自動車のIoT化が進み、サイバー攻撃のリスクも増加する昨今、ISO21434の認証取得は自動車製造関連企業にとって自社のサイバーセキュリティ体制強化と信頼性向上に不可欠です。
ISO21434の認証取得を検討する際、コンサル導入は、非常に効率的な方法です。ただし、ISO21434取得に強いコンサルティング会社といっても、自社製品との相性も見極める必要があります。
本記事では、ISO21434取得に強いコンサルティング会社おすすめを厳選して紹介します。また、費用や選び方のポイントに関しても、メリット・デメリットを踏まえて詳しく解説します。ISO21434のスムーズな認証取得に、ぜひ役立ててください。
ISO21434とは?

ISO21434は、自動車のサイバーセキュリティに関連する国際規格です。自動車の高度な電子化やネットワーク化が進み、ハッキングや不正アクセスといったサイバー攻撃を受ける危険性があります。実際に車両の乗っ取りや情報漏えい、安全性の低下といったリスクも現実化してきました。
自動車業界全体でサイバーセキュリティを体系的に管理する共通基準が求められたことから、国際標準化機構のISOと米国自動車技術会のSAEにより策定されました。
ISO21434(SAE21434)における最大の目的は、自動車の開発から廃棄に至るライフサイクル全体を通して車両のシステムをサイバー攻撃から守り、安全性と信頼性を確保する点にあるでしょう。
自動車サイバーセキュリティ(CSMS)はなぜ重要なのか
自動車の電子化やネット接続で利便性が高まる一方、ハッキングなどの脅威にさらされています。車両やソフトウェアをサイバー攻撃から守る自動車サイバーセキュリティ(CSMS:Cyber Security Management System)は、必要不可欠な仕組みです。
CSMSの重要性を示す証拠として、研究者が走行中の車両への遠隔操作実験※を行っています。結果、エアコンなどの制御やアクセルの加速不能、エンジン停止などが起こりました。
認証プロセスに従って車両開発や生産を行い、実証審査に適合するとCSMS適合証明書が発行されます。CSMS適合証明書の保有は企業にとって、安全かつ信頼性の高いモビリティ環境を保証する証です。
参照元
※NEC通信システム「サイバーセキュリティ(ISO/SAE 21434)」 ※1セキュリティ研究者による実験
ISO21434取得コンサルティングの支援内容

ISO21434認証取得にコンサルティングを導入する際は、受けられる支援内容を理解しておくとよりスムーズです。以下では、ISO21434取得コンサルティングの支援内容として、主な5つを紹介します。
リスクアセスメント・脅威分析支援
ISO21434認証取得時にリスクアセスメントや脅威分析を行わないと、セキュリティリスクを見落とす可能性があります。「安全性と信頼性の低下」「認証取得不可」「取引停止」などの悪影響を及ぼしかねません。
車両開発のライフサイクル全体におけるリスク管理の起点が、コンセプトフェーズです。開発前に対象資産を洗い出し、想定される攻撃や脆弱性を分析してリスク特定と評価を行い、対策方針を明確化する必要があります。
コンセプトフェーズでのリスクアセスメントと脅威分析支援を通じて、無駄のないセキュリティ対策が計画できるようになります。また、「どの資産が、どのような方法で狙われる可能性があるか」が開発初期段階で可視化できるでしょう。
体制構築・プロセス整備支援
ISO21434では、設計から廃車に至る自動車のライフサイクル全体でのサイバーセキュリティ対策が求められます。このため、ISO21434の要求事項に基づいて、企業内部の組織体制や業務プロセスを整備しなければなりません。
体制構築支援としては、ISO21434のルールに則ったサイバーセキュリティ責任者や各部門の役割と権限を定め、社内で運用できるよう設計します。
プロセス整備支援は、リスク評価や開発、インシデント対応などの業務手順を文書化して運用できる形に整えます。コンサルティング会社の支援により、ISO21434認証取得に必要な体制とプロセスが整い、審査での不適合リスクを減らせるようになるでしょう。
技術的対策および設計レビュー支援
ISO21434では、サイバーセキュリティを設計段階から組み込まなければなりません。技術的対策や設計レビュー支援は、早期段階での脆弱性の見落としや要求事項の不適合が回避できるため、認証取得や安全性確保に大きく貢献するでしょう。
技術的対策では、システムや電子制御ユニットのECUに対して、不正アクセスや攻撃を防ぐ具体的なセキュリティ機能を実装します。また、要求事項が設計に正しく反映されているかを確認して改善提案を行うのが、設計レビュー支援です。
2つの支援は認証審査時のエビデンスとして、有効な設計とレビュー記録を残せるようになります。このため、ISO21434認証取得と品質向上が同時に実現するでしょう。
サイバーセキュリティ知識の教育支援
ISO21434では、組織全体でサイバーセキュリティに対応できる知識が求められます。社内の人材に対する教育支援で、サイバーセキュリティリスクへの適切な対策に関する理解と対応力を高めることが可能です。
コンサルティング会社による教育支援としては、以下の内容が一般的です。
- 自動車開発での「品質」「安全」「サイバーセキュリティ」の基準やルール教育
- 規格に沿った開発プロセスや評価・対策の具体的な実践方法の教育
- 「開発プロセス」「プロジェクト管理」「品質保証」「要件仕様書作成」などの教育
また、上記の教育支援によって、ISO21434認証取得や安全性確保がよりスムーズになるでしょう。
認証・監査対応や継続運用の支援
ISO21434では、製品開発後の製品生産や市場で運用する際の要求事項も定義されています。また、認証取得後もサイバーセキュリティのリスクは日々変化するため、継続的に安全性を維持しなければなりません。
コンサルティング会社ではISO21434に基づいて、監査資料作成や審査対応、リスクや対策に関する定期的な見直しを行います。自動車サイバーセキュリティ(CSMS)運用の改善や記録管理によって、リスク管理と対策実施の証拠を確実に残し、認証維持と安全性向上の両立が実現するでしょう。
ISO21434取得に強いおすすめのコンサルティング会社5社

ISO21434取得にコンサル導入時は、自社の課題に合うコンサルティング会社の選択が成果を左右します。以下では、ISO21434取得に強いおすすめのコンサルティング会社を紹介します。
株式会社日立ソリューションズ

- 豊富な技術力とシステムインテグレーション(SI)実績を誇る
- ワンストップでのソリューション提供と総合的な支援力に強み
- ISO21434規格対応および、法規制対応の短期実現が可能
株式会社日立ソリューションズは、IT技術とコンサルティングで企業の課題解決を支援するシステムインテグレーターです。豊富な技術力とSI実績は、日立製作所グループならではの強みといえます。
自動車向けISO21434コンサルティングに関しては、二次部品メーカー(Tier2)、三次部品メーカー(Tier3)への対応に特化したコンサルティングを提供してきました。
ISO21434規格に対応するガイドラインの提供、サポートからカスタマイズまで、クライアントのニーズにマッチしたサービスの選択が可能です。このため、自社の開発実態に最適化かつ効率的なISO21434認証取得が短期間で実現するでしょう。
規格適合が未整備、または整備途中の企業にとって、設計プロセス構築から運用定着まで一気通貫で支援を受けられる点も何よりのメリットです。
| 株式会社日立ソリューションズの基本情報 | ||
|---|---|---|
| 会社名 | 株式会社日立ソリューションズ | |
| 設立 | 1970年9月21日 | |
| 本社所在地 | 東京都品川区東品川四丁目12番7号 | |
| 公式サイト | https://www.hitachi-solutions.co.jp/ | |
日本電気通信システム株式会社(NEC通信システム)
- ISO21434に関する人材育成~プロセス構築、改善・定着、評価支援まで総合的に支援
- 長年にわたり組み込みソフトウェア、車載・ECU開発業務を請け負った実績を誇る
- モビリティや車載領域への早期かつ積極的な取り組み
日本電気通信システム株式会社(NEC通信システム)はNECグループの中でも、通信インフラの構築と運用を支える通信専門会社です。NECの先端技術や製品と連携し、企画から運用・保守までワンストップで対応可能な体制は、何よりの強みといえるでしょう。
ISO21434でも、「人材育成」「プロセス構築」「改善・定着支援」「代行サービス」「アセスメント」といった総合的なコンサルティングメニューを提供しています。
また、長年にわたる組み込みソフトウェア、車載・ECU開発業務での実績を活かした支援を行ってきました。豊富な経験と実績によって、規格の説明にとどまらない開発現場への定着や、実運用化を意識した支援が実現します。
モビリティや車載領域にも早期かつ積極的に取り組んでいるため、サイバーセキュリティ体制を早期に整備したい自動車メーカーや車載機器サプライヤーにおすすめです。
| 日本電気通信システム株式会社(NEC通信システム)の基本情報 | ||
|---|---|---|
| 会社名 | 日本電気通信システム株式会社 | |
| 設立 | 1980年1月 | |
| 本社所在地 | 東京都港区三田1-4-28 三田国際ビル | |
| 公式サイト | https://www.ncos.co.jp/ | |
ニュートン・コンサルティング株式会社
- 自動車関連規制スケジュールを踏まえた効率的な支援を提供
- ISO認証取得支援経験やサイバーセキュリティの知見が豊富なコンサルタントが対応
- 既存のセキュリティ対応の仕組みを活用した柔軟な支援も可能
ニュートン・コンサルティング株式会社は、さまざまなリスクマネジメントに特化したコンサルティング会社です。これまで大手企業や官公庁を含む約2,100社※を超える企業を対象に、「サイバーセキュリティ」「ERM」「BCP」などのリスクマネジメント体制構築を幅広く支援してきました。
在籍するコンサルタントは、いずれもISO認証取得支援を数多くサポートしています。サイバーセキュリティやCSMSやNISTなどのフレームワークにも精通しており、効率的で実効性のあるセキュリティ体制構築が可能です。
また、既に自社内に情報セキュリティやリスク管理、開発プロセスといった仕組みがある場合、不足箇所だけを補いながら規格適合に向けて追加や改善を行う柔軟な支援も魅力といえるでしょう。
既存のセキュリティ体制を活かしつつ、ISO21434準拠の効率的な整備を希望する自動車やモビリティ開発を行う企業におすすめです。
参照元
※ニュートン・コンサルティング株式会社「TISがグループ一丸で追求する、ERM成熟度向上の取り組み」(2025年11月14日時点)
| ニュートン・コンサルティング株式会社の基本情報 | ||
|---|---|---|
| 会社名 | ニュートン・コンサルティング株式会社 | |
| 設立 | 2006年11月 | |
| 本社所在地 | 東京都千代田区麹町1-7 相互半蔵門ビルディング5F | |
| 公式サイト | https://www.newton-consulting.co.jp/ | |
株式会社ゼネテック

- 最新の法規制やプロセスと幅広いソフトウェア開発実績に基づく確かな技術力
- 専門家による包括的かつ高度なサイバーセキュリティコンサルティングを提供
- 車載システム特有の要件やプロセスに精通し、国内の主要自動車メーカーの実績多数
株式会社ゼネテックは製造業や組込みシステムを主軸に、最新の法規制やプロセスと幅広いソフトウェア開発実績に基づく確かな技術力を誇るコンサルティング会社です。
設立以来、ハードウェア+ソフトウェアの融合によって、クライアントのニーズに沿った最適なセキュリティソリューションを提供してきました。
脅威分析から対策立案、実装と評価など、専門家による包括的かつ高度なサイバーセキュリティコンサルティングの一貫提供が可能です。
さらに、車載システム特有の要件や開発プロセスに精通しており、国内の主要自動車メーカーにおける実績が豊富な点もゼネテックならではの強みといえるでしょう。
車載システムや組み込み製品を扱い、セキュリティ体制を規格に沿って体系的な整備を希望する製造企業におすすめできるコンサルティング会社です。
| 株式会社ゼネテックの基本情報 | ||
|---|---|---|
| 会社名 | 株式会社ゼネテック | |
| 設立 | 1985年7月1日 | |
| 本社所在地 | 東京都新宿区西新宿6-5-1 新宿アイランドタワー25F | |
| 公式サイト | https://www.genetec.co.jp/ | |
株式会社QualityCube(クオリティキューブ)
- 自動車開発の全ライフサイクル&サプライチェーン対応の支援体制に強み
- 人材育成、ドキュメント類の監査・修正や体制構築~実際の運用まで一気通貫で支援
- 規格への理解促進と組織の中で実効的に機能する仕組み作りを支援
株式会社QualityCube(クオリティキューブ)は、ソフトウェアや関連業務の品質向上とDX推進を強力にバックアップするコンサルティング会社です。
ISO21434関連の支援では、「セキュリティガイド対策指導」「ドキュメント類の監査・修正」「組織体制構築」「運用設計代行」を一気通貫で提供しています。
単なる製品開発フェーズだけでなく、ライフサイクルとサプライチェーン全体を視野に入れた支援体制も整っています。このため、クライアントはセキュリティリスクを一貫管理でき、ヌケやモレのない安全体制を構築できるでしょう。
また、規格を理解し、社内で運用できる人材育成を視野に入れている点もクオリティキューブならではの強みです。規格準拠だけでなく組織の中で実効的に機能する仕組み作りを支援するため、ISO21434を実務で活かしたい自動車・部品メーカー、開発ベンダーなどにおすすめです。
| 株式会社QualityCube(クオリティキューブ)の基本情報 | ||
|---|---|---|
| 会社名 | 株式会社QualityCube(クオリティキューブ) | |
| 設立 | 2016年12月 | |
| 本社所在地 | 東京都新宿区西新宿2-3-1 新宿モノリスビル 27階A | |
| 公式サイト | https://qualitycube.jp/ | |
ISO21434取得に強いコンサルティング会社を選ぶポイント

コンサルティング会社を活用して、ISO21434認証をより効率良く取得するには、選び方にいくつかのポイントがあります。以下ではISO21434取得に強いコンサルティング会社を選ぶポイントとして、特に重視したい4点を紹介します。
自社製品や企業規模に合った実績があるか
ISO21434の認証取得に強いコンサルティング会社といっても、各社で専門分野や得意領域は異なります。支援範囲も企業規模や状況などに応じて体制構築から監査対応まで一括対応するケースと、リスクアセスメントや文書作成など特定工程のみの特化型などさまざまです。
自社製品や企業規模はもちろん、自社の課題に即した実績のあるコンサルティング会社を選びましょう。過去の支援事例や取引企業の規模、業種を確認し、自社と近い案件実績があるかチェックすることが肝心です。実績のチェックにより、現状に則した効果の高い支援と無駄のない費用提案が受けられます。
支援範囲・費用を明確にしておく
ISO21434認証取得にコンサルティング会社を利用する際、支援範囲と費用は必ず明確にしておきましょう。2点が不明瞭なまま契約をしてしまうと、自社とコンサルティング会社間の認識のズレによって、追加コスト発生の可能性があります。
コンサルティング会社が提供する支援範囲と費用が、自社が希望する業務と予算に見合ったものか、しっかり確認しておくことが肝心です。
たとえば、ISO21434認証取得後も継続して支援を受けたい場合は、「運用支援の内容」「期間」「追加費用の条件」の3点をあらかじめ質問しておきましょう。
複数社の見積もりを比較
ISO21434に限らず、認証取得に関するコンサルティング料金は、各社の公式サイトなどで明示してないことが一般的です。支援範囲や費用体系は、コンサルティング会社によって異なります。
ISO21434の認証取得にコンサルティング会社を活用する際は、必ず複数社へ見積もりを依頼しておきましょう。各社には必ず自社の課題と目的を伝え、同一条件での依頼をすれば、より内容を比較しやすくなります。各社の見積もりを比較することで、自社に最適な内容とコストバランスが見極められるでしょう。
コンサルタントとの相性がよいか確認
自社製品や企業規模における実績が豊富なコンサルティング会社を選んでも、担当コンサルタントとの相性が悪いと認識のズレや適切な提案が受けられない可能性があります。
相性のよいコンサルタントであれば、自社の課題や要望を正確に把握できるため、効率的かつ実践的にISO21434の認証取得を進められるようになるでしょう。
コンサルタントとの相性は、初回の打ち合わせやメール、電話での対応で確認できます。「説明がわかりやすい」「連絡や回答のレスポンスがよい」「自社の課題にマッチした現実的な提案をしてくれる」コンサルタントであれば安心です。
ISO21434取得コンサルティングの費用はどれくらい?

ISO21434認証取得時に必要なコンサルティングの費用は依頼内容によって異なり、具体額を公開するコンサルティング会社もほぼありません。
一般的に言われるISO認証取得コンサルティングの相場なども考慮すると、以下のような金額感が想定できます。
| 最低スタートライン | 約150万円〜 短期支援か小規模、既存体制が自社にある場合 |
|---|---|
| 一般的な支援範囲 | 数百万円/体制構築やサプライチェーン含む 期間:9ヶ月〜1年程度 |
| 維持・運用まで含む場合 | 上記に加え、年間数十万〜数百万円のコスト発生の可能性あり |
一例として株式会社日立ソリューションズのコンサルティング料金を紹介すると、作業期間は約3ヶ月~で、価格は150万円~※です。
ISO21434取得コンサルティング利用のメリット

ISO21434認証取得をスムーズに進めるなら、コンサルティング導入がおすすめです。以下では、ISO21434取得コンサルティング利用のメリット5点を紹介します。
スピーディに認証取得を進められる
ISO21434は、審査に必要な書類を揃えだけでは認証取得には至りません。組織体制の構築やリスクアセスメント、設計および実装、テストといった準拠確保を含めた開発プロセス全体が審査されます。このため、認証取得までにかなりの時間を要するでしょう。
ISO21434での実績が豊富なコンサルティング会社は、要求事項や審査手順に精通しています。審査に必要な体制構築はもちろん、文書作成やレビューを効率良く支援するため、認証取得のプロセスをスピーディーに進めることが可能です。
自社のノウハウ不足を補える
ISO21434の取得認証には、「規格への理解」「リスク評価および設計方法」「プロセス構築」「認証・監査対応」「継続的な運用」など、さまざまなノウハウが必要です。
自社にノウハウやリソースが不足していても、コンサルティング会社を導入することで、ISO21434認証取得に向けた具体的な手順や方法に関する支援が受けられます。
ISO21434認証取得に必要な専門知識や実務経験を、経験に基づいたノウハウで効率良く補える点は、コンサルティング会社ならではの強みといえるでしょう。
サプライチェーン管理まで相談できる
自動車開発におけるサイバーセキュリティ対策に、電子部品供給網であるサプライチェーン管理は必要不可欠です。サプライチェーンの部品やソフトは、多くの開発者やベンダーを経由して自社システムに組み込まれます。
このため、組織的ハッカーによるサイバー攻撃の入口になる可能性があり、安全な部品やソフトの調達および管理がサイバーセキュリティ確保には欠かせません。
コンサルティング会社には自動車サプライチェーンのリスク管理や規格対応の知見があり、実務に即した対策方法にも精通しています。コンサルティング会社へサプライチェーン管理の相談をすることでサイバーリスクを低減し、認証取得を円滑に進められるようになります。
万一のインシデント時もサポートしてもらえる
車両やシステムがサイバー攻撃を受け、セキュリティ上の重大な問題発生によって機能やデータが侵害されるインシデントの可能性はゼロではありません。
インシデントが起こった際は即対応しないと、被害拡大だけでなく、顧客や規制当局からの信頼低下や法的および経済的なリスク増大につながるでしょう。
コンサルティング会社なら、サイバーセキュリティ対応に関する専門知識と豊富な経験があります。インシデントの対応手順や関係者調整の実務ノウハウを備えているため、万一の際も速やかなサポートが可能です。
組織のセキュリティレベルを向上できる
サイバー攻撃リスクは、「設計」「開発」「運用」の全工程に影響します。組織全体でセキュリティレベルの向上に取り組み、適切に対応できないと認証取得や安全性の確保が困難になるため、社内の人材教育は欠かせません。
セキュリティレベルの向上には、ISO21434の規格や起こりうるリスク、取るべき対策に関する知識と実務スキルを役割別に習得する必要があります。
ISO21434に関する最新の規格知識と実践ノウハウが豊富なコンサルティング会社なら、社員の役割に合わせた教育と仕組み作りが可能です。このため、組織全体のセキュリティレベルが体系的に向上できるでしょう。
ISO21434取得コンサルティング利用のデメリット

多くのメリットがもたらされる一方、ISO21434取得コンサルティング利用のデメリットは、以下の2点が挙げられます。
あらかじめ利用時のデメリットを認識しておけば、思わぬトラブルを回避できます。また、より適切な運用も期待できるでしょう。
高額なコストがかかる可能性
ISO21434認証取得には、サイバーセキュリティと自動車開発に精通した専門家が必要です。また、「企画」「設計」「開発」「製造」「運用」など対象範囲が広く、全工程での適用も求められます。
ISO21434認証取得に強いコンサルティング会社には専門性の高い人材が揃い、全ライフサイクルへの対応も可能です。その分、人件費や工数がかさみ、高額なコストがかかる可能性があるでしょう。
コンサルティング利用時のコスト軽減には、主要製品や開発部門といったリスクの高い領域から段階的に導入するとよいでしょう。また、ISO9001やISO27001といった既存のセキュリティ体制を活かすと、重複作業にかかるコストが減るためおすすめです。
社内の対応リソースも必要
ISO21434認証取得時にコンサルティングを活用すると、効率と確実性が向上します。ただし、ISO21434はサイバーセキュリティ計画のプロセスだけでなく、企業文化や体制にも深く関わる規格です。
車両開発やソフトウェア設計などの業務プロセスや設計情報は社内メンバーのみが把握しており、コンサルに丸投げしてしまうと、現場の状況と乖離するリスクがあるでしょう。
最終的なセキュリティリスクの判断や運用設計に関する責任は、あくまで自社にあります。また、ISO21434は認証取得がゴールではありません。継続的な運用を行うためにも、社内担当者の主体的な関与とリソースの確保は必要不可欠です。
ISO21434取得コンサルティングに関するQ&A

ISO21434認証取得にコンサルティング会社を利用する際は、あらかじめ疑問点を解決しておくとよりスムーズです。以下では、ISO21434取得コンサルティングに関するQ&Aとして、代表的な4つの疑問を紹介します。
UN-R155とISO/SAE21434の違いは何ですか?
UN-R155とISO/SAE21434の違いは、以下の通り「目的」「対象」「適用範囲」「法的拘束力」にあります。
| 相違点 | UN-R155 | ISO/SAE21434 |
|---|---|---|
| 目的 | サイバー攻撃リスクの回避と安全性確保 | サイバーセキュリティの体系的な確立と維持 |
| 対象 | 主に自動車メーカー | OEM、サプライヤー |
| 適用範囲 | メーカーのサイバーセキュリティ マネジメント体制 | 車両・各システムのライフサイクル全体 |
| 法的拘束力 | あり:UNECEの傘下組織の 自動車基準調和世界フォーラム(WP29)※が 定めた法的基準に準ずる | なし:国際技術標準に準ずる |
また、両者は相互補完の関係にあり、ISO/SAE21434に従った自動車開発はUN-R155基準を満たします。
ISO21434の認証機関はどこ?
ISO21434の認証機関では、組織が規格を満たしているかを公正かつ中立的な立場で審査し、認証書を発行します。ISO21434の認証機関は複数存在しますが、国内では以下の4つが代表的です。
上記をはじめとする機関の認証を受けた企業であれば、自動車サイバーセキュリティ管理システムの適切な構築と運用を行っている何よりの証拠になるでしょう。
ISO21434の原文日本語訳はどこで入手できる?
ISO21434は、ISOとSAE共同による国際規格のため、世界共通で使えるように基準言語である英語で発行されています。
ISO21434を取得して社内で適切に運用するには、あらかじめ原文の日本語訳を読んで要求内容を正確に理解しておくことが肝心です。
ISO21434の原文日本語訳は、ISO規格関連の公式サイトなどから入手可能です。ただし、ISO規格は著作権保護の対象となるため、無料で原文の日本語訳を公開しているサイトはありません。
ISO21434の原文日本語訳を入手したい場合、日本規格協会グループの公式サイトから購入できます。冊子やPDFから選択可能で、価格は現時点で70,686円(税込み)※です。
参照元
※日本規格協会グループ「規格・書物・物品」 (2025年11月14日時点)
ISO21434関連の代表的な書籍は?
ISO21434認証取得にあたり、書籍の購読を通じて規格の背景や実践的な適用方法を理解しておくと、効果的な運用が実現します。
ISO21434関連の代表的な書籍として、杉山歩氏の著作「自動車サイバーセキュリティ規格 ISO/SAE 21434 規格準拠のポイント徹底解説」が挙げられます。
著者はRTOS開発のPLなどの経験を経て、現在は自動車メーカーや自動車部品メーカーを中心に組み込みセキュリティー導入支援の関連業務を行うエキスパートです。
本書籍ではISO21434の規定と仕様、対応手法が詳細に解説されています。書籍の購読により、ISO21434の要求を実務にどう落とし込むかを理解できるようになるでしょう。
ISO21434取得コンサルティング会社まとめ

今回はISO21434認証取得にコンサル導入を検討する企業経営者や管理職層に向けて、ISO21434取得に強いおすすめのコンサルティング会社紹介のほか、役立つ情報をお届けしました。
成功事例が豊富なコンサルティング会社だけでなく、「自社の企業規模や製品」「コンサルタントとの相性」の見極めが、よりスムーズな認証取得を後押しします。本記事で自社に合ったコンサル会社が見つかったら、まずは問い合わせてみましょう。





