監査法人での経験は、公認会計士としての大きな強みになる一方で「このまま続けてよいのか」「辞めた後のキャリアはどうなるのか」と悩む方も少なくありません。実際、ワークライフバランスや昇進競争への不安から転職を考える会計士は増えています。
本記事では、監査法人を辞めた後の主な転職先やキャリアパス、成功事例を紹介します。その他、転職活動を進めるうえで押さえておきたいポイントや活用すべき転職エージェントも解説しますので、今後のキャリアを広げるヒントとして参考にください。
\会計士におすすめの転職エージェント/
サービス名 | 特徴 |
---|---|
![]() |
管理部門や士業に専門特化で35年の実績 管理部門・士業等のスペシャリスト領域では業界最大級の求人数。専門特化型ならではの強みを生かし、大手監査法人、日系大手企業、外資系、ベンチャーキャピタルなど多様な組織・企業とのネットワークあり。 |
![]() |
公認会計士や試験合格者、USCPAに特化した転職エージェント 「マイナビ」のネットワークを最大限に活かした事業会社、コンサルティングファーム、会計事務所、金融機関などの豊富な求人が魅力。 |
![]() |
経営×ファイナンス領域に特化した転職エージェント 業界未経験者の書類添削/面接対策に強く転職支援人数は業界トップクラス。転職成功者の平均年収増加率186%の実績あり |
会計スキルを活かせる案件が豊富にあるエージェント |
※(2020年10月時点)
関連記事>>公認会計士におすすめ転職エージェント
監査法人を辞めた後のキャリアの選択肢

多くの会計士が監査法人を辞めた後に事業会社や会計事務所、コンサルティングファーム、金融機関などへキャリアチェンジしています。ここでは、監査法人を辞めた後の代表的なキャリアの選択肢を紹介します。
事業会社
監査法人を辞めた会計士が最も多く選ぶキャリアの一つが、一般企業の経理・財務部門への転職です。監査で培った会計基準の知識や財務諸表分析のスキルは、決算業務や予算管理、内部統制の整備といった業務で大いに役立ちます。
特に上場企業では、開示資料の作成やIR対応など、会計士ならではの強みを活かせる場面が豊富です。また、経営層と近い立場で数字を扱うことで、将来的にCFOや経営企画部門へのキャリアアップを目指せる点も魅力です。
さらに、近年は海外子会社を抱えるグローバル企業も多く、国際会計基準(IFRS)の知識や英語力を活かすチャンスも広がっています。安定した働き方を求めながら、経営に近い立場で成長したい方にとって魅力的な選択肢です。
会計事務所・税理士法人
監査法人を辞めた後、会計事務所や税理士法人で活躍するケースも多く見られます。中小企業や個人事業主を対象とした税務申告・会計指導・経営支援など、より顧客に密着したサービスに携わることが可能です。
監査法人での経験がある会計士は、財務諸表の正確性を担保する力や内部統制の知見を持ち合わせており、税務に加えて幅広いアドバイスができる点で重宝されます。また、法人によってはM&Aや事業承継などの高度なコンサルティング業務にも携われるため、専門性を深めつつ顧客に直接貢献できる実感を得やすい環境です。
さらに、将来的に独立開業を視野に入れる場合もここでの経験は大きな糧となります。顧客との距離が近く、柔軟なキャリア形成をしたい人に適した選択肢といえるでしょう。
コンサルティングファーム
コンサルティングファームへの転職も、監査法人出身者に人気のキャリアパスです。特に戦略コンサルや会計・財務アドバイザリーを手掛けるファームでは、会計士としての分析力や論理的思考力が強みとなります。
企業の経営課題に対し、財務デューデリジェンスやM&A支援、事業再生コンサルティングなど幅広いプロジェクトに携わることで、監査法人では得られない実践的な経験を積むことが可能です。加えて、クライアントの経営層と直接やり取りする機会も多く、経営的な視点を身につけられる点は大きなメリットといえます。
一方で、成果主義の色が濃くハードワークになりがちですが、その分短期間でスキルを磨きたい人やキャリアの幅を広げたい人には非常に魅力的な環境です。
金融機関
監査法人を辞めた後に、金融機関へキャリアチェンジする人も少なくありません。銀行や証券会社・投資ファンドなどでは、会計士が持つ財務分析力やリスク評価の知識が高く評価されます。
銀行では融資審査や与信管理、証券会社ではIPO支援やM&A関連業務、投資ファンドでは投資先企業の価値評価やモニタリングなど、多彩な活躍の場があります。また、金融機関は経営陣や投資家と近い立場で業務を行うため、監査法人とは異なる角度から企業を見る経験が積めるのも魅力です。
さらに、年収水準が高めであることも多く、キャリアアップと待遇改善を同時に実現できる可能性があります。安定性と高い専門性を兼ね備えたキャリアを求める方に、おすすめです。
外資系の企業
外資系企業は、監査法人出身者にとって魅力的なキャリアの一つです。外資系の製造業や金融、IT企業などでは、国際会計基準(IFRS)への対応やグローバルな財務管理が求められるため、監査経験と英語力を併せ持つ人材は重宝されます。
業務内容としては、海外子会社の連結決算や国際税務対応、内部監査などが挙げられ、グローバルな視点でキャリアを積むことが可能です。また、外資系は成果主義の色が濃く、実力次第で高収入やマネジメントポジションへの抜擢も期待できます。
一方で厳しい競争環境やスピード感のある意思決定に対応する必要があるため、自律的に動ける人や国際的な舞台で成長したい人におすすめの環境です。
スタートアップ・ベンチャー
スタートアップやベンチャー企業も、監査法人を辞めた会計士にとって注目されるキャリアです。スタートアップやベンチャー企業は急成長を目指す中で、資金調達やIPO準備、管理体制の整備など多くの課題を抱えています。
そのため、監査法人で培った財務や内部統制の知識を活かし、経理・財務責任者やCFO候補として参画するケースも増えています。大手企業と異なり、一人が幅広い業務を担うため、短期間で経営全体を見渡すスキルを磨ける点が大きな魅力です。
もちろんリスクも伴いますが、その分やりがいも大きく会社の成長に直接貢献できる実感を得られます。将来的に独立や起業を目指す人にとっても、経営の実務を学ぶ絶好の場となるでしょう。
教育・研修分野
監査法人での経験を、教育や研修の分野で活かす選択肢もあります。専門学校や大学、企業研修などで、公認会計士試験の受験指導や、会計・財務に関する研修を担当する仕事です。
実務経験を交えた指導は説得力があり、次世代の会計士やビジネスマンの育成に貢献できます。また、会計教育に携わることで、自身の知識を体系的に整理し直す機会にもなり自己成長にもつながるでしょう。
加えて、近年はオンライン研修やeラーニングの需要が高まっており、講師として独立して活動する人も増えています。人に教えることが好きで、自分の経験を社会に還元したいと考える人には最適なキャリアパスといえるでしょう。
独立開業
監査法人を辞めた後、独立開業を選ぶ会計士も多くいます。自ら会計事務所を立ち上げ、顧客の税務申告や経営相談・M&A支援・内部統制の構築など幅広いサービスを提供することが可能です。
独立の魅力は、働き方や収入を自分でコントロールできる点にあります。顧客を増やせば高収入も狙え、働き方を調整すればワークライフバランスも確保可能です。
一方で、顧客獲得や経営の安定化には時間と労力が必要であり、事業運営の責任も全て自分にあります。そのため、独立を考える場合は、監査法人や会計事務所で培った人脈やスキルを基盤に、戦略的に準備を進めることが重要です。
自由度と責任を兼ね備えたキャリアであり、起業志向の強い人に適しています。
監査法人からのキャリアチェンジを検討する理由とは?

監査法人は専門性が高くやりがいのある職場ですが、その一方で働き方やキャリアパスに課題を感じる人も少なくありません。ここでは、監査法人からのキャリアチェンジを検討する代表的な理由を整理します。
より良いワークライフバランスを実現したい
監査法人では、繁忙期になると長時間労働が当たり前になり、プライベートの時間が犠牲になるケースが多く見られます。結婚や出産などライフステージの変化を迎えると、家庭との両立が難しくなり、働き方を見直すきっかけとなります。
最近では、一般企業の経理・財務部門や外資系企業・スタートアップなど、より柔軟な働き方を実現できる転職先を選ぶ人が増加傾向です。監査法人で身につけたスキルは他業種でも高く評価されるため、バランスを重視したキャリアを築くことは十分可能です。
自分のライフスタイルに合った働き方を求める人にとって、キャリアチェンジは有力な選択肢となります。
監査以外の専門領域に挑戦したい
監査法人での経験は会計監査に特化しているため、一定期間勤務すると業務の幅に物足りなさを感じる人も少なくありません。例えば、M&A・企業再生・国際税務・コンサルティングといった分野に挑戦し、自分の専門性を広げたいと考えるケースです。
FASや戦略系コンサルティングファームでは、監査で培った分析力や会計知識が大いに活かされます。監査以外の専門領域に飛び込むことで、キャリアの選択肢は一層広がり、市場価値も高まります。
自分の強みを活かしながら新しい分野にチャレンジしたい人にとって、キャリアチェンジはキャリア形成の大きな転機となるでしょう。
昇進や待遇に限界を感じた
監査法人は実力主義の環境ですが、昇進のスピードや待遇には法人ごとの構造的な限界があります。特にパートナーを目指す道は狭き門であり、多くの会計士がマネージャー止まりになる現実もあります。
また、監査報酬の価格競争が激化する中、給与が上がらず限界を感じる人も多いようです。こうした状況を背景に、より裁量や報酬が期待できる事業会社や外資系企業、あるいは独立を選ぶケースが目立ちます。
待遇面での満足度を高めるには、現状に固執せず新たなキャリアパスを模索する柔軟性が求められます。
自分らしいキャリアを見つけたい
監査法人は大規模組織であるがゆえに、役割が細分化され、自分の仕事が組織全体の一部にとどまってしまうことがあります。その結果、自分のキャリアビジョンと業務内容のギャップに悩む人も少なくありません。
「もっと経営に近い立場で仕事をしたい」「社会に直接的なインパクトを与えたい」といった思いから、独立やベンチャー企業、教育分野への転身を図る人もいます。キャリアの多様性が重視される今、自分らしさを大切にしたキャリアを築くことは珍しくありません。
将来を見据え、自分がどう社会に関わりたいかを考えることが、キャリアチェンジを検討する大きな理由となっています。
監査法人からの転職で評価されるスキルは?

監査法人で培った経験は専門性が高く、転職市場でも大きな強みとなります。ここでは、監査法人からの転職で評価されるスキルを解説します。
英語や中国語などの語学力
グローバル化が進む現代において、語学力は監査法人出身者の転職市場で非常に高く評価されます。特に英語は、外資系企業や多国籍クライアントを担当する監査法人での経験を活かす上で不可欠です。
ビジネス文書の読み書きだけでなく、ディスカッションや交渉を英語で行えることが求められるケースも多いです。また、中国語も需要が増しており、中国市場に進出している日系企業や中国資本の企業と関わる仕事で役立ちます。
語学力は専門知識と掛け合わせることで、より高い市場価値を生み出せます。そのため、転職を検討している会計士は、日常会話レベル以上の語学力習得に投資する価値が十分にあるでしょう。
ITに関する知識
デジタル化が加速するなか、ITスキルは監査法人からの転職で大きなアピールポイントになります。近年ではERPシステムや会計ソフトの導入支援、データ分析業務など、会計とITを融合させた業務が急増中です。
さらに、AIやブロックチェーンを活用した監査手法の進展により、ITに関する知見を持つ会計士は、企業から高いニーズを集めています。例えば、データベースの構築やBIツールを使った分析ができると、経営企画や管理会計部門への転職でも即戦力として評価されます。
監査法人でシステム監査に携わった経験があれば、それを強みとして前面に出すことで転職市場での競争優位性を高められるでしょう。
コミュニケーション力
監査法人での業務は、クライアント企業の担当者やチームメンバーとの連携が欠かせません。そのため、コミュニケーション力は監査法人出身者にとって重要な評価ポイントです。
単に人当たりが良いという意味ではなく、複雑な会計情報を分かりやすく説明する力や、相手のニーズを引き出すヒアリング力が求められます。特に転職先が一般企業やコンサルティングファームの場合、社内外のステークホルダーとの関係構築能力が成果を左右します。
また、監査法人時代に培った論理的な説明力や交渉力は、営業や企画など非会計分野の職種でも十分に活かせます。専門知識と組み合わせて、わかりやすく伝える力を強みとしてアピールすることが成功の鍵です。
マネジメントスキル
監査法人では、一定年数を経るとスタッフを率いる立場となり、マネジメントスキルが自然と身につきます。プロジェクトごとにチームを編成し、進捗管理や人材育成を行う経験は、転職先でも高く評価されるポイントです。
マネージャーやシニアマネージャーとして複数の案件を統括した経験がある場合、一般企業の経理財務部門やコンサルティングファームで管理職候補として迎えられることも珍しくありません。
マネジメントスキルは単なる指示出しではなく、メンバーのモチベーションを引き出し、効率的にチームを動かす力が重要です。監査法人で培ったチームリーダー経験を具体的に示すことで、転職市場での評価を一段と高められるでしょう。
公認会計士のキャリアアップにおすすめの資格

公認会計士としての資格だけでも高い専門性を持っていますが、さらに他の資格を取得することでキャリアの幅は一層広がります。ここでは、公認会計士のキャリアアップにおすすめの資格をいくつか紹介します。
税理士資格
公認会計士が税理士資格を取得すると、キャリアの選択肢が大きく広がります。監査法人での会計監査業務に加え、税務分野に精通することで、事業会社の税務部門や税理士法人への転職も可能になります。
企業再編や国際税務・移転価格税制といった高度な分野では、会計と税務の両方を理解している人材は貴重です。また、独立を視野に入れる場合も税理士資格は強力な武器となり、顧問業務や資産税分野など幅広く活躍できます。
すでに会計士試験に合格している場合、一定の手続きを経て税理士登録が可能なため、キャリアの中で取得を目指す人も多い資格です。
中小企業診断士
中小企業診断士は企業経営のドクターと呼ばれる国家資格で、経営戦略やマーケティング、生産管理といった幅広い知識が求められます。公認会計士が中小企業診断士の資格を取得することで、財務面の知見に加えて経営全般のアドバイスができるようになり、コンサルティングファームや事業会社の経営企画部門などで活躍の場が広がります。
また、中小企業診断士は国や自治体の施策と関わる機会も多く、独立後に公的支援制度のアドバイザーとして活動できるメリットもある資格です。財務の専門家としての強みと組み合わせることで、クライアントからの信頼度がさらに高まり、キャリアアップの選択肢を増やせるでしょう。
USCPA(米国公認会計士)
USCPA(米国公認会計士)は、国際的に認知度の高い資格で、外資系企業やグローバルに展開する日系企業でのキャリア形成に有利です。国際会計基準(IFRS)や米国基準(USGAAP)を理解していることは、海外子会社を持つ企業やM&A関連業務に関わる場面で評価されます。
また、USCPAを取得することで監査法人内でも国際部門やクロスボーダー案件を担当できるチャンスが増え、海外駐在の可能性も広がります。日本の会計士資格と併せ持つことで、国内外両方に通用する専門家としての地位を確立できるのが大きな魅力です。
CIA(公認内部監査人)
CIA(公認内部監査人)は内部監査の国際資格で、リスクマネジメントや内部統制の分野で力を発揮します。公認会計士がCIAを取得すると、監査法人に限らず、事業会社の内部監査部門や内部統制に関わるポジションへの転職に有利です。
特に上場企業では内部統制報告制度(J-SOX)への対応が求められており、CIAを持つことで専門性を示せます。また、内部監査の国際的なフレームワークを理解していることは、グローバル企業でも強みになります。
キャリアの中で監査からリスクマネジメントやガバナンス分野へ軸足を移したい人には、非常に価値のある資格といえるでしょう。
TOEIC
TOEICは語学試験の一つですが、スコアは転職市場や社内評価において英語力の目安として活用されます。特に外資系企業やグローバル展開している日系企業では、TOEICのスコアが一定基準以上であることを応募条件にしているケースも少なくありません。
公認会計士がTOEICで高得点を取っていれば、海外子会社の監査や国際的なクライアント対応など、キャリアの幅を広げる上で大きな武器になります。また、英語での資料作成や会議対応ができることは、単なる会計スキルに加えて即戦力として評価されやすくなります。
TOEICは実務に直結する試験ではありませんが、キャリアアップを狙う際の基礎的な証明として有効です。
監査法人を辞めた後のキャリアで成功するには

監査法人を辞めた後のキャリアを成功させるには、単に転職先を探すだけでは不十分です。ここでは、転職活動を進める際に意識すべき5つのポイントを解説します。
転職の目的を明確にする
転職で失敗しないためには、まず「なぜ辞めたいのか」「次にどんな環境で働きたいのか」を具体的に言語化することが欠かせません。「収入を上げたい」「残業の少ない環境で働きたい」「専門性を深めたい」など目的が曖昧なままだと、入社後に再びミスマッチを感じやすくなります。
目的を整理することで応募先企業を絞り込みやすくなり、面接での説得力も増します。監査法人出身者は多様なキャリアパスを選べる分、自分がどの方向に進みたいのかをはっきりさせることが成功への第一歩です。
スキルの棚卸しを行う
キャリアチェンジを考える際には、自分がこれまでに培ったスキルを一度棚卸ししてみましょう。監査法人で得られる知識は会計や監査だけでなく、リスク管理、プロジェクトマネジメント、コミュニケーション力など多岐にわたります。
これらを整理して職務経歴書に落とし込むことで、自分の市場価値を客観的に把握できるとともに、採用担当者に強みを明確に伝えられます。また、スキルの棚卸しを通じて不足している部分も見えてくるため、転職前に必要なスキル習得や資格取得の準備を進めることも可能です。
ワークライフバランスの優先度を決める
監査法人を辞める理由の一つとして、長時間労働や繁忙期の負担が挙げられます。そのため転職活動を始める際には、自分がどの程度ワークライフバランスを重視するのかを明確にしておくことが重要です。
「給与よりも残業の少なさを優先する」「専門性を高めるために多少の残業は許容する」等の基準を持つことで、求人選びに一貫性が生まれます。転職後に思っていた働き方と違うと後悔しないためにも、ライフスタイルや将来の生活設計と照らし合わせて優先順位をはっきりさせることが成功につながります。
現職場への退職の報告は早めに
転職活動が進んできたら、現職場への退職の報告も計画的に行いましょう。監査法人は繁忙期が明確な業界であるため、突然の退職はクライアントやチームに大きな影響を与える可能性があります。
少なくとも退職希望日の1〜2か月前には上司に相談し、引き継ぎ計画を立てるのが望ましいです。誠実に対応することで円満退職が可能となり、将来的に同業界で再び関わる際にも好印象を残せます。
監査法人出身者は業界内でのつながりが強いため、最後まで責任感を持った対応をすることが自分のキャリアにもプラスに働きます。
転職エージェントを活用して業界のトレンドを把握する
監査法人出身者は多様なキャリアパスを描ける一方で、どの選択肢が自分に最も合っているのか判断に迷うことも少なくありません。その際に頼りになるのが転職エージェントです。
エージェントは最新の求人情報だけでなく、各業界の動向や将来性に関する情報も提供してくれるため、情報不足による失敗を防げます。また、面接対策や職務経歴書の添削を通じて、自分では気づけなかった強みを引き出してくれるのも大きなメリットです。
監査法人出身者に強いエージェントを選べば、非公開求人の紹介や専門的なアドバイスを受けられ、効率的かつ戦略的に転職活動を進められます。
監査法人からの転職におすすめのエージェント

監査法人からの転職を成功させるには、会計士や経理・財務に特化した転職エージェントを活用することが不可欠です。ここでは、監査法人からの転職におすすめのエージェントを紹介します。
MS-Japan

- 経理・人事・法務・会計士・税理士・弁護士の転職におすすめ
- 管理部門・士業特化型転職エージェント転職支援実績No.1※
- 独占求人や非公開求人が豊富
MS-Japanは、管理部門や士業領域に特化した転職支援で高い評価を得ているエージェントです。監査法人出身の会計士や税理士の転職サポートに実績があり、一般には公開されていない非公開求人や独占求人を多数保有しています。
大手監査法人・会計事務所・ベンチャーキャピタルとのネットワークをもち、関東・東海・関西の主要都市を中心に、大手上場企業・外資系企業・優良ベンチャー企業・会計事務所・監査法人・金融機関まで、幅広いフィールドの求人情報があり、その数は業界トップクラスです。
会計業界や監査法人の事情に精通しているキャリアアドバイザーにサポートしてもらえるので、安心して転職活動を進められます。ハイクラス層向けの求人も多いため、年収アップを目指す方にもおすすめです。
MS-Japanの基本情報 | |
---|---|
運営会社 | 株式会社MS-Japan |
公式サイト | https://www.jmsc.co.jp/ |
公開求人数 | 10,635件以上(2025年9月29日現在) |
主な求人職種 | 人事、総務、経理、財務、法務 経営企画、コンサルティング、マーケティングなど |
関連記事>>MS-Japanの評判・口コミ
参照元
※MS-Japan※厚生労働省「人材サービス総合サイト」における管理部門・士業領域に特化した有料職業紹介事業者の「無期雇用および4ヶ月以上の有期雇用の就職者数」(2024年度実績を自社集計)による。なお、管理部門・士業領域への特化の有無は、当社において比較対象の有料職業紹介事業者のウェブサイトを全件閲覧して判断。(2025年8月1日時点)
ヒュープロ

- 会計業界の求人に強い
- サポートが丁寧
- 書類作成から入社準備まって一貫してサポート
ヒュープロは、会計・税務・経理など専門職に特化した転職エージェントです。経験豊富なキャリアアドバイザーが1人ずつ担当として付き、書類作成から面接のサポート、企業との面談設定、入社準備まで、一貫してサポートを提供してくれます。
丁寧なアドバイスを行い、次のステップに必要なサポートを提供しています。スピーディーな対応力と求人の豊富さで、安心して利用できるサービスです。
公式サイト上では求人検索がしやすく、自分の希望条件に合った求人を効率的に探せます。税理士・公認会計士・経理・財務・社労士・人事労務の求人に特化し、個人事務所からBig4、プラム上場企業まで非公開の好条件・好待遇の求人案件を紹介してくれます。
ヒュープロの基本情報 | |
---|---|
運営会社 | 株式会社ヒュープロ |
公式サイト | https://hupro-job.com/ |
公開求人数 | 12,936件(2025年9月8日現在) |
主な求人職種 | 税理士、公認会計士、社会保険労務士、弁護士など |
関連記事>>ヒュープロの評判・口コミ
ヤマトヒューマンキャピタル

- 難関職種への転職支援実績多数
- ヤマトヒューマンキャピタルにしかない非公開求人が多数
- 内定を獲得するための丁寧なサポート
ヤマトヒューマンキャピタルは、会計・税務分野を中心に、士業や管理部門の転職に強みを持つエージェントです。各法人や業界の内情を熟知したコンサルタントが、キャリアビジョンに沿った求人を提案してくれます。
大手監査法人出身者が活躍している事業会社やコンサルティングファームへの転職事例も多く、実績に裏打ちされた信頼感があります。さらに、候補者一人ひとりの強みを引き出し、将来のキャリアパスまで見据えた提案を行う点が特徴です。
また、非公開求人や独自ルートの案件を多く持っているため、他のエージェントでは出会えない求人に巡り合える可能性もあります。転職を迷っている段階でも相談できるため、情報収集から具体的な転職活動まで幅広く活用できます。
ヤマトヒューマンキャピタルの基本情報 | |
---|---|
運営会社 | ヤマトヒューマンキャピタル株式会社 |
公式サイト | https://yamatohc.co.jp/ |
公開求人数 | 2,903件(2025年9月11日現在) |
主な求人職種 | 経営・経営企画・事業企画系、管理部門系、営業系、コンサルタント系、金融系専門職など |
関連記事>>ヤマトヒューマンキャピタルの評判・口コミ
監査法人を辞めた後の転職成功事例

監査法人を離れることは、公認会計士にとって大きな決断です。ここでは、監査法人を辞めた後の転職成功事例をご紹介します。
転職成功事例①大手監査法人からベンチャー企業へ
転職前のキャリア | 大手監査法人 |
---|---|
転職後のキャリア | ベンチャー企業経理 |
転職理由 | 数字を創る側で働いてみたいという気持ちになった |
この方は監査法人でインチャージとして経験を積むべきか、労働時間や年収を下げてでも企業に転職すべきか大いに悩んだといいます。最終的には、経営に直接関われるベンチャー企業への転職を選択。
年収は700万円から600万円に下がりましたが、自分の仕事が会社の成長に直結する実感を得られ、働き甲斐を大いに感じているそうです。
転職成功事例②監査法人からコンサルティング業界へ
転職前のキャリア | 大手監査法人インチャージ |
---|---|
転職後のキャリア | 独立系コンサルティングファーム |
転職理由 | このまま監査の仕事を続けるべきかと悩んでいた |
この方は、経営に直接関わる仕事を志し、独立系のコンサルティングファームへ転職しました。初年度こそ慣れが必要でしたが、2年目には年収も700万円から850万円へアップ。
現在は大手通信会社との協業やインフラ企業のコンサルティングに携わり、日本経済への貢献を実感しているといいます。
転職成功事例③大手監査法人から大手監査法人サステナビリティへ
転職前のキャリア | 大手監査法人 |
---|---|
転職後のキャリア | 大手監査法人サステナビリティ部門 |
転職理由 | 企業のサステナビリティ経営に関心を持った |
この方は、サステナビリティコンサルタントとして企業のCSRや持続的成長を支援したいという明確な志を持っていました。最終的に大手監査法人のサステナビリティ部門に内定。
評価されたのは、監査法人で培った会計スキル、海外MBAによる知見と語学力、そして厳しい環境で培ったタフネスでした。現在は企業のサステナビリティ戦略を支援する第一線で活躍しています。
監査法人を辞めずに続ける場合のキャリアパス

監査法人では、経験を積むことで徐々に責任あるポジションへと昇格していきます。以下の表は、一般的な監査法人でのキャリアステップと年収の目安を示したものです。
役職 | 年収目安 | 役割 |
---|---|---|
スタッフ | 450〜600万円 | 資料作成や監査調書の作成など基本的な監査業務を担当 |
シニア | 600〜800万円 | チーム内で実務の中心を担い、スタッフの指導も行う |
マネージャー | 900〜1,200万円 | 複数チームを管理し、監査全体の進行を統括する |
シニアマネージャー | 1,000〜1,500万円 | 大規模クライアントや難易度の高い案件を担当 |
パートナー | 1,500万円以上 | 監査法人の経営層として案件獲得や法人運営に関与 |
安定した収入と社会的信用を得られる一方、ポジションが上がるほど業務責任や負荷も大きくなるため、自身のライフプランと照らし合わせて、キャリアを考えることが大切です。
会計士のゴールをイメージ!「公認会計士のキャリアマップ」

日本公認会計士協会(JICPA)は、「公認会計士のキャリアマップ」を公表しており、会計士として成長していく道筋が具体的に示されています。
上記のマップでは、キャリアのステップごとに必要な経験や、求められるスキル、役割が整理されています。
例えば、スタッフでは監査・帳簿作成・基礎的な監査補助といった実務が中心ですが、マネージャー以上になると、部門運営や法人戦略への関与、外部とのステークホルダー対応といった、より広い見通しを持った業務が期待されます。
監査法人のキャリアイメージするのであれば、経理に特化した転職エージェントジャスネットキャリアが提供している、公認会計士のキャリアマップも、有用な情報源です。
自分の経験年数・実績・希望と照らし合わせて、「どのステージを目指すのか」「今何を積めばいいか」が見えてきます。公認会計士として進むべき道に迷っているなら、参考にしてみてください。
監査法人のキャリアに関するQ&A

監査法人で働く会計士やスタッフの多くが気になるのは、離職率や年収の到達ラインなど、キャリアに直結する疑問です。ここでは、監査法人のキャリアに関する代表的な質問に答えていきます。
監査法人のBig4の離職率は?
監査法人のBig4とは、以下の4法人を指します。
上記は世界的にも有名な大手監査法人で、多くの公認会計士がキャリアをスタートさせる場でもあります。しかしながら、Big4の離職率に関して公的機関が公表している公式データは確認できません。
ただし、業界関係者の間では年間でおよそ7%程度との見方が広がっており、一定の水準で離職者が出ているのが現状です。理由としては、繁忙期の長時間労働やキャリアアップを目的とした転職が多く、会計士としてスキルを積んだ後に事業会社やコンサルティング業界へ移るケースも少なくありません。
監査法人で1000万円稼げるのは何年目ですか?
監査法人で年収1,000万円を達成できるのは、一般的にマネージャークラス以上に昇進してからといわれています。年数でいうと、入社から8~10年程度が一つの目安です。
スタッフやシニアの段階では年収700万〜800万円程度が平均的であり、マネージャーへ昇進することで責任範囲が広がると同時に年収も大きく伸びます。ただし、これはあくまで一般的な目安であり、所属する法人の規模や個人の評価、担当業務の種類によって大きく変動します。
英語力を活かして海外案件を多く担当する会計士や、専門分野に強みを持つ人材は昇進スピードが早まるケースも。1,000万円に到達するには、経験年数だけでなく、成果と専門性が重要なポイントになるといえるでしょう。
監査法人のキャリアのまとめ

監査法人を辞めた後のキャリアは、事業会社やコンサルティングファーム、金融機関、独立開業や教育分野など、多彩な選択肢があります。大切なのは「なぜ辞めたいのか」「これから何を実現したいのか」を明確にし、自分のスキルや強みを客観的に整理することです。
そのうえで、転職エージェントのサポートを活用すれば、自分に合った環境を効率的に見つけられます。
監査法人で培った経験は、確かな武器になります。焦らず、着実にキャリアを描いていきましょう。