海外市場への展開を見据えて越境ECを始めたいと考えても、言語対応や物流、現地の商習慣など、想像以上に多くの壁を感じることもあるのではないでしょうか。
そんな越境ECをスムーズに軌道に乗せるための心強いパートナーとなるのが越境ECコンサルです。国内でのECとは異なるノウハウが必要になるため、早い段階から専門的な支援を受けておくことで、効率的に導入を進めやすくなります。
今回の記事では、越境ECを支援するコンサル会社の中でも、実績や支援スタイルに定評のある企業を厳選して紹介します。
支援内容の全体像や成功事例も含めて解説しているので、これから越境ECに取り組む際に参考にしてください。
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越境ECコンサルとは

越境ECコンサルは、海外市場に向けてECを展開したい企業を専門的に支援するサービスです。
越境ECにおいては「モール型」と「自社サイト型」で、必要な準備や進め方が大きく異なります。モール型では既存の集客基盤を活用できる一方、自社サイト型はゼロからサイト設計や運用方法・ブランディングまで行うため、専門的な知見が必要です。
自社サイトに強いコンサル会社であれば、商品設計から導線設計、多言語対応、現地の決済・物流まで含めて実務レベルで支援を受けることができます。限られたリソースでも成果が出るよう、相性の良いサービスをうまく活用しましょう。
越境ECにおすすめのコンサル会社5社を徹底比較!

越境ECを支援しているコンサルティング会社は数多く存在しますが、それぞれ得意とする分野や支援スタイルには違いがあります。例えば、自社サイト構築に強みを持つ企業もあれば、特定の国や地域への販路開拓に精通している会社もあります。だからこそ、自社の課題や目指す方向性にマッチしたパートナーを選ぶことが重要です。
ここでは、おすすめの越境ECコンサル企業をご紹介します。今後検討する際の参考にしてください。
JUTOU株式会社

- 海外市場専門のコンサルタントがハンズオンで支援
- 業界・国を問わず150社超の豊富な支援実績
- データ起点の戦略設計とコンバージョン重視の提案が強み
JUTOU株式会社は、中国をはじめとする海外市場に特化した越境ECコンサルです。BtoBマーケティング・SNS運用代行など幅広い領域をカバーしています。
特に強みといえるのは、10年以上にわたって海外市場で経験を積んできた専任コンサルタントによるハンズオン型の支援です。他社では戦略だけにとどまりがちな支援も、同社では調査・設計から施策の実行までを一貫して伴走しています。
さらに累計150社以上の支援実績を持ち、化粧品・製造業・アパレルなど業界を問わず成果を出してきた実績も信頼の裏付けとなっています。データを起点に、KOL・KOCといったインフルエンサー施策など具体的なプロモーションを展開し、「購入につながる支援」にこだわっている点も特徴です。
費用面でも明瞭かつ業界最安級をうたっており、初めて越境ECに取り組む企業にも利用しやすい設計となっています。
JUTOU株式会社の基本情報 | |
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会社名 | JUTOU株式会社 |
設立 | 2018年4月 |
本社所在地 | 東京都中央区銀座6丁目13−9 GIRAC GINZA 8F |
公式サイト | https://ju-tou.net/ |
ジェイグラブ株式会社

- 支援実績3,000社超、官公庁・自治体からの信頼も厚い
- 段階的な販路拡大ステップで越境ECを着実に推進
- EC構築だけでなく、補助金支援まで一貫対応
ジェイグラブ株式会社は、越境EC支援において3,000社以上の実績を誇るコンサルティング会社です。大手企業や官公庁、自治体からの依頼も多く、越境ECに初めて挑戦する段階から本格的に大型展開するフェーズまで、クライアントの状況に応じた支援体制が整っています。
他社と比べて特徴的なのは、同社が運営する「j-Grab Mall」によるテストマーケティング支援です。初期段階で販売データやニーズを把握できるため、いきなり大規模展開するリスクを避けながら、実需に基づいた販路設計が可能になります。
その後は、Shopifyなどを活用した自社EC構築や海外モール出店の支援に移行し、さらに現地法人設立や保税倉庫の活用など、本格的な現地展開を視野に入れたサポート受けることができます。
補助金申請支援や自治体連携も強みとしており、予算に制約のある中小企業でも安心して取り組める支援体制が強みです。
ジェイグラブ株式会社の基本情報 | |
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会社名 | ジェイグラブ株式会社 |
設立 | 2010年2月4日 |
本社所在地 | 東京都渋谷区桜丘町14-1 ハッチェリー渋谷 |
公式サイト | https://www.j-grab.co.jp/ |
株式会社ENJOY JAPAN

- 中国市場に強みを持ち、インバウンドと越境ECを一気通貫で支援
- KGI達成に向けた実行重視のマーケティング設計
- SNS運用からモール出店、現地進出まで幅広く対応
株式会社ENJOY JAPANは、中国市場を中心とした越境EC・訪日インバウンド対策に特化したコンサルティング企業です。
特に他社と比較して際立つのは、KGI(最終目標)達成から逆算した実行重視の支援体制です。KOL・KOCを活用したSNSプロモーションはもちろん、中国向けモール出店や広告運用、さらには現地卸販売まで、フェーズごとの施策をトータルにカバーしています。
SNSやECサイトのデータ分析ツールも独自に開発しており、現地ユーザーの動向を可視化しながら運用改善につなげられる点も強みの一つです。また、プロジェクトごとに担当するコンサルタントも経験豊富で、サポートの質の高さも特徴です。
中国市場に明確な目的を持って挑む企業にとって、成果に直結する実践的な支援を受けられるパートナーといえるでしょう。
株式会社ENJOY JAPANの基本情報 | |
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会社名 | 株式会社ENJOY JAPAN |
設立 | 2010年2月 |
本社所在地 | 東京都新宿区四谷三栄町8-7 ネオ寺島ビル3階 |
公式サイト | https://enjoy-japan.jp/ |
世界ヘボカン株式会社

- 英語圏特化の越境EC・BtoBマーケティングに強み
- 調査・戦略から広告・SEOまで包括的に支援
- 海外専門チームによる実行力の高さと改善提案が特長
世界ヘボカン株式会社は、英語圏を対象とした越境ECやBtoBマーケティングに専門特化したコンサルティング企業です。特徴的なのは、代表を含む全メンバーが海外Webマーケティング専任という点で、国内向けには一切対応しないという徹底ぶりにあります。
調査・戦略立案から英語SEO、リスティング広告、コンテンツマーケティング、さらにはサイト制作・改善まで、一社で完結する包括的な支援体制が整っているのが強みです。特にShopifyによる越境ECサイト構築や、製造業・BtoB企業の英語サイト設計においても豊富な実績があり、「何から始めればよいか分からない」「成果が伸びない」と悩む企業の課題解決において豊富なノウハウを持っています。
目標から逆算した施策設計と、売上やリード獲得といった明確な成果に向けたコミットが強く、さまざまな状況のクライアントにとって信頼感も高い企業といえます。
世界ヘボカン株式会社の基本情報 | |
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会社名 | 世界ヘボカン株式会社 |
設立 | 2014年8月28日 |
本社所在地 | 東京都豊島区東池袋4-39-1 ナルハマビル3F |
公式サイト | https://www.s-bokan.com/ |
Inagoraホールディングス株式会社

- 中国向け越境ECに特化した自社アプリも展開
- コンテンツ制作から物流・決済まで一気通貫で支援
- 中国文化と生活者目線を踏まえた多角的な販売促進が強み
Inagoraホールディングス株式会社、中国向けに特化した越境ECプラットフォーム「豌豆公主(ワンドウ)」を運営しており、日本企業が中国で販売展開するうえで必要な機能をワンストップで提供しています。
最大の特徴は、自社で開発・運営するアプリに加え、KOL施策・物流・翻訳・コンテンツ制作・越境決済・保税倉庫連携など全工程を内包している点にあります。現地に広がる販路・SNS連携・プロモーションインフラをフル活用し、単なる商品出品ではなく「ブランドを育てていく」長期的な戦略支援が可能です。
特に、中国特有の文化や生活者ニーズを踏まえた丁寧な訴求コンテンツと、保税区活用による最短2日配送など、中国市場に最適化された仕組みづくりに強みがあります。
煩雑な手続きも一本化できるため、中国市場への本格展開を見据える企業にとって非常に頼もしいパートナーとなる企業といえるでしょう。
Inagoraホールディングス株式会社の基本情報 | |
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会社名 | Inagoraホールディングス株式会社 |
設立 | 2016年11月11日 |
本社所在地 | 東京都港区芝4丁目1−28 PMO田町III 2F |
公式サイト | https://www.inagora.com/ |
越境ECコンサルの主な支援内容

越境ECにこれから挑戦する企業にとって、最初の壁となるのが「どこから手をつけるべきか」が見えづらいことです。また、すでに取り組んでいる企業にとっては更なる売上高の拡大や運用コストのスリム化といった具体的な課題感を抱くケースが多くなっています。このようなクライアントの状況に即して、最適な支援を行うのが越境ECコンサルの役割です。
こちらでは、主な支援内容を5つに分けて解説します。
市場調査・戦略立案
越境ECを始めるにあたって、いきなり出店や広告出稿に動くのではなく、まずは現地市場の調査から丁寧に行うのが基本です。
例えば、中国や東南アジアのように文化や消費スタイルが異なる市場では、購買動機や競合の売れ筋も日本とは大きく異なります。コンサル会社では、こうした現地の商習慣やユーザーの反応を丁寧にリサーチし、自社にとってチャンスがあるかを見極めるところから支援が始まります。
どのモールに出店するか、在庫は日本か現地に置くのか、直販か代理店経由かなど、販売形態や体制も含めて具体的な戦略を整理していきます。
限られたリソースで成果につなげるための道筋を一緒に描いてもらえるのが、初期段階における大きな価値といえるでしょう。
販売チャネルの最適化
越境ECでは「どの販路を選ぶか」によって、売上の伸び方が大きく変わってきます。
例えば中国を例に挙げると、現地モールへの出店を検討する場合でも、Tmall GlobalやJD Worldwideなど、それぞれのモールに特徴や向いている商品カテゴリがあります。コンサルティング会社に相談することで、自社の商材にマッチするチャネルを一緒に見極めてもらえるため、出店後のミスマッチを防ぐための最適なチャネル選定を目指しましょう。
また、出店エリアに強い越境ECコンサルを活用することで、自社ECの構築や、現地の小売店やEC代行業者と連携した販売などの選択肢を広げることができます。加えて、物流や在庫の管理体制をどう組むかといった点まで踏み込んで設計することで、売上利益率を高めることも可能でしょう。
ブランド戦略・マーケティング
越境ECコンサルにとって、ブランド戦略やマーケティング施策のローカライズも重要な支援です。
越境ECでは、ただ商品を出せば売れるわけではなく、「どんなブランドとして見られるか」が購買に直結します。
現地ユーザーに響く見せ方や伝え方を整えることが、販売促進の土台になります。そのため、商品コンセプトやパッケージ、ストーリーの発信方法まで含めて、ブランドの設計から見直すケースも少なくありません。
さらに現地言語での訴求や、文化的背景をふまえた広告展開も重要です。SNS運用やインフルエンサーとのタイアップなども含めて、国ごとの特徴を理解したうえでマーケティング施策を組み立てることで、購入につながる導線が整っていきます。
EC運用代行
社内リソースが限られる企業にとって、参入後のEC運用代行は非常に重要な支援です。
海外ECモールに出店したあと、「実際の運用が思った以上に煩雑だった」と感じるケースは少なくありません。
商品登録や画像のローカライズ、現地ユーザーからの問い合わせ対応など、日々の細かな業務が多岐にわたります。これらをすべて自社で対応するのは現実的に難しいケースも多いのですが、運用代行の支援を受けることで負担を大きく軽減できるでしょう。
特に現地モールは仕様変更も多く、都度対応が求められる場面もありますが、コンサル会社であれば、環境変化にも柔軟に対応してもらえます。社内に専任体制を整える余裕がない企業にとっては、必ず活用したいサポートといえます。
データ分析と改善
越境ECは出店して終わりではなく、運用を始めてからの日々の改善が売上・利益を左右します。
仮に現時点で課題感を感じている場合は、現状をデータで把握することが重要です。コンサル会社に依頼すれば、売上やCV率だけでなく、ユーザーの流入経路や離脱ポイントなどを踏まえたデータ分析を行い改善策を整理できます。
また、現地モールや競合他社の動きも視野に入れて全体を見直すことで、次に着手すべき課題が明確になります。数字に基づいた判断ができるようになることで、施策の優先順位がつけ、無駄なコストを抑えながら効率的に改善していきましょう。
立ち上げや新規参入のサポートだけでなく、参入後の継続的な伴走支援も越境ECコンサルの重要な支援内容です。
越境ECコンサル会社の選び方

越境ECの成果を左右するのは、どのコンサル会社を利用するかによって大きく変わります。実績の豊富さだけでなく、どの国・エリアに強いのか、どこまで実務を任せられるのかといった点も見極める必要があります。
こちらでは、代表的な越境ECコンサル会社の選び方について解説します。
越境ECコンサル実績が豊富か
越境EC支援の経験が豊富なコンサル会社を選ぶことが、成果を出すために最も高い優先順位の条件になります。
現地市場の特性やモールの仕様、文化や商習慣の違いを踏まえた対応は、経験のある会社でなければ難しい部分が多くあります。例えば、「中国市場でのSNS連動施策に強い」など、自社の目的や商品特性に近い支援事例があるかを確認しておくと安心です。
また、過去の成功事例を見ても、自社と規模感やステージが近いケースがあるかどうかを見ておくのがおすすめです。実績という言葉だけで判断せず、「どの市場で、どんな課題に対して、どのような結果を出したか」に注目することで、自社と相性のよい支援パートナーを見つけやすくなるでしょう。
コミュニケーション能力が高い担当者がいる
実績に加えて、担当者とのコミュニケーションがスムーズに進むかどうかも重要です。
特に越境ECでは、文化や言語の違いだけでなく、オンライン上でのやり取りが中心になるため、ちょっとした認識のズレがトラブルにつながるケースも少なくありません。こちらの要望を正確にくみ取ってもらえるか、進捗共有が適切に行われるかどうかなど、事前のやり取りの中で確認しておくと安心です。
実際に相談してみた際のレスポンスの早さや、話の組み立て方、情報提供の丁寧さといった細かな点にも、その会社のサポート体制が表れます。運用が長期化するほど担当者との信頼関係が成果に影響してくるため、相性や対話のしやすさを見極めましょう。
ターゲット市場の知識が豊富にあるかどうか
ターゲットとする国や地域について、深い理解を持っているかどうかも重要です。
越境ECでは、現地の消費者行動や商習慣、文化的背景までを踏まえた対応が求められるため、表面的なデータだけでは通用しない場面も多くあります。例えば、同じ商品でも、訴求ポイントや価格帯、販路の選び方が国によって大きく異なるため、どのように現地ユーザーに届けていくかの判断を誤ると成果につながりにくくなります。
現地のモールや物流事情、広告運用のノウハウなどに関する実践的な知見を持つパートナーであれば、自社にとって現実的なアプローチを提案してもらえるはずです。まずは支援実績や過去のプロジェクトを確認し、どの国・エリアに強みがあるかを詳細までチェックしましょう。
ターゲット市場の言語サービスがある
現地の言語に対応しているかどうかも、越境ECでは重要なポイントです。
商品ページや広告、カスタマー対応など、ユーザーが目にする情報がきちんと現地語で整えられていないと、どれだけ商品が魅力的でも売上につながりません。母国語で丁寧に情報が届けられるだけで、購入率や満足度が大きく変わるケースもあるといわれます。
そのため、Webサイトやマーケティング資料の多言語対応が可能か、現地語でのサポート体制が整っているかなどを事前に確認しておくことが大切です。自社での対応が難しい場合でも、翻訳や運用を一括で任せられる体制があれば、スムーズに展開しやすくなります。
自社の求めるサービスを提供しているか
検討している企業が、自社にとって必要な支援内容を提供しているかを必ず確認しましょう。
越境ECといっても、立ち上げ支援、運用代行、マーケティング強化、物流体制の構築など、支援の切り口は会社ごとに大きく異なります。
例えば、まだECを始めていない企業であれば、ゼロから立ち上げまで一貫してサポートできる会社が望ましいですし、すでに販売はしているが伸び悩んでいる場合は、分析と改善提案に強い会社がマッチしやすいでしょう。
自社のフェーズや課題に対して、どこまで具体的な支援が受けられるかを丁寧に確認しておくことで、相談後のギャップも少なくなります。事前に要件を整理しておけば、打ち合わせの段階で判断がしやすくなります。
越境ECコンサル会社の利用がおすすめの理由

コンサル会社のサポートを活用することで、効率的に越境ECに挑戦することができ、立ち上げ後の運用面でも安心感が得られます。自社単体で挑戦するときに比べ、専門的な知見を持つ越境ECコンサルを利用した方がトラブルなどを未然に防ぐことができるともいわれています。
こちらでは、越境ECコンサルをおすすめしたい理由を解説します。
ターゲット市場に適したプロモーションを行ってくれる
コンサル会社を活用すれば、ターゲット市場のユーザー特性や購買傾向を踏まえたうえで、現地に最適なプロモーションを企画してもらえます。
プロモーション施策が現地の文化や消費行動に合っているかどうかは、越境ECにおいて成果を左右する大きな要素です。例えば具体的には、SNS広告やインフルエンサーとのタイアップ、ローカルイベントとの連動施策など、国ごとに効果的な手法は異なります。
こうした現地に最適な販促手段を見極め、言語や文化面にも配慮したコンテンツを設計するために、最新トレンドの把握やユーザーの視点に基づいた企画力を持つ、越境ECの活用は不可欠といえます。
文化や法律知識に詳しい
現地の文化や法律を正しく理解し遵守しているかも、越境ECを円滑に進めるうえで欠かせない視点です。国によっては、広告表現や商品カテゴリーごとに細かい規制があるケースもあり、知らずに運用してしまうとトラブルや販売停止につながるリスクもあります。
こうした法規制や税関手続きに明るいコンサル会社であれば、必要な手続きを整理したうえで、安全に展開できる方法を一緒に考えてくれます。
また、宗教や生活習慣といった文化面への理解も、訴求内容やタイミングを調整するうえで役立つポイントです。現地の事情をふまえたアドバイスがもらえることで、安心して販売することができるでしょう。
海外の商品ニーズや市場動向に詳しい
現地で求められている商品やトレンドを正しく把握しているかどうかも、越境ECで成果を出すうえで重要なポイントです。
例えば、日本では人気でも海外では反応が薄い商品や、逆に現地では高評価を得やすい意外なジャンルもあります。こうしたニーズや嗜好を読み取るには、定期的に現地リサーチを行っているコンサル会社のノウハウが役立ちます。
また、競合の動きや市場の成長性など、数値データと定性的な実感値の両方の情報を持っている会社であれば、今後の展開にも柔軟に対応しやすくなるはずです。
出店先を検討している段階でも、現地のリアルなニーズを踏まえて商品ラインナップを調整することで、安心して越境ECをスタートできるでしょう。
越境ECのコンサル費用はいくら?

越境ECのコンサルティング費用は、支援内容や事業規模によって大きく異なります。多くの企業では金額は非公開になっていますが、こちらでは料金を公開している2社の例を紹介します。
ジェイグラブ株式会社の費用例
プラン | 主な支援内容 | 費用 |
---|---|---|
現地進出コンサルティング | ・海外進出に向けた課題整理 ・事業可能性などの調査 ・戦略立案や実行支援 | 費用: 50万円/月 〜 期間:6ヶ月〜 |
FDA認証取得支援 | ・米国へのFDA関連商品の輸出支援全般 ・米国代理人選定サポート | 費用: 30万円〜 1SKU 期間:2〜6ヶ月 |
中国現地ECコンサルティング | ・中国ECのコンサルティング ・中国ECの運営サポート全般 | 費用: 30万円/月〜 期間:12ヶ月〜 |
ジェイグラブ株式会社では、本格的に海外展開したい事業者向けの伴走支援サービスが充実しています。月額費用目安は上記のように記載されていますが、事業規模などにより幅が出ると考えられます。
また、伴走支援だけでなく単発で依頼できるスポットコンサルなども用意されています。越境ECを始めるかまだ検討段階の企業は、まずは初回無料のカウンセリングで相談してみるとよいでしょう。
株式会社ECコンサルカンパニーの費用例
プラン | 主な支援内容 | 費用 |
---|---|---|
現地進出コンサルティング | 以下を含む越境ECのの運営全般の代行 ・英語の問合わせ対応 ・受注、配送指示などのバックヤード対応 ・Google adwords 広告管理 ・Facebookコンテンツ更新 | 20万円/月 〜 +売上5% |
株式会社ECコンサルカンパニーでは月額20万円~の基本料金で運用代行全般を任せられるプランがあります。ただ、基本料金に加え、売上高から5%が加算されるため事業状況によって最終的なコストは変わります。
基本的にどのコンサル会社も事前ヒアリングは無料で行うことが多いため、まずは予算と目的を整理して相談・見積もりを依頼して比較してみましょう。
越境ECコンサルの成功事例

越境ECは難易度が高いと感じることもあるかもしれませんが、コンサル支援を活用して着実に成果を上げている企業も数多く存在します。商品や業種は異なっていても、現地ニーズの把握やマーケティングの工夫、サポート体制の活用など、具体的なエピソードから、参考にできるヒントが見つかるでしょう。
ここでは、実際に越境ECで成果を出した代表的な3社の事例を紹介します。
YAMANの成功事例
中国市場での売上拡大、さらにサウジアラビアへの進出など、YAMAN(ヤーマン)は越境ECを通じてグローバル展開を加速させています。
特に注目されたのが、中国・天猫国際で開催された「独身の日」セールです。美顔器カテゴリで5年連続売上シェア1位を獲得し、2021年には1日で12億円を超える売上を記録しました※。ライブコマースを通じて製品の使用感や機能をリアルに伝えたことで、若年層の関心を引き、ファンの獲得にも成功しています。
また、2025年には中東市場へも本格進出し、アラビア語対応のECサイトや現地クリニックでの販売もスタートしました。文化や宗教への配慮が求められる地域においても、ターゲットニーズを丁寧に捉えた展開が実現しています。
このように、マーケットごとに最適な手法を取り入れる柔軟さがヤーマンの越境EC成功を支えています。
カキモリの成功事例
文房具などの日用品を取り扱うカキモリの越境EC成功には、選択と集中といったバランスの取り方が見えてきます。
コロナ禍をきっかけに海外展開を本格化させた同社は、自社インクやつけペンといった高品質な文具を、海外のミュージアムショップやセレクトショップを通じて広めていきました。特に万年筆インクのような液体商品の国際発送は難易度が高く、安全データシートの対応や容器改良といった調整が必要でしたが、DHLの支援によって体制を整備しました。
訪日客向けに「ホテルまで送ってほしい」といったニーズにも対応できる仕組みを導入し、販売機会の取りこぼしも減らしています。越境ECをスムーズに運営するには、すべてを自力で抱えず、信頼できる外部パートナーとの連携がカギになると感じる事例です。
SAMURAI STOREの成功事例
越境ECの黎明期から挑戦を続け、地道に成果を積み上げてきたのがSAMURAI STOREです。代表の桐田氏はeBay社での勤務経験を活かし、2001年から海外富裕層を対象としたニッチな越境EC事業を本格的に展開し始めました。
武具や甲冑といった専門性の高い商品を軸に、BtoCでも確実に売上を伸ばしてきました。これまでの20年で蓄積されたノウハウは、売れる仕組みを自ら試しながら実地で学び取ってきた結果といえます。
近年はインバウンド需要の減少を見据え、「待つビジネス」から「攻めのアウトバウンド型EC」へと方針を転換しました。
越境ECを長く続けるためには、地に足のついた戦略と試行錯誤を重ねる実行力が不可欠だと感じさせてくれる事例です。
越境ECコンサルを利用する際に意識したほうがよいこと

越境ECの支援を受けることでスムーズに展開を進められますが、任せきりでは成果が出づらい場面もあります。現地の市場環境や購入傾向、物流事情など、自社側でも情報を整理・把握しておくことで、より効率的に越境ECを活用できるシーンもあります。
こちらでは、注意した方がよいことを解説します。
現地情報は丸投げにせず自社でもしっかり調査する
コンサルに依頼する場合でも、現地市場の情報を自社で把握しておくことも大切です。任せきりにしてしまうと、提案の内容が自社の方針や強みに合わないまま進んでしまうケースもあります。
例えば、現地で売れている商品ジャンルや、ユーザーがどのような価格帯や機能に価値を感じているのかといった点は、出店前からある程度整理しておくと、その後の打ち合わせもスムーズです。現地調査レポートの活用や、競合モールのレビューを読むだけでも、数多くのヒントを得られるはずです。
情報を受け取るだけでなく、対話の中で意思決定に参加する姿勢が、結果として成果にもつながっていきます。
データ分析を欠かさない
売上や反応の傾向を把握しながら改善を進めていくためには、データ分析は欠かすことができない重要な要素です。
越境ECでは、商習慣やトレンドが国によって異なるため、国内と同じ感覚で施策を打っても思うような結果が出ないことがあります。だからこそ、施策を実行したあとの数値をもとに、仮説の見直しや打ち手の修正を継続して行うことが重要です。
例えば、コンバージョン率の推移やユーザーの離脱ページを定期的に確認するだけでも、どの部分に課題があるのかが見えてきます。定点的なデータのチェックを習慣化することで、社内でも意思決定の精度が上がり、コンサルとの打ち合わせも建設的なものになります。
感覚ではなく根拠を持って改善を進める姿勢を持ち、結果に繋げましょう。
現地での決済方法・配送方法を調査する
購入までのハードルを下げるためには、決済や配送の選択肢が現地のユーザーにとって自然なものかも重要です。
例えば、クレジットカードが当たり前の国もあれば、モバイル決済や銀行振込が主流の国もあります。そうした背景を把握せずに一律の対応をしてしまうと、せっかく商品に興味を持ってもらっても購入にはつながりません。配送についても同様で、スピードを重視する国もあれば、送料の安さが優先される地域もあります。
現地で信頼されている配送業者との連携や、通関のスムーズな対応、梱包や破損リスクへの配慮など、購入後の体験も丁寧に設計しておきたいところです。
こうした細かい部分まで最初から意識しておくことで、満足度や再購入率にも自然と差が出てくるはずです。
越境ECコンサルに関するよくある疑問

越境ECコンサルの活用を検討する際には、越境EC自体に関することも含め多くの不安点があると思います。
はじめて越境ECを検討する方でもイメージしやすいよう、よくある基本的な疑問にわかりやすく解説します。
越境ECの最大手はどこですか?
現時点で越境EC市場の中心的な存在となっているのは中国です。世界全体のEC市場において、約5割のシェアを中国が占めており、日本企業にとっても非常に重要な取引相手となっています。
特に日本から中国への越境EC購入額は2023年に2兆4,000億円を超え※、アメリカを上回る最大規模の市場となりました。
日本製品が中国市場で信頼されている背景には、「正規品を確実に入手できる」という安心感や、日本国内限定の商品が手に入るという希少性への期待もがあります。さらに、衛生面や品質管理への信頼も高く、特に日用品やベビー用品などでその傾向が強く見られるようです。こうした理由から、多くの企業が中国市場への展開を検討しています。
越境ECで何が売れるのか?
日本発の商品で越境ECにおいて特に人気が高いのは、品質や希少性が評価されるジャンルです。
一般的な傾向として、レディースアパレルや時計、アクセサリー、アニメ関連グッズ、カメラ機器、自動車パーツなどが取引の上位を占めています。特に時計やブランド品のような真贋保証付きの商品は、信頼感のある日本発というだけで購買意欲を高める要因になるようです。
また、アニメやフィギュアといった“日本ならでは”の商品も根強い人気があります。価格の安さよりも「品質が確か」「状態が良い」といった点が重視される傾向が強く、日本からの出荷が選ばれやすいのも特徴です。
加えて、成長ジャンルとしてはデジタルカメラや楽器、中古ブランド品なども注目されており、趣味性の高い商材も売れやすい土壌が整ってきています。
越境ECのデメリットは?
代表的なのは、言語・決済・配送などを現地仕様に合わせる手間や、各国ごとの法律・税制への理解が必要になることです。加えて、輸送コストや配送トラブル、代金未回収といったリスクも考慮しておく必要があります。
特に海外クレジットカードの不正利用や、関税負担をめぐるトラブルなど、現地の商習慣の違いから起きるケースもあります。為替変動による損失リスクもあるため、外貨建て決済の導入や信頼性の高い決済サービスの利用も視野に入れておきたいところです。
これらのリスクを軽減するには、自社でゼロからサイトを構築するよりも、既存の越境ECモールや、越境ECコンサルを活用する方が現実的なケースも多いといえます。
越境ECと一般貿易の違いは何ですか?
越境ECはBtoCが中心で、個人消費者向けに少量・小口の商品を販売するスタイルが多く、国際郵便やクーリエ便などが主な物流手段です。一方、一般貿易はBtoB取引が基本で、コンテナ輸送や信用状決済など、スケールの大きな商流が前提になります。
また、関税の扱いや通関手続きにも差があり、越境ECでは一部優遇措置が受けられるケースもあります。出店や参入のハードルが比較的低いのが越境ECの強みですが、取引額が増えてきた段階で一般貿易への切り替えを検討する企業も少なくありません。
商材や販売戦略に応じて、どちらがマッチしているかを見極めましょう。
中国で越境ECをするメリットは?
越境ECの進出先として中国を選ぶメリットは非常に多く、特に日本製品との相性の良さが挙げられます。
日本製品に対する信頼感は根強く、腕時計や幼児向け食品など、安全性や品質を重視する分野では特に高い支持を集めています。
加えて、中国は14億人を超える人口を抱え、ECの利用率も世界トップクラスです。ネット環境の普及も進んでおり、スマホ一つで買い物が完結するライフスタイルが一般化しています。
さらに、ECであれば実店舗に比べて運営コストが抑えやすく、現地に拠点を構えなくても販売活動を始められる点も魅力です。こうした背景をふまえれば、中国市場は「初めての越境EC」の対象として第一想起されるエリアといえます。
越境ECコンサルのまとめ

越境ECをスムーズに運用していくためには、自社にマッチした実績豊富なコンサル会社の活用が有効です。
今回ご紹介したコンサル会社はいずれも支援実績が豊富で、現地の商習慣や販路構築にも対応できる体制が整っています。とはいえ、どの国をターゲットにするのか、何を強みとして展開していくのかによって、必要な支援内容も変わってきます。
記事の内容を参考にしていただき、自社の状況にマッチしたコンサル会社があるか情報収集してください。