保有求人数だけでなく、企業とのつながりの深さに注目して選ぶと良いでしょう。

キャリアアドバイザーの質やサポート体制も確認する

FAS転職では、担当アドバイザーの業界理解とサポート体制が成否を左右します。業務内容やキャリアパスを正しく理解していない担当者では、スキルや志向に合わない求人を紹介されるリスクが高まります。

一方、FAS領域に精通したアドバイザーであれば、企業ごとの選考傾向や面接対策に加え、志望動機の切り口や年収交渉にも的確に対応してくれます。とくに初回面談では、自分の話を丁寧に聞き、キャリア全体を見据えた提案をしてくれるかどうかを見極めるとよいでしょう。

伴走型の支援が得られるかが、満足度の高い転職につながります。

FAS業界への転職でエージェントを活用する際のポイント

FAS業界への転職でエージェントを活用するためのポイントを紹介します。

FAS業界に精通したエージェントが所属する会社を選ぶ

エージェントを活用する際は、事前に自分の希望条件やキャリアの軸を整理しておくことが重要です。特にFAS業界では、業務領域や希望年収、勤務地、今後のキャリアパスなどが人によって大きく異なります。

面談の中でこれらが曖昧だと、エージェントも的確な求人提案がしづらくなり、ミスマッチの原因となることがあります。希望条件が完全に固まっていなくても構いませんが、「なぜFASに進みたいのか」「どう成長したいのか」など、自分なりの方向性を言語化しておくことが大切です。

これにより、エージェント側の理解も深まり、より自分に合った支援が受けられるようになります。

エージェントの経験と実績を確認し、信頼できるかどうかを判断する

転職エージェントとの面談では、できるだけオープンに自分の情報を共有することがポイントです。担当アドバイザーは限られた情報の中で最適な求人を提案するため、これまでの職歴やスキル、志望動機や転職理由などはできるだけ具体的に伝えるようにしましょう。

とくにFAS業界では業務の専門性が高いため、実務経験の内容や関心のある領域なども正確に伝えることで、求人とのマッチング精度が高まります。また、不安な点や悩みがあれば遠慮せず相談することも大切です。

アドバイザーは転職活動全体をサポートするパートナーですので、対話の質を高めることが成功のカギとなります。

エージェントとの面談前に自分の希望を明確化しておく

FAS転職を成功させるには、1社だけに頼らず、複数のエージェントを併用するのがおすすめです。エージェントによって保有求人や企業とのパイプ、得意な領域が異なるため、複数を比較することで視野が広がり、より自分に合った選択が可能になります。

また、担当アドバイザーとの相性も非常に重要な要素です。初回面談での対応や提案の質、理解度などを見て、自分にとって信頼できるパートナーかを見極めましょう。併用することで過度な依存を防ぎつつ、それぞれの強みを活かして転職活動を効率的に進めることができます。

FAS転職にエージェントを利用するメリット

FAS転職でエージェントを利用するメリットには以下のようなものが挙げられます。

非公開求人や優良案件にアクセスできる

FAS業界の求人は、ハイクラスで専門性が高いため、一般に公開されていない非公開求人が多くを占めています。転職エージェントを利用することで、企業との独自パイプを通じてそうした優良案件にアクセスできる点が大きなメリットです。

特にM&A、財務デューデリジェンス、バリュエーション、事業再生などの領域では、募集背景が機密性の高いケースも多く、求人サイトでは出会えない案件も少なくありません。エージェント経由でしか得られない情報に触れることで、他候補者よりも有利に転職活動を進められる可能性があります。

職種やキャリアに合ったポジションを提案してもらえる

FAS業界では業務領域が多岐にわたり、自分に合った職種や企業を見極めるのは容易ではありません。たとえば、同じM&Aでも財務DD、PMI支援、モデリングなど仕事内容が異なるため、自身の経験や志向に応じた判断が求められます。

転職エージェントは、過去の支援実績や企業内の情報をもとに、個人のキャリアにマッチしたポジションを提案してくれます。中には、今後の成長を見越した“ポテンシャル採用枠”や、少人数チームでの裁量ある求人など、通常ルートでは見つけにくい選択肢もあるため、幅広く検討するうえでも有効です。

書類・面接対策や年収交渉のサポートがある

FASファームの選考は高度な会計・財務知識だけでなく、論理的思考力や対人スキルも重視されるため、十分な準備が不可欠です。転職エージェントを利用することで、企業ごとの選考傾向に合わせた職務経歴書の添削や面接対策を受けられるのは大きな利点です。

また、オファー時の年収や条件交渉も代理で行ってくれるため、自分では言い出しにくい希望も通しやすくなります。納得度の高い転職を実現するには、こうした交渉力とサポート体制のあるエージェントを活用するのが賢明です。

FAS転職にエージェントを利用するデメリット

FAS転職でエージェントを利用するデメリットについて解説します。

希望しない求人を紹介されることがある

転職エージェントは成果報酬型のビジネスモデルであるため、紹介先企業への推薦を優先する傾向があります。その結果、候補者の希望と完全には一致しない求人を提案されることも少なくありません。

とくにFAS業界では、業務内容やキャリアパスに繊細な違いがあるため、わずかなズレがミスマッチにつながるリスクもあります。希望条件をしっかりと伝え、納得できない求人は断る姿勢を持つことが大切です。

エージェント任せにせず、自ら主体的に方向性を示すことで、より精度の高いマッチングが期待できます。

経由することでスピード感が落ちる場合がある

エージェントを介して応募する場合、直接応募と比べてやり取りのプロセスが1ステップ増えるため、レスポンスや選考の進捗に時間がかかることがあります。とくに、短期間で転職を決めたい人にとっては、スピード感の低下がストレスになる可能性もあります。

さらに、エージェント側の事情や担当者の忙しさにより、返信が遅れるケースもあるため、定期的に進捗確認を行うなどの工夫が必要です。スピードを重視する場合は、複数エージェントを併用することで、ボトルネックの回避につながります。

担当者の質にばらつきがある

転職エージェントのサービス品質は、担当アドバイザーのスキルや経験に大きく左右されます。FAS業界に不慣れな担当者に当たってしまうと、業務理解が浅かったり、的外れな求人を紹介されたりする可能性もあります。

また、対応の丁寧さや熱意にも個人差があるため、「エージェントの質＝担当者の質」と言っても過言ではありません。このリスクを回避するには、初回面談で信頼できるかどうかをしっかり見極めることが大切です。場合によっては、担当変更や複数エージェントの併用も選択肢に入れましょう。

FAS転職におけるエージェントの利用の流れ

FAS転職の際のエージェント利用方法は以下の通りです。

会員登録

エージェントを利用するには、Webサイトなどでの会員登録が必要です。氏名や連絡先、職務経歴、希望条件などを入力すると、数日以内に担当者から連絡が来るのが一般的な流れとなっています。登録自体は数分で完了することが多く、ほとんどのサービスが無料で利用可能です。

FAS特化型のエージェントを選べば、M&Aや再生支援、財務DDなど各専門領域に対応した支援を受けやすくなります。登録時点で希望条件を簡潔に記載しておくと、その後の面談がスムーズに進みます。

面談・転職相談（対面・電話・Web）

登録後は、担当アドバイザーとの面談に進みます。最近は電話やWeb面談が主流ですが、対面での相談も可能なエージェントもあります。面談ではこれまでの職歴やスキル、FAS業界への志望動機、希望年収などを詳しくヒアリングされるため、準備しておくのもおすすめです。

あわせて、業界や各ファームの情報提供も受けられるため、キャリアの整理にもつながります。ここで率直に希望や悩みを伝えておくことが、今後の求人提案の精度を高めるカギとなるでしょう。

求人紹介・応募

面談内容をもとに、担当者が希望や適性に合った求人を紹介してくれます。FAS求人は非公開のものも多く、エージェントを通じて初めて知る案件も少なくありません。興味のある求人が見つかったら、書類選考に向けて職務経歴書や志望動機の添削支援を受けながら応募手続きを進めます。

アドバイザーは各企業の傾向や好まれる人物像も把握しているため、応募前に具体的なアドバイスをもらえる点も大きな強みです。

面接

書類選考を通過すると、企業との面接に進みます。FASファームでは、業務経験や財務知識、ロジカルシンキングに加え、カルチャーフィットも重視されます。アドバイザーは過去の通過事例や質問傾向をもとに、模擬面接や想定質問の練習を行ってくれます。

面接前後にはフィードバックや評価の共有が行われることもあり、次回以降に向けた改善に活かすことができます。

内定

面接を通過すると、内定とともに条件提示（年収、ポジション、入社時期など）が行われます。エージェントはこの段階でも候補者側に立って年収や条件の調整をサポートしてくれます。また、辞退や内定承諾に関する連絡も代行してもらえるため、直接企業とやり取りする負担が軽減でき安心です。

入社後のフォローを行っているサービスもあるため、不安がある場合は事前に確認しておくとよいでしょう。

未経験で転職可能？FAS業界への転職難易度

FASへの転職難易度は、特に高いとされています。財務会計の知識はもちろんのこと、会社経営の知識やコンサルタント能力、コミュニケーション能力、英語力などが必要です。

全く畑違いの仕事をしており、財務会計に関する資格を1つも持っていないといった方がいきなりFASへの未経験転職に挑戦しても難しいでしょう。また、公認会計士や税理士といった財務会計関連の資格を持っていればFASへの転職に有利ですが、資格を持っていさえすれば転職が成功するわけでもありません。

なお、FASを主な業務にしている会社は、最大手となるBIG4系FAS会社と中小FAS会社があり、ネームバリューがある会社のほうが転職難易度は高めです。

FAS転職で有利となる資格

FAS（財務アドバイザリーサービス）への転職では、実務経験が重視される一方で、一定の資格がキャリアの後押しとなるケースも多くあります。特に未経験からの転職や、金融・会計バックグラウンドを補完したい場合には、資格の保有が知識の裏付けや成長意欲の証明として評価されるでしょう。

以下に、FAS転職で有利とされる代表的な資格をまとめました。

資格名	概要
公認会計士	財務DDや監査対応における専門性の証明として高く評価される
USCPA（米国公認会計士）	クロスボーダー案件やIFRS対応領域で有利、英語力もアピール可能
税理士	ストラクチャリングや再編税務など税務スキルを活かす業務で重宝
中小企業診断士	再生支援・経営改善領域で事業面の知見を持つ人材として評価
日商簿記1級	実務未経験者が基礎的な会計知識を証明する手段として有効

上記の資格があることで選考時に好印象を与えるケースもあります。キャリアチェンジを検討中の方や、今後のポジション拡大を見据える方にとって、資格取得は有効な準備のひとつといえるでしょう。

FAS転職の面接で見られるポイント

FAS転職の選考・面接で見られるポイントとしては、以下のようなものが挙げられます。

M&A関連知識

FASを主要業務とする会社の面接は、志望動機や前職での経験といったごく当たり前の質問からM&Aに関する知識を問うものなど幅広く出題される傾向です。M&AはFASの主要業務の一つなので、特に財務関連に関しては細かいところまで聞かれるケースも珍しくありません。

M&Aの職務経験がある場合は、自分の経験と絡めて答えると、他候補者との差別化を図れるでしょう。M&Aが未経験の場合は、関連書籍に目を通して一通りの知識を身に付けておくと、スムーズに答えられます。

このほか、M&Aの最新情報に関する質問をされる場合もあるので、経済新聞やニュースにも目を通しておくようにしましょう。

コミュニケーション能力

FASの業務は高いコミュニケーション能力を求められるものも多いため、質疑応答を通してその能力がチェックされます。

例えば、コンサルティング業務を経験したことがある方なら、業務で遭遇した困難な事態やその解決方法などを問い、受け答えの仕方でコミュニケーション能力をチェックされる場合もあります。

転職が初めての場合は、面接対策の本やブログをチェックしたり、転職エージェントを活用したりして、質問を想定しておくとよいでしょう。想定問答もしておくと、とっさの質問にもうまく答えられます。なお、分からないことや失敗したことなどは、無理に隠そうとせず素直にその旨を伝えましょう。

FAS業界の将来性とキャリアパス

FAS業界は、M&A市場の拡大を背景に今後も高い需要が見込まれます。実際、日本のM&Aは2024年上期に2,321件・約9.1兆円、2025年上期には2,509件・約21.9兆円と増加傾向※1です。

さらに、中小企業の後継者不在率が54.5％※2に上る現状も、事業承継や再編支援へのニーズを押し上げています。こうした環境下で、FAS人材の市場価値は一層高まるといえるでしょう。

キャリアパスとしては、ファーム内で昇進を目指すだけでなく、PEファンドや事業会社の経営企画部門、スタートアップCFOなどへの転身も一般的です。専門性を基盤に、多様なフィールドへ展開できる点がFAS業界の大きな魅力です。

参照元

※1 レコフ「クロスボーダーM&Aマーケット情報」
※2 中小企業庁「2024年版「中小企業白書」 第6節　事業承継」

FASへの転職に関する疑問

FAS転職に関するよくある質問について解説します。

FASの平均年収は？

FASの年収目安は、600～700万円が主なレンジといえます。実際、dodaに掲載されているFAS関連求人では、記事執筆時で予定年収650～700万円の求人が1,065件中836件※1と最多であり、この帯域が相場の中心であることがうかがえます。

また、PwCアドバイザリー合同会社の新卒採用情報によれば、昨年度の学士支給実績は6,712,500円※2。さらに、KPMG FASの新卒採用情報でも基本年俸580万円～※3とされています。いずれも600万円台前後が若手の水準です。

FASでは業務や評価によって年収が大きく変動しますが、入社から数年の水準として600～700万円を一つの目安にするとよいでしょう。

参照元

※1 doda「【財務・会計アドバイザリー（FAS）】の転職・求人・中途採用情報」（2025年9月4日時点）
※2 PwCアドバイザリー合同会社「求める人物像／募集要項／選考情報」
※3 KPMG FAS Recruiting Website「新卒採用情報:M&A・戦略コンサルタント職（国内大卒／会計士）」

FASへの転職に年齢は関係ある？

FAS業界では、年齢そのものよりもスキルや経験が重視されます。会計・財務の実務経験やM&Aに関連する知識があれば、30代以降でも採用されるケースは珍しくありません。

ただし、未経験から挑戦する場合は20代の方がポテンシャル採用の可能性が高く、30代後半以降は即戦力としての実績や資格（公認会計士やUSCPAなど）が求められる傾向があります。つまり「年齢＝制約」ではなく、実務力や専門性が転職成功のカギを握るといえるでしょう。

転職エージェントを使わない方がいい人は？

結論からいえば、情報収集やサポートを必要としない人には必須ではありません。たとえば、既に志望先企業が明確で直接応募する意思がある人や、独自のネットワークで求人情報を得られる人は、エージェントを介さず動いた方がスピーディです。

また、エージェントからの提案に左右されず、自分で主体的に進めたい人にも向いています。とはいえFASは非公開求人も多いため、よほど自力に自信がある場合を除き、エージェントを併用する方が選択肢を広げやすいでしょう。

FASへの転職はやめとけというのは本当？

インターネット上では「FASはやめとけ」といった声も散見されます。確かに、長時間労働や高い成果プレッシャーがあるため、人によっては厳しい環境に感じることも事実です。しかし、その分早期から高い専門性を身につけ、市場価値を高められるという大きなメリットもあります。

「やめとけ」という意見の多くはワークライフバランスに偏ったものであり、キャリア形成や年収アップを重視する人にとってはむしろ魅力的なフィールドです。自分が何を優先したいかによって評価が変わる業界といえるでしょう。

FAS転職まとめ

FAS業界はM&Aや事業承継の拡大を背景に成長が続いており、高い専門性を磨ける環境が整っています。転職では年齢よりもスキルや資格が重視され、30代以降でも十分チャンスがあります。

エージェントを使うかどうかは状況次第ですが、非公開求人や情報収集を重視するなら活用がおすすめです。「FASはやめとけ」という意見もある一方、挑戦する人にとっては大きな成長とキャリアの広がりが得られる業界です。