AWSエンジニアはAmazon提供のクラウドサービスAWSを扱うエンジニアのことを指し、ニーズが高く将来性が期待できる職種です。
そのため、AWSエンジニアとして独立を含めたキャリアパスを考えたいものの、フリーランスのリアルな実態がよくわからなくてお困りの方も多くいらっしゃるでしょう。
そこで、フリーランスのAWSエンジニアの収入事情や将来性、独立のメリット・デメリットなどについて詳しく解説します。
独立後の具体的なイメージを掴むため、ぜひこの記事を参考にしてください。
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フリーランスAWSエンジニアの仕事内容
はじめに、フリーランスAWSエンジニアの仕事内容がどのようなものかを解説します。
AWSエンジニアの仕事内容
AWSは、Amazonが提供しているクラウドサービスで、AWSを扱う技術者をAWSエンジニアと呼びます。
AWSエンジニアの主な仕事内容は、環境設計、環境構築、運用・保守です。
環境設計
AWS上で使用する仮想サーバーやストレージといったインフラを設計します。
クラウドを使用する点が、通常の環境設計と異なります。
クライアントの要望に応じて適切な環境を設計するには、AWSはもちろん、サーバー、ネットワーク、セキュリティなどについて熟知している必要があります。
クライアントがすでにオンプレミス環境を保有しているケースでは、AWS上にスムーズに移行できるよう、既存システムを設計し直すこともあります。
環境構築
設計した環境を、実際に構築します。
AWSにはストレージ、ネットワーク、セキュリティなど200以上の機能が用意されているので、その中から必要なサービスを組み合わせてインフラを構築します。
AWSエンジニアは、AWSの多数ある機能について熟知し、最適な組み合わせを抽出することが求められます。
運用・保守
構築した環境を運用し、必要に応じて保守・監視を行います。
AWSのインフラ部分のメンテナンスはAWSが行いますが、AWS上にユーザーが構築した部分については、ユーザーが管理する必要があります。
サービスが安定的に稼働しているかどうかの監視やソフトのアップデート、必要に応じてサーバー増設やトラブル対応などを行います。
AWSエンジニアとしてフリーランスと会社員の違い
フリーランスAWSエンジニアと会社員のAWSエンジニアとの主な違いは、仕事の裁量と働き方です。
会社員は、基本的に業務命令に従って仕事をしますが、フリーランスAWSエンジニアはどの案件を選ぶのかを自分で決定できます。
使用するプログラミング言語や開発環境などをすべて自分で決められるので、スキルアップ、キャリアパスを描きながら仕事を選ぶことも可能です。
また、フリーランスは、仕事をする場所や勤務時間も自分で決められます。
フリーランスAWSエンジニア向けの案件は、常駐が必須の案件もありますが、在宅、フルリモートで対応可能なものも多くありますので、比較的自由な働き方も可能です。
フリーランスAWSエンジニアになる具体的なメリット・デメリットについては、記事の後半で改めて解説します。
フリーランスAWSエンジニアの案件特徴
フリーランスAWSエンジニアの案件には、次のような特徴があります。
AWS案件の特徴
AWS案件の特徴の一つは、クライアントが多種多様なことです。
AWSは、初期費用を抑えられるメリットからスタートアップ企業や中小企業で多く採用されています。
また、サービスの充実度や信頼性の高さなどを背景に大企業や官公庁などでも利用が進んでおり、日本の中央省庁向けクラウド基盤にも採用されています(出典:AWS最新情報、第二期政府共通プラットフォームにおける クラウドサービス調達とその契約に係る報告書)。
これら様々な企業・組織がAWS案件のクライアントとなるため、クライアントの規模や業種が幅広くなるのです。
また、コロナ禍や働き方改革、DX推進の影響などにより、サーバーやネットワーク環境等を自社で保有・運用するオンプレミス環境からクラウド環境へと移行する企業・団体がかなり増えています。
移行案件を筆頭に、案件数が豊富にあることもAWS案件の特徴と言えます。
AWS案件によくみられる事例
AWS案件によくみられる事例を3つご紹介します。
移行案件
先ほどご紹介したとおり、AWS案件で現在、増えているのがオンプレミス環境からクラウドへの移行案件(リプレイス案件)です。
既存システムを書き換えてAWS化するため、AWS関連に加え、システム・プログラミングの知識や経験も必須となります。
運用・保守案件
開発したAWSの運用や保守を行う案件も多数あります。
スペック管理やセキュリティ管理などを行い、AWSからのメンテナンス通知が来れば対応します。
ソフトウェアやネットワークなど幅広い領域の知識・経験が求められるため、AWSエンジニアのスキル・経験によって対応できる具体的な業務範囲が変わります。
新規構築案件
AWS上に新たにインフラを構築する案件も多くあります。
Snowflakeのような他のクラウド・ソフトウェアをAWSと組み合わせ、AWS上で動作させるような案件も増えています。
AWSエンジニアには、各サービス・ソフトの知識に加え、上流工程でのマネジメントの経験も求められます。
フリーランスAWSエンジニアの単価相場と年収目安
フリーランスAWSエンジニアの案件事例や単価相場、気になる年収目安について解説します。
フリーランスAWSエンジニアの案件事例と単価相場
フリーランスAWSエンジニア向け案件に強いギークスジョブで、実際にどのようなAWS案件があるのか見てみましょう。
案件例1
アパレル系ECサイトのインフラの保守等を行う案件で、AWSを用いたインフラ構築経験などが必須となっています。
案件例2
こちらは、自社サービスの構築や運用、管理等を行う案件で、フルリモートが可能です。
AWSの設計構築について3年以上の経験が必須となっています。
案件例3
こちらは、インフラ環境の構築や自社プロダクトの運用等を行う、裁量と責任を伴う業務です。
単価が100~120万円の高額案件ですが、その分、多くの経験やスキルが求められます。
ギークスジョブには、2024年6月20日現在でAWS案件が342件公開されています。
案件単価は、「70~80万円」のように幅があり、各案件単価の中央値(「70~80万円」の案件であれば75万円)を集計したものが上のグラフです。
もっとも多いのは中央値が70~80万円(税抜き)の案件で全体の37%、次いで80~90万円が35%などとなっています。
全体の7割以上の案件が70~90万円の範囲に含まれていることから、税抜きの案件単価で80万円程度がAWS案件のボリュームゾーンと考えられます。
なお、上記は公開案件の単価によるものですが、高単価、好条件の案件は非公開とされていることもあるので、実際の単価はもっと高い可能性があります。
AWS案件の単価は経験とスキルによって変わる
AWS案件の単価は、業務内容や勤務時間のほか経験とスキルによっても変わります。
一般的なシステム構築やサービス運用を行うAWS案件は、上の案件例1のように単価が約60万円前後のものが多く、それに加えて特殊スキルが必要であったりプロジェクトリーダーなどのポジションに就いたりする案件は案件例2に見られるような約80万円前後のものが主流です。
さらに、案件例3のようにプロジェクトマネージャー(PM/PMO)やディレクターとしてプロジェクト全体を総括、課題解決する立場では、案件単価が100万円以上とより高くなる傾向です。
企業に多い年功序列と異なり、実力次第で稼げることは、フリーランスAWSエンジニアの魅力の一つでしょう。
フリーランスAWSエンジニアの年収目安
ギークスジョブの案件事例でご紹介した通り、AWS案件の多くは、1つの案件に必要な勤務時間が140~180時間程度となっています。
フルタイムの正社員と同じく1日8時間、週40時間働くと仮定すると、月当たりの労働時間は160~170時間前後です。
各案件の実際の勤務形態は案件ごとに異なりますが、140~180時間を要する案件であれば、必要に応じて残業しながら概ね1か月程度でこなせる計算となります。
月単価が80万円程度の案件を年間12件こなした場合、年収は約960万円です。
長期休暇や体調不良などの可能性を考慮し、受注を年間10件とすれば年収は約800万円、年間8件であれば約640万円です。
同様に、月単価が60万円程度の場合は年間10件で年収約600万円、8件で約480万円、月単価が100万円程度であれば年間10件で年収約1000万円、8件で約800万円です。
このように、フリーランスAWSエンジニアの年収は案件単価によってかなり変わります。
高単価案件を獲得するためのコツも、この記事内で解説しますので、ぜひ参考にしてください。
フリーランスAWSエンジニアの需要と将来性
フリーランスAWSエンジニアの需要は実際のところどの程度あるのでしょうか。
将来性の見通しとあわせて解説します。
フリーランスAWSエンジニアの需要
世界的な市場調査会社Canalysの調査「Canalys estimates, February 2024(Global cloud services market Q4 2023)」によると、AWSのシェアは31%で、世界のクラウドサービスの中でトップを誇っています。
2位のMicrosoft Azureは26%、3位のGoogle Cloudは10%で、それぞれここ数年でシェアをかなり伸ばしているものの、AWSには追いついておらず、AWSの需要は高水準で推移してきています。
また、総務省「令和5年通信利用動向調査報告書(企業編)」を見ても、クラウドサービスを利用している企業は年々増加しています。
最新データでは、「全社的に利用している」と回答した企業が50.5%、「一部の事業所または部門で利用している」が27.0%で、合わせて8割近くの企業が何らかの形でクラウドサービスを利用しています。
産業分類別に見ても、調査対象となっているすべての産業で7~9割ほどの企業がクラウドサービスを利用しており、幅広い分野で需要があることがわかります。
クラウドサービス全体の需要が高い中で、AWSのシェアも高いことから、AWSエンジニアの需要もかなり高い現状にあり、フリーランスAWSエンジニア向けの案件も増えています。
フリーランスAWSエンジニアの将来性
クラウドサービスの需要は増加傾向にあります。
上でご紹介した「令和5年通信利用動向調査報告書(企業編)」でも、クラウドサービスの利用割合が年々高まっていることに加え、「利用していないが、今後利用する予定がある」と回答した企業が7.6%あります。
一方、「利用していないし、今後利用する予定もない」という回答は年々減少しており、全体的に見て、今後もクラウドサービスを利用する企業は増えると予測できます。
その中で、AWSは高いシェアを維持しています。
AWSは幅広い業界で利用されており、サービス内容も新機能の追加や既存機能の改善などでどんどん向上していることから、AWSを取り入れる業界・企業は今後も増加し、AWSを扱うAWSエンジニアの需要も増加するでしょう。
一人前のAWSエンジニアになるには、知識・スキルの習得や実務経験を積むのに年月を要することから、優秀な人材を外部に求める企業が増えると考えられます。
これらのことから、フリーランスAWSエンジニアの将来性は非常に明るいと言えます。
フリーランスAWSエンジニアになるメリット
フリーランスAWSエンジニアになるメリットとして、主に次の3点が挙げられます。
収入をUPさせられる可能性がある
収入をUPさせられる可能性がある点は、フリーランスAWSエンジニアになる大きなメリットです。
フリーランスは会社員と違って、自分の働きが収入に直結します。
高単価の案件を中心に受注したり、案件を沢山こなしたり、と自分のスキルややる気次第で収入UPが可能です。
案件を自分で選ぶことができる
フリーランスは案件を自分で選ぶことができます。
将来のキャリアを考えて新たな分野にチャレンジする、といったことも可能です。
もちろん、希望する案件の募集がなければ受注もできませんし、募集内容に対してスキルや経験が不足しているケースもあり得ますが、やりたくない仕事は引き受けなくて良いことは、大きなメリットの一つでしょう。
自分のライフスタイルに合わせた働き方ができる
自分のライフスタイルに合わせた働き方ができる点も、フリーランスAWSエンジニアとなる魅力の一つでしょう。
AWSはクラウドサービスなので、いつでも、どこからでもアクセスできます。
そのため、オンライン、フルリモートで仕事ができて出社不要の案件も多くあります。
そのような案件を中心に受注すれば、働く場所や時間を自分の裁量で決定できます。
フリーランスAWSエンジニアになるデメリット
フリーランスAWSエンジニアになるデメリットとして、次のようなことが考えられます。
収入が安定しにくい
収入が安定しにくいことは、フリーランスのデメリットの一つです。
会社員のように毎月決まった給与が得られるわけではなく、仕事に応じた収入となり、受注した案件の数や単価などで収入が変動します。
仕事をしなければ収入を得られませんので、案件を獲得できず仕事ができなければ、その間の収入はゼロですし、高単価の案件が続けば収入も上がります。
フリーランスAWSエンジニア向けの案件は豊富で、高単価のものも多いので、他の業種のフリーランスと比べればコンスタントに案件を獲得しやすいと考えられますが、高収入が続く保障はありませんので、安定性を求める方は注意が必要です。
社会保障や福利厚生が受けられない
フリーランスと会社員とでは、社会保障や福利厚生に違いがあります。
社会保険は、会社員時代に厚生年金に加入していても、フリーランスになると加入資格を失い、国民年金に加入することとなり、将来受け取れる金額が減少する可能性があります。
また、フリーランスは労働保険(労災や雇用保険)に加入できず、失業給付等を受け取れません。
企業のような福利厚生サービスも受けられず、社宅、社食、施設利用の優待などもありません。
フリーランスでも民間の福利厚生サービスに加入するなど工夫はできますが、社会保障や福利厚生を重視する方にとってはフリーランスとなるデメリットと感じられるでしょう。
案件獲得や経理などを自身で行わなければならない
フリーランスは、案件獲得や経理などをすべて自身で行わなければなりません。
案件獲得のための営業活動や日ごろの人脈づくり、提案書や契約書といった書類作成、経理や納税など様々な事務作業は、なかなか大変なことが多く、時間も要します。
AWSエンジニアとしての本業以外もすべて自分で行わなければならないことは、人によっては大きなデメリットとなるでしょう。
なお、後でご紹介するフリーランスAWSエンジニアに強いエージェントを活用すれば営業の必要がなくなりますし、事務作業の代行やサポートを受けられるため、案件獲得や経理等に自信がない方はぜひエージェント活用をご検討ください。
フリーランスAWSエンジニアに必要なスキルと知識
フリーランスAWSエンジニアにはどのようなスキル・知識が必要とされるのかについて解説します。
AWSの専門知識と使いこなせるスキル
AWSの専門知識と使いこなせるスキルは、フリーランスAWSエンジニアになる上で必須です。
AWSは機能がかなり豊富なので、一言で専門知識やスキルと言っても、聞いたことがある・触れたことがあるという人もいれば、深い造詣がある・ハイレベルに使いこなせるという人もいます。
AWSエンジニアとして高単価の案件を受注したければ、それに見合う知識・スキルを身につける必要があります。
ITインフラについての全般的な知識
AWSエンジニアは、環境設計や環境構築を行う仕事なので、ITインフラについての全般的な知識も必要です。
要件定義、設計、運用、保守など、求められる知識はかなり幅広くあります。
また、構築したインフラがスムーズに利用されるよう、利用者の声をきちんと取り入れ、操作性の良いサービスにすることも必要です。
そのようなスキルは、机上で学ぶだけではなく、経験を積みながら培っていきましょう。
サーバインフラやネットワークに関する知識とスキル
サーバインフラやネットワークに関する知識とスキルは、AWSエンジニアとして必須というわけではありませんが、受注できる案件の幅を広げるためにもぜひ身に着けておきたいところです。
たとえば、昨今増えているオンプレミス環境からクラウド環境への移行案件などで大いに役立ちます。
情報収集能力
AWSは、他のクラウドサービスに先駆けて新技術・新サービスを取り入れることがよくありますので、新サービスの情報などを注視する必要があります。
成長著しいIT業界で仕事をしていくためには、クライアントとなる企業・業界の動向や新技術などの最新情報も常にキャッチしなければなりません。
情報収集能力は、フリーランスAWSエンジニアにとって欠かせない能力の一つと言えます。
コミュニケーションスキル
AWSエンジニアはチームで仕事をすることがあるので、チームメートや上司、関係者等とのコミュニケーションが大切です。
ポジションが上がれば、チームをまとめたり、計画をクライアントに説明したり、とさらに円滑な対人関係が求められます。
最近では、社外の立場であるフリーランスAWSエンジニアにプロジェクトリーダーを依頼するクライアントが増えてきていますので、高単価案件の受注のためにもコミュニケーションスキルを磨いておきましょう。
マネジメントスキル
すべて自分の裁量で仕事をするためには、マネジメントスキルも必要です。
案件の受注ペースや休暇の取り方など、自身の働き方についても自己判断ですし、日々のタスク管理、スケジュール調整などもきちんと行わなければなりません。
仕事を忘れたり遅れたりすると信用の失墜につながりますので、マネジメントスキルは独立前から意識的に身に着けておくと良いでしょう。
フリーランスAWSエンジニアになるうえで役立つ資格
フリーランスAWSエンジニアになるうえで、必須の資格は特にありませんが、次のような資格があれば、案件獲得の際などに自身の能力を証明・アピールするのに役立つと考えられます。
AWS認定
AWS認定(AWS Certification)は、AWSに関するスキルや知識、ノウハウを問うAWS公認の試験です。
AWSエンジニアが取得すれば自分の能力を客観的に証明することができます。
最近では、AWSエンジニアを目指す育成人材が自分のレベルを確認するため受験するケースも増えています。
12の資格
AWS認定には、基礎的な理解を問うFoundational、初級エンジニア向けのAssociate、2年以上の経験を有する人向けのProfessional、さらに深く知識・スキルを掘り下げたSpecialtyの4つの区分があります。
Foundationalには、「AWS Certified Cloud practitioner」と「AWS Certified AI Practitioner」の2つの認定試験があります。
同様に、Associateには5種類、Professionalには2種類、Specialtyには3種類の試験があります。
それぞれの概要や受験料、自分にはどの試験を受験するのが最適なのかなどについては、公式サイトで解説されています。
試験方法はオンラインと試験センターでの受験があり、公式サイトからいつでも予約が可能です。
試験の種類や受験料等は、情報が更新されることがあるので、受験前に必ず最新情報をチェックしてください。
学習方法
AWS資格の学習方法は、実際にAWSサービスを使ってみる、オンライントレーニングを活用する、試験のサンプル問題を解いてみる、参考書等で学ぶ、といった方法が考えられます。
AWSサービスは、アカウント登録から1年間は、無料で使用できるサービスもあるので、登録して各サービスの挙動を体験してみると良いでしょう。
資格の有効期間
AWS認定資格は、有効期間が取得した日から3年間なので、資格を維持したければ3年ごと(資格執行前)に再認定試験を受ける必要があります。
クラウドサービスの世界は進化・変革が続いているので、再試験受験は自分の知識・スキルをアップデートする意味でも有効でしょう。
情報処理安全確保支援士
情報処理安全確保支援士(略称:登録セキスペ)は、サイバーセキュリティ対策についての専門知識や技能を証明する国家資格で、試験は独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施しています。
試験は筆記で、毎年4月と10月の2回行われます。
合格後、登録手続きや1年ごとの共通講習(オンライン講習)や、3年ごとの実績講習・特定講習を受講する必要があります。
資格の保持に費用・時間を要することから、合格しても登録しない人もいます。
登録すると、希望によりIPAの検索サービスに登録情報が公開されるので、専門知識・スキルを保有していることをアピールでき、案件獲得につながる可能性が高まります.
昨今は情報セキュリティを考慮したシステム設計といった案件も増えているので、フリーランスAWSエンジニアにとっては登録のメリットが大きいでしょう。
ネットワークスペシャリスト試験
ネットワークスペシャリスト試験は、ネットワークシステムを構築・維持するのに必要な知識・スキルを示す試験で、上記の登録セキスペと同じくIPAが実施しています。
情報処理技術者試験(国家資格)の最高ランク(スキルレベル4)に位置付けられている高度試験です。
試験は筆記で、毎年4月に行われます。
IT系の資格試験の中でも難易度がかなり高いことで知られている試験なので、合格すれば、ハイレベルの専門知識・スキルを証明でき、案件獲得に有利となるでしょう。
フリーランスAWSエンジニアに向いている人の特徴
次のような人は、フリーランスAWSエンジニアに向いています。
最新の情報を追い続けられる人
フリーランスAWSエンジニアは、AWSのサービス内容やメンテナンス等の情報はもちろん、隣接分野であるAWS以外のクラウドサービスの情報やIT・Web業界の動向などについても、常に最新情報をチェックしておく必要があります。
インターネット、業界紙、学術論文など多くの媒体のチェックが苦にならずに、最新の情報を追い続けられる人は、フリーランスAWSエンジニアに向いています。
視野を広くとれる人
フリーランスAWSエンジニアは、AWSにまつわる技術や要求された機能だけではなく、プロジェクトの全体像を把握したり、中長期的な改修や利用者のストレスフリーまで考えてシステムを設計したり、と多角的に考えて仕事をする必要があります。
技術者であってもサービスパーソンのような姿勢も持ち合わせ、視野を広くとれる人は、フリーランスAWSエンジニアの資質があると言えるでしょう。
コミュニケーション能力が高い人
フリーランスAWSエンジニアは、クライアントの担当者、チームメンバー、社内外の関係者など、多くの人と協力し合って仕事を進めます。
自分のことだけではなく相手の立場で物事を考えたり、プロジェクト全体として最大の成果を出せるよう円滑にコミュニケーションを図ったりすることが重要です。
コミュニケーション能力が高い人、協調性がある人はフリーランスAWSエンジニアに向いていると言えます。
細部まで注意深く気を配れる人
AWSエンジニアは環境設計から保守まで幅広い業務を担いますが、その目的はあくまでもユーザーに快適に利用してもらうことで、いわば裏方、影の功労者のような存在です。
AWSエンジニアが設計ミスをしたことでシステムが停止してしまうこともあり得ますが、それによりクライアント企業が消費者からの信用を失ってしまうような重大な事態に繋がる可能性もあります。
人目につきにくいところでも手を抜くことなく、細部まで注意深く気を配れる人は、フリーランスAWSエンジニアに向いていると言えます。
フリーランスAWSエンジニアが高単価な案件を獲得するには
フリーランスAWSエンジニアが高単価な案件を獲得するには、次の2点に留意してください。
上流工程の案件に参画できるようになる
フリーランスAWSエンジニアが高単価な案件を獲得するには、上流工程の案件に参画できるようになることが重要です。
上流工程の案件は、責任が大きいポジションに就いたり、高いスキル・知識や豊富な経験が必要とされたりする分、案件単価も高額です。
たとえば、PM/PMOやコンサルタントとして参画する案件などをコンスタントに受注している人は、一般的なシステム構築の案件が中心の人より高収入が期待できるでしょう。
上流工程の案件は、応募の時点で経験年数やスキル等の必須要件が設定されていることがほとんどなので、要件を満たせるよう、積極的にスキル・経験を身につけましょう。
AzureやGCPなど他クラウドサービスの知識やスキルも持つ
AWSはクラウドサービスの中でトップシェアを誇るサービスですが、AWS以外にもMicrosoft AzureやGCP(Google Cloud Platform)など色々なクラウドサービスがあります。
これらのクラウドサービスの知識・スキルを習得すれば、AWS以外のサービスを利用している企業の案件や、異なる環境間のクラウド移行関連の案件にも対応できるようになります。
また、Azureのフリーランス案件やGCPのフリーランス案件にも参画できれば案件獲得の幅が広がるとともに、高単価な案件を獲得できる可能性が高まります。
フリーランスAWSエンジニアにおすすめのエージェント
フリーランスAWSエンジニアにおすすめのエージェントを3社ご紹介します。
ギークスジョブ
運営会社 | ギークス株式会社 |
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公式サイト | https://geechs-job.com |
公開案件数 | 6,754件(2024年12月1日現在) |
職種 | PM/PMO、SE、プログラマーほか |
ギークスジョブは、ITフリーランス向け案件を専門に扱うエージェントです。
IT業界に特化している分、在籍しているコーディネーターは業界情報に詳しく、常に最新の動向・情報を入手しています。
クライアント企業は大手から中小まで多様で、案件数も豊富なので、希望に沿う案件が見つかりやすいでしょう。
個人では知るのが困難な社風や入社後の作業環境などを応募前に教えてもらえますし、クライアント企業との面談(商談)には担当者が同席して説明やサポートをしてくれるため交渉成立の確度が高く、内定後の条件交渉や案件開始後のサポートなども受けられます。
フリーランスAWSエンジニア向けの案件も多数あり、こだわりポイントを加えた案件検索も可能です。
非公開案件が多いので、登録して好条件の案件情報を得ることをおすすめします。
レバテックフリーランス
運営会社 | レバテック株式会社 |
---|---|
公式サイト | https://freelance.levtech.jp/ |
公開案件数 | 91,710件(2024年12月1日現在) |
職種 | インフラエンジニア、フロントエンジニア、アプリケーションエンジニアほか |
レバテックフリーランスは、IT・Web業界を専門とするフリーランス人材向け案件紹介サービスです。
エンジニア向けの案件が充実しており、もちろん、AWSエンジニア向け案件も豊富にあるため、フリーランスAWSエンジニアはぜひ登録しておきたいエージェントと言えます。
公開案件は、「Amazon EC2」や「Amazon S3」など開発環境を限定した案件検索も可能です。
案件単価が高い案件が多いことや、案件参画中に並行して次の案件の契約をしてもらえることから、安定的に高収入を得たい方に利用が向いています。
税務関連のサポートやキャリアパスの相談もでき、独立したての方にとっても頼りになるサービスです。
Midworks
運営会社 | 株式会社Branding Engineer |
---|---|
公式サイト | https://mid-works.com |
公開案件数 | 10,814件(2024年12月1日現在) |
職種 | PM/PMO、ITコンサルタントほか |
Midworksは、ITフリーランスエンジニア向けの案件紹介サービスです。
クライアント企業からの直案件が多いことから高額案件が多いのが特徴で、平均単価は98万円となっています。
長期的なサポートをモットーとしており、案件の受注が途切れないよう、案件参画中に後継の案件を紹介してもらえます。
案件が途切れた時は報酬が60%保障されるサービスもあるため、安定収入を目指したい方に利用が向いています。
マッチングや書類対策、面談(商談)対策などのサポートも高品質で、案件参画後のフォローもあるので、一人では心細いフリーランスでも安心です。
案件全体の80%が非公開案件となっているため、まずは登録をおすすめします。
そもそもAWS(Amazon Web Services)とは?基礎知識
そもそもAWS(Amazon Web Services)とはどのようなものなのでしょうか。
ぜひ知っておくべき基礎知識について解説します。
AWSとは何か
AWSは、「Amazon Web Service」の頭文字で、Amazonが提供している多数のクラウドサービスの総称です。
2006年のサービス開始から20年近い歴史を有し、クラウドインフラ市場での世界シェア1位を誇ります。
2011年には東京リージョン(データセンター等)が開設され、日本語での24時間サポートサービスなどがスタートしました。
クラウドサービスは、空中に浮かぶ雲(cloud)のイメージの通りネットワーク経由で利用でき、ソフトやデータをPCにインストールする必要がありません。
システムやハードウェアを保有しなくて良いため、初期投資が抑えられるメリットがあります。
AWSは従量制課金システムなので、利用した部分にのみ費用が発生し、月々の支払い金額も抑えられます。
AWSは、現在、世界の245の国・地域でサービスが提供されており、パフォーマンスにも優れています。
AWSの代表的なサービス
AWSの代表的なサービスには、次のようなものがあります。
Amazon EC2とAmazon S3は特に人気が高く、多くの企業・団体等で利用されています。
Amazon EC2
Amazon EC2(Amazon Elastic Compute Cloud)は、AWS上に仮想サーバーを構築できるサービスです。
数クリックで仮想サーバーを簡単に作成でき、ハードディスク・メモリなどのスペックもクリックのみで設定・変更できます。
無料利用枠で750時間/月(12か月間)の利用が可能です。
Amazon S3
Amazon S3(Amazon Simple Storage Service)は、AWS上にデータを保存・保護できるストレージ(記憶装置)サービスです。
データの種類を問わず、かつ、無制限に保存できるので、データ容量を気にする必要がありません。
管理機能も使いやすいので、データ管理・データ整理がしやすくなります。
データの耐久性も高く、データ消失のリスクが低いのも特徴です。
無料利用枠で5GBのS3 Standard ストレージを12か月間利用できます。
Amazon RDS
Amazon RDS(Amazon Relational Database Service)は、AWS上で利用できるデータベースサービスです。
必要事項を選択するだけで、簡単にデータベースを作ることができますし、保守作業もAWSが行うため、自社サーバーにデータベースを構築するよりかなり簡単に運用できます。
Amazon CloudWatch
Amazon CloudWatchは、AWS上のリソース・アプリケーションを監視できるサービスです。
自社で構築したサーバーなどを管理できるほか、ログの収集・分析やアラート通知なども可能です。
AWSの特徴
AWSの特徴として、機能が豊富なことや、最新技術のリリースが多いことがまず挙げられます。
サービスは200種類以上あり、他のクラウドサービスではまだ展開されていない最新サービスが、AWSでは提供されていることもあります。
また、AWSは世界中にネットワークを構築しており、利用者は安定的にサービスを享受できます。
データセンターが世界中にあることで、災害や障害の際は別エリアのデータセンターを使用でき、リスク分散にもつながっています。
セキュリティレベルが高いことも、AWSの特徴です。
セキュリティ対策は24時間、354日行われているので、安全に利用できます。
AWSには、無料利用枠もあります。
アカウントを作れば、誰でも無料で利用できるサービスが多く用意されています。
無料の期間が限られているサービスもあるので、サービス内容をよく理解してから利用をはじめましょう。
フリーランスのAWSエンジニアに関する疑問
フリーランスのAWSエンジニアについて、よくある疑問をご紹介します。
未経験からフリーランスAWSエンジニアになるにはどうすればよい?
フリーランスAWSエンジニアになるには、AWSエンジニアとして必要なスキルや知識を身に着けていることが大前提です。
未経験の場合、まずはプログラミングスクール、クラウド、専門書を活用するなどして、実務レベルのスキルや知識を習得してください。
そして、AWSエンジニアとして企業に就職して様々なプロジェクトに参画し、十分な実務経験を積みましょう。
その後は、次の通り、副業からはじめて独立するのがおすすめです。
AWS案件を副業からはじめてフリーランスになることは可能?
AWS案件を副業からはじめてフリーランスになることは可能です。
副業でも会社員とは違うフリーランスとしての働き方や案件の獲得方法についてイメージを掴めますし、その間にクライアント企業や業界関係者との人脈を広げられる可能性もあります。
副業からはじめることで、フリーランス独立後もスムーズに働けるでしょう。
在宅リモートでフリーランスAWSエンジニアとして働くことは可能?
在宅リモートでフリーランスAWSエンジニアとして働くことは可能です。
フリーランスAWSエンジニア向けの案件には、在宅で対応可能なものもあります。
勤務日数が週5日のフルタイム案件や、週2~3日程度で参画できる案件など、案件タイプも色々です。
ただし、常駐案件に比べると案件数が少ないことがあるので、良い条件の案件を獲得するためには、この記事でご紹介したようなフリーランスAWSエンジニア向け案件に強いエージェントを活用することをおすすめします。
フリーランスのAWSエンジニアまとめ
AWSはニーズが高いクラウドサービスで、今後、さらなる成長が期待されます。
それを扱うフリーランスAWSエンジニアの将来性も明るいと考えられます。
ただ、AWSのサービス内容が多岐に渡ることもあり、AWSエンジニア向けの案件には幅広い内容が含まれることが多く、フリーランスAWSエンジニアが自分の希望通りの案件を探すのはかなり大変です。
良い案件情報を着実に得るため、この記事でご紹介したフリーランスAWSエンジニアにおすすめのエージェントに複数登録しておくことをおすすめします。