経営企画は、企業の成長をサポートする重要な職種です。
経営陣とともに企業の舵を切るポジションであり、やりがいを感じられることから転職先として選ぶ方も少なくありません。
しかし、これから経営企画の仕事に転職しようと考えている方の中には、
「どのようなスキルや資格が必要なのかわからない」
「未経験でも転職できるのか心配」といった悩みを持つ方もいらっしゃるでしょう。
当記事では、経営企画に必要なスキルや資格、転職後のキャリアパスについて詳しく解説します。
経営企画へ転職する流れも解説しているので、ぜひ参考にしてください。
また、以下の記事では、経営企画を含むハイクラスの転職におすすめな転職エージェントを紹介しています。あわせてチェックしてみてください。
>>ハイクラス転職向けおすすめ転職エージェント・サイト10選|求人数や口コミから比較
経営企画の仕事内容とは?
経営企画は、企業のビジョンを実現するため、経営戦略の立案をメインに業務を行う企業の中核となる役割を担っています。
経営企画の主な業務内容は以下の通りです。
- 経営戦略の立案
- リソース管理
- 市場動向の分析
経営戦略の立案では、企業のビジョンやミッションに向けた課題解決の計画案を立てます。
経営戦略を立てるときは個人的な視点ではなく、経営層とコミュニケーションをとりながら企業全体を考慮し、実現可能な計画を立案することが必要です。
そのため、経営戦略の立案には、市場動向の分析が欠かせません。さまざまなデータを収集しながら、客観的な視点で自社のポジションや市場の動向を把握し、状況に応じた戦略を立案する必要があります。
経営層とすり合わせながら、新規事業の立ち上げや既存事業の撤退、追加投資など、状況にあった解決策を提示し、戦略を決定していきます。
また、企業の「ヒト・モノ・カネ」などの資源は有限です。そのため、企業の目標達成に必要なリソース管理も経営企画の重要な仕事となります。予算の調整や人材の配置などについて、部門や事業に合わせた調整をしていきます。
このように経営企画の仕事は、企業の経営に大きく関わる重要な役割を担っているのです。
事業企画とは違う?
経営企画と類似する職務として、事業計画があります。
事業企画とは、企業が展開する個別の事業計画を担当する職種です。
事業企画の主な仕事内容は、事業計画の策定やマネジメント、社外との連携などです。
経営企画は企業の長期的な戦略を考えるのに対し、事業企画は個別の事業計画を考えている点で異なります。
中には、経営企画と事業企画の明確に分けていない企業もあり同じ仕事内容を担当するケースも存在します。
大手企業では2つの職種が分かれていることも多いので、経営企画と事業企画の違いを理解しておきましょう。
経営企画の転職市場
経営企画は企業の戦略を考える重要な役割があるため、転職市場においてニーズが高まっています。
近年、企業のM&A(合併吸収)が進んでおり、子会社管理業務が増えているのが理由の一つです。海外進出をする際にも、子会社管理業務を担う経営企画人材が必要となるため、今後もニーズが高まることが予想されています。
また、企業がデジタル化や、SDGs・ESGの取り組みを進めている背景から、それらに関する知見を持つ人材が特に求められています。
近年デジタル化が進むなか、企業としては、DX(デジタルトランスフォーメーション)化を浸透させるため、経営企画のポジションには、ITの知見がある人材が必要です。
さらに、東京証券取引所が「コーポレートガバナンス・コード」を改訂した背景から、サステナビリティ経営の取り組みに力を入れる企業が増えています。
経営企画の転職市場において、サステナビリティ課題に対応できる人材やCSR業務経験者のニーズが高まっています。
経営企画の年収
大手転職サイトdodaの集計によると、経営企画の平均年収は、約630万円です。
ほかの職種と比べると年収は高めなので、安定した収入を重視したい転職者から人気があります。
年間ボーナス額は約140万円となっており、企画・管理系の職種の中でも高い傾向です。
経験年数やスキルによっては、1,000万円以上と高い年収も期待できます。
参考:経営企画/事業企画とはどんな職種?仕事内容/給料/転職事情を解説【doda職種図鑑】
経営企画が出世コースといわれるのはなぜ?
世間的に経営企画が出世コースといわれるのは、以下の理由が挙げられます。
- 給与が高い
- 経営陣との関わりが増える
- 求められる知識・スキルが多い
それでは詳しく解説します。
給与が高い
経営企画の平均年収は、ほかの職種に比べて高い傾向です。
国税庁が発表した「令和3年分民間給与実態統計調査」のデータによると、一般企業の平均年収は443万円となっています。
経営企画の平均年収は約630万円なので、一般企業よりも多くの収入を得られることがわかるでしょう。
経営企画は職種として出世コースといわれており、その後のキャリアアップにもつながることから収入アップも見込めます。
経営陣との関わりが増える
経営企画は企業の戦略やリソース管理を行うため、経営陣との関わりが多い職種です。
経営者と同じ視点で企業を動かせることから、他部署からは出世コースだといわれています。
また、経営企画の社員が幹部や役員になることも少なくはないため、大手企業ではエリートであるイメージが強くなっています。
求められる知識やスキルが多い
実現可能な企業戦略を考えるためには、戦略の立案力や管理能力、分析能力など多くの知識や経験が求められます。
企業の目標を達成するために各部署や社外との連携が必要となるシーンも増え、高いコミュニケーション能力も必要です。
ビジネスにおいて幅広い知識やスキルが必要になること、業務で培われる経験がキャリアアップに活かしやすいことから、経営企画は出世コースといわれています。
経営企画の転職に必要なスキル
経営企画の転職に必要なスキルとして、以下の5つがあります。
- コミュニケーション能力
- 財務関連知識
- 論理的思考
- 情報収集力
- 企画立案力
それでは順番に説明していきます。
コミュニケーション能力
経営陣と戦略や計画について話し合う経営企画には、経営陣と対等に渡り合えるコミュニケーション能力を持った人材が必要です。
また、相手の意見を汲み取りながら、最適な提案をして納得させるスキルも求められます。時には、自分のアイデアを簡潔に伝えることも必要です。
経営企画で求められるコミュニケーション能力を磨くためには、日頃から数値的根拠をもとに、ロジカルに話すクセをつけるようにしましょう。
財務関連知識
経営企画では、バランスシートや損益計算書からの情報を活用する必要があり、財務や会計の知識が必須です。
財務や会計以外にも、各事業で設定したKPIを達成するための数字をチェックしたり、リスクを数値化したりすることも仕事に含まれます。
経営企画では、数字を可視化して改善案を考えるスキルが求められています。
論理的思考
経営企画は効果的な戦略を考えなくてはいけないため、論理的思考が必要です。
論理的思考とは、物事を体系的に整理して正しい道筋を立てる思考を指します。
マーケティング業界では「ロジカルシンキング」ともいわれており、課題の解決策を見つけ出すために必要なスキルです。
問題定義力や物事の構造化力、推論力などの能力が論理的思考に該当します。
抽象的な物事を具体的に整理して考えることが、論理的思考を磨くための方法となるでしょう。
情報収集力
経営陣に納得のいく解決策を提示をするため、情報収集力は欠かせません。
戦略立案の際には、企業が抱える課題に対して、解決策となる情報や多様な視点をインプットし、分析していきます。
例えば自社商品やサービスの売り上げアップを課題とする場合、競合他社や市場の動向、成功事例、顧客心理などさまざまな情報を収集して改善案を考えます。
情報収集力を磨くには、日頃からインターネットやテレビ、新聞などから信憑性の高い情報を収集することが大切です。
企画立案力
経営企画には、企業が設定した目標を達成するための企画立案力も必要です。
顧客の悩みや競合他社を調査し、自社のリソースで解決できる企画を考えていきます。
また、企画立案した内容はフィードバックが必要となるので、状況に合わせて評価や改善をしなくてはいけません。
経営企画の転職で有利となる資格
経営企画の転職で有利な資格には、以下のようなものがあります。
経営企画は、会社の経営に関わるポジションのため、経営や財務に関する知識があることを示せる資格を保持していると有利となります。
それぞれの資格が経営企画職でどのように活かせるか確認していきましょう。
中小企業診断士
中小企業診断士は、中小企業の経営状況から課題を解決する方法をアドバイスできる資格です。
転職先が中小企業の場合、行政や金融機関などの仲介役として役立ちます。
MBA
MBAは「Master of Business Administration」の略で、和訳すると「経営学修士」や「経営管理修士」を意味する資格です。
MBAの授与には経営戦略や財務分析などの知識が必要となるため、資格を取得していれば経営企画職の転職でも有利となります。
公認会計士
公認会計士は監査や会計を行える資格です。
経営企画の転職の際には、企業の経営を財務面からサポートできることをアピールできます。
税理士
税理士は、納税者の所得を計算して納税額を算出できる資格です。
企業では「認定経営革新等支援機関」という立場を活かし、経営企画に参加することも多くあります。
経営企画経験者の市場価値は高い?転職後のキャリアパス
経営企画経験者は企業全体のビジネスフローを理解しており、企業の中でも中核の役割を担っています。
経営企画の経験や実績が多いほど市場価値も高くなり、幅広い業界から評価されます。
例えば経営企画出身の転職者のキャリアパスとして多いのは、コンサルティングファームやベンチャー企業などへの転職です。
コンサルティングファームは外部から企業の経営を判断するので、経営企画のスキルを十分活かせます。
また、ベンチャー企業では経営者の経営スキルが不足していることもあるため、経営企画の知見からサポートできます。
特に、株式の新規公開を目指すベンチャー企業にとっては、経営企画経験者は必要な人材です。
経験や実績を増やすことで独立を検討する方も多いことから、経営企画経験後は、キャリアアップにチャレンジできる環境が豊富にあります。
コンサル業界への転職については以下の記事で詳しく解説しています。
>>コンサル業界におすすめ転職エージェントを比較【専門領域別】
経営企画に向いている人
経営企画に向いているのは、以下のような人が当てはまります。
- 将来的に経営者を目指している人
- 先を考えることに長けている人
経営企画は経営陣と同じ立ち場で戦略立案や分析を行うので、将来的に経営者を目指している方には最適です。
企業を経営するスキルや考え方が身につくため、経営者としてのあり方が学べます。
また、経営企画は企業の目標に対して達成すべき方向性を考えるため、先を考えることが得意な人に向いています。
企業の将来を考えることに楽しさを感じられることから、仕事にやりがいを持てるはずです。
上記項目に該当する方は、経営企画としての素質が十分にあるといえます。
経営企画に向いていない人
経営企画に向いていないのは、以下のような人です。
- 経営的発想力がない人
- 分析や判断ができない人
経営企画の仕事には、新規事業の企画立案も含まれています。
競合他社や市場を調査して新たな分野を開拓しなければいけないため、経営視点を持っていない人には経営企画の業務は不向きです。
また、経営企画は質の高い情報収集が求められるので、数値データを分析するのが苦手な人にも、向いていません。
企業が安定した利益を得るためにも、情報を整理して正しく活用することが大切です。
経営企画は企業全体のサポートをすることから、発想力や分析力、判断力がない方にはおすすめできない職種です。
経営企画の転職は未経験では難しい?
結論からいうと、未経験からでも経営企画の転職は可能です。
経営戦略の業務内容は、情報収集をして企業の戦略を考えることなので、データ分析の経験やスキルがあれば十分活かせます。
特に、ベンチャー企業では人材不足のため、未経験でも経営企画職を募集しているケースも多くあります。
しかし、経営企画に関する知識や能力は少なからず必要です。
経営企画に転職できたとしても、能力不足のままでは長続きしません。
転職後に後悔しないためにも、業務内容に対応するイメージが持てるかを考え、業務に必要となる知識を事前に身につける姿勢が大切です。
経営企画の転職におすすめのエージェント
こちらでは、経営企画の転職におすすめのエージェントを3社紹介します。
それぞれの詳細や特徴を紹介するので、ぜひ最適なエージェントを利用してください。
JACリクルートメント
運営会社 | 株式会社ジェイエイシーリクルートメント |
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公式サイト | https://www.jac-recruitment.jp/ |
公開求人数 | 21,868件(2024年11月7日現在) |
主な求人職種 | 全職種、全業種の求人 |
JACリクルートメントは、ミドル・ハイクラス人材向けの転職エージェントです。
日系大手や外資、ベンチャー企業などのハイクラス求人を紹介しているため、経営企画の仕事を探しやすい点が特徴です。
JACリクルートメントで取り扱う約60%は非公開求人となっており、ほかの転職サイトでは掲載されていない経営企画の求人も見つけられます。
また、具体的な仕事内容や求める職種が詳しく記載されているので、自身の経験やスキルに合った企業に応募できます。
専門性の高いスキルを保有しており、大手企業や外資系企業に転職したい方におすすめです。
>>JACリクルートメントの評判は?転職に成功する理由や注意点を口コミから詳しく解説
MS-Japan
運営会社 | 株式会社MS-Japan |
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公式サイト | https://www.jmsc.co.jp/ |
公開求人数 | 10,577件(2024年11月7日現在) |
主な求人職種 | 管理部門・士業 |
MS-Japanは、管理部門・士業の求人に特化している転職エージェントです。
経営企画系キャリアの転職サポート実績があるため、自身の経験やスキルに合った求人を見つけられます。
上場企業やIPO、外資系企業、金融企業、中小企業など求めるキャリアフィールドでの求人検索が可能です。
MS-japanのみで取り扱う非公開求人も多く、求めている企業が見つかりやすいといえるでしょう。
また、職務経歴書の作成サンプルも用意されており、書き方や流れをまとめたページもあるので簡単に作成できます。
管理部門や士業の求人に特化した転職エージェントを利用したい方は、MS-japanがおすすめです。
>>MS-Japanの評判・口コミは?管理部門・士業特化エージェントの特徴とメリットデメリットを解説
リクルートダイレクトスカウト
運営会社 | 株式会社リクルート |
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公式サイト | https://directscout.recruit.co.jp/ |
公開求人数 | 395,741件(2024年11月7日現在) |
主な求人職種 | 全職種 |
リクルートダイレクトスカウトは、ハイクラス・エグゼクティブ人材向けの転職エージェントです。
国内最大手のリクルートが運営しており、信頼性の高さが特徴となっています。
国内外の求人を多く掲載されているため、グローバルな事業を展開する企業を探している方にもおすすめです。
経営企画の求人数も多く、業種や勤務地、年収などの情報を絞った検索も可能です。
リクルートダイレクトスカウトでは、レジュメを見たヘッドハンターや企業からスカウトを受け取れるので、自分で求人を探す時間が作れなくても、自身のスキルが活かせる求人が届きます。
仕事が忙しく、転職活動に時間を多く取れない方におすすめです。
>>リクルートダイレクトスカウトの評判・口コミは?案件の特徴など徹底解説
経営企画の転職に関する疑問・Q&A
最後に、経営企画の転職に関する疑問を回答していきます。
経営企画はつらいは本当?
経営企画は企業全体を指揮するポジションにあるため、責任感が重く、残業の多い職種です。
残業時間は月28時間程度となっており、繁忙期にはそれ以上になることもあります。
また、自身の提案によって企業の経営が大きく変動することから、専門性の高い知識やスキルを求められます。
経営企画の仕事に就いてからも、個人の時間でさまざまな分野に関する情報収集や勉強をする必要があるため、人によってはつらいと感じてしまうかもしれません。
また、経営企画は、間違った提案をすると企業の損失にも繋がるので、責任感の重いポジションです。
経営陣と事業部門の仲介役を担う立場にもあるため、それぞれの意見や考えが噛み合わずに調整が難しくなるケースも考えられます。
そうした意味で、精神的な忍耐力も求められます。
経営企画の転職面接で志望動機を伝える際のポイントは?
志望動機を伝えるときは、企業の求めるビジョンや仕事内容を把握した上で回答することが大切です。
例えば企業が展開する商品・サービス、経営理念に共感した点を伝えると、面接側からも高評価となります。
ほかにも、経営企画を目指そうとした経緯や自身のスキル・経験を活かす方法などをしっかり説明できると、企業にとっての必要性がアピールできます。
経営企画の将来性は?
近年AIの開発が進み、現在世の中にある多くの職種が将来的に失われるとされています。
経営企画においても基本的な業務はAI化できるといわれていますが、戦略や分析には人間の手が必要です。
とくに経営企画は経営陣や事業部門の仲介役にならないといけないため、現時点ではAIの対応は難しいとされています。
今後AIの普及によって一部の業務はなくなる可能性はありますが、経営企画の重要性と業務内容を考えると将来的になくなることはないでしょう。
経営企画への転職まとめ
今回は、経営企画に必要なスキルや資格、転職後のキャリアパスについて詳しく解説しました。
経営企画は、企業の経営戦略立案やリソース管理、市場動向の分析などを行う重要な職種です。
企業を動かす役割があるため、経営企画は大きなやりがいを感じられます。
将来的に経営者を目指している方や、高い年収を求めている方は、経営企画の転職をおすすめします。
ぜひ当記事で紹介した転職エージェントを利用し、経営企画の仕事ができる求人を探してみましょう。