「優秀な人材が定着しない」「給与体系が複雑化して社員の不満が高まっている」という課題に直面している企業は少なくありません。こうした課題を解決へ導くのが、企業の現状を分析し、改善策を提案してくれる賃金制度コンサルティング会社です。
しかしながら、賃金制度コンサルティング会社はそれぞれ独自の強みや課題解決への手法を持っているため、「自社にとって最適な支援先はどこか？」と選定に悩む経営者の方は少なくありません。そこで本記事では、評価の高い賃金制度に強いコンサルティング会社を厳選して比較紹介します。
この記事を読めば、貴社の課題解決に最適なパートナーを見つけ、よりよい賃金制度構築への第一歩を踏み出せるでしょう。
賃金制度コンサルとは？
賃金制度コンサルとは、企業が従業員に支払う給与の仕組みを最適化するための専門的な支援サービスです。
給与は社員のやる気や定着率、会社のコスト構造に直結します。しかし自社だけで公平性や競争力を兼ね備えた制度を構築するのは容易ではありません。また、労働基準法などの法令遵守や市場の給与水準との整合性も同時に確保する必要があるため、専門家による客観的な視点が不可欠となります。
なお、多くのコンサルティング会社では賃金制度だけを独立して扱うのではなく、人事制度全体のコンサルティングの中で賃金面も含めて総合的に診断・改善を行う形態が主流です。
なぜ賃金制度を見直す必要があるのか？
企業が持続的に成長し、変化する社会環境に適応していくために、賃金制度の見直しが不可欠です。古い制度を放置することは、優秀な人材の流出や法令違反のリスクを高めることにつながります。
賃金制度の見直しが企業に求められる主な要因・目的は多岐にわたります。
- 労働関連の法改正への対応
- 会社規模や業務内容の変化
- 多様化する労働者の価値観に基づく柔軟な制度設計
- 増加する人件費に対する経営の安定化を図る目的
- 優秀な人材の引き留めや採用力強化を目的とした改善
例えば最低賃金の引き上げに対応しないままでは、法令違反となり、企業は罰則や社会的信用の低下といったリスクを負うことになるでしょう。
賃金制度を見直すタイミング
賃金制度の改定は、会社にとって資金面・時間面に余裕がある時期を選ぶのが賢明です。なぜなら、制度変更は従業員の給与水準に影響を与えるため、合意形成や適切な補填措置の準備に多大な時間と費用を要するからです。
そのほか、次のようなタイミングでの見直しが適しています。
- 事業再編や組織再構築を行う際
- 新しい中期経営計画が始まる年
- 創業20周年・30周年などの節目
制度改定の成功は、単なる給与額の調整に留まらず、評価制度や等級制度など、全ての人事システムとの整合性を図ることが重要です。
改定の成功確率を高めるには、適切なタイミングで実施計画を立て、組織の変化や社会情勢を正確に反映させましょう。
賃金制度コンサルティング会社が必要な理由
賃金制度コンサルティング会社が必要な理由は、以下のとおりです。それぞれを詳しく見ていきましょう。
専門知識がないと適切な制度構築が難しい
報酬制度の構築には、企業が独自に習得することが難しい高度な専門性と豊富な実務経験が求められます。これらが不足している状況では、論理的に整合性のとれた給与体系を確立することは困難です。
賃金制度は、単純に給与を分配する規則というだけではありません。企業における人材マネジメントや組織経営の根幹に関わる重要な制度です。
十分な理解がないまま制度を設計してしまうと、社員の不満が高まり、深刻な労使間の紛争を招くリスクが高まります。
こうした課題に対して、賃金制度コンサルティング会社は企業固有の特徴や業界特性を踏まえた最適な仕組みを提案し、法的要件を満たすためのサポートを提供します。
法律違反のリスクを軽減できる
賃金制度コンサルティング会社の活用により、企業は労働法規に抵触するリスクを大幅に低減し、安定した経営基盤を構築できます。労働に関する法的規制は年を追うごとに複雑さを増しており、企業が自力で全ての改正内容を理解し、適切な対応を行うことは困難な状況です。
働き方改革に伴う労働時間規制の厳格化や最低賃金の段階的な引き上げといった制度変更に対応できていない報酬体系では、法的なリスクが著しく高まってしまいます。
賃金制度コンサルティング会社の助言なしに制度を運用すると、法規制の見落としや誤った解釈により、思わぬ法的問題に直面する危険性が高くなるでしょう。
従業員の離職を防ぐためにも慎重な設計が必要
賃金制度の設計において、賃金制度コンサルティング会社の支援が求められる理由の一つは、制度の失敗が従業員の離職を招くリスクがあるためです。報酬の仕組みというものは、単純に給与額を決定する手段というだけではありません。
企業が社員の業務成果や組織への貢献をどのように評価し、それに見合った対価を提供するかという経営姿勢を示す基盤となるものです。
給与配分の基準や人事評価との関連性が曖昧な状態では、社員は自身の努力や成果が適切に報酬へ反映されていないと感じやすくなり、能力の高い人材から順に退職していく傾向が見られます。
賃金制度コンサルティング会社の支援・代行内容
賃金制度コンサルティング会社の支援や代行内容はどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、主な内容を解説します。
企業の現状分析
賃金制度コンサルティング会社が行う現状分析は、企業が抱える人事制度上の課題を整理し、今後構築する賃金制度の方向性を定めるための基盤となります。効果的な賃金制度を設計するためには、制度導入に先立ち、企業の実態を把握する工程が欠かせません。
分析に際してまず現行の賃金制度の仕組みや運用上の特徴、そして従業員の給与水準や構成といった実態を客観的なデータに基づいて把握します。
さらに経営者や人事担当者、従業員それぞれに対して、給与や評価に関する考え方をヒアリングします。
そして収集したデータとヒアリング結果を基に、現状と理想の制度との間に存在するギャップを分析することが一般的な流れです。
報酬体系の構築
賃金制度コンサルティング会社は、現状分析を踏まえ、企業理念や経営方針を反映した報酬体系を設計します。基本給や諸手当、賞与、退職金まで一貫性のある仕組みを設計し、社員が納得し会社の成長に直結する制度を目指します。
例えば、現状で年功要素が強く成果が評価に反映されにくい企業の場合、基本給の等級構造を見直すケースが少なくありません。賞与における成果連動比率を高める設計とすることで、成果重視の風土作りに寄与します。
また従業員のプライベートを大切にしたいなら家族手当を厚く、挑戦を評価したいなら資格取得奨励金を手厚くするなど経営者の考えを反映した制度の設計を依頼することも可能です。
等級制度の構築
賃金制度コンサルティング会社は、報酬構造に連動した等級制度を設計します。等級制度は、職務内容や責任範囲を明確化し、処遇判断の軸とするための制度です。明確な基準がない状態では、給与決定が属人的になり、不公平感や不満が生じやすくなります。
例えば、一般職から管理職まで複数の階層を設定し、各階層における職務内容や求められる能力を定義したうえで、等級ごとの支給範囲と昇給幅を具体的に定めていきます。
さらに等級制度の導入後は、定期的にその効果を評価し、必要に応じて見直しを行うことが多いです。
等級制度の適切な設計と運用を行うことで、企業は競争力を高め、従業員の満足度を向上させることができます。
人件費のシミュレーション
賃金制度コンサルティング会社が実施する人件費シミュレーションでは、新制度導入後の総人件費や従業員ごとの給与変動を想定し、財務面でのリスクを事前に検証します。
具体的には、企業が目指す経営戦略や人材戦略に基づき設計された新しい制度が人件費の総額にどのような影響を与えるかを確認します。そして、人件費の設定が企業目標の達成に対して妥当であるかを検証することが一般的です。
さらに各社員の給与がどのように変動するかをモデルケースに基づいてシミュレーションすることも多いです。既存社員の給料が大幅に下がる場合は、一定期間現行給与を保証するといった対策を行います。
構築した新制度の周知
コンサルティング会社は、新しい賃金制度を社員と労使代表へ正確かつ分かりやすく伝えるための広報や説明プロセスを支援します。
賃金制度は従業員の働き方や意欲に直結する重要な仕組みであり、制度の内容を正確に理解し、従業員が納得感を持てるかどうかが、制度運用の成否に直結します。
しかし社内だけで周知活動を行うと、説明の難易度や感情面の配慮に悩むケースが少なくありません。そこでコンサル会社は説明資料の作成から社員向け説明会の実施、従業員代表・労働組合との協議支援を行うケースが一般的です。
第三者であるコンサルティング会社が間に入ることで、制度の公正性が高まり、社員の受け止め方も安定します。
行政機関への書類提出サポート
賃金制度コンサルティング会社は、会社が作成や改定した就業規則などの重要書類を適切に行政へ届け出る手続きを支援します。賃金制度の改定は、労働条件の根幹に関わるため、通常は就業規則の変更を伴います。
労働基準法第89条では、常時10人以上の労働者を使用する事業場は就業規則の届出義務※があり、違反すると罰則の対象です。
さらに届出書類に不備があったり、必要な添付書類が不足していたりすると、行政からの差し戻しや指導を受ける可能性があります。
こうした行政機関への届出手続きを支援するサービスを活用することで、企業は法的義務を確実に果たしながら、時間や労力を他の重要業務に集中できる体制を整えることが可能です。
参照元
賃金制度に強いおすすめのコンサルティング会社5社
ここからは、賃金制度に強いおすすめのコンサルティング会社を厳選してご紹介します。
株式会社船井総合研究所
- 専門性と具体的なノウハウの提供
- 関係者間の合意を重視したプロセス
- 企業の成長を見据えた将来志向の設計
株式会社船井総合研究所は、各業界の実情を深く理解した専門家チームが担当するため、業界特有の課題や慣習を踏まえた現実的な賃金制度を構築できます。経営陣や管理職との対話を通じて納得感のある制度を作り上げるアプローチを大切にしているので、導入後の運用がスムーズに進みます。
株式会社船井総合研究所のサポートにより制度の意図や運用方法が共有されることで、評価のブレや不信感を抑えられ、社員の成長を促す制度として機能しやすくなるでしょう。さらに賃金制度の策定にあたって、株式会社船井総合研究所は将来の企業成長の姿から逆算し、採用から評価の各プロセスが密接に連動するように組み立てます。
現場で発生し得る課題を事前に想定し、先回りして解決策を提示することで、導入後のトラブルを最小限に抑える点も株式会社船井総合研究所の魅力です。
| 株式会社船井総合研究所の基本情報 | |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社船井総合研究所 |
| 設立 | 1970年3月6日 |
| 本社所在地 | 東京都中央区八重洲二丁目2番1号 東京ミッドタウン八重洲 八重洲セントラルタワー 35階 |
| 公式サイト | https://www.funaisoken.co.jp/ |
株式会社タナベコンサルティング
- 企業ごとの特性に合わせたオーダーメイド設計
- 長年の実績と信頼性
- 定着を見据えた手厚いフォローアップ
株式会社タナベコンサルティングは約18,900社以上※の支援経験があり、安定したノウハウで賃金制度の課題を解決します。この豊富な実績は、企業が抱える多様な課題に対して効果的な解決策を提供できる信頼性の証です。
さらに株式会社タナベコンサルティングは制度設計に留まらず、実際に機能させる運用段階にも重点を置いています。業界慣習や他社事例にとらわれず、各社の文化や戦略に適した制度を提案してきました。
企業のニーズに応じた新賃金移行シミュレーションを実施し、調整給の検討を行うことで、株式会社タナベコンサルティングは実効性のある賃金制度を構築します。
くわえて単に制度を作るだけでなく、社員の不安や疑問を解消するために公平性と透明性を担保する制度説明会の実施を株式会社タナベコンサルティングに依頼することも可能です。
| 株式会社タナベコンサルティングの基本情報 | |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社タナベコンサルティング |
| 設立 | 1963年4月1日 |
| 本社所在地 | 東京都千代田区丸の内1-8-2 鉃鋼ビルディング 9Ｆ |
| 公式サイト | https://www.tanabeconsulting.co.jp/hr/ |
株式会社小林労務
- 実務に強い社労士チームによる制度設計
- オーダーメイド型の支援
- 運用・定着まで支援する伴走型サポート
株式会社小林労務は社会保険労務士としての法的専門性を基盤に、企業の実態に即した制度を設計することで、公平性と納得性を兼ね備えた人事システムを実現します。
さらに会社の規模や業界の違いを細かく分析し、独自の賃金ルールを組み立てるアプローチも魅力です。ヒアリングを重ね、理念や組織課題に合った仕組みをゼロから構築することで、経営方針との一貫性を実現しています。
また、株式会社小林労務では、小規模企業から成長企業まで、各段階に応じて柔軟に対応できます。制度導入後の説明会や評価者研修、運用状況の確認までトータル支援を実施可能です。
賃金制度が社員に浸透するか不安な場合でも、株式会社小林労務は心強いパートナーとなるでしょう。
| 株式会社小林労務の基本情報 | |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社小林労務 |
| 設立 | 1993年5月 |
| 本社所在地 | 東京都千代田区九段南2-1-30 イタリア文化会館ビル |
| 公式サイト | https://www.kbr-group.co.jp/ |
株式会社New Wind
- 職務分析に基づく評価制度の構築
- ジョブ型制度への対応力
- 多様な人材の活躍を促進
株式会社New Windは、職務分析を起点とした評価・賃金制度の構築に強みを持っています。業務の流れや役割を細かく分析し、職務記述書を作成することで、賃金制度の土台をしっかりと築きます。これにより、従業員は自分の業務がどのように評価されるのかを理解しやすくなり、納得感を持って働くことが可能です。
特に、ジョブ型制度を導入する企業にとっては、株式会社New Windのサポートによって職務に応じた公平な賃金設定が可能となり、プロフェッショナル人材の育成や多様な人材の活用にもつながります。
さらに株式会社New Windは多様な人材が活躍できる環境を整えることにも力を入れています。このように多彩なサービスを展開しているため、職務基準の制度改正を進めたい企業にとって、信頼度の高いパートナーといえるサービスを提供しているのです。
| 株式会社New Windの基本情報 | |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社New Wind |
| 設立 | 2021年7月 |
| 本社所在地 | 福岡県福岡市中央区大名2-9-29 第2プリンスビル408 |
| 公式サイト | https://www.newwind-consulting.jp/ |
株式会社エフピオ
- 膨大な実データ活用の賃金診断力
- 運用可能性を優先したシンプルな制度設計
- 法令対応からアフターまでフルサポート
株式会社エフピオは主に中小企業が直面する賃金制度の悩みの解決に強みを持つ賃金制度に強いおすすめのコンサルティング会社です。
300人未満の中小企業の給与データ※を基に、業界相場や社内格差をグラフで視覚化したうえで制度について提案しています。自社の給与水準や社内バランスを客観的に把握することで、課題を明確にできるでしょう。
さらに評価項目の複雑化や運用負担の増大により制度が形骸化するリスクを避け、中小企業が実際に運用できるシンプルな仕組みの構築を実現しやすいのも強みです。
また株式会社エフピオは、社労士法人としての強みを生かし、就業規則の改定から説明会・研修まで一貫して対応できます。評価者研修や社内説明会の実施サポート、運用開始後の昇給や賞与算定支援まで、包括的なフォロー体制も魅力です。
| 株式会社エフピオの基本情報 | |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社エフピオ |
| 設立 | 2020年10月28日 |
| 本社所在地 | 千葉県千葉市中央区中央2-9-8 千葉広小路ビル4F |
| 公式サイト | https://fpeo.co.jp/ |
賃金制度コンサルティング会社の費用相場
賃金制度の整備を専門業者へ依頼する場合、企業規模によって費用は大きく変動します。中小企業が制度設計の見直しを依頼する場合、費用は50万円以上となるケースが一般的です。
比較的手頃な価格帯の株式会社エフピオの料金は以下のとおりです。
| プラン | 内容 | 料金（税込）※ |
|---|---|---|
| 賃金分析 | プロット作成・分析 | 110,000円/回〜 |
| 賃金評価制度 | 月2回支援（最短6ヶ月） | 385,000円/月〜 |
| 賃金制度説明会 | 従業員向け実施 | 88,000円/回〜 |
| 評価者研修 | 評価・面談実践 | 88,000円/回（2時間から3時間）〜 132,000円/回（4時間から6時間）〜 |
| 運用サポート（オプション） | 昇給/賞与シート作成・訪問 | 110,000円/回〜 |
賃金制度コンサルティング会社を選ぶポイント
賃金制度コンサルティング会社を選定する際の重要なポイントを解説します。
実績を確認する
賃金制度コンサルティング会社を選ぶ際、まず確認しておきたいポイントは実績です。企業が自社に適したコンサルタントを選ぶためには、過去の支援内容が自社の企業規模や業界特性にどれだけ合致しているかを、詳細に見極める必要があります。
実績が乏しいと、抽象的なアドバイスに終わり、実際の運用でトラブルが生じやすくなります。一方で、そのコンサルティング会社が豊富な実務経験を有していれば、業界特有の事情や課題を深く踏まえた、実践的かつ成果につながる制度設計を期待することが可能です。
コンサルタントが過去にどのような成果を上げたのか、具体的な数値や事例を提示してもらえないか打診してみましょう。
料金体系を確認する
賃金制度コンサルティング会社を選ぶ際は、提示された料金体系とその総額に含まれるサービス範囲を詳細に確認することが大切です。その料金の妥当性は、実際に提供されるサービスの品質や、最終的な成果に直接的に結びつく要素です。
したがって、価格の安さや知名度といった表面的な情報だけで判断を下すことは避けるようにしましょう。
なおコンサルティングの料金体系は「時間制」「成果報酬型」「定額制」など複数の方式があり、その特徴によって期待できる支援内容やリスクの範囲が異なります。
これらのうち、自社の考えや予算規模に最も適した形態を選ぶとよいでしょう。
サポート体制を確認する
賃金制度は一度導入すれば終わりではなく、運用を通じて見えてくる課題や変化に応じて、継続的な調整が必要になります。そのため、賃金制度コンサルティング会社を選ぶ際は、サポート体制の充実度を確認してください。
具体的には電話やメールでの問い合わせ対応、トラブル発生時の迅速な対応ができるかどうかをよく見極めましょう。対面でのサポートを希望する場合には営業所の住所も確認しておきましょう。
サポート体制が十分に整っているかを見極めるためには、実際に担当コンサルタントと面談を行い、具体的なサポート内容や緊急時の対応フローについて詳細に協議しておくことが重要です。
賃金制度コンサルティング会社に依頼するメリット
報酬制度の専門家に依頼することで得られる利点は、大きく分けて2つあります。これから順を追って詳しく解説していきます。
自社にノウハウがなくても賃金制度を整備できる
賃金制度コンサルティング会社に依頼するメリットは、自社に専門的な知識や経験がなくても、実効性の高い賃金制度を構築できる点にあります。
コンサルタントは報酬制度の設計から運用に至るまで精通したプロフェッショナル集団であり、様々な業種や企業規模における豊富な導入実績とノウハウを保有しています。
一方で多くの企業においては、日々の業務対応に追われている人事部門の担当者が、十分な専門知識を持たない状態で制度構築を担当せざるを得ない状況が珍しくありません。
専門知識を持った賃金制度コンサルティング会社を活用することによって、社内のみで取り組む場合に起こりやすい無駄な試行錯誤を削減できます。
人事トレンドを反映した制度設計ができる
賃金制度コンサルティング会社に依頼するメリットの2つ目は、人事トレンドを反映した制度設計が可能になることです。
社内のリソースのみで制度を構築しようとする場合、これまでの慣習や現在在籍している社員間の給与バランスを優先する傾向が強くなりがちです。これに対して専門のコンサルティング企業では、業界における最新動向を的確に把握しています。
例えば近年注目されているジョブ型雇用や成果に連動した評価制度の要素を給与に組み入れたい場合にも、相談に応じてもらえるでしょう。
変化する人事トレンドを自社に取り入れていきたいと考えている場合には、コンサルティング会社に依頼することをおすすめします。
賃金制度コンサルティング会社に依頼するデメリット
賃金制度コンサルティング会社に依頼する際には、デメリットも生じます。ここでは、主なデメリットを解説します。
自社に最適なコンサルティング会社の選定が難しい
賃金制度コンサルティング会社への依頼におけるデメリットの一つは、数多く存在する選択肢の中から、自社の状況や要望に真に適した依頼先を見極めることが容易ではないという点です。
賃金制度コンサルティングといっても、各社が得意とする領域、支援手法、対象とする企業規模や業種が大きく異なります。
そのため賃金制度コンサルティング会社の表面的なサービス説明だけでは内容の違いが分かりにくく、依頼後にミスマッチが生じる可能性も否定できません。
コンサルタントを選ぶためには賃金制度の知識があるという点だけでなく、自社と同じ業界や規模での成功事例があるかを確認することが大切です。
高額な費用が必要になる可能性がある
賃金制度コンサルティングは高度な専門知識を要し、企業ごとの実情に合わせた制度設計を行うため、費用が高額になるケースがあります。
賃金制度の見直しには企業の事業特性や組織規模を深く理解したうえで、給与体系や評価基準といった複数の要素を統合的に設計する労力がかかります。多くの時間と工数がかかるため、コンサルティング費用が高額になることが一般的です。
コストを抑えたい場合は何をどこまで委託するのか、社内で対応できる部分はないかを精査することが求められます。また複数社から見積もりを取ることで、適正価格を判断することが重要です。
賃金制度コンサルティング会社に関するQ&A
ここでは、賃金制度コンサルティング会社に関するQ&Aを紹介します。
等級制度と賃金制度と評価制度の違いは何ですか？
等級制度、賃金制度、評価制度は、企業の人事制度を構成する重要な要素であり、社員の処遇や成長を支える基盤となります。
それぞれの違いは、以下のとおりです。
- 等級制度：社員を「能力」「職種」「階層」「役割」などの基準で分類し序列を設ける仕組み
- 賃金制度：等級や役割に応じて基本給や手当、賞与の算定方法を定める制度
- 評価制度：一定の期間において社員がどのような業務に取り組みどのような成果を上げたかを評価する仕組み
例えば、等級制度で「主任」という役割を定義し、その等級に対応した賃金水準を賃金制度で設定します。評価制度では半年ごとに業績をレビューし、成果の高い社員を等級昇格や賃金アップにつなげます。
中小企業にも人事制度コンサルティング会社は必要か
中小企業であっても、人事制度コンサルティング会社の支援は有効です。中小企業は、限られたリソースの中で、優秀な人材の確保と定着を競争上の大きな課題としています。
ただし、自社だけでこれを一から構築しようとすると、公平性や法令遵守の観点が不足し、社員の不満や離職リスクが高まります。
一方でコンサルティング会社は人事制度の専門性と経験を豊富に有しており、企業の状況に合わせた現場で機能する実践的な仕組みの提案が期待できます。
さらに多様な企業の制度設計や精査に関わってきたコンサルタントであれば、他社の成功・失敗事例を踏まえ、実効性のある仕組みの提案が期待できるでしょう。
賃金制度コンサルティングにはどのくらいの期間が必要ですか？
賃金制度コンサルティングに必要な期間は、コンサルティング会社や支援内容によって大きく異なります。賃金制度の構築や見直しは、単なる給与テーブル作成だけでなく、全体の人事設計と連動します。
その結果、賃金制度コンサルティングに一定の期間を確保する必要が出てくる企業が多く見られます。
例えば、株式会社タナベコンサルティングの賃金制度設計・構築サービスでは、評価制度と合わせて賃金制度を設計・構築するプロジェクトを標準で6か月間※のコンサルティング期間で進めます。
ただし企業の規模や業種、導入目的によっては、さらに長期にわたる支援が必要となる場合もあるでしょう。
賃金制度コンサルティング会社のまとめ
この記事では、賃金制度コンサルティング会社について紹介しました。賃金制度は定期的に見直し、社内外の環境変化に柔軟に対応させることが重要です。
ただし、十分な知識がないまま自社だけで賃金制度を見直すことは容易ではありません。どのように制度を見直すと良いか分からない場合にも、賃金制度コンサルティング会社に依頼するとよいでしょう。
今回紹介した賃金制度コンサルティング会社の中に気になる企業があれば、まずは相談してみるとよいでしょう。
