リスクコンサルティングは、企業が抱える様々なリスクを専門的に評価し、適切な対策を提案するサービスです。
企業を取り巻くリスクは、情報漏えい、サイバー攻撃、大規模災害、知的財産権の侵害など多岐にわたり、リスクコンサルティングは多くの企業にとって必要なものと言えます。
ただ、リスクコンサルティングの必要性を感じてはいるものの、コンサル会社の選び方がわからない、効果が上がるのか不明、といった不安から、依頼を迷っている企業経営者の方もいるでしょう。
この記事では、リスクコンサルティング会社の利用をお考えの企業経営者・担当者の方向けに、会社の選び方や具体的な支援内容、依頼のメリット、デメリットなどを詳しく解説します。
リスクコンサルティングとは

リスクコンサルティングとは、企業が抱える様々なリスクを専門的かつ正確に特定・分析した上で、適切な対策を提案したり、実施を支援したりするサービスです。
企業が抱えるリスクには、サイバー攻撃や損害賠償リスク、人材や財産の損失リスク、財務リスクなど多様なものがあります。これらすべてを自社で把握し、対策を行うのはかなり困難です。
リスクコンサルティングを活用することで、自社に特段のノウハウがなくても客観的・網羅的にリスクを把握でき、企業の成長に向けた戦略的なリスクマネジメントが実現できます。また、発生したリスクに対しても最適な意思決定や迅速な対応が可能となり、損害を最小限に抑えることができます。
リスクコンサルティングが必要な理由
企業活動を行う上で想定されるリスクは、近年、多様化・複雑化しています。
たとえば、インターネットの普及、企業のDX化の進展などに伴い、企業のデジタルリスクが高まっています。グローバル化が進む中、現地法人の雇用問題や法務リスク、政情不安などのリスクもあります。気候変動や自然災害への対策も求められますし、SNS上での炎上・悪評などのレピュテーションリスクにも対策が必要です。
リスクコンサルティングを導入することで、自社では予測が難しい数々のリスク要因を正確に把握・分析できますし、適切な対策・準備により被害を最小限にとどめることができ、企業の安定経営・成長に繋がります。
リスクコンサルティングが必要なリスクとは

リスクコンサルティングが必要となるリスクとして、代表的なものは次の5種類です。
収益の変動リスク
リスクコンサルティングが必要なリスクとしてまず考えられるのが、収益の変動リスクです。
企業の収益は、顧客ニーズの減少、市場競争の激化、景気の悪化、法制度・規制の変更など、多様な要因で減少する可能性があります。
リスクコンサルティングでは、市場調査、マーケティング、競合他社に関する調査などをもとに経営戦略の立案、事業戦略の提案等を行い、企業経営の安定化や成長を支援します。リスクコンサルティング会社によっては、国際情勢の変化や特定国へのサプライチェーン依存といったグローバルなリスクへの対策・支援なども行っています。
人的損失のリスク
人的損失のリスクも、リスクコンサルティングが必要なリスクです。
人的損失には、従業員の労働災害や労働訴訟、人事上のトラブル、優秀な人材の流出などがあります。企業・事業が成長し、人材が増えるにつれ、高まるリスクと言えます。
リスクコンサルティングでは、従業員の安全対策、健康管理、労務管理、人事評価制度の整備などにより、人的損失を予防もしくは最小化できるよう支援します。
財産の損失リスク
財産の損失リスクも、リスクコンサルティングが必要なリスクの代表格と言えます。
企業は、土地・建物や設備、在庫、知的財産など様々な財産を所有していますが、いずれも自然災害、盗難、火災、破損、大規模停電など様々な災害・事故等で損害を受けるリスクがあります。
リスクコンサルティングでは、財産損失のリスクの特定や影響度の評価・分析を行った上で、最適な保険の導入や防災対策の策定、その他の防止策の提案を行います。
賠償責任のリスク
リスクコンサルティングが必要なリスクには、賠償責任のリスクもあります。
企業は、提供した製品・サービスによって起きた事故や環境汚染、取引先との契約違反、知的財産権の侵害など、様々な面で損害賠償を負うリスクを抱えています。悪くすると巨額の賠償責任など、企業の存続が難しくなるような甚大なリスクが発生することもあります。
リスクコンサルティングでは、賠償事故や訴訟につながりそうなリスクを洗い出して影響度の評価を行い、必要な対策を立案します。
デジタルリスク
デジタルリスクも、リスクコンサルティングが必要なリスクです。
デジタルリスクは、インターネット利用や業務デジタル化により発生するリスクで、情報漏えい・紛失、システム障害、サイバー攻撃、不正アクセス、風評被害などが含まれます。
たとえば、情報漏えいが発生すれば、上で挙げた賠償責任のリスクが生じる可能性がありますし、システム障害で業務が停止すれば、収益減少に直結します。企業イメージや信頼性の低下につながる可能性もあるでしょう。
実際に、ウイルス感染・不正アクセスによる情報漏えい・紛失事故は近年、多様な産業で発生しており、件数も増加傾向にあります。※
リスクコンサルティングでは、各リスクの診断・評価を行い、セキュリティ対策や従業員教育などの対策を提案します。
リスクコンサルティング会社の支援内容

リスクコンサルティングは多岐にわたる企業課題・ニーズに対応しますし、リスクコンサルティング会社の得意分野や支援体制なども会社それぞれで異なります。このため、リスクコンサルティング会社の支援内容は会社によって違いがあります。
ここでは、リスクコンサルティング会社の支援内容として、代表的な6例をご紹介します。
ERM(全社的リスク管理)
ERM(全社的リスク管理)は、企業が抱えるあらゆるリスクを総括的にマネジメントする仕組みを指します。ERMはEnterprise Risk Managementの略語で、日本語では「全体的リスク管理」のほか、「統合型リスク管理」、「全体的リスクマネジメント」などとも呼ばれます。
リスクコンサルティングでは、企業のリスクを包括的に把握・評価し、企業利益の最大化に向けて効果的で最適な体制づくりをサポートします。企業を取り巻く環境変化への対応、新規市場参入のリスクヘッジ、投資判断の支援など幅広い内容が含まれることもあります。
内部監査や内部統制
内部監査・内部統制は、企業内部で起こり得る不正、コンプライアンス違反、法令違反や非効率な業務などを予防、発見、改善するためのものです。内部統制とは、業務を健全に行う仕組みや規則などを指します。一方、内部監査は、策定した内部統制がきちんと機能しているかどうかを評価し、必要に応じて改善を促進することです。
リスクコンサルティングでは、内部監査のデジタル活用やアウトソーシング、人材教育、デジタルツール活用による財務報告の効率化・高度化などを提案・支援します。
IT・デジタルリスク対策
IT・デジタルリスク対策は、ITシステム、デジタル技術の導入・運用で起こり得るデータの漏えい、紛失、規制・ガイドライン違反、システム障害などのリスクに対応するものです。
リスクコンサルティングでは、IT戦略の立案、ITシステムの管理体制構築やシステム導入にあたってのリスクマネジメント体制の整備、最適なデータ管理、ITシステム監査、人材教育などを提案・支援します。
BCP/BCM(事業継続マネジメント)
BCP/BCM(事業継続マネジメント)は、大規模な自然災害やシステム障害、テロ攻撃、大火災などが発生した際に、事業の継続や早期復旧を担保するための計画です。BCP、BCMは、それぞれBusiness Continuity Plan、Business Continuity Managementの略語です。
リスクコンサルティングでは、大災害・危機の際でも優先的に継続や早期復旧したい事業を見極め、起こり得る障害などを洗い出した上で、対応策を定めた計画を作成・提案します。必要に応じて、緊急事態から復旧する模擬演習などもサポートします。
レピュテーションリスク対策
レピュテーションリスクとは、自社の商品や従業員などに対するネガティブな評判・噂が広まり、ブランド力の低下、企業価値の低下、信用失墜といった損失を被るリスクです。
昨今はSNSの普及により悪評も広がりやすくなっており、一つの誤報やトラブルがいわゆる炎上状態となってしまうケースもあります。従業員がSNSに不適切な投稿をしたことで炎上することもあります。
リスクコンサルティングでは、炎上状態を収束させる対応策などを定めたマニュアル作成を支援します。また、メディア対応や情報漏えい防止などについて、企業担当者への教育もサポートします。
サイバーセキュリティ対策
サイバーセキュリティ対策は、インターネットを通じた不正アクセスや情報漏えい、業務停止などのリスクを防ぎ、情報資産を守るための各種対策です。
リスクコンサルティングでは、企業のシステム・ネットワーク環境の脆弱性診断、適切なセキュリティポリシーの作成・改善、新たな管理体制の構築、制御システムの導入などを提案・支援し、サイバー攻撃のリスクを低減します。
リスクコンサルティング会社おすすめ5社を徹底比較

リスクコンサルティング会社は多くありますので、会社選びで迷う方も多いでしょう。ここでは、リスクコンサルティング会社のうち、特におすすめの5社をご紹介します。
なお、5社のうち上の4社は、一般に「BIG4」と呼ばれる企業グループに属しています。BIG4は、世界4大監査法人、4大会計事務所、4大コンサルなどを意味し、リスクコンサルティングについても世界規模でサービスを提供しています。
PwCリスクアドバイザリー合同会社
- ERM(全社的リスク管理)を得意としているリスクコンサル会社
- 企業経営の高度化に資するリスクコンサルティングを提供
- 海外のグループ企業のガバナンス強化などにも強み
PwCリスクアドバイザリー合同会社は、ERM(全社的リスク管理)に強い企業で、企業価値の向上に資する各種リスクコンサルティングを提供しています。リスクコンサルティングを企業経営そのものと捉えているため、経営管理の高度化に注力しているのが特徴です。
具体的には、ERM態勢の構築、海外子会社を含むグループ会社全体のガバナンス強化、財務報告のガバナンス強化、投資の意思決定や戦略投資計画策定、資金管理の高度化などの支援を行っています。
国際的なグループ企業の強みを活かし、海外のグループ企業と連携したコンサルティングも得意としています。このため、グローバル進出を検討している企業や、海外企業の買収、海外のグループ会社のガバナンス強化などを図りたい企業にも利用をおすすめします。
会社名 | PwCリスクアドバイザリー合同会社 |
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設立 | 2024年3月 |
本社所在地 | 東京都千代田区大手町1-1-1 大手町パークビルディング |
公式サイト | https://www.pwc.com/jp/ja/about-us/member/risk-advisory.html |
KPMGコンサルティング

- イギリス発祥のKPMGグループのコンサルファーム
- 企業の成長とリスク対策の両面から顧客企業を支援
- 幅広い分野のリスクコンサルティングにワンストップで対応
KPMGコンサルティングは、イギリス発祥の多国籍企業(KPMG)のメンバーファームです。顧客企業の経営課題解決を監査、税務、アドバイザリーの3方向から支援しており、事業戦略策定、業務改革、DX支援、ガバナンス強化など様々なコンサルティングサービスを提供している企業です。
企業の成長促進とリスク対策を組み合わせて「攻めと守り」の両面で支援することをモットーとしているため、リスクコンサルティングにも注力しています。
リスクコンサルティングは、コンサル業務で得た豊富なスキル・ノウハウを活かしながらサービスを提供しています。リスク管理態勢やグループガバナンス態勢の構築・高度化、内部監査・内部統制支援、ITリスクマネジメントなど幅広い支援を行っており、実績も豊富です。
グローバル案件、大規模案件についても、ワンストップでトータルサポートが可能です。
会社名 | KPMGコンサルティング株式会社 |
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設立 | 2014年7月 |
本社所在地 | 千代田区大手町1丁目9番7号 大手町フィナンシャルシティ サウスタワー |
公式サイト | https://kpmg.com/jp/ja/home/about/kc.html |
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社
- ロンドンに本拠地を置くEYグループのコンサルファーム
- 顧客企業の戦略・ビジョンに沿ったリスクマネジメントを支援
- グローバルリスクへの対応にも注力
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社は、ロンドンに本拠地を置くプロフェッショナルグループ(アーンスト・アンド・ヤング)のメンバーファームです。企業戦略、金融、デジタル戦略など、幅広い分野のコンサルティングを提供しています。
リスクコンサルティングでは、顧客企業の経営戦略や中長期的なビジョンに沿ったリスクマネジメントの高度化支援から、リスクが発生した際の対応支援まで、幅広くサービス展開している点が特徴です。
リスクマネジメントの高度化では、ガバナンス態勢強化や、顧客企業がグローバル展開する際のコンプライアンス管理強化、サプライチェーン・リスク対応強化などを支援しています。また、内部監査やデジタルリスク、地政学リスクをはじめとするグローバルリスクへの対応支援なども行っています。
会社名 | EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 |
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設立 | 2020年10月 |
本社所在地 | 東京都千代田区有楽町一丁目1番2号 東京ミッドタウン日比谷 日比谷三井タワー |
公式サイト | https://www.ey.com/ja_jp |
デロイトトーマツリスクアドバイザリー合同会社
- デロイトトーマツグループのリスクコンサルティング会社
- BIG4最大手の強みを活かし、幅広いサービスを提供
- 会計・金融や国際的領域のリスクコンサルティングに注力
デロイトトーマツリスクアドバイザリー合同会社は、リスクコンサルティングに特化している会社で、デロイトトーマツグループに属しています。
デロイトトーマツグループは、売上・規模ともBIG4の中でも最大手の企業グループで、幅広い業界の案件を扱っており、特に金融テクノロジーに強いと言われます。豊富な経験・ノウハウを活かし、内部監査や財務報告、内部統制システム等の効率化、不正リスク評価・対策立案、教育、新技術を用いた業務効率化を行う際のリスクマネジメントなど、様々な場面でのリスクコンサルティングを提供しています。
その他、サイバーセキュリティ対策や各国の法規制対応の支援、レピュテーションリスク対策なども手掛けており、幅広い支援が可能です。
会社名 | デロイト トーマツ リスクアドバイザリー合同会社 |
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設立 | 2003年1月 |
本社所在地 | 東京都千代田区丸の内3-2-3 丸の内二重橋ビルディング |
公式サイト | https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/ra/dtra-company-profile.html |
東京海上ディーアール株式会社

- リスクコンサルティングを専門とする東京海上グループの会社
- グループ企業からの顧客も多く、実績が豊富
- 損害保険事業で培ったノウハウ・データを活かしたリスクコンサルティングを実施
東京海上ディーアール株式会社は、東京海上グループに属するリスクコンサルティング会社です。同グループの損害保険会社(東京海上日動火災保険株式会社)からの顧客の案件を含め、多くの実績とノウハウを有しています。BIG4各社と異なり国内発祥の企業ですが、海外危機管理の支援なども可能です。
損害保険分野で培った知見や膨大なデータをもとに、自然災害リスク等のモデリングを行い、ERM(全社的リスク管理)をサポートするなど、損害保険会社のグループ企業としての強みを発揮したリスクコンサルティングを行っています。
自然災害リスク、土壌汚染をはじめとする不動産リスク、BCP/BCM(事業継続マネジメント)、サイバーリスクなどのリスク対応も幅広く支援しています。
会社名 | 東京海上ディーアール株式会社 |
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設立 | 1996年8月 |
本社所在地 | 東京都千代田区大手町1-5-1 大手町ファーストスクエア ウエストタワー23F |
公式サイト | https://www.tokio-dr.jp/ |
リスクコンサルティング会社の選び方

リスクコンサルティング会社は多くありますが、得意分野やサービス範囲、費用などは会社によって異なります。自社との相性の良し悪しもありますので、どの会社でも良いわけではありません。
依頼費用や時間を無駄にしないためにも、次の5点に留意しながら会社を選んでください。
自社の業種・規模に合うかチェック
リスクコンサルティング会社を選ぶにあたり、まずすべきことは、自社の業種・規模に合うかどうかをチェックすることです。
顧客企業の業種や規模に関わらずコンサルティングを行うコンサル会社が多くある一方、特定の業種・業界に特化している会社も多くあります。業界特化型である分、その分野での実績が豊富で、高い専門性を有していると考えられます。
また、大手コンサル会社は人的リソースが豊富で、大規模なプロジェクトの実績が多い傾向にあります。他方、中小規模のコンサル会社は、少人数で伴走支援するなど、顧客企業に寄り添いながらの支援を得意としていることが多いです。
このため、自社の業種や規模に合うリスクコンサルティング会社を選ぶことが大切です。
実績や得意分野をチェック
リスクコンサルティング会社を選ぶ際は、実績や得意分野をチェックすることも重要です。
リスクコンサルティングは、刻々と変化するリスク要因に対応しなければならず、顧客企業のニーズ・課題もそれぞれなので、定型的な答えがないことも多く、コンサルティング会社の問題解決能力に依るところが大きい仕事です。
多くの実績があるコンサル会社は、多くの企業の多様なリスクに対応してきており、スキル・ノウハウを蓄積しています。
自社が依頼したい内容に関する実績が豊富な会社、その分野を得意としている会社を選ぶことで、よりハイレベルな提案を期待できます。
費用・サービス範囲を明確にしておく
費用・サービス範囲を明確にしておくことも、リスクコンサルティング会社選びのポイントです。
リスクコンサルティングでは、依頼費用が高額になることもあります。リスクコンサルティングで期待できる成果やコンサル会社に依頼する範囲、費用対効果がどの程度見込めるかなどは、事前に明確にしておきましょう。
コンサル会社との契約に含まれていない業務は、別料金となることがありますので、後から費用が嵩むのを防ぐためにも、契約前に依頼内容を確認してください。また、費用が妥当かどうかを判断するため、複数社から見積もりを取るようにしましょう。
最新事情に精通しているかチェック
リスクコンサルティング会社を選ぶ際は、最新事情に精通しているかどうかもチェックしてください。
リスクコンサルティングで扱う不正アクセスやサイバー攻撃などのリスクは、状況が変化しやすい性質があります。新たな攻撃手法・脅威が次々と出ており、それらを防ぐ対策も常に最新化されています。
また、関連する法規制や業界の動向、新技術なども、どんどん変化しています。
サイバーセキュリティや法務関連の最新事情に疎いリスクコンサルティング会社では良い成果が見込めませんので、会社選びの際はしっかり確認しましょう。
担当者との相性をチェック
リスクコンサルティング会社を選ぶにあたり、担当者との相性をチェックすることも重要です。
リスクコンサルティングで自社が抱えるリスクの把握・分析や提案を行ってもらうためには、日々変動する様々なリスク要因の情報共有が不可欠です。そのため、担当者とスムーズにコミュニケーションを図れるかどうかを、契約前にチェックしておきましょう。
担当者との相性が悪いと、情報共有に時間がかかる、課題を相談しづらいなど、困った事態になってしまうかもしれません。
リスクコンサルティング会社には、企業内部の情報を伝えることになるため、信頼関係も重要です。信頼関係を築けそうな相手であるかを、事前にしっかりと見極めてください。
リスクコンサルティング会社を利用するメリット

リスクコンサルティング会社を利用するメリットは多くありますが、主に次の4点が挙げられます。
それぞれについて詳しく解説しますので、参考にしてください。
客観的な現状分析ができる
リスクコンサルティング会社を利用するメリットの一つが、客観的な現状分析ができることです。
自社のリスクを見つけようとしても、日常の業務をこなすうちに慣れや先入観、バイアスなどにより見過ごしてしまうことがあります。リスクコンサルティングは、自社のリスクを専門的な視点で客観的、網羅的に把握しますので、見過ごしていたリスクが見つかる可能性もあります。
また、リスクコンサルタントは類似事例などにも詳しいので、自社が置かれた状況を業界全体と比べるなどの評価もできます。これにより、より効果的なリスクマネジメントが可能となります。
自社にノウハウがなくても戦略を立てられる
自社にノウハウがなくても戦略を立てられることも、リスクコンサルティング会社を利用するメリットです。
リスクマネジメント戦略を立てるためには、自社が抱えるリスクを客観的に把握した上で、現実的に実行可能かつ効果が高い対策を考え、社内の体制も構築しなければならず、相当のノウハウが必要です。担当する人材を採用・育成するのにも時間・費用がかかります。
リスクコンサルタントは、リスクの洗い出しや分析に長けていますし、様々な事例を把握しています。その知見やノウハウを活かし、自社の現状に即した最適なリスク対策を提案できます。また、リスク対策の実施についても、体制整備や人材育成を適切にサポートすることが可能です。
新規事業のトラブルを減らせる
新規事業のトラブルを減らせることも、リスクコンサルティング会社を利用する大きなメリットです。
新規事業の実施には、市場の不確実性や人材不足、資金不足、法制度上の制約、新製品のリコールなど、様々なリスクが伴います。海外進出に伴う取引先の信用不安や政情不安、知的財産の侵害といったリスクもあります。
リスクコンサルティングを活用することで、綿密な市場調査や質の高い事業戦略策定などが可能となり、不確実性を下げることができます。また、事前に起こり得るリスクを想定して対策を準備できるため、トラブルを格段に減らせると考えられます。
顧客や取引先のリスクも防げる
リスクコンサルティング会社を利用することで、顧客や取引先のリスクも防ぐことができ、この点もメリットと言えます。
サイバー攻撃、情報漏えいなどにより、自社のみならず顧客や取引先の情報も流出したり、システムダウンなどで取引が停止したりする可能性があり、企業イメージの悪化や信用失墜を招くかもしれません。
リスクコンサルティングにより適切なリスクマネジメント態勢を整えておくことで、万一、攻撃を受けても短期間で復旧できるようになるなど、リスクを最小限に抑えることができます。
リスクコンサルティング会社のデメリット・注意点

リスクコンサルティング会社を利用するメリットは多くある反面、次のようなデメリット・注意点もあります。依頼を検討する際は、十分留意してください。
強い分野・規模はコンサル会社により異なる
リスクコンサルティング会社のデメリット・注意点として、強い分野・規模はコンサル会社により異なることが挙げられます。
リスクコンサルティングは、唯一解が存在しない分野で、同じリスクでもコンサル会社によって対応や結果が異なることが想定されます。そのため、自社が抱えるリスクの解消に最適なリスクコンサルティング会社を選ぶことが、非常に重要です。
本記事で紹介しているリスクコンサルティング会社の選び方やおすすめ情報を参考に、自社に最適な会社を見つけてください。はじめから1社に絞るのはなかなか難しいので、複数社から提案書や見積書を提出してもらい、良い会社を見極めましょう。
高額な費用が必要になる
高額な費用が必要になることも、リスクコンサルティング会社のデメリット・注意点です。
リスクコンサルティングの費用は依頼内容によってかなり変わるので、費用に対して十分な効果が得られるかどうかの検討が不可欠です。費用が安くても、効果が上がらなければ意味がありませんし、費用が高くても、それ以上の効果が得られるかもしれません。
依頼する側が適正価格や費用対効果を見極めるのはかなり難しいので、契約前に必ず複数社に見積もりを依頼し、内容を比較・吟味しましょう。
また、コンサル会社との契約方式にも、プロジェクト型契約、包括契約、アドバイザリー契約、成功報酬型契約など様々なものがあります。内容と併せて、最適な方法を検討してください。
リスクコンサルティング会社に関するQ&A

リスクコンサルティング会社に関してよくある質問・回答をご紹介します。
リスク対策の4つの方法とは?
リスクへの対応には、回避、低減(軽減、緩和)、移転(転嫁)、保有(受容)の4分類があると言われています。概要は、次表の通りです。
分類 | 内容 |
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回避 | リスクが生じる可能性をなくし、リスク自体をなくす。 |
低減(軽減、緩和) | リスクが生じる可能性を減らす。 リスクが生じた際の影響を小さくする。 |
移転(転嫁) | リスクの負担を他社と共有してリスクを減らす。 (保険に入る、アウトソーシングする、など) |
保有(受容) | 対策を行わずにリスクを受け入れる。 (リスクが十分小さい、行える対策が見当たらない、など) |
企業は、これらのいずれか1つあるいは複数の組み合わせでリスク対応を行うことになります。
リスクコンサルティングは保険会社も行う?
リスクコンサルティングを行っている保険会社も多くあります。
保険会社にとっては、顧客に保険に入ってもらうことも重要ではありますが、顧客のリスクを予防・低減することで保険金支払いリスクを低減させることができます。
保険会社は、様々な事故や事件によるリスクへの理解が深く、事故や事件が起きる前にリスクヘッジしたり、リスクが発生した際の損失を最小にしたりするノウハウの蓄積もあります。ノウハウを活かしてリスクコンサルティングを行うことで、競争力の強化にもつながります。
このため、特に大手保険会社には、リスクコンサルティングの専門部署があるのが一般的です。
リスクコンサルティング会社まとめ

この記事では、リスクコンサルティング会社の選び方や具体的な支援内容、依頼するメリット、デメリット・注意点などについて解説しました。
リスクコンサルティング会社にはそれぞれに強み・得意分野がありますので、自社の課題やニーズに即した会社を見つけることが大切です。
本記事で紹介しているリスクコンサルティング会社の選び方やおすすめ情報を参考に、自社に最適な会社を見つけてください。