人材育成を取り巻く環境は大きく変化しており、企業はこれまで以上に複雑な課題に直面しています。 若手の早期戦力化やマネジメント層の育成、リスキリングの推進など、求められるテーマは多岐にわたります。制度を整えても現場に浸透しない、育成の優先順位が定まらないといった悩みも生まれやすく、社内だけで改善を進めるのは容易ではありません。
こうした状況で支えとなるのが、人材育成を専門とするコンサルティング会社です。育成方針の整理から研修体系の見直し、現場定着までを総合的に支援してもらえるため、育成施策が組織に根づきやすくなります。
本記事では、人材育成コンサルのメリットや費用相場、選び方、おすすめ企業を解説します。
人材育成コンサルとは?

人材育成コンサルとは、企業の育成課題を見極め、人材が成長し続ける仕組みを整える専門家です。
個別研修の実施だけでなく、育成方針の立案や教育体系の再設計、階層別育成の整理など、全体像の構築から現場定着まで一連のプロセスを担います。特に、制度だけが形骸化している企業では、現場の行動が変わるまで伴走し、成果につながる育成計画として作り直す役割が重視されます。
近年はリスキリング支援やマネジメント強化、若手の早期戦力化など、テーマが多様化しており、データ分析やHRテックの活用といったトレンドをおさえた支援コンテンツも増えています。単発の研修ではなく、組織が成長し続けるための基盤をつくる存在といえるでしょう。
人材育成コンサルの支援内容

人材育成コンサルティングは、企業の成長を支える「人」の力を最大化することを目的に、人材戦略の設計から実行支援までを一貫して行います。ここでは、人材育成コンサルの具体的な支援内容を紹介します。
分析結果に基づく人材育成方針の決定
人材育成コンサルの最初のステップは、自社が目指す人材像を明確にし、育成の方向性を定めることです。まず、経営戦略や事業計画に基づき、どのようなスキルやマインドを持つ人材が必要かを整理します。その上で、現状の人材構成やスキル保有状況を調査し、課題を可視化します。
コンサルタントは、経営層へのヒアリングや従業員アンケートを通じて、組織の強みと弱みを抽出します。こうした分析をもとに、「どの層にどのような能力開発を行うべきか」「どの順序で施策を導入すべきか」といった具体的な方針を策定します。
結果として、育成施策が単発で終わらず、経営戦略と連動した持続的な仕組みへと発展していきます。
育成体制・人事制度の再構築
育成方針が固まったら、次に取り組むのは組織全体の仕組みづくりです。現状の人事制度や研修体系を見直し、求める人材像に沿った育成体制を再構築します。例えば、階層別研修の設計やキャリアパスの再定義、評価制度の見直しなどを進め、社員が成長を実感できる環境を整備します。
単なる制度の更新ではなく、社員一人ひとりの成長意欲を高める仕掛けを組み込むことが重視されます。この段階の関わり方の特徴として、コンサルタントは、経営層と現場の橋渡し役として、制度設計と実務の両面から支援します。
育成体制・人事制度を再構築し、仕組み全体を整えることで、組織全体が一方向に向かって人材育成を推進できるようになります。
研修プログラムの運用支援
制度が整ったあとは、研修やキャリア支援を通じて育成施策を実行に移す段階です。研修プログラムの設計から実施までを支援し、社員が業務の中で成長を実感できるよう伴走します。
例えば、階層別や職種別に必要なスキルを整理し、集合研修・OJT・eラーニングを組み合わせて最適な学習体制を整備します。さらに、外部講師や専門研修会社と連携し、課題や目的に応じてプログラム内容を柔軟に調整することも可能です。
また、LMS(学習管理システム)を活用すれば、受講履歴や成果を可視化し、タレントマネジメントを通じて個々の成長を継続的に把握できます。こうした運用支援により育成施策の改善サイクルが生まれ、長期的な組織成長にもつながります。
各種人材コンサルティングサービスとの違い

人材育成コンサルティングは、採用や評価など他の人事コンサル領域とも深く関係しています。ここでは、人事評価コンサルティングと採用コンサルティングについて、それぞれの特徴と人材育成コンサルとの違いを解説します。
人事評価コンサルティングとの違い
人事評価コンサルティングは、社員の成果や行動を正しく評価し、給与や昇進などの処遇に反映させる仕組みを整備するサービスです。経営方針に基づき、評価制度や報酬体系を設計することで、社員のモチベーション維持や離職防止にもつながる重要な領域です。
一方、人材育成コンサルティングは、この評価制度を社員の成長促進に結びつける役割を担います。評価で明らかになった課題をもとに、どのようにスキルを伸ばすか、どんな研修やキャリア支援が有効かを具体化し、育成体系として設計します。
両者は独立した領域に見えますが、実際には連携して機能するケースも多く、制度と育成を一貫して支援する企業も増えています。
採用コンサルティングとの違い
採用コンサルティング会社は人材確保に特化したサービスを提供しており、採用戦略の設計から選考プロセスの見直しまでを支援します。求める人物像の明確化、採用チャネルの選定、面接官トレーニングなどを通じて、企業が必要とする人材を計画的に採用できるようサポートします。
一方、人材育成コンサルティングは、採用後の段階に焦点を当て、入社した社員が定着・活躍できる環境を整える支援を行います。採用と育成は連続するプロセスであり、採用コンサルが「人材を迎える」役割を担うのに対し、人材育成コンサルは「迎えた人材を成長させる」段階を担います。
企業によっては、採用から育成、評価までを一貫して支援する体制を持つ場合もあります。
人材育成コンサルの費用相場

人材育成コンサルタントの料金は公開されているケースが少ないため、人材育成も含めた「人事系コンサルティング全体の相場」を参考に紹介します。
一般的には、対象となる社員数や支援内容によって費用が大きく変わるサービスであり、企業規模に比例して金額が上がる傾向があります。一方で、社員1名から参加できる育成プログラムを提供する企業もあるため、サービス範囲によって料金体系が大きく変わる点も押さえておきたいところです。
| 企業規模(社員数) | 年間費用相場 |
|---|---|
| 30人以下 | 約120万円 |
| 100人以上 | 約240万円 |
| 200人以上 | 約360万円 |
実際の金額は依頼内容によって大きく変わるため、最終的には複数社へ問い合わせて比較検討することをおすすめします。
人材育成コンサルの選び方

人材育成コンサルを選ぶ際には、自社の課題や予算に合った支援が受けられるかを見極めることが大切です。ここでは、マッチした会社を選ぶためのポイントを紹介します。
実績・経歴を確認
人材育成コンサルを選ぶうえで、これまでの実績や経験の深さは必ず確認しておきたいポイントです。同じ「研修支援」であっても、企業規模や業界によって必要なアプローチは大きく異なります。そのため、自社と近い環境でどれだけの成果を上げてきたのかを丁寧に見極めることが大切です。
特に注目したいのは、単に実績数が多いかどうかではなく、現場にどの程度入り込み、企業ごとの状況に合わせた提案をしてきたかという点です。商談時には支援内容や導入プロセスをより具体的に確認しましょう。実際の利用企業がどのような成果を得ているかを知ることで、期待できる支援を具体的にイメージしたうえで、契約を締結できます。
得意分野が自社と合っているか
コンサルティング会社ごとに得意とする領域は異なるため、自社の課題に適した専門性を持っているかを必ず確認しておきたいところです。人材モデルの策定に強い会社もあれば、研修体系の構築やタレントマネジメントに特化した会社もあります。まずは、自社がどの部分に課題を抱えているのかを明確にし、その領域を深く理解している企業を候補に入れましょう。
また、初回面談では「どの業界との実績が多いのか」「過去プロジェクトの成果はどこにあったのか」など、具体的なエピソードを確認すると判断しやすくなります。具体例を確認することで、自社の育成課題とコンサル会社の専門領域がマッチしているかどうか見極めましょう。
費用とサービスのバランスに納得できるか
コンサルティング費用は依頼内容や期間によって大きく変動するため、費用だけで判断するのは避けたいところです。重要なのは、サービス内容や成果物が費用と見合っているかどうかです。同じ料金でも、研修設計までの支援にとどまる会社もあれば、施策実行や効果測定まで伴走する会社もあります。
見積もりを取る際には、支援範囲・成果物・スケジュールなどを細かく確認し、期待する成果が実現できる内容になっているかを比較しましょう。料金が安くても必要な支援が受けられなければ意味がなく、高額であっても成果につながる伴走がある場合は投資価値があるといえます。自社の課題と目的に対して、納得できるバランスを見極めることが大切です。
口コミで評価を把握する
口コミは、コンサル会社の支援がどこまで期待に応えているかを判断するうえで大きな材料になります。人材育成は成果が見えるまで時間がかかりやすく、公式資料だけでは支援の実態がつかみにくいため、利用企業の声から得られる情報を有効に活用できます。
特に確認したいのは、自社に近い規模や業界の企業が、導入後にどのような変化を感じたかという点です。担当者の対応の丁寧さや提案のわかりやすさなど、現場での関わり方に触れた内容も判断の助けになります。
複数の口コミを比較することで、サービスの強みや傾向が立体的に見えてきます。自社の課題に合う支援を提供しているかを見極めるための補助線として、口コミを積極的に活用するとよいでしょう。
人材育成コンサルティング会社おすすめ5社

人材育成コンサルティングを提供している企業は複数あります。ここでは、特におすすめの企業を紹介します。
アチーブメント株式会社

- 選択理論心理学を基盤にした教育・研修を提供
- 「学びたい」を引き出す主体性重視の育成アプローチ
- 目標達成力・実行力・指導力を体系的に強化できる支援体制
アチーブメント株式会社は、選択理論心理学を基盤にした研修やコンサルティングを提供し、個人と組織の目標達成を一貫して支援している企業です。学習を一方的に与えるのではなく、受講者自身が「学びたい」と感じられる環境づくりを重視しており、主体性を高めながら成果につながる行動変化を促す点が特徴です。
また、目標設定や実行力の強化に関する独自のノウハウを体系化しており、営業力・マネジメント力・コミュニケーション力など、さまざまなスキルを実務に落とし込んで伸ばしていける研修プログラムが揃っています。加えて、学習が定着するまで繰り返し受講できる再受講制度や、受講者一人ひとりを担当コンサルタントが支援する体制など、フォローアップの仕組みも充実しています。
個人向けの能力開発だけでなく、企業向けには組織開発や理念浸透、人事制度設計など幅広い領域でサービスを展開しており、人を軸にした組織づくりを目指す企業にとって検討しやすいコンサルティング会社といえます。
| アチーブメント株式会社の基本情報 | |
|---|---|
| 会社名 | アチーブメント株式会社 |
| 設立 | 1987年10月 |
| 本社所在地 | 東京都江東区有明3丁目7−18 有明セントラルタワー |
| 公式サイト | https://achievement.co.jp/ |
株式会社Aoba-BBT

- オンライン大学運営で培った実践的な遠隔教育ノウハウ
- 経営層〜若手までカバーする階層別・テーマ別プログラム
- 生成AI・DX・ファイナンスなど変化の大きい分野にも強み
株式会社Aoba-BBTは、オンライン大学やMBAの運営で培った教育ノウハウを生かし、企業向けの人材育成ソリューションを幅広く提供しています。
新人から経営者までを対象とした法人研修に加え、経営塾や経営者向け勉強会など、戦略思考力や構想力を高めたい層に向けたプログラムも充実しています。動画学習サービスや、個別最適化されたカリキュラムで学ぶパーソナライズ型プログラムを通じて、組織課題と個人課題の両方にアプローチできる点も特徴的です。
さらに、生成AI活用キャンプやデジタルファーストキャンプ、ファイナンスドリヴンキャンプなど、DXやデジタル人材育成に直結する短期集中プログラムも用意されています。オンライン完結型の学習設計が多く、全国どこからでも参加しやすいことも経営側にとって大きなメリットといえます。
長期的に自律的に学ぶ人材を育てたい企業にとって、検討しやすいパートナーとなるでしょう。
| 株式会社Aoba-BBTの基本情報 | |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社Aoba-BBT |
| 設立 | 1998年4月8日 |
| 本社所在地 | 東京都千代田区六番町1番7号 Ohmae@workビル |
| 公式サイト | https://aoba-bbt.com/ |
株式会社コーチ・エィ

- エグゼクティブ・コーチングを起点に組織全体の行動変容を促す
- 大規模組織向けの体系化されたコーチングプログラムが豊富
- グローバル拠点を持ち、海外企業・国内拠点にも対応
株式会社コーチ・エィは、日本におけるコーチングの草分けとしてエグゼクティブ・コーチングを軸に組織開発を支援してきたコーチング・ファームです。
組織トップのビジョンを起点に、メンバーの行動やコミュニケーションを変え、組織全体の変革につなげるアプローチを採用しています。経営層向けの1対1コーチングに加え、リーダー層の行動変容を加速させるDCDや、3分間の対話に特化したワークショップなど、組織の状況に応じて選べるプログラムが揃っています。
また、関係性開発を目的としたDAIBEや、リーダーの転換期を支援するトランジションコーチングなど、組織の深層にアプローチするサービスが多い点も特徴です。さらに、AIコーチングを活用し、組織内の多くのメンバーに継続的なコーチング機会を提供する仕組みも展開しています。
ニューヨークや上海など海外拠点も有しており、グローバル展開企業にもおすすめのコンサルティング会社です。
| 株式会社コーチ・エィの基本情報 | |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社コーチ・エィ |
| 設立 | 2001年8月 |
| 本社所在地 | 東京都千代田区九段南2-1-30 イタリア文化会館ビル |
| 公式サイト | https://www.coacha.com/ |
株式会社リンクアンドモチベーション

- 心理学・行動経済学を基盤としたモチベーションエンジニアリングを提供
- 組織開発から人材育成・採用支援までを一貫してカバー
- 2,000社以上の支援実績を持つ組織変革の専門ファーム ※
株式会社リンクアンドモチベーションは、心理学や行動経済学を基盤に独自開発したモチベーションエンジニアリングを武器に、組織と個人の行動変容を支援するコンサルティング会社です。
理念浸透や制度設計から風土改革まで一体で支援する組織開発を中心に、エンゲージメントサーベイや人材開発研修、新卒採用支援など幅広いサービスを展開しています。採用・育成・制度・風土を切り離さず一貫して改善できる点が、同社の大きな強みといえるでしょう。
また、20年以上の歴史の中で上場企業500社を含む2,000社以上の支援実績を持ち※、企業価値向上につながる人的資本経営の実践支援にも力を入れています。組織と個人の関係性を定量的に把握し、課題に応じた打ち手を設計するアプローチは実務性が高く、エンゲージメント向上を軸に事業成長を目指したい企業におすすめです。
モチベーションを起点に変革を進めたい企業にとって、有力なパートナーとなるでしょう。
参照元
| 株式会社リンクアンドモチベーションの基本情報 | |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社リンクアンドモチベーション |
| 設立 | 2000年3月27日 |
| 本社所在地 | 東京都中央区銀座4丁目12−15 歌舞伎座タワー 15階 |
| 公式サイト | https://www.lmi.ne.jp/ |
アルー株式会社

- オーダーメイド研修からeラーニングまで幅広く設計できる総合支援体制
- 若手〜経営層・海外拠点まで対応する豊富な育成カリキュラム
- 行動変容にこだわった実践型プログラムと独自の学習プラットフォーム
アルー株式会社は、企業の育成課題に合わせてオーダーメイド研修を設計できる点が特徴の人材育成コンサルです。
新入社員研修や管理職研修に加えて、グローバルリーダー育成や海外拠点向けプログラムまで幅広くカバーしており、若手から経営層まで一貫した育成体系を構築できます。「知らないからわかる」「できるから変わる」へと進める行動変容型のアプローチが強みで、課題解決に直結する育成プログラムとして評価されています。
また、オンラインとオフラインを組み合わせたハイブリッド研修や、LMSを使った学習管理にも対応しており、働き方の変化に合わせた柔軟な研修設計が可能です。さらに、独自の育成プラットフォームにより成果を可視化できるため、研修投資の効果を確認しながら改善を進められます。
海外で活躍できる人材を育てたい企業や、過去の研修で成果が見えづらかった企業にも向いており、総合的な育成支援を求める場合に心強いパートナーとなるでしょう。
| アルー株式会社の基本情報 | |
|---|---|
| 会社名 | アルー株式会社 |
| 設立 | 2003年 |
| 本社所在地 | 東京都千代田区九段北一丁目13番5号 |
| 公式サイト | https://www.alue.co.jp/ |
人材育成コンサルに依頼するメリット

人材育成コンサルに依頼すると、現状の整理から施策づくり、仕組みの運用までを総合的に支援してもらえます。ここでは、人材育成コンサルを活用することで得られる主なメリットを整理します。
問題や状況を整理できる
人材育成コンサルに依頼する大きなメリットは、組織や従業員の状況を客観的に整理し、改善の起点をつくれる点にあります。
育成に必要な情報は社内にあるものの、日々の業務に追われる中で整理しきれないことが多く、どこから着手すべきか判断が難しくなる場面もあります。外部のコンサルタントは、ヒアリングやデータ分析を通じて現状を可視化し、人材の強みや組織の課題を明確にしたうえで、改善の方向性を示します。
さらに、俯瞰した視点で情報を整理するため、社内だけでは気づきにくい課題が浮かび上がることもあります。状況が整理されると、育成の優先順位や必要な施策が判断しやすくなり、無駄な取り組みを避けながら改善を進められます。
人材育成の負担軽減・改善
育成業務にかかる社内の負担を大幅に抑えられる点も、メリットの一つです。
自社だけで研修の企画や体系づくりを進める場合、担当者が通常業務と育成業務を兼任することになり、作業量が増えて施策の質が不安定になることがあります。育成体系の整理、研修計画の立案や運用代行を依頼することで、社内リソースを圧迫せずに育成環境を整えられます。
また、外部視点が入ることで、従来のやり方では見えにくかった改善点が浮かび上がり、施策のブラッシュアップにつながります。担当者が一人で抱え込みがちな作業を適切に分担でき、育成の質と効率を両立しやすくなる点も魅力です。結果として、社内全体の負荷を抑えながら、より効果的な育成施策を実現できます。
スピードと質で従業員が成長する
人材育成コンサルが関わると、施策のスピードと質がともに向上し、従業員の成長が加速します。
育成制度の構築や研修の導入は時間と労力がかかりますが、コンサルタントは手順や判断基準が明確なため、必要な工程を効率的に進められます。検討に時間がかかりがちな制度設計や意思決定の場面でも、外部の専門的な視点が加わることで議論が整理され、導入までの流れがスムーズになります。
育成施策が早期に動き始めると、従業員が新しいスキルを身につけるチャンスも増えます。研修内容の選定や設計に専門性があるため、現場での成果に直結するコンテンツも導入可能です。結果として、組織全体の成長サイクルが短縮され、求める人材像に向けた育成が進みやすくなります。
人材育成ノウハウ獲得が可能
外部のコンサルタントと共同で施策を進めることで、社内に育成ノウハウが蓄積されることも、大きなメリットです。
現状分析の進め方や施策の組み立て方を間近で学べるため、担当者が専門的なスキルを習得しやすくなります。特に、データをどう読み解き、育成方針をどう判断するかといったプロセスは、実務で経験しないと身につきにくい部分です。
コンサルタントが持つフレームワークや思考方法に触れる機会が増えることで、育成部門全体のレベルアップにつながります。外部に依存するのではなく、将来的には社内で施策を回せる体制を作りやすくなり、中長期的に見ても大きな価値を生みます。継続して活用できる知識が増え、次の育成施策の質も高まりやすくなるでしょう。
過去の事例・情報を知ることができる
さまざまな企業を支援してきたコンサルタントは、他社の成功事例や最新の育成手法に詳しく、自社で検討する際に役立つ情報を多く持っています。人材育成は組織ごとに課題が異なるものの、他社の取り組みを知ることで、新しい施策のヒントが得られる場面があります。自社にはなかった発想や、最新のITツールを活用した解決策に触れられる点もメリットです。
また、育成施策の失敗事例や注意点を知ることで、同じポイントでつまずくリスクを減らせます。情報の幅が広がることで、より実態に合った施策を検討しやすくなり、検討プロセスも効率化できます。外部の事例を参考にしながら、自社に適した形に調整していけるため、育成施策の精度を高めやすくなります。
人材育成コンサルのデメリットと注意点

人材育成コンサルを導入すると、専門的な支援によって組織変革を進めやすくなります。ただ、外部の視点が入るからこそ発生する課題もあるため、事前に理解しておくことが大切です。ここでは、導入時に押さえておきたい代表的な注意点を紹介します。
従業員が不満を感じるリスクがある
最初に確認したいのは、外部コンサルの介入によって従業員が戸惑いや不満を抱く可能性がある点です。
新しい仕組みや行動を求められると、従来のやり方を大切にしてきた人ほど「否定された」と感じやすく、改革そのものへの抵抗につながることがあります。特に、長年現場を支えてきたベテラン層にとっては、急な変化が負担になる場合もあるでしょう。
こうした状況を避けるためには、改革を押しつけるのではなく、意味を理解したうえで協力してもらう姿勢をつくることが重要です。初期段階から現場の代表者を巻き込み、導入後のコミュニケーションも続けながら、変化を前向きに受け止められる環境を整えましょう。
研修の効果を維持する努力が必要
研修直後に意識や行動が変わっても、時間が経つと元に戻るケースは多く見られます。人材育成コンサルの支援が単発の研修にとどまる場合、行動変容が習慣化せず、組織に定着しないまま終わってしまう可能性があります。この状態が続くと、費用をかけたにもかかわらず成果が見えにくく、経営判断にも影響が出てしまうでしょう。
効果を持続させるには、研修後のフォローアップや評価制度との連動など、仕組みとして行動を維持できる環境づくりが必要になります。コンサルタントに依頼する際は、研修だけでなく定着支援まで含むプランかどうかを確認しておくことが大切です。短期的な改善ではなく、継続的な成長につながる状態を意図的につくりましょう。
継続コストが必要になる
人材育成コンサルを導入する場合、初期費用だけでなく継続的なコストがかかる点を理解しておきましょう。診断や計画策定に必要な費用に加えて、月額の顧問料や追加施策の費用が発生するケースもあります。特に中長期で組織変革を進める場合は、一定期間の支援を前提に契約することが多く、結果的に大きな投資になることもあります。
そのため、依頼する前に「どの範囲までが費用に含まれるのか」「契約期間が延びた場合の追加負担はあるのか」といった点を確認することが重要です。また、コンサルの提案内容に合わせて設備投資や研修環境の整備が必要になる場合もあります。投資した金額以上の成長につながるかを見極め、長期的な視点で導入を考えることが大切です。
人材育成コンサルに関するQ&A

人材育成コンサルを導入する際には、イメージがつきにくいこともあるかと思います。最後に、導入を検討する際によく寄せられる疑問について解説します。
人材育成コンサルタントに資格はありますか?
人材育成コンサルタントとして働くための国家資格はありません。ただ、担当者の専門性を判断する基準として役立つ資格はいくつかあり、比較時の参考になります。
代表的な資格には、キャリア支援の国家資格であるキャリアコンサルタント、人事制度や組織改善を幅広く扱う中小企業診断士、人材開発を専門とするシニアプロフェッショナル人材育成士などがあります。これらを持つ担当者であれば、理論と実務の両面から相談しやすくなるはずです。
さらに、人材育成では問題解決力やコミュニケーション力、ファシリテーション力に加えて、HRテックを活用した分析力が求められる場面もあります。資格だけでなく、実績や得意領域との組み合わせで総合的に判断することが大切です。
人材育成コンサルタントで有名な大手企業は?
人材育成をはじめ組織・人事全般に強いコンサルティング会社の中で、特に実績のある大手では以下3社があります。表では売上高を比較していますが、提供しているサービス内容は異なるため、詳細は各社の公式サイトにてご確認ください。
| 企業 | 売上高 |
|---|---|
| 株式会社パーソル総合研究所 ※1 | 1兆4512億3800万円 |
| 株式会社リンクアンドモチベーション ※2 | 374億5800万円 |
| アル―株式会社 ※3 | 30億8902万円 |
人材育成コンサルのまとめ

人材育成コンサルを導入することで、育成課題が複雑化する環境でも、従業員が成長し続ける仕組みを整えやすくなります。 支援内容は、育成方針の整理や研修体系の再構築、現場への定着支援まで幅広く、社内だけでは見えにくい課題も明確にしながら改善を進められます。
ただし、提供される支援範囲や得意領域は企業ごとに異なるため、複数社の提案を比較し、自社の課題に合ったパートナーを慎重に選ぶことが重要です。ぜひ本記事を参考に、長期的に成長できる人材育成の体制づくりを進めてみてください。


