看護師から他職種への転職は可能？看護師以外の生き方やおすすめの職種を解説

看護師から他職種へ本当に転職できるのか、不安や疑問を感じている方もいるのではないでしょうか。夜勤や人間関係によるストレスに悩む一方で、看護師以外の働き方が想像できず、一歩を踏み出せないケースも少なくありません。

本記事では、看護師から他職種への転職が可能かどうかを解説します。実際の転身例やおすすめの職種、後悔しない選び方などについても合わせて紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

関連記事＞＞転職サイトおすすめ

看護師から他職種に転職したくなる理由とは

ここでは、看護師から他職種に転職したくなる理由を3つ紹介します。

責任の重圧に耐えきれなくなった

看護師が他職種への転職を考える理由のひとつに、責任の重さに耐えきれなくなるという点があります。看護師は、患者の健康や命に直結する重要な役割を担っており、日々の業務に大きな緊張感が伴います。

薬剤投与や医療処置におけるわずかなミスが、容態の悪化や生命の危機につながることも。たとえ重大な過失がなくても、小さな判断ミスが将来的に問題を引き起こすのではと、不安を抱えながら働くことも少なくありません。

こうしたプレッシャーから解放されたいと考え、比較的責任の軽い職種への転職を検討する看護師がいます。

他職種への興味・関心を持つようになった

看護師が他職種への転職を考える理由のひとつに、他職種への興味や関心の高まりがあります。

テレビドラマや映画で描かれるオフィスワークの雰囲気や、友人・家族から聞く一般企業での働き方に触れ、「自分もあのような環境で働いてみたい」と思うこともあるでしょう。

看護師として培った経験には、他職種でも活かせるスキルが多く含まれています。加えて、看護師は慢性的な人手不足により求人数が多く、一度別業界に挑戦しても「やはり医療現場が合っている」と感じた際に復職しやすいのも特徴です。

こうした背景から、看護師のスキルを活かしつつ、興味を持った分野に挑戦する動きは今後も増えていくと考えられます。

夜勤・長時間労働で安定した生活が送りにくい

看護師が他職種への転職を考える理由として、不規則な勤務時間や長時間労働が挙げられます。医療現場では24時間体制で患者をケアする必要があり、看護師は夜勤や早朝勤務、休日出勤など不規則なシフトで働くのが一般的です。

また、緊急対応によって勤務時間が延びることも多く、身体的・精神的な疲労が蓄積されていきます。その結果、ストレスが増し、健康面に悪影響を及ぼすケースもあります。

さらに、結婚や出産といったライフイベントを迎えると、家族との時間を大切にしたいと考える方も。夜勤や長時間労働のない安定した生活を求めて、他職種への転職を検討する人が増えています。

職場の人間関係に疲弊している

看護師が他職種への転職を考える理由のひとつに、職場の人間関係に疲弊していることが挙げられます。看護の現場は女性が多数を占め、限られた空間で長時間勤務するという特性から、人間関係の摩擦が生まれやすい環境とも言えます。

さらに、人手不足により業務が逼迫し、職場全体に余裕がなくなることで、緊張感のある雰囲気に疲弊してしまうケースも少なくありません。そうした中で、他職種に転職すれば職場の空気が一変し、年齢や経歴にとらわれずフラットな関係で働けると期待する方も多いです。

看護師以外の生き方は豊富！他職種へ転職する人もいる

看護師資格を持つ人の活躍の場は医療現場に限らず、多様な職種に広がっており、選択肢は豊富にあります。

公益社団法人 日本看護協会の「2024年 病院看護実態調査」によると、2023年度の正規雇用看護職員の離職率は11.3%、新卒採用者は8.8%、既卒採用者は16.1%※でした。

前年より改善傾向にはあるものの、毎年一定数の看護師が職場を離れ、異業種に転職していることがうかがえます。

医療業界にこだわらず、自分の価値観やライフスタイルに合った新たなキャリアを模索することで、より充実した職業人生を築くことができるでしょう。

参照元

※公益社団法人 日本看護協会 広報部「「2024年 病院看護実態調査」結果」

看護師の経験が活かせる医療業界の他職種

看護師の経験を活かし、医療業界の他職種で活躍したいと考える方も多いでしょう。ここでは、看護師のキャリアが活かせるおすすめの他職種を紹介します。

保健師

医療業界で新たな職種に挑戦したい看護師にとって、保健師は有力な選択肢のひとつです。保健師は保健所や企業など多様な場で働き、健康相談や指導を通じて地域全体の健康維持に貢献する職業です。

看護師としての経験を活かし、患者とのコミュニケーション力や健康管理の知識を地域保健の現場で発揮できる点が大きな強みです。

保健師になるには、看護師資格を取得したうえで、指定された養成機関で1年以上学び、保健師国家試験に合格する必要があります。さらに自治体の保健師として勤務する場合、公務員試験の合格が条件です。

倍率の高い人気職種でもあるため、早めの情報収集と計画的な準備が欠かせません。

産業看護師

産業看護師は、看護師としての経験を活かせる医療業界の中でも魅力的な職種のひとつです。

企業内で従業員の健康管理やメンタルヘルスケアを担当する専門職であり、規則的な勤務形態で夜勤がないため、ワークライフバランスを重視する方に適しています。

主に大企業や健康管理体制の整った企業で募集されることが多いものの、求人数は限られており、競争率が高くなりがちです。そのため、看護師としての専門性やコミュニケーション力をしっかりとアピールする姿勢が重要になります。

治験コーディネーター

看護師としての臨床経験や医療知識は、治験コーディネーター（CRC）として新薬開発の現場で大いに活かすことができます。

治験コーディネーターは、新たな薬や治療法の開発を目的とした治験が円滑に進むよう、医療機関・製薬会社・被験者の間を調整し、治験全体を支える役割を担います。

治験業界は土日祝日が休みで夜勤もない職場が多く、ワークライフバランスを重視したい看護師にとって魅力的な選択肢といえるでしょう。勤務先も製薬会社や治験支援の専門機関など多岐にわたり、キャリアの可能性を広げられる点も特徴です。

病児保育士

病児保育士は、看護師としての専門知識や経験を活かせる仕事のひとつです。主な役割は、病気や体調不良で通常の保育園に通えない子どもたちのケアを行うことにあります。

病院勤務に比べて体力的な負担が少なく、少人数の子どもを丁寧に見守る環境は、看護師の細やかな対応力を発揮しやすい職場といえるでしょう。看護師免許を所持していれば、保育士資格がなくても病児保育士として働けるケースが多い点も魅力です。

子どもたちの成長を見守りながら支えるというやりがいのある仕事として、病児保育士は看護師にとって魅力的なキャリアの選択肢となります。

医療事務

医療事務においても、看護師としての経験は大きな強みとなります。看護師時代に培った患者とのコミュニケーション能力は、医療事務の受付業務において直接的に活かせるスキルです。

クリニックや病院の窓口で、患者の不安や疑問に対して看護師ならではの視点で対応できるため、適切な説明やサポートが可能となり、患者満足度の向上にもつながります。

また、医療事務は多くの医療機関で日勤のみの勤務体制であり、パートやアルバイトなど雇用形態も柔軟です。自分のライフスタイルに合わせた働き方を実現しやすい点も魅力でしょう。

イベントナース

イベントナースは、医療の知識と技術を活かしてイベント参加者の健康をサポートする重要な役割を担い、看護師の経験を最大限に発揮できる魅力的な職種です。

ライブコンサートやスポーツイベント、学校行事などの場で、参加者の体調管理や急変時の対応を行うのが主な業務となります。イベントやツアーが開催される期間のみ働くため、基本的には単発派遣での勤務形態が中心です。

そのため、柔軟な働き方を希望する方にとっては、理想的な選択肢といえるでしょう。

看護師も転職可能な医療業界以外の他職種

医療業界以外への転職を考える看護師も少なくありません。ここでは、主な転職先の職種について解説します。

事務職

看護師が医療業界以外への転職を考える際、有力な選択肢のひとつが一般事務です。書類作成やデータ入力、電話・来客対応などの業務においては、看護師として培った丁寧な対応力やコミュニケーションスキルを活かすことができます。

また、事務職は身体的な負担が少なく、長期的に働きたいと考える方にも適した職種です。ただし、パソコン操作や各種事務処理が求められるため、基本的なITスキルは事前に身につけておくと安心でしょう。

販売職

看護師が医療業界以外で活躍できる職種のひとつに、販売職があります。販売職は、製品やサービスを顧客に提供する役割を担い、高いコミュニケーション能力が求められます。

看護師は、患者との信頼関係を築く力や状況判断力に優れており、こうした経験は販売現場でも大いに活かせるでしょう。

また、シフト制やパートタイム勤務など柔軟な働き方が可能で、プライベートとの両立がしやすい点も魅力です。自身の興味のある商品やサービスに携われるため、モチベーションややりがいも感じやすい職種といえます。

営業職

看護師が医療業界以外で挑戦できる職種のひとつに、営業職があります。営業は顧客との信頼関係を築きながら課題を把握し、最適な製品やサービスを提案する仕事です。

未経験からのスタートでも、研修制度が整っている企業が多く、営業スキルを基礎から身につけることができます。

また、多くの企業では成果に応じたインセンティブ制度を導入しており、努力次第では看護師時代以上の収入を得ることも期待できるでしょう。

介護職

看護師が医療業界以外の職種に転職する際、介護職は有力な選択肢のひとつです。これまでに培ってきた健康状態の把握やケアの経験、さらには家族とのコミュニケーション能力は、介護の現場でも十分に活かすことができます。

介護業界は慢性的な人手不足に悩まされており、看護師資格を持つ人材は特に歓迎される傾向があります。また、正社員に限らずパートやアルバイトなど、柔軟な働き方を選べるのも特徴です。

ただし、身体的・精神的な負担がかかる場合もあるため、施設の環境やシフト体制は事前にしっかり確認しておくことが大切です。

看護師から転職で一般企業に勤めることはできる？

看護師から一般企業への転職は、十分に実現可能です。看護師として培ったコミュニケーション能力や問題解決力、高い責任感は、一般企業においても大いに活かせる強みとなります。

近年では、医療機器メーカーの営業職や開発職、産業保健師など、看護師の専門知識が直接役立つ職種も増加しています。

不安を感じる場合は、事前にビジネスマナーや基本的なITスキルを身につけておくことで、企業での業務にもスムーズに対応しやすくなるでしょう。

看護師から転職で高収入の職種は？

看護師から高収入を目指す場合は、美容クリニック、養護教諭、IT関連職などがおすすめです。美容施術に関わる美容クリニックでは、看護師としての技術や知識が活かされ、高い報酬が期待できます。

養護教諭は学校内で生徒の健康管理やケアを担当する安定性の高い職種であり、一定の収入が見込めるでしょう。

また、IT関連職では医療システムの開発やデータ分析など、専門知識を活用できる職種があるため、高いスキルを持つ人材には好待遇が用意されているケースがあります。

ただし、いずれの職種も転職にあたって必要な資格や、スキルを事前に確認することが大切です。自分の価値観や働き方に合った道を選ぶことが、満足度の高いキャリアにつながるでしょう。

看護師から転職する場合の仕事の選び方

ここからは、看護師から転職する場合の仕事の選び方について解説します。

未経験からチャレンジできる職種を選ぶ

異業種で新たなスタートを切りたいと考えているなら、未経験者歓迎の求人に積極的に目を向けてチャレンジすることをおすすめします。

未経験歓迎の職種であれば、研修体制や学習環境が整っていることが多く、安心して新しい分野に飛び込むことができるでしょう。たとえば、一般事務・接客業・営業などは、未経験者を受け入れているケースが多く見られます。

求人票には「未経験可」「異業種歓迎」といった記載があるかどうかを確認し、自分の適性や働き方をイメージしながら選ぶことが大切です。

看護師として培ったスキルを応用する

看護師として培ったスキルを応用できる仕事を選ぶのも有効な選択です。看護の現場で身につけたコミュニケーション能力やチームワーク、緊急時の対応力などは、医療以外の業界でも高く評価される傾向にあります。

また、フィールドナースや保育園看護師のように、看護師資格を活かせる職種も存在します。自分の持つスキルをどのように活かせるかを見極めながら、転職先を検討することが大切です。

キャリアの幅を広げるための資格を取得する

看護師が異業種や関連分野への転職を考える際には、自身のキャリアの幅を広げるために資格を取得するのがおすすめです。資格を持つことで将来的な職業の選択肢が増え、より充実したキャリアを築くための支えとなります。

また、資格取得に向けた努力は、学習意欲や向上心を示すアピール材料にもなるでしょう。

たとえば、ケアマネジャーの資格は看護師との親和性が高く、地域包括支援センターや介護関連の企業への転職にも有利に働きます。

看護師からの転職で役立つ資格

転職のために資格取得を検討している看護師に、役立つ資格を紹介します。

ケアマネジャー

看護師が転職を考える際、ケアマネジャーの資格はキャリアの可能性を広げるのに役立ちます。ケアマネジャーは、介護が必要な高齢者やその家族の相談に応じながら、ケアプランの作成やサービスの調整を行う専門職です。

高齢化が進む日本ではそのニーズが年々高まっており、看護師としての知識や経験も存分に活かせます。介護施設や在宅支援センター、病院の地域連携室など、活躍の場が幅広い点も大きな魅力です。

なお、ケアマネジャー資格を取得するには、看護師として5年以上かつ900日以上の実務経験が必要です。事前に自分が条件を満たしているかどうか確認しておきましょう。

保健師

看護師からの転職を考える際、保健師の資格は有力な選択肢となります。保健師は主に自治体で勤務し、地域住民の健康管理や予防活動を担う専門職です。

自治体のほかにも、企業や学校など多様な職場で需要があり、看護師としての知識を活かしながら新たなキャリアを築くことができます。そのため、転職の可能性が広がる資格といえるでしょう。

保健師になるには、看護師免許取得後に保健師養成課程を修了し、国家試験に合格する必要があります。働きながら資格取得を目指すことも可能なため、ぜひキャリアの選択肢として検討してみてください。

メンタルヘルスマネジメント検定

看護師が他業種への転職を検討する際、メンタルヘルスマネジメント検定の取得は大きな強みになります。

この検定では、職場におけるメンタルヘルスケアに必要な知識や対応方法を体系的に学ぶことができ、医療知識に加えて心の健康を支えるスキルを身につけられます。

看護師としての経験に加えてこの資格を保有していれば、他の応募者との差別化にもつながるでしょう。また、自身のストレスマネジメント能力を高める効果も期待できるため、転職後の新しい職場環境へのスムーズな適応にも役立ちます。

臨床心理士

臨床心理士は医療現場で培った対人援助スキルを活かしながら、心理支援の専門家として新たなキャリアを築ける資格です。

医療分野におけるメンタルヘルスの需要拡大に加え、学校や企業でも活躍の場が広がっており、資格を取得することで転職先の選択肢も広がります。

臨床心理士の資格があれば、スクールカウンセラーや福祉施設、精神科医療機関などへの転職も視野に入ります。看護師としての経験を土台に、専門的な心理支援を行うことで、より多くの人々の生活の質の向上に貢献できるでしょう。

看護師が他職種へ転職するメリット

ここからは、看護師が他職種へ転職するメリットを紹介します。

生活サイクルが安定する

看護師が他職種へ転職する大きなメリットのひとつは、生活サイクルが安定し、心身の健康を保ちやすくなる点です。不規則な勤務形態は、身体的な疲労に加えてメンタルヘルスにも影響を与えることが少なくありません。

思い切って日中勤務の職種に転職すれば、体調が大きく改善される可能性もあります。

日勤のみの職場では土日祝日が休みであるケースも多く、プライベートの予定を立てやすくなるため、生活の質も向上しやすくなります。体力的な負担に悩んでいる方にとって、転職で得られるメリットは非常に大きいといえるでしょう。

他職種を知ることで視野が広がる

看護師が他職種へ転職するメリットのひとつは、医療業界以外の世界に触れることで視野が広がり、キャリアや人生の選択肢が大きく広がる点です。

他分野に挑戦することで、看護業務では得にくいパソコンスキルやマネジメントスキルなどを新たに習得できる機会が生まれます。また、事務職や営業職では、問題解決能力など看護の現場ではあまり重視されないスキルを磨くことも可能です。

看護師という専門職の枠を越え、社会人としての成長やキャリアの幅を広げたいと考える方にとって、多職種への転職は有意義な選択肢といえるでしょう。

命に関わるプレッシャーがない

看護師が他職種へ転職するメリットのひとつに、命に関わるような強いプレッシャーから解放されることです。看護師の業務は患者の命を預かる責任があるため、常に高い緊張感と集中力が求められます。

わずかな判断ミスや処置の誤りが、生死に関わる重大な結果を招く可能性もあるため、あらゆる場面で完璧さが求められ、精神的な疲労も大きくなりがちです。

一方で、他職種では命に直接関与する機会が少なく、業務上の責任はあっても過度なストレスを感じにくい傾向があります。より穏やかな環境で働きたいと感じている方にとっては、転職を検討する価値があるでしょう。

心機一転して新たな人間関係を築ける

看護師が他職種へ転職するメリットのひとつに、心機一転して新たな人間関係を築ける点があります。看護の現場は閉鎖的な環境になりやすく、特有の人間関係の難しさに悩むケースも少なくありません。

異なる業界や職種へ転職することで、過去の人間関係をリセットし、新たな環境で良好な関係を築くチャンスが生まれます。

さらに、異業種で働くことで多様な価値観やバックグラウンドを持つ人々と出会う機会も増え、より広い人間関係を形成できるのも魅力です。職場の人間関係にストレスを感じている場合は、転職を視野に入れてみるのもひとつの選択肢でしょう。

看護師が他職種へ転職するデメリット

看護師が他職種へ転職するデメリットは、以下のとおりです。

これまでのキャリアが通用しないことがある

看護師が他職種へ転職する際のデメリットのひとつに、これまでのキャリアが通用しない可能性があります。医療と関係のない職種では、専門的なスキルが評価されにくく、看護師としての経験が十分に活かされないことがあるでしょう。

その結果、給与やポジションも一から築き直す必要が生じる場合があり、転職後に「これまでの経験が無駄だった」と感じてしまうこともあります。

看護師としてのキャリアを活かしたいと考える場合は、転職先でどの程度スキルが活かせるかを事前に調べておくことが重要です。

今よりも収入が下がる可能性がある

看護師が他職種へ転職する際の大きなデメリットのひとつに、今よりも収入が下がる可能性がある点が挙げられます。看護師の賃金水準は、他の職種と比べて相対的に高く設定されていることが多いためです。

異業種へ転職する場合、これまでの経験や専門性がそのまま評価されるとは限らず、給与水準も低くなるケースがあります。

さらに、看護師の収入には夜勤手当や時間外勤務による加算が含まれることが一般的で、日勤中心の職場へ移るとこうした手当がなくなり、月収が大きく変動することもあるでしょう。

そのため、看護師から他職種への転職を考える際には、収入面の変化について事前にしっかり把握しておくことが大切です。

看護職に再就職するハードルが高くなることがある

看護師が他職種へ転職する際のデメリットのひとつに、将来的に看護職に再就職するハードルが高くなることがあります。医療技術や治療の基準は日々進化しており、現場を離れた期間が長くなるほど、最新の知識やスキルに追いつくのが難しくなります。

復職の際には、新たに導入された医療機器や治療法に対応するための再学習が必要となり、現場で即戦力として働くまでに時間を要することもあるでしょう。

その結果、復帰の難しさを感じ、転職自体を後悔してしまうケースもあります。そのため、転職を検討する際は、将来的に看護職へ戻る可能性も視野に入れて判断することが大切です。

看護師から他職種への転職が向いている人

看護師から他職種への転職が向いている人は、以下のような特徴があります。

他職種への転職目的がはっきりしている人

医療業界に未練がなく、他職種に進む明確な理由を持っている人は、転職を成功させる可能性が高いといえます。はっきりとした目標があることで、動機がぶれることなく、新しい環境での挑戦にも前向きに取り組む力が生まれます。

困難に直面した際も、その目的意識が原動力となり、解決策を見いだす助けとなるでしょう。

自分の目指す方向に合った職種を選べば、より充実したキャリアを築くことが可能です。価値観や将来像を見つめ直し、具体的な目標を設定できたと感じたら、転職に踏み出すタイミングとして適しているかもしれません。

看護師が向いていないと感じる人

看護師が向いていないと感じる人は、他職種への転職を検討するのもひとつの選択肢です。自分の性格や価値観が看護業務と合わないと感じたまま働き続けると、次第にストレスが蓄積してしまうことがあります。

たとえば、患者の苦しむ姿や死に頻繁に直面することで、精神的な疲労が大きくなってしまう方も少なくありません。そうした環境が負担となっている場合は、他職種への転職を視野に入れることで、心の負担を軽減できる可能性があります。

自分のキャリアを見直し、心身の健康を最優先に考えることが、より良い未来への第一歩となるでしょう。

精神的・肉体的に疲弊している人

看護師の仕事で心身ともに疲れを感じている方は、他職種への転職を前向きに検討しましょう。看護の現場は、人の命を預かる責任の重さや不規則な勤務形態によって、心身に大きな負担がかかりやすい環境です。

夜勤や緊急対応が続けば生活リズムも乱れ、慢性的な疲労が蓄積しやすくなります。転職によって職場環境や業務内容が変われば、こうした疲弊の原因から解放され、心身の回復につながる可能性があります。

健康を守りながら長く働き続けるためにも、今の働き方に限界を感じている方は、新たなキャリアパスを模索することが、より充実した人生への第一歩となるでしょう。

収入や貯蓄にゆとりのある人

看護師から他職種への転職が向いているのは、収入や貯蓄にゆとりのある人です。看護師の収入は比較的高いため、他職種に転職すると生活水準を維持しにくくなるケースもあります。

しかし、経済的に安定している場合は、次のキャリアを計画的に模索することが可能です。在職中にしっかりと貯蓄をしておけば、転職活動が長引いても焦ることなく、自分に合った職場をじっくりと選べるでしょう。

収入減に対する不安が少ない分、納得できる転職先を見つけやすくなり、長期的なキャリア形成にも良い影響を与えます。

看護師から他職種への転職が向いていない人

看護師から他職種への転職が向いていない人の特徴は以下の通りです。

新しい環境への適応に時間がかかる人

新しい環境への適応に時間がかかるタイプの看護師は、他職種への転職を慎重に検討する必要があります。看護師として培った専門性は医療現場に特化したものであり、異業種ではそのまま通用しないケースも少なくありません。

大きな変化に柔軟に対応するのが難しい場合、新たな職場で強いストレスを感じやすく、長く働き続けることが困難になる可能性があります。また、周囲との関係構築に時間を要することで、職場で孤立感を抱いてしまうこともあるでしょう。

そのため、看護師から異職種へ転職を考える際は、まず医療関連企業や介護施設など、これまでの知識や経験を活かせる職種からスタートすることをおすすめします。

自身だけで判断・検討している人

看護師から他職種への転職を考える際には、自分一人だけで判断・検討を進めるのは適切でない場合があります。転職は人生に大きな影響を与える重要な選択であり、視野が狭くなった状態で決断すると、誤った認識や思い込みに基づいて動いてしまうリスクが高まります。

たとえば、新しい職場の業務内容やキャリアパスを十分に調べないまま転職し、やりがいを感じられずに再び転職を検討する事態になるケースも少なくありません。

そのような事態を避けるためにも、周囲の意見や専門家のアドバイスを取り入れながら、多角的な視点で自身のキャリアを見つめ直すことが重要です。

他職種への転職理由がはっきりしていない人

他職種への転職理由がはっきりしていない人は、ミスマッチを招きやすく、結果的に後悔につながる可能性が高くなります。明確な目標が定まっていないと、転職活動自体がぶれやすくなり、自分に合わない職種や職場を選んでしまうリスクが生じます。

たとえば、「もっと自由な働き方をしたい」と営業職に転職したものの、実際には数字に追われるプレッシャーや顧客対応の難しさに悩まされることもあるでしょう。

後悔のないキャリアチェンジを実現するためには、自身の特性や価値観としっかり向き合い、事前に綿密な準備を行うことが不可欠です。

看護師から他職種への転職を成功させるポイント

ここからは、看護師から他職種への転職を成功させるポイントを紹介します。

転職エージェントは複数登録する

看護師から他職種への転職を成功させるための重要なポイントのひとつが、転職エージェントを複数登録することです。エージェントごとに取り扱う求人情報やサポート体制、担当者の専門性には違いがあり、1社だけに頼ると自分に合った求人や支援に出会えない可能性があります。

たとえば、あるエージェントは事務職や営業職に強みを持つ一方で、別のエージェントは訪問看護や介護施設に特化している場合もあります。

複数登録する際は、それぞれのエージェントが提供するサービス内容や利用者の評判を事前に確認し、自分に合ったものを選ぶことが大切です。

目指すキャリアの方向性を整理しておく

看護師から他職種への転職を成功させるには、自分が目指すキャリアの方向性を具体的に整理しておくことが重要です。方向性が曖昧なまま進めてしまうと、自分に合わない職種を選んでしまい、再び不満やストレスを抱える原因となりかねません。

たとえば、「患者と直接関わる機会は減らしたいが、医療の知識は活かしたい」と考える場合には、医療機器メーカーの営業職や医療系IT企業のカスタマーサポートといった職種が選択肢に入るでしょう。

一方で、「とにかく看護師以外の仕事に就きたい」といった漠然とした動機では、転職後に「想像と違った」と後悔する可能性も高くなります。まずは、自分が大切にしたい価値観や働き方をしっかりと見直すことが、満足のいく転職につながる第一歩です。

看護の現場で培ったスキルの強みを示す

看護師として現場で培ったスキルを的確にアピールすることは、他職種への転職を成功させるための重要な鍵となります。看護業務を通じて磨かれた観察力やコミュニケーション能力、危機管理能力などは、さまざまな職種に応用できる汎用性の高いスキルです。

たとえば、緊急対応で培った迅速な判断力は、プロジェクト管理やチームワークが重視される職場でも十分に活かせるでしょう。自分の強みを伝える際には、具体的なエピソードを交えてアピールすることで、採用担当者により強く印象づけることができます。

看護師として再就職することも視野に入れておく

看護師から他職種への転職を考える際には、再就職することも視野に入れておくことが、転職を成功に導く重要なポイントです。もし現在の悩みが職場環境に起因するものであれば、勤務先を変えることで状況が改善される可能性もあります。

たとえば、夜勤の勤務が合わない場合でも、日勤のみのクリニックや介護施設に転職すれば、業務内容や人間関係が変わり、ワークライフバランスに余裕が生まれることもあります。

看護師としての働き方を選択肢に残しておくことで、自分にとって本当に合ったキャリアや生活スタイルを柔軟に検討できるようになり、転職後の満足度や成功率も高まるでしょう。

看護師から他職種への転職におすすめのエージェント

ここからは、看護師から他職種の転職に役立つおすすめのエージェントを紹介します。他職種への転職を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。

マイナビエージェント

マイナビエージェントは業界ごとに精通したアドバイザーが在籍しており、医療とは異なる分野にも強みを持っています。転職初心者にも対応できる丁寧なサポート体制が整っている点も魅力です。

リクルーティングアドバイザーが企業の内情まで把握し、キャリアアドバイザーが求職者の価値観や経歴を丁寧にヒアリングすることで、精度の高いマッチングが実現します。

応募書類の添削や面接対策、入社までのサポートも充実しており、求職者が自信を持って転職活動に臨めるよう支援してくれます。面接対策では、実際の面接を想定した模擬練習を通じて、緊張を和らげる工夫もされている点が特徴です。

また、全国に拠点があるため地方在住者でも利用しやすく、オンライン面談やチャット対応など利便性の高い環境が整っています。

マイナビエージェントの基本情報
運営会社	株式会社マイナビ
公式サイト	https://mynavi-agent.jp/
公開求人数	83,373件（2025年7月16日現在）
主な求人職種	SE・システムエンジニア、 機械／電気・電子／素材等、 化学／素材／食品／化粧品等、営業職など

※マイナビのプロモーションを含みます

関連記事＞＞マイナビエージェントの評判・口コミ

リクルートエージェント

リクルートエージェントは業界トップクラスの求人数と専門性の高いサポートにより、看護師のキャリアチェンジを力強く後押ししてくれます。

非公開求人が多数あり、一般の求人サイトでは出会えないような案件にも応募可能です。業界最大級の求人数を誇るリクルートグループならではの、きめ細かな支援が受けられるのも大きな魅力です。

アドバイザーとの面談を通じて、看護師としての資格や医療現場での経験を活かしながら、異なる職種への転身のきっかけを見出すことができます。

業界に精通したアドバイザーが個別に対応し、応募先ごとのアピール方法や書類の作成についても丁寧に指導してくれるため、転職活動を安心して進められるでしょう。年収交渉や入社日の調整といった入社後のサポートも充実しており、安心して新しい職場への移行が可能です。

リクルートエージェントの基本情報
運営会社	株式会社リクルート
公式サイト	https://www.r-agent.com/
公開求人数	584,191件（2025年7月16日現在）
主な取扱職種	営業・販売、経営・企画、 マーケティング、事務系、 IT・エンジニア、電気・機械など

関連記事＞＞リクルートエージェントの評判・口コミ

Type転職エージェント

Type転職エージェントは、専任のキャリアアドバイザーが異業種への転職に対する不安にも丁寧に寄り添い、看護師のキャリアチェンジをサポートしてくれます。

個別面談を通じて、看護師としての経験を他職種でも評価される形に再構築し、強みとしてアピールできるよう導いてくれる点が特徴です。全求人の約6割が非公開で、一般には出回らない希少な求人にもアクセスできるため、選択肢が大きく広がります。

また、スケジュール調整や面接日程の調整、入社条件の交渉まで代行してくれるので、忙しい現職中でも無理のない転職活動が可能です。登録は無料で、現在の仕事を続けながらでも効率的に転職を進められるのも魅力のひとつ。年収交渉力にも定評があるため、給与面を重視したい方にもおすすめです。

Type転職エージェントの基本情報
運営会社	株式会社キャリアデザインセンター
公式サイト	https://type.career-agent.jp/
公開求人数	12,808件（2025年7月16日現在）
主な取扱職種	システムエンジニア、営業 事務・オフィスワーク 血液内科・腫瘍内科 など

関連記事＞＞Type転職エージェントの評判・口コミ

看護師から他職種への転職に関するよくある疑問

最後に、看護師から他職種への転職に関するよくある疑問について紹介します。

看護師の転職は何年目が多い？

看護師の転職が最も多いのは、勤続5年目から10年目の間とされています。この時期は一定の経験を積んだ後でキャリアを見直す人が増え、同時に職場環境への不満が明確になるタイミングでもあるためです。

医労連・日本医療労働組合連合会「医療労働」によると、勤続5年未満の看護師が全体の32.8％※を占めており、5〜10年未満も含めると52.2％以上※が10年未満で転職しているという結果が出ています。

一方で、平均勤続年数が12.4年※というデータからもわかるように、年数を重ねるにつれて転職意欲は次第に薄れ、安定志向へとシフトする傾向が見られます。

もちろん転職を考えるタイミングは人それぞれですが、5年前後という節目はひとつの目安といえるでしょう。

参照元

※日本医療労働組合連合会「医療労働」

看護師資格が使える珍しい求人は？

看護師の資格は、病院以外でもさまざまな場面で活用することができます。たとえば、以下のような求人がその一例です。

• 刑務所看護師：刑務所内で医療サービスを提供
• 自衛隊看護師：自衛隊の医療部門で健康維持や緊急対応に対応
• 治験コーディネーター：新薬開発の過程で患者と医師、製薬会社の間をつなぐ役割
• フィールドナース：メーカー製品の使用方法を医療従事者に指導

このような珍しい求人に応募することで、ワークライフバランスの改善や新しいキャリアパスの開拓につながる可能性があります。

40代で看護師から転職は難しい？

40代で看護師から転職することは、決して難しいことではありません。40代の看護師は豊富な知識とスキルを備えており、管理職や教育担当としての役割も期待される年代です。

特に医療関連の職場では、その経験が高く評価されることが多く、転職先でも即戦力として活躍できる可能性があります。

一方で、若手中心の急性期病院や美容クリニック、大規模病院などでは、新卒や若年層が優先される傾向があり、採用のハードルが高くなることもあるため注意が必要です。

自分のキャリアを活かせる環境はどこにあるのかを慎重に見極めることが、将来への確かな一歩となるでしょう。

まとめ

看護師から他職種への転職は可能なのかについて紹介しました。結論として、看護師から他職種への転職は十分に実現可能です。「今の仕事が辛い」「別の職種にも挑戦してみたい」と感じている方は、前向きに検討してみるとよいでしょう。

初めての他職種転職に不安がある場合は、転職エージェントを活用するのもひとつの方法です。自分に合った理想の職場を見つけて、より充実した日々を目指しましょう。