ESG経営や脱炭素化への対応が急務となる今、企業のエネルギー戦略は経営課題そのものです。しかし、何から手を付ければいいか分からず困っている方も多いでしょう。この記事では、自社のエネルギー課題に対応してくれるパートナーを探している方に向けて、おすすめのエネルギーコンサルティング会社を厳選して紹介します。
各社の特徴や得意分野、導入事例を徹底比較して解説するとともに、エネルギーコンサルティング導入のメリット・デメリットや受けられるサービスや費用の目安についても解説しています。他社の導入実績を通じて効果を知りたい方や、エネルギーコスト削減により企業価値向上を目指している方はぜひ参考にしてください。
エネルギーコンサルティング会社のおすすめ5選

ここでは、エネルギー分野において豊富な実績と専門性を持つ、おすすめのコンサルティング会社を紹介します。
株式会社野村総合研究所

- シンクタンクとしての高い調査・分析力
- ITソリューションとの連携
- 金融分野への深い知見
株式会社野村総合研究所は、日本を代表するシンクタンクです。東京都千代田区大手町に本社を構え、エネルギー分野においては政策提言から民間企業の事業戦略まで幅広くカバーしています。同社の最大の強みは、官公庁向けの調査・分析で培った高度な知見と、ITソリューション導入までを一気通貫で支援できる総合力です。
単なるコンサルティングに留まらず、エネルギーマネジメントシステムの構築などDXを駆使した実装支援まで対応できるため、提案から実行まで一貫したサービスを求める企業に最適です。
また、金融機関向けコンサルティングで培ったノウハウを活かし、プロジェクトファイナンスやESG投資といった資金調達の側面からもエネルギー事業をサポートできる点が特徴的です。
株式会社野村総合研究所の基本情報 | |
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会社名 | 株式会社野村総合研究所 |
設立 | 1965年4月1日 |
本社所在地 | 東京都千代田区大手町1-9-2 大手町フィナンシャルシティ グランキューブ |
公式サイト | https://www.nri.com/jp/index.html |
ボストン・コンサルティング・グループ合同会社
- 世界トップクラスの戦略コンサルティング
- グローバルな知見とネットワーク
- 徹底した顧客との協働スタイル
ボストン・コンサルティング・グループ合同会社は、世界トップクラスの戦略コンサルティングファームです。世界50カ国以上に拠点を持つグローバルネットワークを活用したサービス提供が強みです。経営層が抱える最も困難な課題に対し、革新的な解決策を提示することで知られています。
エネルギー業界においては、構造変革や企業のポートフォリオ戦略といった上流工程のコンサルティングに特化しています。
同社の特徴的なアプローチは、クライアントと共に考え、共に実行するという協働スタイルです。机上の空論で終わらせることなく、変革が組織に根付くまで深くコミットし、確実な成果創出を目指します。グローバルな視点でのベンチマーキングや海外展開支援においては、他社の追随を許さない実績と専門性を誇ります。
ボストン・コンサルティング・グループ合同会社の基本情報 | |
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会社名 | ボストン・コンサルティング・グループ合同会社 |
設立 | 1966年(日本オフィス) |
本社所在地 | 東京都中央区日本橋室町3-2-1 日本橋室町三井タワー25F |
公式サイト | https://www.bcg.com/ja-jp/ |
株式会社日立コンサルティング

- 日立グループの総合力と実効性の高いソリューション提供
- 社会インフラ分野での豊富な実績
- サステナビリティ経営の推進
株式会社日立コンサルティングは、世界有数のメーカーである株式会社日立製作所のグループ会社です。エネルギー関連の製品・技術・OT(制御技術)に関する深い知見を保有しています。製造業のバックグラウンドを活かした実効性の高いソリューション提供を強みとしています。
電力・ガス・交通といった社会インフラ分野でのコンサルティング実績が豊富で、公共性の高い大規模プロジェクトの構想策定から実行支援まで幅広いニーズに対応可能です。特に注目すべきは、日立グループ全体で推進するサステナビリティの知見を活かしたGX(グリーン・トランスフォーメーション)支援です。
環境と経営を両立させる戦略提案により、企業の持続的成長を実現します。現場の課題に即した実践的なアプローチと、グループ企業としての技術的バックアップが同社の大きな競争優位といえるでしょう。
株式会社日立コンサルティングの基本情報 | |
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会社名 | 株式会社日立コンサルティング |
設立 | 2002年7月1日 |
本社所在地 | 東京都千代田区麹町二丁目4番地1 麹町大通りビル |
公式サイト | https://www.hitachiconsulting.co.jp/ |
アクセンチュア株式会社

- 戦略から実行までEnd-to-Endで支援
- 圧倒的なテクノロジー知見
- グローバルなデリバリー能力
アクセンチュア株式会社は、世界的なコンサルティングファームです。最大の特徴は、戦略立案から実行までをEnd-to-Endで支援できる総合力です。経営戦略の立案から最新テクノロジーを駆使したシステム導入や、業務プロセスの変革、アウトソーシングまで、企業の課題解決を包括的にサポートします。
AI・IoT・クラウドなどの最新デジタル技術に関する世界最先端の知見と導入実績を誇り、テクノロジーを活用した新しいエネルギーサービスの創出や業務の抜本的効率化を得意としています。
世界中の専門家が連携するグローバルネットワークを活用し、24時間365日体制でプロジェクトを遂行できる体制を構築していることも同社の強みです。大規模かつ複雑なグローバルプロジェクトにも対応可能な実行力が、大きな競争優位性といえるでしょう。
アクセンチュア株式会社の基本情報 | |
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会社名 | アクセンチュア株式会社 |
設立 | 1995年12月 |
本社所在地 | 東京都港区赤坂1-8-1 赤坂インターシティAIR |
公式サイト | https://www.accenture.com/jp-ja |
アビームコンサルティング株式会社

- 日本発・アジア発のグローバルファーム
- リアリティのある変革支援
- 豊富なERP導入実績
アビームコンサルティング株式会社は、日本・アジア発のグローバルファームです。最大の特徴は、日本企業の文化やビジネス慣習を深く理解した上で、グローバル水準のサービスを提供できる点にあります。
特にアジア地域に強固なネットワークを持ち、日系企業の海外展開をきめ細かくサポートしています。リアルパートナーを標榜し、クライアントの現場に深く入り込み、共に汗を流しながら変革を実現するスタイルに定評が大きな強みです。地に足のついた着実な業務改善を得意とし、理論だけでなく実践的な改善提案を行います。
また、SAPをはじめとするERPの導入実績が豊富で、企業の経営情報を可視化し、データに基づいたエネルギー管理の高度化を支援できる点も同社の強みです。日本企業の実情に合わせたきめ細かな支援を求める企業に最適なサービスを提供しています。
アビームコンサルティング株式会社の基本情報 | |
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会社名 | アビームコンサルティング株式会社 |
設立 | 1981年4月1日 |
本社所在地 | 東京都中央区八重洲二丁目2番1号 東京ミッドタウン八重洲 八重洲セントラルタワー |
公式サイト | https://www.abeam.com/jp/ja |
エネルギーコンサルティングとは?

エネルギーコンサルティングとは、企業や組織が抱えるエネルギーに関する多様な課題に対し、専門的な知見から解決策を提案・支援するサービスです。エネルギーコンサルタントは、クライアントのエネルギー使用状況を詳細に分析し、コスト削減や効率化、環境負荷の低減などを実現するための具体的な戦略立案を行います。
近年、脱炭素社会への移行が世界的な潮流となる中で、その役割はますます重要です。単なる省エネ提案にとどまらず、再生可能エネルギーの導入計画や、ESG経営の推進、関連法規制への対応、補助金活用のサポートまで、その支援範囲は多岐にわたります。
エネルギーコンサルティング会社の支援内容

エネルギーコンサルティング会社は、企業のエネルギーに関する課題を多角的に支援します。具体的な支援内容は以下の通りです。
エネルギー問題を解決する施策の提供
エネルギーコンサルティングの中心的な業務は、クライアントが抱えるエネルギー問題に対する具体的な解決策の提供です。まず、専門家が施設のエネルギー使用状況を詳細に調査・分析し、非効率な点やムダを特定します。
その上で、最新の省エネ技術や設備の導入、運用方法の改善、再生可能エネルギーの活用など、企業の状況や予算に合わせた最適な施策を提案します。製造業の工場であれば生産プロセスの見直し、商業施設であれば空調や照明システムの最適化といった具体的なプランが考えられるでしょう。
専門的な知見に基づいた的確な施策提案により、企業は効果的にエネルギー問題の解決を図ることが可能になります。
費用対効果の分析と評価
エネルギーコンサルタントは、提案する施策にかかる初期投資やランニングコストと、得られるエネルギーコストの削減額や生産性向上の効果などを定量的に分析します。エネルギー関連の設備投資や施策導入には、相応のコストがかかります。そのため、どの程度の効果が見込めるのかを事前に正確に把握することが極めて重要です。
これにより、投資回収期間やROIといった具体的な指標で費用対効果を明確に提示することが可能です。企業は客観的な評価を基に、複数の選択肢の中から投資価値の高い施策を選択できます。また、導入後も継続的に効果をモニタリングし、計画通りに進んでいるかを評価・検証して、確実な成果へと導くでしょう。
持続可能なエネルギー管理を支援
エネルギーコンサルティングは、持続可能なエネルギー管理体制の構築を支援します。エネルギーコンサルティングの仕事は一度きりの施策提案で終わるわけではありません。企業が将来にわたってエネルギーを効率的に利用し、環境への配慮を継続できるための施策を提案します。
具体的には、エネルギー使用量を継続的に監視・分析するための管理システムの導入や、エネルギー管理に関する社内規定の策定、従業員への省エネ教育などが挙げられます。また、気候変動対策やESG経営の観点から、中長期的なCO2排出量削減目標の設定や、その達成に向けたロードマップの策定も支援内容です。
法規制への対応をサポート
企業が法令を遵守できるようサポートすることも、エネルギーコンサルタントの支援内容の一つです。エネルギー分野は、省エネ法や地球温暖化対策推進法など、遵守すべき多くの法規制が存在します。具体的な支援内容は、行政へ提出する報告書の作成支援や、法改正に伴う対応策の提案、各種補助金や優遇税制の申請サポートなどが挙げられます。
エネルギー分野の法律は改正されることも多く、内容も複雑なため、専門知識なしで完全に対応するのは容易ではありません。特に、一定規模以上のエネルギーを使用する事業者には、エネルギー使用状況の定期的な報告や、エネルギー管理士の選任などが義務付けられています。コンプライアンスを徹底することで、社会的信用の維持・向上につなげることが可能です。
エネルギーコンサルティング会社を選ぶポイント

自社に最適なエネルギーコンサルティング会社を選ぶためには、いくつかの重要なポイントがあります。
コンサルタントの実績と経歴をチェック
最初に確認すべきは、コンサルティング会社および担当コンサルタントの実績と経歴です。エネルギーコンサルティングは専門性が高く、具体的な成果が求められる分野です。そのため、自社が属する業界や、解決したい課題と同様の案件を過去にどれだけ手掛けてきたかを確認することが重要となります。
公式サイトの導入事例を確認するだけではなく、可能であれば具体的な実績について直接問い合わせてみましょう。特に、どのような課題に対して、どのような提案を行い、最終的にどれくらいのコスト削減やCO2排出量削減につながったのか、具体的な数値で示せる実績が求められます。
得意分野が自社のニーズと合っているか
自社の課題とコンサルティング会社の得意分野と合致しているかは大きなポイントです。コンサルティング会社によって得意とする分野は異なります。製造業の工場における生産プロセスの効率化を得意とする会社、大規模な商業施設の省エネ設備導入に強みを持つ会社など様々です。
自社の課題が電気料金の削減なのか、脱炭素化のロードマップ策定なのかなどを明確にした上で、そのニーズに最も合致した専門性を持つ会社を選びましょう。会社のWebサイトや資料でサービス内容を確認し、自社の課題解決に直結するソリューションを提供しているかを見極めることが、コンサルティングを成功させるためのポイントです。
費用がサービスの内容と見合っているか
コンサルティング会社を選ぶ際に、重要なのは費用と提供されるサービスの内容が見合っているかという点です。コンサルティング費用は、依頼する内容や期間、企業の規模によって大きく変動します。そのため、複数の会社から見積もりを取り、料金体系を比較検討することが大切です。
見積もりを依頼する際は、具体的な支援内容やプロジェクトの範囲、成果物の定義などを細かく確認しましょう。報告書の提出だけで終わるのか、施策の実行や効果測定まで伴走してくれるのかによって、その価値は大きく異なります。ただし、料金の安さだけで選ぶのは避けるべきです。安価なプランでも、求めているサポートが受けられなければ意味がありません。
信頼の証となる保有資格をチェック
コンサルタントの専門性や信頼性を客観的に判断する材料として、保有資格の確認も有効です。特にエネルギー分野においては、国家資格であるエネルギー管理士の資格が重要な指標となります。
エネルギー管理士は、エネルギーの使用の合理化に関する法律に基づき、エネルギー管理の専門家であることを証明する資格です。電気や熱エネルギーの消費設備に関する専門知識を有しており、その知識は省エネ診断や改善提案、省エネ補助金を申請するための計画立案など様々な場面で必要です。
エネルギー管理士が在籍しているコンサルティング会社は、法規制への対応や技術的な観点から、より精度の高い専門的なアドバイスが期待できます。
口コミで実際の評価を確認
公式サイトや営業担当者からの情報だけでなく、第三者からの客観的な評価も参考にしましょう。実際にそのコンサルティング会社を利用した企業の口コミや評判を確認することで、よりリアルな実情を知ることができます。
比較サイトや業界専門誌、取引先からの情報を収集してみましょう。特に、提案内容の質や担当者の対応の丁寧さ、期待した効果が得られたかといった具体的な評価は非常に参考になります。また、良い評判だけではなく、悪い評判にも目を通すことで、その会社の長所と短所を多角的に把握できるでしょう。
ただし、口コミはあくまで個人の感想であるため、総合的な判断材料の一つとして活用することが大切です。
コンサルタントとの相性も大切な判断材料
担当コンサルタントとの相性もプロジェクトの成否を左右する重要な要素です。コンサルティングは、人と人との協業によって進められます。どんなに優れた提案であっても、円滑なコミュニケーションが取れなければ、社内の協力が得られず、計画がスムーズに進まない可能性があります。
契約前の面談や打ち合わせの機会を活用し、担当者の人柄やコミュニケーションスタイルを確認しましょう。こちらの意図を正確に汲み取ってくれるか、専門用語を分かりやすく説明してくれるか、質問や相談がしやすい雰囲気かといった点を見極めることが重要です。長期的なパートナーとして信頼関係を築けるか、といった視点からも判断することをおすすめします。
エネルギーコンサルティングの費用はどれくらい?

エネルギーコンサルティングの費用は、企業の規模や施設の状況、依頼する業務の範囲などによって大きく異なるため、一概にいくらと示すことは困難です。
参考として、以下の表で脱炭素化支援株式会社が公開しているエネルギーコンサルティングの料金例を紹介します。
サービス | 料金 |
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脱炭素・省エネ・再エネに関する相談対応 | 10,000円~ |
改正省エネ法 対応支援 | 500,000円〜 |
省エネ補助金活用支援 | 補助金額の8% 下限3,000,000円 |
再エネ補助金活用支援 | 補助金額の8% 下限3,000,000円 |
省エネ診断 脱炭素診断 | 400,000円~ |
CO2 排出量算定・原単位改善支援「減炭位」 | 初回算定時報酬 1,500,000円 初回算定以降の報酬120,000円〜/月 |
脱炭素エネルギー 活用支援【脱炭素エナジー®】 | 0円 |
換気の 注意喚起サービス【注意換気®】 | 初期費用0円 月額基本料金0円 月額従量料金3,000円(税抜)/月・計測点1ヶ所 |
省エネ総合支援(脱炭素化総合支援) | 120,000円〜/月 |
正確な費用を知るためには、複数のコンサルティング会社に問い合わせ、自社の状況を伝えた上で見積もりを取得するのが最も確実な方法です。
エネルギーコンサルティング導入のメリット

専門家の力を借りることで、企業は多くのメリットを得ることが可能です。ここでは主なメリットについて解説します。
エネルギーコストを継続的に削減できる
最大のメリットは、専門的な知見に基づいてエネルギーコストを効果的かつ継続的に削減できる点です。コンサルタントは、自社だけでは気づきにくいエネルギーのムダを特定し、最新の技術やノウハウを駆使した最適な改善策を提案します。
高効率な設備への更新や運用方法の最適化、電力契約の見直し、再生可能エネルギーの導入など、多角的なアプローチでコスト削減を実現します。一度きりの改善で終わらず、継続的なモニタリングや管理体制の構築支援を通じて、長期にわたる安定したコスト削減効果が期待できるでしょう。
燃料費や電気料金の高騰が続く中、エネルギーコストの削減は企業の収益性を直接的に向上させる重要な取り組みといえます。
ムダの見直しで業務効率・生産性が向上する
エネルギーコンサルティングの活用により、エネルギー使用のムダを見直すプロセスは、結果として業務効率や生産性の向上につながることが少なくありません。エネルギーという切り口から自社の業務プロセスを客観的に見直すことが、事業全体の競争力強化に結びつくのです。
エネルギー効率の高い最新設備を導入したり、作業手順を見直したりすることで、生産時間や工数の短縮が実現可能です。また、空調や照明の最適化は、従業員にとってより快適で働きやすい職場環境の創出につながり、モチベーションや作業効率の向上も期待できます。
社会的信頼の向上につながる
エネルギーコンサルティングを活用して、省エネや脱炭素化に積極的に取り組む姿勢は、企業の社会的信頼を大きく向上させます。近年、投資家や金融機関は企業のESGへの取り組みを重視する傾向を強めています。そのため、環境への配慮は企業価値を測る上で重要な指標といえるでしょう。
また、サプライチェーン全体での脱炭素化が求められる中、取引先からCO2排出量削減への協力を要請されるケースも増えているのが現状です。エネルギーコンサルタントの支援のもと、具体的な目標を掲げて環境経営を推進することは、こうした社会的な要請に応える明確なメッセージといえます。
エネルギーコンサルティング導入のデメリット

多くのメリットがある一方で、エネルギーコンサルティングの導入には注意すべき点も存在します。
初期費用や継続コストが負担になる可能性がある
専門的なサービスを受けるためには、相応のコストが発生します。コンサルティングの契約形態は様々ですが、初期の診断や計画策定にかかる費用、月々の顧問料といった継続的なコストが企業の財務的な負担となる可能性があります。
特に、体力のない中小企業にとっては、コンサルティング費用が大きな投資です。また、提案された省エネ設備を導入するためには、別途多額の設備投資が必要になることもあるでしょう。
これらのコストが、コンサルティングによって得られるエネルギーコスト削減効果を上回らなければ、投資は失敗に終わってしまいます。導入を検討する際は、自社の財務状況と照らし合わせて無理のない計画を立てることが重要です。
目に見える成果が得られるとは限らない
エネルギーコンサルティングを導入したからといって、必ずしもすぐに、目に見える成果が得られるとは限りません。コンサルタントの提案を実行に移すのは、あくまで企業自身です。提案内容がどんなに優れていても、社内の協力体制が整っていなかったり、従業員の意識が低かったりすれば、計画は頓挫してしまうでしょう。
また、エネルギーコストの削減効果は、市場の燃料価格や電気料金の変動などの外部要因にも大きく左右されます。思うような成果が出ない場合、コンサルティング費用の負担だけが重くのしかかる結果になりかねません。コンサルタントに任せきりにするのではなく、企業側も主体的にプロジェクトを推進していく姿勢が必要です。
エネルギーコンサルティング導入事例

ここでは、実際にエネルギーコンサルティングを導入し、成果を上げた企業の事例をご紹介します。
導入事例①30年先を見据えた温室効果ガス削減計画を策定
日本生活協同組合連合会は、2050年のカーボンニュートラル実現に向け、具体的なロードマップを策定する必要がありました。しかし、社内だけでは有効な計画を立てられないという課題に直面していたのです。そこで株式会社日立コンサルティングに支援を依頼する運びとなりました。
日立のコンサルタントはバックキャスティングの手法を用いて、温室効果ガス削減計画を策定し、現状分析から始め、国内外の政策動向や技術革新を考慮した複数の削減シナリオを提示します。
さらに、各シナリオの投資額やリスクを定量的に評価し、伴走型の支援をすることで、結果、長期的な視点に立った実効性のある脱炭素戦略を実現しました。
導入事例②学校体育館の空調機新設工事
埼玉県春日部市のある学校では、体育館に空調設備がなく、夏の熱中症対策が喫緊の課題となっていました。特に、災害時には避難所としての役割も担うため、快適な環境の確保は必要です。
株式会社エコ・プランは、現地調査を行った上で、体育館の広さや天井高、利用状況を考慮した最適な空調システムを提案し、ガスヒートポンプ式の空調機を導入することで、夏は涼しく、冬は暖かい快適な環境を実現しています。
工事は、学校の授業に支障が出ないよう、夏休み期間中に集中的に行われました。このコンサルティングと施工により、生徒や地域住民の安全・安心な環境が確保され、施設の価値向上にもつながりました。
導入事例③太陽光発電の導入での電気代を削減
千葉県のスーパーマーケットであるランドロームフードマーケット山王店は、年々増加する電気料金の負担に悩んでいました。特に、多くの冷蔵・冷凍ケースや照明を使用するため、電力消費量が大きいことが課題でした。
株式会社エコ・プランは、自家消費型太陽光発電システムの導入を提案します。屋根の形状や強度、日射量などを詳細に調査し、最適なパネル設置プランを策定しました。
導入の結果、発電した電力を店舗で直接使用することで電力会社からの購入電力量を大幅に削減し、電気料金の抑制に成功したのです。これは、CO2排出量の削減と経済的なメリットを両立させた好事例といえるでしょう。
エネルギーコンサルティングに関するQ&A

ここでは、エネルギーコンサルティングを検討する上でよくある質問をまとめました。
エネルギー業界の大手3社は?
エネルギー業界の大手3社を表にまとめました。ここでは、「石油・灯油」「電気」「ガス」各分野で、2024年度の売上が高かった企業をエネルギー業界の大手3社として紹介します。
分類 | 企業 | 売上高 |
---|---|---|
石油・灯油業界 | ENEOSホールディングス株式会社※1 | 12兆3224億9400万円 |
電気業界 | 東京電力ホールディングス株式会社※2 | 6兆8103億9100万円 |
ガス業界 | 東京ガス株式会社※3 | 2兆6368億900万円 |
公共コンサルティングとは何ですか?
公共コンサルティングは、主に官公庁や地方自治体といった公共機関をクライアントとし、その政策立案や事業推進、組織運営などの課題解決を支援するサービスです。
エネルギーコンサルティングが、民間企業を中心にエネルギーという特定の分野の、コスト削減や脱炭素化といった課題を専門的に扱うのに対し、公共コンサルティングはより幅広い行政領域を対象とします。
公共コンサルティングが対象とする支援内容には、地域の活性化戦略や交通インフラの整備計画、福祉・医療制度の改革、デジタル化の推進(DX)、行政組織の業務効率化などが挙げられ、テーマは多岐にわたります。
エネルギーコンサルティングのまとめ

本記事では、エネルギーコンサルティングの概要から、支援内容や会社の選び方、費用、メリット・デメリットまでを網羅的に解説しました。エネルギーコスト削減や脱炭素化、法規制対応など、複雑化するエネルギー課題に対して、専門家の知見は必要不可欠です。
自社の課題を解決する最適なコンサルティング会社を選び、コスト削減と企業価値向上を両立し、持続可能な成長を実現しましょう。