近年、災害やサイバー攻撃のリスクが高まり、BCPの重要性が増しています。しかし「何から手をつければよいか分からない」「通常業務が忙しく策定まで手が回らない」と悩む方も多いのではないでしょうか。
そんな時に頼りになるのが、専門家の知見を活用できるBCPコンサルティング会社です。本記事では、BCPコンサルティングの具体的な支援内容や費用相場、選ぶ際のポイント、そして実績豊富なBCPコンサルティング会社を厳選して紹介します。記事を読むことで、自社の課題や予算に合った最適なパートナーを見つけられるでしょう。ぜひ参考にしてください。
BCPコンサルティングとは?

BCPコンサルティングとは、企業が自然災害や大事故に遭遇した際に、重要な事業を中断させない、復旧させるための計画策定と運用を支援するサービスです。感染症によるパンデミックやサイバー攻撃といった緊急事態に対しても、BCPコンサルティングは対応します。
「BCPの必要性は理解しているが、何から手をつければよいか分からない」「自社のリソースだけでは実効性のある計画が作れない」といった課題を多くの企業担当者が持っています。BCPコンサルティングは、こうした課題に対し、現状分析から計画策定、訓練、見直しまで、専門的な知見に基づいたアドバイスと実務サポートを提供します。
そもそもBCPとは
BCPとは「BusinessContinuityPlan」の略語で、日本語では事業継続計画と訳されます。これは、企業がテロや災害、システム障害、不祥事、感染症の流行などの緊急事態に見舞われた際に、中核となる事業を継続、あるいは早期に復旧させるための計画のことです。
重要なのは、計画を作って終わりではない点です。策定したBCPが実際の危機発生時に機能するよう、定期的な教育や訓練を実施し、組織体制や事業内容の変化、新たなリスクの出現などに合わせて継続的に見直しを行っていく事業継続マネジメントが求められます。
BCPが必要な理由
BCPが必要な最大の理由は、企業の存続と社会的責任を果たすためです。緊急事態が発生し、事業が長期間停止すると、売上の逸失だけではなく、顧客や取引先からの信頼を失うことにつながりかねません。最悪の場合、廃業に追い込まれる可能性もあるでしょう。
BCPを策定しておくことで、非常時にも優先すべき業務を明確にし、迅速な復旧が可能です。これにより、顧客離れを防ぎ、取引先とのサプライチェーン維持に貢献します。また、従業員とその家族の安全を守るという観点も重要です。近年では、取引先からBCP策定状況を問われるケースも増えており、BCPの有無が企業の信用力や競争力を左右する要素となっています。
BCPコンサルティングの支援内容

BCPコンサルティング会社は自社だけでは難しい専門的な分析や、客観的な視点での体制構築をサポートしてくれるのが特徴です。主な支援内容は以下の通りです。
ヒアリングをもとに現状分析
BCPコンサルティングの最初のステップは、現状の把握です。コンサルタントが経営層や各部門の担当者様にヒアリングを行い「どの業務が止まると最も影響が大きいか」「現在どのようなリスク対策を行っているか」といった情報を収集します。
同時に、オフィスの立地や設備、ITインフラ、サプライチェーンの状況なども調査・分析します。これにより、自社では気づきにくい潜在的なリスクや脆弱性を洗い出すことが可能です。リスク分析と、停止した場合の影響度を測るビジネスインパクト分析の結果に基づき、企業の実情に合ったBCP策定の土台を築きます。
事業内容に基づいた方針の検討・体制整備
現状分析で洗い出されたリスクや事業の優先度に基づき、BCPの基本方針を定めます。これは「災害発生後、主要製品の供給を〇日以内に再開する」といった、企業としての目標や姿勢を明確にするものです。これは、経営層のコミットメントが不可欠なプロセスです。
方針が決定したら、それを実行するための体制整備を行います。緊急時に誰が指揮を執り「どの部門が何を担当するのか」「情報共有はどのように行うのか」といった、非常時の組織体制を構築します。コンサルタントは、他社事例や専門的知見を基に、実効性のある方針策定と体制づくりを支援することが支援内容です。
BCP策定支援
基本方針と体制が固まったら、次は具体的なBCPの策定に入ります。現状分析やビジネスインパクト分析の結果を踏まえ、緊急事態発生時の対応手順を時系列で具体的に文書化していきます。
以下の想定されるシナリオごとに、詳細なアクションプランを定めます。
- 発災直後の初動対応
- 従業員の安否確認手順
- 代替拠点での業務再開プロセス
- 主要取引先への連絡方法
コンサルタントは、机上の空論にならないよう、企業の業務実態に即した、具体的で分かりやすい計画書の作成をサポートします。
社内教育・訓練の支援
BCPは「策定して終わり」ではありません。従業員一人ひとりがその内容を理解し、緊急時に計画通りに行動できて初めて意味を持ちます。そのため、全社的な教育と、定期的な訓練が必要です。
コンサルティング会社は、BCPの内容を社内に浸透させるための説明会や研修の実施を支援します。また、シミュレーションや、より実践的な総合訓練の企画・運営もサポートします。訓練を通じて計画の不備や課題を洗い出し、BCPをより実効性の高いものへとブラッシュアップしていくことが重要です。
継続的な運用の支援
BCPは一度策定したら終わりではなく、継続的に見直し、改善していく必要があります。企業の事業内容や組織体制、取り巻くリスク環境は常に変化するためです。
多くのコンサルティング会社では、BCP策定後の運用支援も提供しています。例えば、定期的な訓練の結果や、組織変更、新たなリスクの出現を踏まえて、BCPの見直しをサポートします。また、BCPの国際規格であるISO22301の認証取得支援など、BCPを企業の文化として定着させるための継続的なパートナーとして支援を受けられる場合もあります。
おすすめのBCPコンサルティング会社5社

ここでは、実績豊富で信頼できるおすすめのBCPコンサルティング会社を紹介します。
セコムトラストシステムズ株式会社

- 初動対応と事業復旧の両輪をサポート
- サイバー攻撃を含む多様なリスクに対応
- 幅広い業種・業態への豊富な支援実績
セコムトラストシステムズ株式会社は、警備・セキュリティサービスで国内最大手のセコム株式会社において、情報セキュリティと大規模災害対策の分野を担う企業です。同社の事業継続計画(BCP)策定支援サービスは自然災害だけが対象ではありません。サイバー攻撃や感染症パンデミックなど、企業が直面する多様なリスクをカバーできる点が大きな強みです。
支援の核となるのは、初動対応マニュアルと事業継続計画の策定です。初動対応マニュアルは、全従業員が緊急時に迷わず行動できるように支援します。事業継続計画は、中核事業を最短で復旧させるためのものです。専門コンサルタントが現状のリスクを徹底的に分析し、経営資源の復旧手順を具体化します。
金融から製造、医療まで幅広い業種での豊富な支援実績があり、各業界特有の課題にも精通した実効性の高いBCP構築を実現できるでしょう。
| セコムトラストシステムズ株式会社の基本情報 | |
|---|---|
| 会社名 | セコムトラストシステムズ株式会社 |
| 設立 | 1985年8月 |
| 本社所在地 | 東京都新宿区富久町10-5 NMF新宿EASTビル |
| 公式サイト | https://www.secomtrust.net/ |
ニュートン・コンサルティング株式会社
- 2,100社以上※の圧倒的な支援実績
- 「演習」を主軸とした実践的なBCP
- オールハザード対応と幅広い支援領域
ニュートン・コンサルティング株式会社は、リスクマネジメントとBCPの分野において、国内トップクラスの実績を誇る専門コンサルティングファームです。同社の最大の特徴は、地震やサイバー攻撃といった特定の原因に依存せず、あらゆる危機に対して柔軟に対応できる「オールハザード型BCP」の構築を支援している点です。
単に分厚いマニュアルを作成して終わりにするのではなく、経営層と現場社員が主体となって取り組む独自のニュートン流BCPを提唱しているのが大きな特徴といえるでしょう。豊富なノウハウに基づく実践的な演習を重視し、PDCAサイクルを回すことで、有事の際に本当に機能する対応能力の習得を目指します。
支援実績は2,100社※を超え、現状分析から構築、教育、ISO認証取得、さらにはAI活用まで、企業の事業継続に関するあらゆるニーズにワンストップで応えます。
| ニュートン・コンサルティング株式会社の基本情報 | |
|---|---|
| 会社名 | ニュートン・コンサルティング株式会社 |
| 設立 | 東京都千代田区麹町1-7 相互半蔵門ビルディング5F |
| 本社所在地 | 2006年11月 |
| 公式サイト | https://www.newton-consulting.co.jp/ |
SOMPOリスクマネジメント株式会社
- 既存BCPの弱点を洗い出す「第三者レビュー」
- 対外的な説明力を高める視点
- 経営視点でのBCPへとレベルアップさせるサポート
SOMPOリスクマネジメント株式会社は、損害保険事業で培った膨大なデータとノウハウを持つSOMPOホールディングス株式会社のコンサルティングファームです。BCP策定支援はもちろん、特に評価されているのが、既存のBCPをプロの目で診断するBCPレビューサービスです。
「自社で策定したが内容に不安がある」「いつの間にか防災マニュアルになってしまっている」といった企業の悩みに応え、専門コンサルタントが第三者視点で客観的に評価します。単なる文書の整合性チェックにとどまらず、「その前提条件で本当に事業は復旧できるか」「顧客に説明できる内容か」といった対外的な観点からの鋭い分析に定評があります。
大手上場企業から中堅企業まで、自社のBCPを「作っただけ」の状態から「有事に機能し、信用を守れる計画」へとブラッシュアップしたい企業に最適です。
| SOMPOリスクマネジメント株式会社の基本情報 | |
|---|---|
| 会社名 | SOMPOリスクマネジメント株式会社 |
| 設立 | 1997年1月19日 |
| 本社所在地 | 東京都新宿区西新宿一丁目24番1号 エステック情報ビル27階 |
| 公式サイト | https://www.sompo-rc.co.jp/ |
ビーウィズ株式会社

- BPO活用によるリスク分散
- テレワーク・DXツールによるBCP実現
- 危機管理全体を網羅する包括的支援
ビーウィズ株式会社は、コンタクトセンター運営やBPO事業で培った豊富な実務ノウハウを活かし、実践的なBCPコンサルティングを提供しています。同社の最大の特徴は、単なる計画策定にとどまらず、BPOやデジタルツールを活用した具体的なソリューションまで踏み込んで提案できる点です。
自社開発のクラウド型PBXやセキュリティツールの導入支援を通じ、強固なテレワーク・在宅勤務体制を構築します。また、自社リソースだけではなくBPOを活用した複数拠点体制やBCPセンターの構築を提案し、災害時の業務停止リスクを物理的に回避・軽減するのも大きな特徴です。
初動対応から事業継続、完全復旧まで、企業の危機管理全体を連動させた計画策定を行い、実効性の高い体制作りにも定評があります。「テレワーク化を進めてBCPを強化したい」「バックオフィス業務のリスクを分散させたい」という企業にとって、計画と実行の両面からサポートしてくれる頼れるパートナーといえるでしょう。
| ビーウィズ株式会社の基本情報 | |
|---|---|
| 会社名 | ビーウィズ株式会社 |
| 設立 | 東京都新宿区西新宿3-7-1 新宿パークタワーN棟32F |
| 本社所在地 | 2000年5月12日 |
| 公式サイト | https://www.bewith.net/ |
日本能率協会コンサルティング

- サステナビリティ経営と連動したBCP
- 現場視点でのリスク可視化とサプライチェーン対策
- 「人」を育てる実践的なBCM教育
日本能率協会コンサルティングは、日本の経営コンサルティングのパイオニアとして現場改善から経営戦略までを支援する総合コンサルティングファームです。同社のBCPコンサルティングは、単なる防災マニュアルの作成にとどまらず、サステナビリティ経営の観点から、企業の事業継続力そのものを強化する経営戦略としてのアプローチが特徴です。
独自のリスクマップを用いて、自然災害から地政学リスク、サプライチェーンの寸断まで、自社が直面するリスクを客観的に可視化・評価します。特に製造業の現場改善で培った豊富なノウハウを活かし、複雑なサプライチェーンのリスク分析や、現場の実情に即した復旧手順の策定が得意です。
また、計画を作って終わりではなく、その後の運用を重視している点もポイントです。経営層から現場担当者、取引先までを対象とした階層別の教育・訓練プログラムを提供し、組織全体のリスク対応力を底上げする人材育成を重視しています。
| 日本能率協会コンサルティングの基本情報 | |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社日本能率協会コンサルティング |
| 設立 | 1980年4月1日 |
| 本社所在地 | 東京都港区芝公園3-1-22 日本能率協会ビル7階 |
| 公式サイト | https://www.jmac.co.jp/ |
BCPコンサルティング会社を選ぶポイント

自社に最適なBCPコンサルティング会社を選ぶためには、いくつかの重要なポイントがあります。単に知名度や費用だけで決めるのではなく、以下の点を総合的に比較検討することが、実効性のあるBCP策定の成功につながります。
実績や専門資格などの信頼性
まず確認すべきは、コンサルティング会社の実績です。BCP策定支援の実績が豊富か、特に自社と近い業種や企業規模での実績があるかを確認しましょう。多くの企業は公式サイトに導入事例を掲載していますので、参考にすると良いでしょう。
また、コンサルタントが事業継続士やCBCI、ISO22301審査員資格といったBCPに関する専門資格を保有しているかも、信頼性を測る一つの指標です。専門知識に基づいた的確なアドバイスが期待できるかを見極めることが重要です。
自社の業種や企業規模に合うか
自社が属する業種の特性や商習慣を深く理解しているコンサルティング会社を選ぶことが、BCPを作るうえで重要です。BCPで想定すべきリスクや優先的に継続すべき事業は、業種によって大きく異なるからです。
例えば、製造業であればサプライチェーンの寸断、情報通信業であればシステムダウン、小売業であれば店舗の被災と物流の停止など、特有のリスクが存在します。
また、大企業向けの高度なBCPを得意とする会社もあれば、中小企業の限られたリソースに合わせたシンプルなBCP策定を支援する会社もあります。自社の規模感に合ったサービスを提供しているか確認することが必要です。
担当者とのやりとりはスムーズか
BCP策定プロジェクトは、コンサルタントと社内の担当者が緊密に連携しながら進める必要があります。そのため、担当コンサルタントとの相性や、コミュニケーションの取りやすさも非常に重要な選定ポイントです。
提案時の説明は分かりやすいか、こちらの質問や要望に対するレスポンスは迅速かつ的確か、専門用語ばかりで話が通じにくいことはないか、といった点を確認しましょう。BCP策定は数ヶ月にわたることもあるため、信頼関係を築き、「この人と一緒にプロジェクトを進めたい」と思えるパートナーを選ぶことが成功のポイントです。
対応範囲と費用は適正か
コンサルティング会社によって、支援してくれる対応範囲は異なります。「BCPの計画書作成まで」なのか、「その後の訓練や見直しの運用支援まで」含まれるのかを明確にしましょう。また、安否確認システムや防災備蓄品など、関連ソリューションの導入支援も可能な場合があります。
当然ながら、対応範囲が広がれば費用も高くなります。自社がどこまでの支援を必要としているのかを明確にした上で、複数の会社から見積もりを取りましょう。単に総額の安さだけで比較するのではなく、支払う費用に対して得られる支援内容が適正であるかをしっかりと見極めることが大切です。
BCPコンサルティングの費用はどれくらい?

BCPコンサルティングの費用は、企業の規模やコンサルティング会社に依頼する支援範囲によって大きく変動するのが特徴です。一般的な目安は、中小企業で200万円~800万円程度、中堅企業以上になると500万円~2,000万円程度です。
以下、料金体系を公開している企業の一例として、シンプルBCP研究所のプランを紹介します。
| プラン名 | 対象 | 料金(税抜) | 打ち合わせ回数(目安) |
|---|---|---|---|
| Aプラン | 小規模事業者 | 80万円~ | 5回~ |
| Bプラン | 中小企業者 | 150万円~ | 8回~ |
| Cプラン | 中堅企業 | 250万円~ | 10回~ |
このように、企業規模に応じたプランが用意されている場合もあります。まずは自社の予算感を持ちつつ、複数の会社に見積もりを依頼し、サービス内容と費用を比較検討しましょう。
BCPコンサルティング会社利用のメリット

BCPコンサルタントの利用は、ノウハウやリソースが不足しがちな中小企業にとっては、強力なサポートとなるでしょう。主なメリットは以下の通りです。
専門家の視点でリスク分析してもらえる
BCPコンサルティングを利用する最大のメリットの一つは、専門家の客観的な視点を得られることです。自社だけでリスクを洗い出すと、どうしても自社が認識している範囲内のリスクや、過去に経験したことのある災害などに偏りがちです。
BCPの専門家は、多様な業種・企業の事例や、サイバー攻撃、地政学リスクといった最新の脅威に関する知見を持っています。そのため、自社では気づかなかった潜在的なリスクや、業界特有の脆弱性を的確に指摘してもらえるでしょう。この客観的なリスク分析が、実効性の高いBCPの土台となります。
自社にノウハウがなくても短期間で作成可能
BCPコンサルティング会社を活用することで自社にノウハウがなくても短期間でBCPの策定が可能です。BCP策定には、ビジネスインパクト分析やリスク評価など、専門的な知識や手順フレームワークが必要です。
コンサルティング会社は、これらBCP策定の型を熟知しています。確立された手法に沿ってプロジェクトを主導してくれるため、自社にノウハウがなくても、効率的にBCP策定を進めることが可能です。結果として、自社だけで手探りで進めるよりも、大幅に短い期間で質の高いBCPを完成させることができるでしょう。
自社のリソースが少なくて済む
BCPコンサルティング会社に依頼することで、自社のリソースを抑えながらプロジェクトを進めることが可能です。BCP策定プロジェクトは、通常業務と並行して進める必要があります。特に中小企業では、総務や情報システムの担当者が兼任でBCP担当となるケースも多く、「他の業務が忙しくて、BCP策定が後回しになってしまう」という事態に陥りがちです。
BCPコンサルタントに、プロジェクトの進行管理や資料作成、各部門との調整、議事録作成といった煩雑な実務作業の多くを任せることが可能です。これにより、社内担当者の負担を大幅に削減でき、担当者はより重要な判断や社内調整に集中することができます。
最新の動向に対応できる
BCPコンサルティング会社の知見を活用することで、自社のBCPを常に最新の脅威や規制に対応することが可能です。企業を取り巻くリスクは、時代とともに変化・多様化しています。従来の自然災害対策だけではなく、近年はサイバー攻撃の脅威や感染症のパンデミックなど、企業は新たなリスクへの対応が必要です。
また、BCPに関する国際規格(ISO22301)や、政府・業界団体のガイドラインも更新されていきます。BCPの専門家であるコンサルタントに依頼することで、自社のBCPが陳腐化することを防止できるでしょう。
BCPコンサルティング会社利用のデメリット

多くのメリットがある一方、BCPコンサルティングの利用にはいくつかのデメリットや注意点も存在します。ここでは、主なデメリットを解説します。
コストが高額になる可能性
最も分かりやすいデメリットは、費用がかかることです。先に述べたように、BCPコンサルティングの費用は、企業の規模や依頼範囲によっては数百万円から数千万円に上ることもあります。特にリソースの限られる中小企業にとっては、初期コストが大きな負担となり、導入のハードルとなるケースも少なくありません。
ただし、これは投資でもあります。万が一、大災害などで事業が長期間停止した場合の逸失利益や、信用の失墜といった損害額を考えれば、BCP策定コストは将来のリスクに備えるための必要経費ともいえるでしょう。
ある程度の期間と社内リソースは必要
BCPコンサルティング会社を利用しても、ある程度の期間と社内リソースは必要です。「コンサルに任せれば、自社は何もしなくていい」というわけではありません。コンサルタントはあくまで支援者であり、BCPを策定し、運用する主体はあくまでも企業自身です。
コンサルタントからのヒアリングへの対応、社内データの提供、各部門との調整、経営層による意思決定など、社内で行うべき作業は必ず発生します。企業規模が大きければ、それだけ調整に時間もかかるでしょう。一般的に、BCP策定には最低でも2ヶ月~半年程度の期間が必要です。主体的にプロジェクトに関わる姿勢と、そのための社内リソース確保が必要です。
BCPコンサルティング導入事例

ここでは、ニュートン・コンサルティング株式会社が支援した事例を紹介します。自社の状況と照らし合わせながら、コンサルティング活用のイメージを掴んでみてください。
導入事例①大手菓子メーカーのBCM/BCP改善・再構築支援
| 支援先企業 | 株式会社ロッテ |
|---|---|
| 支援内容 | グループ全体のBCM再構築 定着化支援 |
| 支援期間 | 約4年 |
| 導入コンサル | ニュートン・コンサルティング株式会社 |
こちらの事例では、東日本大震災を契機に、既存のBCPが想定外の事態に対応しきれないという課題に対し、ゼロベースでの見直しと再構築を行っています。
特に、現場から経営層までを巻き込む対面でのワークショップ型コンサルティングが重視され、役員が参加する本社緊急対策本部訓練も複数回実施されました。ニュートン・コンサルティングの的確なファシリテーションにより、BCP活動が全社に「当たり前のこと」として浸透し、事業継続力の向上につながりました。
導入事例②大手総合ベアリングメーカーの事例
| 支援先企業 | 日本精工株式会社 |
|---|---|
| 支援内容 | グローバルサプライチェーンにおける リスク管理体制の構築支援 |
| 支援期間 | 1年3カ月 |
| 導入コンサル | ニュートン・コンサルティング株式会社 |
大手総合ベアリングメーカーの事例では、長年のBCP活動の妥当性を検証し、全社の事業継続力の強化を目指して約1年半の3段階で実施されました。
第1段階で課題を洗い出し、第2段階でトップダウンの統一方針を策定します。特に復旧目標の起点をインフラ復旧後に再定義しました。従来の事象別BCPから多様なリスクに対応するリソースベースBCPへ転換を図り、現場と具体的な復旧対策を策定しています。
導入事例③大手IT企業のBCP訓練支援
| 支援先企業 | 株式会社インターネットイニシアティブ |
|---|---|
| 支援内容 | 首都直下地震を想定した 全社対策本部シミュレーション訓練の支援 |
| 支援期間 | 約10年 |
| 導入コンサル | ニュートン・コンサルティング株式会社 |
こちらの事例では、社会インフラを担う企業として、大規模災害時でもサービスを維持・復旧させるため、極めて実践的なシミュレーション訓練を実施しました。
シナリオを事前に知らせないブラインド型の訓練を採用し、次々と飛び込んでくる被害情報に対して、経営層や各部門長がリアルタイムで判断を下すプロセスを検証しました。この訓練により、連絡手段の不備や連携の課題といった「机上の計画だけでは見えなかった弱点」を浮き彫りにし、より実戦的なマニュアルへの改善につなげています。
BCPコンサルティング会社に関するQ&A

BCPコンサルティングの導入において寄せられる質問について、Q&A形式で回答します。
BCPとBCMは違う?
BCPとBCMは、似ていますが異なる概念です。BCPは、緊急事態が発生した際に、事業を継続・復旧させるための具体的な計画書や手順書を指します。一方、BCMは、BCPを策定し、さらに策定した計画が確実に機能するように、運用していくための経営管理手法です。継続的な活動のプロセス全体を指します。
BCMには、BCPの策定や社内教育、訓練の実施、定期的な見直し・改善といったPDCAサイクルを回していく活動が含まれます。BCPは計画、BCMは管理・運用と覚えると分かりやすいでしょう。
BCPが普及しない理由は何ですか?
BCPの重要性は認識されつつも、特に中小企業では策定が進んでいない現状があります。主な要因として、日々の業務に追われ担当者や時間を確保できないリソース不足や、何から手をつけるべきか分からないノウハウの欠如が挙げられます。加えて、対策にかかるコストへの懸念や、売上に直結しない投資に対する経営層の優先順位の低さも大きな障壁です。
さらに、「自社は大丈夫だろう」と災害を他人事と捉える意識も根強く残っています。このように社内だけでは解消しきれない課題が多いため、外部の専門知見を活用し、効率的に計画を策定できるコンサルティングサービスの利用が有効な解決策となります。
中小企業でもBCPは必要ですか?
中小企業こそBCPが必要です。大企業に比べて経営資源が限られている中小企業は、一度の大きな被災で事業停止に追い込まれると、そのまま廃業に至ってしまうリスクが大企業よりも高いといえます。
また、中小企業は地域の経済や雇用を支える重要な存在であると同時に、大企業のサプライチェーンの重要な一部を担っているケースも多々あります。自社が被災して部品供給が止まれば、取引先の大企業の生産ラインも止めてしまい、取引停止につながる恐れもあるでしょう。
顧客や取引先、従業員を守り、自社の事業を存続させるために、企業規模にかかわらずBCP策定は重要な経営課題です。
おすすめのBCPコンサルティング会社まとめ

本記事では、BCPコンサルティング会社の支援内容や費用、メリット・デメリット、そしておすすめのコンサルティング会社について解説しました。自然災害やサイバー攻撃など、企業を取り巻くリスクが多様化・深刻化する現代において、BCPの策定は待ったなしの経営課題です。
自社だけで策定が難しいと感じている場合は、ぜひ専門家であるBCPコンサルティング会社の力を借りることを検討してみてください。




