人事制度のコンサル会社へ相談を検討しているものの、費用や比較の方法がわからない企業経営者は多いのではないでしょうか。自社の規模が大手か中小企業かによってもマッチする人事制度コンサル会社は異なります。
精度の高い人事制度を自社とマッチしたコンサルに委ねることで、従業員は自身のスキルや努力が正当に評価されるうえに昇進や昇給に反映されるため、モチベーションアップにもつながるでしょう。
そこで今回は、おすすめできる人事制度のコンサル会社を紹介するほか、気になる費用や選ぶ際のポイントなども詳しく解説します。
人事制度コンサルとは

従業員が業務上で出したさまざまな成果に対して、企業が正当な評価を下す仕組みである人事制度は、業績評価に欠かせないものといえるでしょう。
ただし、人事制度を構築して適切な運用をしていくには、「等級」「報酬」「評価」それぞれの制度に関する基本構造や設計手法に関する専門知識とノウハウが求められます。また、工数も非常に多いため、自社内で取り組むには困難なケースが多くなります。
「人材戦略・経営視点・制度設計」において、プロフェッショナルな人事制度コンサルに自社の業務を委ねることで、単なる仕組みにとどまらない、人事制度の構築や運用支援が実現するでしょう。
そもそも人事制度とは?
人事制度とは、企業や組織に属する従業員の働きぶりを評価して、処遇を決定する仕組みを指します。
人事制度を構成する基本的な要素としては、役職などの「等級制度」、給与・賞与・手当における「報酬制度」、業績や能力に基づく「評価制度」の3つが挙げられます。
企業にとっては組織のビジョンや経営戦略を人材に落とし込み実行させるのが、人事制度といえるでしょう。また、従業員にとっては働く意義を見出し、努力の結果が等級や報酬などに反映される仕組みといえます。
信頼できる人事制度があることで公平な組織運営が可能になり、企業と従業員双方の期待と貢献が可視化できるようになります。
なぜ人事評価制度を見直すのか
人事評価制度を見直す最大のメリットは、従業員に対する評価の公平性と透明性が明確になる点です。
明確な評価制度によって、従業員に対してどのように努力していけば正当な評価が得られるのか、方向性を示すことができます。また、人事制度に限らず、仕組みは組織の変化に合わせて柔軟に変えていくことが必要です。
自社だけでなく取り巻く環境が変わっているにも関わらず、古い制度のままでは規模感や組織構造に見合わず、機能不全に陥る場合もあります。
人事評価制度を再度整えることによって、企業が理想とする方針を全従業員へ周知することが可能になります。従業員一人ひとりに企業理念が浸透し、ミッションに則り業務を進められるため、より働きやすい組織になるはずです。
人事制度コンサルの支援内容

人事制度をコンサル会社へ任せる場合、依頼先の規模や契約内容によって若干の差はあるものの、一例として以下のような5つの支援を受けることが可能です。
自社に不足しているリソースやノウハウを補える支援をうまく活用して、全従業員の納得が得られる人事制度の構築を目指しましょう。
人事評価制度の現状分析・課題抽出
自社の人事評価制度の現状分析や課題抽出は、人事制度コンサルからの支援を受けるうえで、最も重要なフェーズといえるでしょう。
特に人事制度の見直しをする際は、自社の置かれている現状を客観的に把握して、課題を洗い出していくプロセスが必要不可欠です。
人事制度コンサルではクライアント企業の人事評価制度に関して、「どの項目を重視して設計されているか」を整理しながら、可視化できている課題と表面に出ていない課題を掘り下げていきます。
抽出された課題や設計ロジックに基づく設計が行なわれるため、精度が高く、公平性が保たれた人事評価制度が実現します。
人事評価基準やプロセスの適正化
自社の人事評価制度の公平性や透明性を維持するうえで、評価基準やプロセスの適正化は非常に重要です。人事制度コンサルは、クライアント企業のビジョンや経営戦略を洗い出したうえで、評価基準や指標設定を行います。
従業員と評価側双方が評価プロセスを予測できるよう、評価の頻度や具体的な時期に関する設定支援を行うことにより、公平かつ客観的な評価が実現するでしょう。
また従業員に対する評価結果のフィードバック方法を適切化し、評価の公平性を維持するだけでなく、従業員の成長やモチベーション向上に寄与できるのも人事制度コンサルならではの手腕です。
人事評価制度の構築・運用サポート
人事評価制度の構築や運用サポートの重要性は、従業員の意欲を向上させながら組織をより強固なものにして、健全な成長を促していく点にあるといえるでしょう。
人事評価制度を構築しただけで、運用がうまくいかなければ、従業員の納得感とモチベーションを得られる仕組みとはいえません。企業は人材を育成しながら、成果に対する正しい評価として昇進や昇給という機会を与える必要があります。
人事制度コンサルを導入することで、自社のビジョンや文化を人事評価制度にきちんと落とし込んでもらえるでしょう。また、仕組みとして全従業員に浸透させながら、運用するサポートが受けられます。
人材育成の仕組み設計・見直し
短期間の研修ではなく、中長期的な人材育成を見据えた仕組み設計や見直しは、昨今の人事制度コンサルの分野においても非常にニーズの高い領域です。
人事制度コンサルなら「自社のニーズにマッチした人材を戦略的かつ、継続性をもって育成する」ことを目的に、制度として構築するための支援提供が可能です。
現状の人材育成方針や課題を洗い出し、職種や等級別の人材要件を整理していきます。そのうえで、外部研修やe-ラーニングといった従業員に必要な教育や経験機会の場を設計し、継続的で明確な教育体系を構築します。
このため、従業員は自身に何が求められているかが明確になり、育成する側もどのようにして育てていけばよいかが可視化できるようになるでしょう。
賃金制度見直しのコンサルティング
賃金制度は従業員にとってモチベーション向上にもつながるため、非常に興味深い項目といえるでしょう。一方、職種やポジションなどによって賃金水準が異なるセンシティブな面も持ち合わせており、自社内で制度見直しを行うのは困難です。
自社の賃金制度見直しを検討しているなら、ぜひ、プロの手腕を借りることをおすすめします。新制度移行までのシミュレーションから賞与の支給ルール策定、マニュアル作成や社内説明会の実施など、すべてのプロセスにおけるコンサルティングが可能です。
人事制度コンサルによる適切な賃金見直しによって、単なる給与調整だけでなく、人材における「定着」「育成」「戦略的人事」が実現するでしょう。
人事制度コンサルが必要な理由

人事制度コンサルが必要不可欠な理由として、多くの企業や組織が抱える4つの現状が挙げられます。
上記に挙げるように、自社内できちんと機能する人事制度の構築に取り組むのは、非常にハードルが高いといえます。
人事制度のプロフェッショナルであるコンサルを導入することで、「課題分析」「法務・労務」「効率化」「定着率向上」においてバランスの取れた制度設計や運用が可能になるでしょう。
自社だけでは客観的な分析が難しい
人事制度を取り巻く環境は、働き方改革やジョブ型雇用など、常に変化し続けています。このため、自社の評価制度に対する分析や意識のアップデートは必要不可欠なものといえるでしょう。
しかし、自社内で人事制度の構築や見直しを行う場合、これまでの慣習や個々の主観が入り込むことが多く、分析に偏りが出てしまいます。このため、自社が抱える根本的な課題を見抜く結果につながりません。
人事制度コンサルを導入した場合では、同業他社における事例との比較やヒアリングを通じて、現状や課題を客観的に分析することが可能です。
適切な設計には専門知識が必要
公平かつ、透明性の高い人事制度を設計するには、法と労務両面での専門知識が求められます。特に等級制度や賃金制度、評価制度は、労働法や労働基準法が密接に関わってくるため注意が必要です。
法に則った適切な処遇が定義できない場合、従業員の間に不公平感が生まれるだけでなく、労使トラブルの要因にもつながりかねません。
また大手やベンチャー、製造業やサービス業など、企業規模や業種によっても適切な制度設計は異なってきます。このため、組織の規模や業種ごとの知見や経験値も、制度設計の仕上がりに大きく関わってくるでしょう。
コンサル会社を選択する際は、上記に関する深い知識を重要なチェックポイントにしておくことも、成功につながるカギになります。
人事制度設計・運用に工数がかかりすぎる
自社で人事制度設計と運用に取り組むには、「人手」「工数」「専門性」が必要です。自社における現行制度の棚卸から課題分析に始まり、関係部署との合意形成も必要です。
また、自社に設計ノウハウがないまま人事制度を構築しても、整合性がなく実態とマッチしていない内容になりかねません。このため、うまく人事制度を運用できず、時間とコストを無駄にかける結果にもなるでしょう。
人事コンサルを導入することで、複雑な制度設計を専門家の手腕によって、一番効率の良い方法で進めてもらえます。このため、工数削減ができるうえ、質の高い人事制度が実現します。
失敗すると社員の離職につながってしまう
人事制度の設計や運用に失敗した場合、社員に対する評価基準が納得感のないものとなり、公平性も失われてしまいます。
社員にとっては「何をどう頑張れば自身の評価につながるのか?」「昇給や昇進は上層部の主観で決まるのではないか?」といった、企業への不満や不信感を抱く大きな要因となるでしょう。このため、社員のエンゲージメントが低下するだけでなく、離職という結果を招いてしまいます。
人事制度コンサルを導入した場合、設計ロジックに基づいた制度構築はもちろん、適切な運用支援により企業と社員双方が納得できる人事評価制度が実現することにより社員の離職回避が可能です。
人事制度コンサル会社おすすめ5社!大手から中小企業向けまで

以下で紹介する5社は人事制度のコンサルティングにおいて、いずれも豊富な実績を誇るコンサル会社ばかりです。
グローバルに展開する大手をはじめ、特定の業種や企業規模などに強みがあるコンサル会社まで紹介しているため、自社の規模感やニーズに合わせて選択することができます。
株式会社リブ・コンサルティング

- 中堅やベンチャー企業をターゲットに、実行支援型のコンサルティングを提供
- 多様な業界特性に精通したプロフェッショナルがクライアントの課題解決を支援
- 戦略策定から実行フェーズまで一気通貫の支援で、業績向上を実現
株式会社リブ・コンサルティングは、中堅やベンチャー企業に特化したコンサル会社です。実行支援型のコンサルティングにより、「住宅・不動産」「製造業」「ヘルスケア」「自動車関連」など、幅広い業界へ貢献してきました。
人事評価制度構築におけるコンサルティングでは、クライアントの理念やビジョン、戦略との整合性が取れた人材採用や育成および評価へ落とし込む制度設計が可能です。
また、リブ・コンサルティングには、さまざまな業界特性に精通したプロフェッショナルが在籍しています。若手の担当者も多く、スピード感と柔軟性のあるサポート提供が強みといえるでしょう。
経営者や管理職層だけでなく、現場も巻き込みながら戦略策定から実行フェーズまで一気通貫の支援による業績向上を希望する企業にとって、非常におすすめできるコンサル会社です。
株式会社リブ・コンサルティングの基本情報 | ||
---|---|---|
会社名 | 株式会社リブ・コンサルティング | |
設立 | 2012年7月 | |
本社所在地 | 東京都中央区日本橋二丁目7-1 東京日本橋タワー29階 | |
公式サイト | https://www.libcon.co.jp/ |
マーサージャパン株式会社

- 世界的人事・組織コンサルファーム「マーサー」の日本法人として幅広い支援を提供
- 報酬制度や福利厚生制度の設計・最適化、人的資本経営の推進で高い専門性を誇る
- 人的基本経営の推進により、企業の従業員満足度向上や人材確保に貢献
マーサージャパン株式会社は、ニューヨークに拠点を置く、世界最大級の人事・組織コンサルファームであるマーサーの日本法人です。グローバルな知見とネットワークを活かし、日本企業へ高度なコンサルティングサービスを提供してきました。
幅広いサービス提供と豊富な実績を誇る中、特に報酬制度や福利厚生制度の設計・最適化、人的資本経営の推進において高い専門性を有しています。
このため、人的資本の価値を最大化する経営手法の導入支援を通じて、多くの企業における持続的な成長と従業員の満足度向上に貢献してきました。
自社が人的資本経営の本格的な導入を検討している場合や、グローバル共通の人事制度や報酬制度設計を希望している企業であれば、おすすめできるコンサルファームといえるでしょう。
マーサージャパン株式会社の基本情報 | ||
---|---|---|
会社名 | マーサージャパン株式会社 | |
設立 | 1978年2月 | |
本社所在地 | 東京都港区赤坂9丁目7番1号 ミッドタウン・タワー | |
公式サイト | https://www.mercer.com/ja-jp/ |
アクセンチュア株式会社

- 120ヶ国でビジネス展開し、在籍従業員数約75万人※を誇る、世界有数のコンサルファーム
- 戦略から業務・IT・人事・デジタル領域など「トータルソリューション型」の幅広い支援に強み
- 各業界ごとの専門チームによる、実効性の高い提案が可能
アクセンチュア株式会社は、120もの国でグローバルなビジネス展開を行い、約75万人もの従業員が在籍※する世界有数のコンサルファームです。
保有するクライアント数は全世界で9,000社以上※を誇り、日本法人においても国内を代表する大手企業の支援を行い、豊富な実績を築き上げてきました。
アクセンチュアの何よりの魅力はグローバル企業ならではの各国のナレッジや成功事例を活用しながら、日本企業の文化や意思決定も考慮した支援を対応してもらえる点です。
支援は製造や金融、通信など、各業界ごとに深い知見を有するチーム制で対応します。このため、業界固有の慣習や課題を踏まえた実効性の高い提案が受けられます。
また、人事制度設計はもちろん、「業務プロセス改革」「システム導入」「人材育成」まで連動した実行支援が可能です。一気通貫が可能な外部パートナーを探す企業なら、特におすすめできるコンサルファームといえるでしょう。
参照元
アクセンチュア株式会社の基本情報 | ||
---|---|---|
会社名 | アクセンチュア株式会社 | |
設立 | 1995年12月 | |
本社所在地 | 東京都港区赤坂1-8-1 赤坂インターシティAIR | |
公式サイト | https://www.accenture.com/jp-ja |
株式会社日本能率協会コンサルティング
- 製造業や現場支援改善を通じた、実践・現場主義に基づく支援を徹底
- 日本型マネジメントの源流を活かした支援に特化
- 人事制度設計だけでなく、中長期的な定着支援に強み
株式会社日本能率協会コンサルティングは、製造業や現場支援改善に長年携わった経験を活かし、実践と現場主義に基づいた支援を行ってきました。
机上の空論にとどまらない、現場に入り込んで成果を出す支援スタイルで「自動車」「電機」「機械」「化学」「食品」など、幅広い業界に貢献しています。
日本型マネジメントに熟知し、指導というよりは、併走型の支援を徹底している点も大きな特徴です。現場改善を主流に、経営戦略に基づいた人事制度設計やDX支援で、国内企業の内製化やノウハウ化支援にも注力しています、
また、社内プロジェクトチームの育成や階層別研修、OJT支援など、自社で回せる中長期的な体制構築も支援しています。自社内にノウハウが蓄積され、組織力も向上するため、現場主義での変革を進めながら自走力を強化したい企業におすすめです。
株式会社日本能率協会コンサルティングの基本情報 | ||
---|---|---|
会社名 | 株式会社日本能率協会コンサルティング | |
設立 | 1980年4月1日 | |
本社所在地 | 東京都港区芝公園3-1-22 日本能率協会ビル7階 | |
公式サイト | https://www.jmac.co.jp/ |
株式会社新経営サービス

- 中堅・中小企業に向けた、オーダーメイドの人事制度構築や組織開発に強み
- 人事制度設計だけでなく、運用定着支援や研修など幅広く対応
- 高い専門性と1,000社以上の豊富な実績※を誇る
株式会社新経営サービスは、特に中堅や中小規模の企業において強みがあるコンサル会社です。企業の継続的発展・成長を支援する経営のプロフェッショナル集団として、人事制度構築や組織開発など、各社のニーズにマッチしたオーダーメイドなコンサルティングには定評があります。
人事評価制度や賃金制度改定をはじめとする、人事制度・目標管理制度運用コンサルティングにおいて豊富な実績を誇ります。1,000社を超える支援実績※は、高い専門性と信頼性における何よりの証拠といえるでしょう。
また、豊富な業種別や職種別の人事制度ノウハウを駆使して企業ごとのニーズ・実情を最大限に踏まえ、特定の解決フレームに偏らないコンサルティングをワンストップで提供しています。
自社に合ったきめ細やかな人事制度構築はもちろん、組織活性化や人材育成を強化する支援を希望するなら、ぜひおすすめしたいコンサル会社です。
参照元
株式会社新経営サービスの基本情報 | ||
---|---|---|
会社名 | 株式会社新経営サービス | |
設立 | 1978年1月 | |
本社所在地 | 京都市下京区河原町五条西入本覚寺前町830 京都EHビル6F | |
公式サイト | https://jinji.jp/ |
人事制度コンサルの費用相場

人事制度をコンサル会社に依頼する場合、気になるのが費用面です。しかし、コンサル会社や支援対象となる企業規模や従業員数はもちろん、対応業務の範囲によっても費用は大きく変動します。
また、ホームページなどでも、詳細な額に関してはほとんど公開されていません。このため、直接コンサル会社へ問い合わせることが必要です。
以下で紹介する表は、人事評価制度をコンサルに依頼した際の一般的な費用目安です。
従業員数 | 契約期間 | 料金 |
---|---|---|
30名以下 | 半年間 | 約60万円程度 |
1年間 | 約120万円程度 | |
100名以上 | 半年間 | 約120万円程度 |
1年間 | 約240万円程度 | |
200名以上 | 半年間 | 約180万円程度 |
1年間 | 約360万円程度 |
上記の通り、基本的に従業員数が多くなるにつれて、かかる費用も高くなるのが特徴といえるでしょう。このため自社の規模や従業員数、予算計画に則って、コンサル会社による無料相談の活用や複数社から相見積もりを取ることをおすすめします。
人事システムの導入費用はいくらかかる?
採用管理や人事評価、給与計算といった人事に関する情報を一元管理できるのが、人事システムです。人事システムを導入する場合、製品のスペックや提供形態だけでなく機能の種類、自社の利用人数によって費用は変動するのが特徴といえるでしょう。
以下の表は、人事システムの主な提供形態となる「自社独自のシステム開発」「クラウド型」「オンプレミス型」、それぞれを導入した際の費用相場をまとめたものです。
提供形態 | 費用相場 |
---|---|
自社独自のシステム開発 | 300万~1,000万円 |
クラウド型パッケージシステム | 初期費用:10万~50万円 月額基本料:300~700円/名 |
オンプレミス型パッケージシステム | ライセンス費用:100万円以上/100名 カスタマイズ費用:開発者1名につき月額50万~160万円 |
自社ならではの人事システムを導入したいなら、開発型をおすすめします。初期費用を抑えたいならクラウド型が最適です。また、初期費用は多少かかっても、使い勝手の良い機能とカスタマイズを希望するならオンプレミス型が良いでしょう。
人事制度コンサルの選び方

人事制度コンサルの導入を検討する際は、以下に挙げる5つのポイントに焦点を当てて、コンサル会社を選択していくと非常にスムーズです。
それぞれのポイントを実践して、自社の状況やニーズに見合った支援を提供するコンサル会社を選びましょう。
対応範囲や費用を比較
人事制度コンサルを活用する場合、コンサル会社の規模や依頼業務の範囲によって、費用は大きく変動します。このため、人事制度コンサルを導入する場合は、自社が改善したい課題や体制にマッチしているかどうかを見極めることが必要でしょう。
人事制度の設計だけでなく、制度の定着や人材育成との連動など、自社がどこまで対応を希望するかによっても選ぶべきコンサル会社は異なってきます。また、万が一、トラブルが発生した際の対応費用などもチェックしておけば安心です。
このため、コンサル会社が提供する業務の対応範囲と費用のバランスを考慮しながら、複数社を比較検討することをおすすめします。
自社の規模や業種に合うか確認
人事制度を担うコンサル会社といっても、得意とする業界はもちろん、制度設計に関するアプローチ方法や支援領域の幅は異なります。
特に自社の規模が中小やベンチャーの場合、柔軟性のある支援が成功のカギを握るため、大企業の人事制度設計に強いコンサル会社に依頼するとミスマッチが起こりがちです。
このためコンサル会社を選択する際は、自社と同業種で、規模感も同レベルの企業における実績が豊富かどうかをチェックしておきましょう。
実績や得意分野を確認
人事制度コンサルを選択する際に自社の規模感や業種との相性確認に次いで重要なのが、候補となるコンサル会社の実績と得意分野です。自社と同業種・同規模の実績が豊富であることはもちろん、得意とする制度領域もチェックしておきましょう。
「等級」「報酬」「評価」など、どの分野に強みがあるのかだけでなく、自社の依頼内容が部分支援か制度設計~運用支援まで全体を任せるかによっても選択すべきコンサル会社は異なります。
人事制度における全体支援を希望する場合は、制度導入後の社内説明や浸透、定着までの支援経験の有無も重要なチェックポイントです。
長期的な運用まで任せられるか確認
人事制度は構築したら完了ではなく、人材と同様に制度も育てていく必要があります。自社の成長や事業を取り巻く環境の変化に応じて、人事制度もアップデートしていかなければなりません。
また社内合意を得て設計された人事制度も、いざ運用してみると、現場サイドとのギャップや課題が出てくる場合もあります。このため、長期的な運用を見据えて「制度の定着と改善」を支援できるコンサル会社かどうかを確認しておきましょう。
担当者との相性は問題ないか確認
人事制度は企業はもちろん、所属する従業員にとっても非常に重要な制度です。人事制度の設計や見直しを行う際には、自社のビジョンや価値観などに深く関わっていくため、コンサル会社の担当者が信用に値する人材でなければなりません。
担当者は経営層とのやりとりだけでなく、現場へのヒアリングなど、常に密なコミュニケーションが不可欠です。担当者との相性が良ければ、本音での対話やスムーズな意思決定につながるでしょう。
また相談しやすいだけでなく、自社業界に対する理解や実績が豊富で、ロジックと現場感覚のバランスに優れた担当者であれば、安心して支援を依頼できます。
人事制度コンサルを利用するメリット

人事制度コンサルを利用すると、企業は以下に挙げる5つのメリットが得られます。特に、社内にリソースやノウハウが不足している企業であれば、人事制度コンサルの活用は非常にメリットが大きいといえるでしょう。
人事制度コンサルならではのメリットを活用して、従業員のモチベーション維持はもちろん、魅力的な組織作りを目指しましょう。
客観的な課題抽出ができる
社内リソースだけで人事制度の構築や改善を実施する場合、どうしても個々のバイアスや忖度などによって、課題の本質が見えづらくなります。
コンサルタントを導入することで、第三者の視点による現状分析が可能なため、自社が抱える課題が可視化できるようになるでしょう。
専門知識が豊富なコンサルタントという中立的な立場から抽出された課題は、評価ロジックや法的リスク回避なども考慮されているため精度も高く、実行可能性にも優れています。
自社にリソースがなくても進められる
人事制度の構築や見直しには、膨大な工数と専門知識、各部署との調整が必要です。このため、リソース不足に悩む中小企業の場合、制度設計まで手が回らないというケースも多く見受けられます。
人事制度コンサルを取り入れることで、「工数」「ノウハウ」「社内調整」に関する負荷を軽減し、自社にマッチした人事制度の構築や改善を図ることが可能です。
人事に関するリソースが足りない企業こそ、人事制度コンサルをうまく活用して、組織力を向上させていきましょう。
プロのノウハウを活用できる
コンサルタントは、人事制度におけるプロです。多くの企業における人事制度設計の支援実績を通じて、成功だけでなく、失敗事例も踏まえた最善の方法をクライアントに提供できます。
専門家として客観的かつ適切な提案ができるため、経営層だけでなく現場の人材からも合意を得やすく。課題に対する改善も進めやすくなります。
また単に人事制度を形成するだけでなく、導入後の運用まで見据えた設計が可能な点は、プロならではのノウハウといえるでしょう。
人事制度構築~運用を総合的に改善できる
コンサルタントを活用すると、自社リソースのみで対応した場合にありがちな部分的な見直しでなく、人事制度構築から運用まで一貫した改善が可能です。
人事制度における「等級」「報酬」「評価」などは、連動して初めて機能を発揮します。人事制度コンサルを導入することで、すべての制度を一つの流れとしてマネジメントしていくため、総合的な改善が実現します。
離職率改善など組織の強化につながる
人事制度コンサルの支援により、公平かつ透明性が保たれた人事評価制度が構築されます。このため、正当な評価を得られない不満によって離職に至るという事象を未然に防ぐことができるでしょう。
従業員が納得できる人事評価制度なら個々のモチベーションを上げ、定着率向上に大きく貢献するため、組織としての力も強固なものになるはずです。
人事制度コンサルのデメリット・注意点

人事制度コンサルの活用は、企業にさまざまなメリットをもたらす一方、以下のような3つのデメリットや注意点があることも理解しておきましょう。
あらかじめ注意すべき点を認識しておくことで、無用なトラブルを回避し、効果的かつスムーズなサポートが可能になります。
費用が高額になる可能性
人事制度コンサルは、クライアント企業の業種や規模などを踏まえて、等級や報酬をはじめとする総合的な制度設計が必要です。経営層や管理職だけでなく、現場の人材からヒアリングを実施したうえで制度設計を行うケースも珍しくありません。
多くの時間と工数を割かなければならないため、費用が高額になる可能性もあります。また、大手のコンサルファームに依頼した場合は、企業ブランドや高い信頼性に対するコストも含まれるため、費用がかさんでしまうでしょう。
コンサル会社を検討する際は「目的」と「対応範囲」を明確にしたうえで、依頼業務の見積もりを複数社に依頼することで、適正価格の判断が容易になります。
自社に合う人事制度コンサルの見極めが必要
人事制度コンサルといっても、支援対象となる企業の規模感や業務内容、提供サービスなどによって向き不向きがあります。このため、自社の状況やニーズにマッチしたコンサル会社を選択しなければなりません。
自社にとって最適なパートナーを選ぶには、コンサル会社の得意分野と、どのような支援スタイルであるかを見極めることが肝心です。そのうえで、自社と同じ業種や規模、課題における実績が豊富なコンサル会社を選びましょう。
自社のノウハウ強化にはなりづらい
人事制度コンサルを活用して経営戦略の策定から実行など、ずべてコンサル主導型で進めた場合、社内人材は受け身の状態となります。
また、企業の内製化や人材育成まで視野に入れた支援を行うコンサル会社も存在します。このため、コンサルが担う業務の意図やプロセスを理解しないまま、人事制度が構築される状況も起こりうるでしょう。
至れり尽くせりの支援は経営者や管理職層の負担が減る一方で、自社内のノウハウ強化につながることなく、完成された制度を使うだけになってしまいます。
人事制度コンサルを活用する際は、自社のノウハウ強化や蓄積はもちろん、社内で自ら制度の調整や改善を担える人材を育成することが肝心です。このため、コンサルの担当者に任せきりにせず、積極的な業務参加と情報共有を行うようにしましょう。
人事制度コンサルに関するQ&A

人事制度コンサルの活用を検討する際に役立つ、4つのQ&Aを以下で紹介します。
各回答を参考にして、あらかじめ疑問点をクリアにしておくことで、人事制度コンサルのスムーズな活用が可能になるでしょう。
人事コンサルティングの最大手は?
人事コンサルティングにおいて規模感や実績の面で最大手といえるのは、以下に挙げる3社です。
コンサル会社名 | 特徴 |
---|---|
マーサージャパン株式会社 | 世界最大級の人事コンサルファームとして、人と組織に特化した支援を提供 |
コーン・フェリー・ジャパン株式会社 | 組織・人材開発に特化し、組織と人材に関する包括的なサービスを提供 |
ボストンコンサルティンググループ | グローバルな知見とネットワークを活かし、組織・人事分野で強みを発揮 |
いずれもグローバルなビジネス展開を行い、世界中のオフィスと連携したネットワークを誇るコンサルファームです。豊富なデータや事例に基づき、クライアントのニーズにマッチしたサービスを提供しています。
自社もグローバル展開や今後の海外進出を目標にしている、または従業員数が多く、制度構築のスケールや複雑性が高い企業であれば、上記のようなコンサルファームの活用がおすすめです。
人事コンサルティングのBig4は?
人事コンサルティングの中でも、グローバルな展開を通じてBig4と称されているのが、以下のコンサルファームです。
コンサルファーム名 | 特徴 |
---|---|
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 | Big4の中でも圧倒的な人材数や案件規模、領域の幅広さを誇り、組織人事に強み |
PwCコンサルティング合同会社 | 業務改善・財務戦略に強みがあり、社会課題×ビジネス領域も得意とする |
KPMGコンサルティング株式会社 | 内部統制・ITリスク・GRC系支援など、会計系ファームならではの強みがある |
EYストラテジー・アンド・ コンサルティング株式会社 | 戦略~実行・変革推進までの一貫支援に強みがあり、近年は人事制度に注力 |
いずれも会計系ファームを母体にしながら、組織や人事分野でのサービスも提供しています。幅広い業界・業種の制度設計や組織開発支援の実績が豊富で、総合力と実行力の高さはBig4ならではの魅力です。
ただし、Big4は大企業のノウハウやモデルを前提としているためコストが非常に高く、中小規模の企業にとっては費用対効果に見合わないケースが多いでしょう。
中小企業にコンサルは必要ですか?
市場の急速な変化による人材不足や資金調達など、中小企業が抱える課題は少なくありません。より業績を上げるために経営戦略を見直すにしても、リソースが足りないことで着手できない中小企業も多いはずです。
中小企業にとって、効果的な経営戦略の立案や的確なアドバイスを通じ、課題を改善に導くコンサルの存在は必要不可欠といえるでしょう。
コンサルは外部の立場から経営者の右腕となって意思決定や制度構築を共に考え、軌道修正を行うことが可能です。また、経営者や管理職層が本業に集中できる利点もあります。
中小企業向けコンサルティング会社の特徴は?
中小企業向けのコンサルティング会社なら経営者層の心強いパートナーとして、経営課題の分析から戦略策定、実行までのサポートが可能です。
これまでの経験や知識に基づいて立てられる経営戦略やアドバイスだけでなく、着地までしっかり併走してもらえる「顧問型のコンサルティング」が、中小企業向けコンサルティング会社の特徴といえるでしょう。
このため、課題解決や業績アップといった高い効果が得られるだけでなく、企業としての成長も実感できるはずです。
人事制度コンサルまとめ

今回は、人事制度コンサルの活用を検討されている経営者や管理職層に向けて、有益な情報をお届けしました。
企業にとって人事制度は、人材を育成するうえで必要不可欠な仕組みといえるでしょう。また、自社の人事制度を強固なものにしていけば、従業員のモチベーションを高めるだけでなく、組織全体のパフォーマンス向上にも大きく貢献します。
ぜひ本記事を参考にして、公平かつ透明な人事運用を実現する人事制度コンサルの活用に役立ててください、