監査法人の非常勤という働き方は、専門性を活かしながら柔軟なキャリアを築けるため、ワークライフバランスを重視する会計士にとって有効な選択肢です。一方で、実際の仕事内容や給与水準、未経験での応募可否など、具体的な情報が少なく判断に迷うことも少なくありません。
この記事では、監査法人における非常勤の業務内容から給与相場、効果的な求人の探し方まで、監査法人で非常勤として働くための情報を詳しく解説します。おすすめの転職エージェントも紹介しているので、この記事を読めば、非常勤監査の全体像を深く理解し、キャリアプランを具体的に描くことができるでしょう。
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監査法人の非常勤とは

監査法人の非常勤とは、正社員とは異なり、期間や業務範囲を限定して監査法人で働くワークスタイルを指します。雇用形態は業務委託契約が中心ですが、契約社員やアルバイト・パートとして採用されるケースもあります。公認会計士や会計士試験合格者、監査法人での実務経験者が、自身の専門知識やスキルを活かして働きます。
実務においては常勤の公認会計士と同じ様に監査業務を行うケースが多いですが、勤務期間や時間が限定されているため、より柔軟な働き方を実現できる選択肢として注目されています。ここでは、監査法人における非常勤の働き方を解説します。
監査法人で非常勤が求められている理由
監査法人が非常勤スタッフを求める主な理由は、監査業務の繁忙期と閑散期の差が激しいことにあります。特に、多くの企業の決算期が集中する4月から5月にかけては、監査業務がピークを迎えるため、一時的に多くの人手が必要となります。
このような時期に、監査実務経験を持つ人材を非常勤として確保することで、監査法人は業務の波に柔軟に対応し、監査の品質を維持することができるのです。
また、近年では金融やIT、国際財務報告基準など特定の分野における高度な専門知識を持つ人材への需要も高まっています。常勤で採用するにはコストが見合わない場合や、特定のプロジェクトで専門家が必要な場合に、非常勤として専門家と契約するケースも増えています。
監査法人の非常勤の働き方・正社員との違い
監査法人の非常勤は正社員とは大きく異なる働き方となります。勤務時間は週2~3日、1日5~6時間程度で調整可能なケースが多く、在宅勤務を認める法人も増えています。業務範囲は契約で明確に定められており、監査調書作成や残高確認といった実務作業に集中できる一方、チームマネジメントや新人指導は基本的に担当しません。
報酬体系も時給制や日当制が主流で、正社員のような月給制ではありません。ただし福利厚生については、業務委託契約の場合は社会保険や退職金制度の適用外となるため、国民健康保険や国民年金への加入が必要です。
監査法人の非常勤が行う業務内容
非常勤スタッフの業務は監査チームのサポートが中心となり、経験レベルに応じて担当範囲が決まるのが一般的です。初級レベルでは、現預金の残高確認状発送や回収作業、固定資産の実査といった基礎的な監査手続きを担当します。
中級レベルになると、売上や仕入の実証手続き、監査調書の作成と査閲対応を任されます。上級レベルでは、会計処理の妥当性検討や内部統制評価の実施、クライアントとの論点整理などより専門性の高い業務を担当する流れです。
IT監査や金融監査などの専門分野では、システムの脆弱性診断やデリバティブ取引の評価など、特殊な知識を要する業務も含まれます。基本的には正社員の指示のもとで作業を進めます。
監査法人の非常勤は時給どれくらい?

監査法人の非常勤の報酬体系は、時給制だけではなく、日給制や月給制、プロジェクト単位での業務委託報酬など多岐にわたります。年収に換算すると400万円〜1,000万円程度が一般的な相場です。
報酬額は、公認会計士資格の有無や監査法人での実務経験年数、担当する業務の専門性など、様々な要因によって大きく変動します。高度な専門知識が求められる案件では、報酬も高くなる傾向があります。
監査法人の非常勤は時給5,000~10,000円を超えることもある
監査法人の非常勤の報酬は経験やスキルに応じて変動しますが、時給換算すると一般的に5,000円から10,000円程度が相場です。具体的には、監査の実務経験が3年程度あれば時給5,000円から、マネージャー経験者であればさらに高い時給がひとつの目安となるでしょう。
さらに、国際会計基準(IFRS)やシステム監査といった専門性が高い分野では需要が高く、時給10,000円を大きく超える高単価な案件も存在します。繁忙期には、さらに加算されることもあり、スキルと経験次第で効率的に高収入を得られる魅力的な働き方といえます。
監査法人の非常勤求人例

実際の求人市場では多様な非常勤ポジションが募集されています。ここでは、監査法人の非常勤求人の例を紹介します。
監査法人の非常勤求人①会計監査における補助業務
監査法人の非常勤求人①会計監査における補助業務 | |
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年収 | 700万円~1,000万円 |
稼働時間 | 9:30ー17:30(平均残業 月20時間以下) |
休日休暇 | 週休2日制(土・日※年10日程土曜出勤あり) 振替休日、祝日、年末年始、 慶弔休暇 年末年始、有給休暇など |
業務内容 | 会計監査における補助業務 (金商法、会社法、学校法人監査など) |
※記事執筆時点の情報のため現在は募集終了している可能性があります
名古屋市勤務の非常勤監査スタッフ求人です。年収700万~1,000万円の高待遇に加え、年間休日120日以上、残業少なめでワークライフバランスも良好です。金融商品取引法監査から任意監査まで、幅広いクライアントの監査補助業務を通じて多様な経験を積める点が魅力です。
監査法人の非常勤求人②リモートでのシステム監査
監査法人の非常勤求人②リモートでのシステム監査 | |
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年収 | 445万円~1385万円 |
稼働時間 | 9:30~17:30(平均残業 月20時間以下) |
休日休暇 | 完全週休2日制(土・日) 年末年始休暇、慶弔休暇、日曜日、有給休暇、祝日 出産・育児休暇、土曜日、夏季休暇など |
業務内容 | 会計システム・関連システムの監査、保証業務など |
※記事執筆時点の情報のため現在は募集終了している可能性があります
全国の主要都市で勤務可能なシステム監査の求人です。年収は経験に応じ445万~1,385万円と幅広く、未経験から管理職まで募集しています。リモートワークやフレックス制度も完備しており、柔軟な働き方が可能です。システム開発経験を活かし専門性を高めたい方に最適です。
監査法人の非常勤求人③金融商品取引法・会社法監査
監査法人の非常勤求人③金融商品取引法・会社法監査 | |
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年収 | 100万円~300万円 |
稼働時間 | 9:00~17:00 (平均残業 月5時間以下) |
休日休暇 | 完全週休2日制(土・日) 年末年始休暇、慶弔休暇、日曜日、有給休暇、祝日 出産・育児休暇、夏季休暇など |
業務内容 | 法定監査、任意監査、IPO支援業務、各種コンサルティング業務など |
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愛知県・三重県で勤務可能な非常勤監査スタッフの求人です。残業は月5時間以下、リモートワークも可能で、ワークライフバランスを重視する方に最適です。年収については経験に応じて日額で計算可能とあるため、稼働日数により変わるものと思われます。
監査法人の非常勤で働くメリット

監査法人の非常勤には、正社員とは異なる様々なメリットがあります。ここでは、代表的なメリットを解説します。
残業が少なく時間的な負担が少ない
非常勤の場合、あらかじめ契約で勤務時間や曜日が定められていることがほとんどです。そのため、正社員のように突発的な残業や休日出勤を求められるケースは比較的少なく、プライベートの時間を確保しやすい傾向にあります。
もちろん、監査の繁忙期やプロジェクトの進捗状況によっては残業が発生することもありますが、基本的には契約の範囲内での勤務となるため、常勤と比較して時間的な負担は少ないといえるでしょう。子育てや介護、資格の勉強など、仕事以外の時間も大切にしたい方にとって、これは大きなメリットです。
ただし、残業の有無や程度は契約内容や法人の方針によって異なるため、事前に確認しておくことが重要です。
短時間稼働で高報酬を得やすい
監査法人の非常勤は時給換算で5,000円〜10,000円と、高い報酬水準を誇ります。これは、公認会計士や監査実務経験者といった専門性の高い人材が求められるためです。
週3日の勤務でも、一般的なフルタイム勤務と同等かそれ以上の収入を得ることも可能です。これにより、「収入は維持しつつ、自由な時間を増やしたい」「限られた時間の中で効率的に稼ぎたい」といったニーズを満たすことができます。専門スキルを活かして、短時間の稼働で高い報酬を得られる点は、非常勤ならではの大きな魅力といえるでしょう。
さらに、金融監査やIFRSといった専門分野の経験があれば、より高収入を得ることも可能です。
決まった業務に集中しやすい
非常勤スタッフは契約時に担当業務が明確に定められているため、監査の実務作業に専念できます。正社員が担当するチームマネジメント、新人指導、営業活動などは基本的に対象外です。
例えば「売上監査の実証手続きと監査調書作成」という契約なら、その業務だけに集中して取り組めます。会議への参加も最小限に留まり、監査現場での実作業が中心です。この業務の明確化により、自分の得意分野を活かして効率的に成果を出すことができます。
監査業務そのものに専念したい方や、専門性を特定の分野で深めていきたい方にとっては、非常に働きやすい環境といえるでしょう。
Wワークができる場合もある
勤務日数の調整が利く非常勤は、他の仕事との併用がしやすい働き方です。「平日3日は監査法人、残り2日で独立会計士として顧客対応」「午前中は監査業務、午後は大学での講師業」といった多様な働き方が実現可能です。
特に、独立準備中の公認会計士にとっては、安定収入を確保しながら顧客開拓を進められる理想的な環境といえます。ただし、Wワークを検討する際には注意が必要です。監査法人によっては、情報漏洩のリスクや独立性の観点から、同業他社との契約は禁止されるケースがほとんどです。
Wワークを検討する際は、契約書の副業条項を必ず確認し、必要に応じて法人の承認を得ることが重要になります。
人間関係のストレスを感じにくい
非常勤は、特定の期間やプロジェクト単位でチームに参加することが多いため、正社員と比較して職場での人間関係が限定的になる傾向があります。社内の派閥や長期的な人間関係のしがらみといった、業務外のストレスを感じる場面は少ないでしょう。
業務に集中できる環境を求めている方や、ドライな人間関係を好む方にとっては、精神的な負担が少なく、働きやすいと感じられる点もメリットの一つです。ただし、最低限のコミュニケーション能力は必要で、チームワークを重視する監査業務では協調性も求められることは理解しておくべきでしょう。
監査法人の非常勤で働くデメリット

メリットがある一方で監査法人で非常勤として働くには注意すべき点もあります。
業務委託のケースも多い
監査法人の非常勤は雇用契約ではなく業務委託契約で働くケースが大半を占めます。業務委託の場合、社会保険や労働保険の適用がなく、国民健康保険と国民年金に自分で加入する必要があります。
これにより保険料負担が大きく増加し、例えば年収800万円なら年間約120万円の社会保険料を全額自己負担することになります。また有給休暇の制度もなく、休んだ分は収入から差し引かれ、退職金制度や住宅手当などの福利厚生も一切ありません。契約時には時間単価や月額単価だけでなく、これらの負担を考慮した実質的な収入を計算することが重要です。
契約期間が決まっていることが多い
非常勤契約の多くは3ヶ月、6ヶ月、1年といった有期契約がほとんどです。プロジェクトの完了や繁忙期の終了とともに契約が満了し、次の契約が保証されるわけではありません。監査法人の業績悪化やクライアント企業の監査法人変更により、突然契約終了となるリスクも存在します。
例えば、3月決算企業の監査が6月に完了すれば、その後の契約継続は不透明です。このため非常勤で働く場合は、常に次の仕事を探し続ける必要があり、安定した長期雇用を求める方には向いていません。複数の収入源を確保したり、正社員への転職も視野に入れたりといった、柔軟なキャリア戦略が求められます。
スキルアップできる環境とは限らない
非常勤スタッフには即戦力としての貢献が期待されるため、体系的な研修制度や手厚い指導を受ける機会は限定的です。正社員向けの社内研修への参加は基本的に対象外です。
業務範囲も契約で限定されているため、幅広い経験を積むことが困難です。例えば、売上監査しか担当しない場合、資産や負債の監査手法を学ぶ機会がありません。また上級職への昇進や管理職経験を積むこともできないため、キャリアアップの機会が制約されます。
若手会計士がスキルを伸ばしたい場合や、新しい専門分野に挑戦したい場合は、自発的に外部セミナーや研修に参加し、費用も自己負担で学習を継続する必要があります。
公認会計士の資格維持は自身で行う
公認会計士資格の維持には年間約12万円のコストが発生します。
以下の表は、2023年度の公認会計士協会の年会費例です。
普通会費 | 年額72,000円 |
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地域会会費(東京会の場合) | 年額42,000円 |
正社員として監査法人に勤務している場合、これらの費用は法人が負担してくれることがほとんどですが、非常勤の場合は、会費の支払いや研修の受講料が自己負担となるケースが多くなります。資格維持にかかるコストを自身で管理し、負担する必要がある点は、あらかじめ認識しておくべきデメリットです。
監査法人の非常勤に向いている人

ここでは、監査法人の非常勤に向いている人の特徴を解説します。
子育て中などで稼働時間が限られる人
非常勤の場合、育児や介護の状況変化に応じて契約内容を柔軟に調整できる点も大きな魅力です。「子供が幼稚園に通っている9時から14時まで」「保育園のお迎え時間に間に合うよう16時まで」といった制約がある中でも、専門性を活かして自身の状況に合った仕事を探せます。
また、常勤と比較して、法人との契約や相談次第で夏休みなどの長期休暇中に勤務日数を調整しやすい傾向にあるのも、非常勤ならではのメリットです。家庭と仕事を両立したい公認会計士にとって、非常勤は理想的な働き方の一つといえるでしょう。
専門的な業務のみに集中したい人
「マネジメントよりも実務に専念したい」「特定分野の専門性を深めたい」など、専門的な業務のみに集中したいと考える公認会計士には、非常勤が最適です。管理職としての会議出席、部下の評価・指導、営業活動、社内政治といった業務から解放され、純粋に監査の実務作業に集中できます。
例えば、IT監査のスペシャリストとして、システム統制の評価業務のみに特化して働くことが可能です。新しい技術や制度への対応も、自分の専門領域に絞って学習すればよいため、効率的にスキルアップを図れるでしょう。広く浅くではなく、狭く深く専門性を追求したい方には理想的な環境です。
独立準備中の会計士
将来の独立開業を目指す公認会計士にとって、非常勤は独立準備期間の理想的な働き方です。週2~3日の監査業務で安定した収入を確保しながら、残りの時間を顧客開拓や事務所開設準備に充てることができます。
監査の現場に継続的に関わることで最新の会計基準や実務動向を把握でき、独立後のアドバイザリー業務にも活かせるでしょう。また監査法人でのネットワークを維持することで、独立後の業務紹介や協業の機会も期待できます。
段階的に独立準備を進められるため、いきなり収入がゼロになるというリスクを回避できます。監査業務で得た知識や経験は、独立後の税務業務や会計コンサルティングの基盤となるでしょう。
資格取得などで勉強中の人
USCPA(米国公認会計士)、税理士、司法試験、MBA取得など、さらなるスキルアップを目指す方にとって、非常勤は学習時間を確保しやすい働き方です。週3日勤務なら残り4日を勉強に充てることができ、収入を維持しながら資格取得に集中できます。
監査業務で得た実務経験は、資格試験の学習内容と相互に補完し合い、より深い理解につながるでしょう。例えば税理士試験の会計学では、監査での実務経験が大いに役立ちます。USCPAの学習では、国際的な監査経験を活かすことができます。
資格取得後は、その資格を活かした専門分野での非常勤案件に挑戦することも可能で、時給アップやキャリアの幅を広げることも可能です。
常勤で働くことにストレスを感じる人
組織内の複雑な人間関係や、長時間労働を前提とした働き方にストレスを感じる方にとって、監査法人の非常勤は有効な選択肢です。
非常勤はプロジェクト単位での関わりが中心となるため、組織特有のしがらみや過度な付き合いから解放され、業務に集中しやすい環境で働けます。また、契約で定められた業務範囲と時間内で勤務するため、フルタイム特有のプレッシャーや慢性的な残業からも距離を置くことが可能です。
これにより、精神的な負担を大幅に軽減し、心身の健康を保ちながら専門性を発揮できます。プライベートの時間を確保し、自分らしいペースでキャリアを継続したい方に最適な働き方といえるでしょう。
監査法人の非常勤に向かない人

一方で、以下のような考えを持つ方には、監査法人の非常勤はあまり向いていない可能性があります。
安定して長期的に働きたい人
「一つの会社で長く働き続けたい」「安定した収入を最優先に考えたい」という価値観の方には、非常勤は不向きです。非常勤契約は3ヶ月から1年の有期契約が基本で、契約更新の保証がありません。監査法人の業績変動やクライアント企業の動向により、突然契約終了となるリスクが常に存在します。
また景気悪化時には非常勤契約から優先的に削減される傾向があります。このため長期的な住宅ローンの借り入れや将来設計が立てにくく、経済的な不安を抱えやすくなります。昇進や昇格といったキャリアパスも描きにくく、10年後、20年後の将来像を明確にしにくい働き方といえるでしょう。
福利厚生や社会保険にこだわる人
業務委託契約中心の非常勤では、正社員が享受する各種福利厚生を受けられません。住宅手当や家族手当、食事補助、健康診断費用補助などは一切対象外です。また社会保険料の会社負担もないため、例えば、年収800万円の場合、正社員なら会社が約60万円負担する社会保険料を全額自己負担することになります。
また、退職金制度もないため、老後資金は完全に自助努力で準備する必要があります。有給休暇制度もなく、体調不良で休んだ分は収入から差し引かれます。これらの福利厚生の経済価値を考えると、見かけの高時給だけでは判断できない部分があるといえるでしょう。
実務経験が浅くキャリアアップしたい人
監査法人での実務経験が2年未満の方や、これから本格的にキャリアを築きたい会計士の方には、非常勤はおすすめできません。非常勤には即戦力として一定水準の業務遂行能力が求められ、手厚いOJTや体系的な研修制度は期待できないからです。業務範囲も限定的で、監査の全体像を把握したり、幅広い経験を積んだりする機会が少なくなります。
また、チームマネジメントや部下指導の経験を積むこともできず、将来の管理職候補としてのスキル開発が困難といえるでしょう。若手のうちは正社員として多様な業務を経験し、監査の専門知識とビジネススキルを体系的に身につけることが、長期的なキャリア形成には重要です。
監査法人の非常勤求人の見つけ方

効率的に希望条件に合う非常勤求人を見つけるには、複数の情報収集ルートを活用することが重要です。ここでは、監査法人の非常勤求人の見つけ方を解説します。
監査法人に強い転職エージェントを利用する
会計業界に特化した転職エージェントを利用することで監査法人の非常勤求人を見つけやすくなります。転職エージェントは、大手監査法人から中規模法人まで幅広いネットワークを持ち、勤務日数や時給といった求職者の希望条件に合わせて最適な案件を紹介してくれるでしょう。
専任のキャリアアドバイザーが履歴書・職務経歴書の添削や、監査法人の面接対策まで一貫してサポートしくれるため、初めての転職活動でも安心です。登録・相談は無料で、情報収集段階からでも気軽に利用できます。会計業界の転職市場動向や給与相場についても詳しい情報を得られるため、まずは登録してみることをおすすめします。
日本公認会計士協会の求人情報をチェック
日本公認会計士協会が運営する、「公認会計士求人情報」では、監査法人が直接募集する非常勤求人が掲載されています。公認会計士協会の会員であれば無料で利用でき、信頼性の高い求人情報を入手できるでしょう。
法人の詳細な情報や経営方針なども確認できる場合がありますが、掲載される求人数は転職エージェントと比較すると限定的で、更新頻度も低い傾向があります。
定期的にサイトをチェックし、良い条件の求人が出た際にすぐに応募できるよう準備しておくことが重要です。また地域会の求人情報も併せて確認すると、地元密着型の監査法人の案件を見つけられる可能性があります。
人脈を活用する
監査法人での勤務経験がある方は、元同僚や上司、取引先との人脈を活用することで、思わぬ好条件の非常勤案件に出会える可能性があるでしょう。リファラル採用の場合、通常の選考プロセスよりもスムーズに進むことが多く、職場の雰囲気や実際の働き方について詳細な情報を事前に得ることができます。
また給与や勤務条件についても、紹介者を通じて事前に調整してもらえる場合があります。同業者が集まる研修会やセミナー、懇親会などに積極的に参加し、アピールしておくと声をかけてもらいやすくなるでしょう。ただし人脈に頼りすぎず、転職エージェントなど他の手段も併用することが重要です。
監査法人の非常勤求人探しにおすすめのエージェント3選

ここでは、会計業界の求人探しにおすすめの転職エージェントを紹介します。
MS-Japan

- 管理部門と士業に特化した圧倒的な専門性
- 質の高い非公開求人と豊富なハイクラス求人
- 専門分野に精通したキャリアアドバイザー
管理部門・士業に特化し、監査法人との信頼関係が強いエージェントとして挙げられるのがMS-Japanです。MS-Japanは、35年以上※1の歴史を持ち、経理や法務といった管理部門で7,000件以上※2、公認会計士や税理士などの士業・専門職で3,000件※3を超える求人を保有しています。
最大の強みは、求人の約90%※4が一般には公開されていない非公開求人であることです。その中にはMS-Japanだけの独占求人も多数含まれており、他では出会えない優良案件と巡り会える可能性があります。また、ミドル層向け求人の60%以上が年収700万円※5を超えるハイクラス案件で、キャリアアップを目指す方に最適です。
各分野に精通したキャリアアドバイザーが、専門的な視点から求人紹介や書類添削、面接対策まで一貫してサポートしてくれます。監査法人への転職においても、豊富な実績と情報量で力強い味方となってくれるでしょう。
参照元
※1※2※3※4※5MS-Japan
MS-Japanの基本情報 | |
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運営会社 | 株式会社MS-Japan |
公式サイト | https://www.jmsc.co.jp/ |
公開求人数 | 10,723件(2025年9月19日現在) |
主な求人職種 | 公認会計士、税理士、内部監査 経理・財務担当、人事・総務担当 経営企画、広報IR、購買関連職 マーケティング関連職 社会保険労務士、弁護士 会計事務所・税務スタッフなど |
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ヒュープロ

- 豊富な求人掲載数
- 業界を熟知したエージェントによるサポート
- 業界特化だからこそ得られるリアルな情報
ヒュープロは、税理士・会計業界においてトップクラスの求人数を誇る転職エージェントです。BIG4監査法人から働きやすい個人事務所、プライム上場企業の経理部門まで、あらゆるジャンルの求人を網羅しています。
ヒュープロの大きな魅力は、好条件・高待遇の独占非公開求人が多数存在することです。会員登録するだけで、他では見つからない優良なキャリアの選択肢が広がります。
また、業界を熟知したエージェントが、スピーディーかつ手間のかからないフローで、年収交渉まで含めた転職活動を力強くサポートしてくれるのも大きな特徴です。忙しい求職者のために、対応の速さと手間をかけないフローを徹底しています。
さらに、企業との深いつながりを活かしたリアルな情報提供から、面接対策、年収交渉まで、手厚くサポートしてくれます。監査法人への転職を目指す方にとって心強いパートナーとなるでしょう。
ヒュープロの基本情報 | |
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運営会社 | 株式会社ヒュープロ |
公式サイト | https://hupro-job.com/ |
公開求人数 | 5,869件(2025年9月19日現在) |
主な求人職種 | 公認会計士、税理士、税務関連職 社会保険労務士、経理財務スタッフ 人事労務関連職、法務・知財担当職 CFO、弁護士、事業継承コンサル M&A関連職、人事労務コンサルタント コンプライアンス室責任者など |
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ヤマトヒューマンキャピタル

- 転職後1年で年収186%※UPという驚異的な実績
- 独自の非公開求人が豊富
- 内定にコミットする徹底的な選考対策
ヤマトヒューマンキャピタルは、M&A、コンサル、金融といったハイクラス領域を得意とする転職エージェントです。転職1年後の平均年収アップ率約186%※という驚異的な実績を誇ります。未経験からでも投資銀行やPEファンドといった難関職種への転職を数多く実現させており、転職後のキャリアと年収を大幅に引き上げる交渉力と支援力が魅力です。
その多くは企業トップとの強固な関係性から生まれる非公開求人や独占案件で、他では出会えない成長機会を提供します。最大の特徴は「絶対内定獲得サポート」です。面接官の性格まで分析し、採用レベルに達するまで10回以上に及ぶこともある徹底した模擬面接で、求職者の内定を強力にバックアップします。
「人生の可能性を広げる」をスローガンに、多様な経歴を持つ質の高いヘッドハンターが、10年、20年先を見据えた最適なキャリア構築を真心を込めて支援します。
参照元
ヤマトヒューマンキャピタルの基本情報 | |
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運営会社 | ヤマトヒューマンキャピタル株式会社 |
公式サイト | https://yamatohc.co.jp/ |
公開求人数 | 2,903件(2025年9月19日現在) |
主な求人職種 | 公認会計士、米国公認会計士 中小企業診断士、IFA、経営企画 クロスボーダーM&A関連職 プライベートエクイティファンド関連職 バリュエーション・PMI支援 事業再生関連職、金融コンサルタントなど |
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監査法人の非常勤に関するよくある疑問

非常勤での働き方について、多くの方から寄せられる代表的な疑問を解説します。
監査法人の非常勤は大学生でもできる?
公認会計士試験に合格した大学生であれば、監査法人で非常勤として働くことが可能です。これは「学生非常勤」と呼ばれ、試験合格後に内定を得た監査法人で、大学在学中に勤務する制度を指します。
勤務期間は、正式な入社予定日から大学を卒業する3月末までが基本ですが、法人によっては内定直後から開始できる場合もあります。卒業を待たずに公認会計士登録に必要な実務経験を積めることや、時給3,000円程度と比較的高水準の報酬を得られることが大きなメリットです。
公認会計士の非常勤でずっと働くのは難しい?
非常勤として長期間働き続けることは不可能ではありませんが、いくつかの課題があります。最大の問題は雇用の不安定さです。契約更新の保証がないため、常に次の仕事を探し続ける必要があります。また、年齢が上がるにつれて、体力面での負担や新しい技術への対応が困難になるでしょう。
60歳を超えると新規契約を獲得するのが難しくなる傾向もある一方で、高い専門性を維持し続けられれば、定年後も継続して働けるケースもあります。IT監査や国際会計基準の専門家など、希少性の高いスキルを持つ方は比較的長期間活躍できるでしょう。
監査法人での非常勤は未経験でも可能?
監査実務が未経験でも監査法人の非常勤として働くことは可能です。公認会計士の論文式試験に合格していれば、学生・既卒を問わず採用の対象となり得ます。在学中の合格者が卒業までの期間を「学生非常勤」として勤務するケースが代表的です。
ただし、実務経験者と比較すると採用のハードルは上がるため、転職エージェントを活用するなど、応募書類や面接対策を周到に行うことが重要になります。一般的に、3年程度の実務経験があれば、業務への理解度が高いと評価され、多くの法人で採用されやすくなるのが実情です。
監査法人の非常勤の掛け持ちはできますか?
監査法人における非常勤の掛け持ち、特に他の監査法人との兼業は制限される場合があります。主な理由は、監査業務に不可欠な独立性の確保と競業避止義務にあります。
複数の監査法人に籍を置くと、それぞれのクライアント間で利益相反が生じる可能性があり、監査の公正性が損なわれるリスクがあるためです。また、競業避止義務の観点からも同業他社での兼業は通常制限されます。そのため、掛け持ちを希望する場合は、必ず応募前に法人の方針を確認することが必要です。
法人に無断で掛け持ちをした場合、独立性違反や契約違反とみなされ、重大な問題に発展する恐れがあるため十分に注意しましょう。
監査法人の非常勤まとめ

本記事では、監査法人の非常勤について解説しました。非常勤は、専門性を活かしながらワークライフバランスを実現できる魅力的な働き方です。
興味を持った方は、まず会計業界に強い転職エージェントに相談し、市場動向や求人情報を収集することから始めてみてください。専門のキャリアアドバイザーと話すことで、自分では気づかなかった可能性やキャリアの選択肢が見えてくるかもしれません。