新型コロナウイルスの影響によってテレワークが一般化しつつある現在、オンラインで実施する電子会議を導入する企業も増えてきています。
- そもそも電子会議とはどのような仕組みで行うものなのか分からない
- 何から準備すれば良いのか分からない
- 製品やツールの選び方が分からない
実際に電子会議を自社でも導入しようと考えたとき、このような方も多いのではないでしょうか。
他社でも活用されているからという理由だけでWeb会議システムを選んでしまうと、必ずしも自社の用途にマッチするとは限りません。
そこで今回の記事では、電子会議を導入するにあたって不可欠なWeb会議システムを紹介するとともに、Web会議システムを選ぶ際のポイントについても詳しく解説します。
- 電子会議が注目の理由
- 代表的な電子会議サービス
- 電子会議サービスの選び方
そもそも電子会議とは?
電子会議とはその名の通り、PCやスマートフォン、タブレット端末などを活用してオンライン上で行う会議のことです。
従来の会議といえば、同じ会議室に複数名が集まって対面で実施する方式が当たり前でしたが、電子会議では物理的に離れた拠点にいても、テレビ会議のように遠隔地からリアルタイムでコミュニケーションがとれるため、業務効率化や生産性の向上という面で考えてもメリットは大きいといえるでしょう。
ちなみに、電子会議という名称以外にも、「Web会議」や「オンラインミーティング」と呼ばれることも多く、最近では社内研修もオンライン上で実施する企業が増えてきています。
電子会議が注目されるようになった理由
なぜ最近になって電子会議が注目されるようになったのでしょうか。
細かく掘り下げていくとさまざまな要因が浮かび上がってくるのですが、今回は特に重要なポイントとして2つの点をピックアップしてみました。
働き方改革
昨今、政府主導による働き方改革が叫ばれるようになり、官公庁や大手企業はもちろん、中小企業も積極的に労働環境の改善に取り組みはじめています。
働き方改革は長時間労働の是正やサービス残業の撲滅などにクローズアップされがちですが、本質は業務効率化や生産性の向上であり、それらが実現できて初めて労働時間の削減が期待できるようになります。
電子会議によってオンラインでのコミュニケーションが可能になると、わざわざ遠方から足を運んで顔を合わせての会議や研修に参加する必要がなくなり、移動時間を他の業務に割り当てることも可能になるでしょう。
また、会議への参加者も無駄な移動時間が削減され、より効率的な働き方が実現されるため、従業員のモチベーション維持にも大きなメリットが見込める方法といえます。
新型コロナウイルスによるテレワークの普及
2020年、海外のみならず日本でも猛威をふるった新型コロナウイルスの影響によって、多くの企業はテレワークに移行することとなりました。
会社へ出社して仕事をすることが当たり前であったこれまでの働き方から一変し、自宅で業務を行う新しい働き方が定着しつつあります。
しかし、テレワークは出勤の必要がなく時間を効率的に活用できるメリットがある一方で、従業員同士のコミュニケーションがうまくいかないという新たな課題も出てきました。
メールやチャットというコミュニケーション手段もありますが、あくまでも画面上の活字によるやり取りだけでは相手の表情や感情が分かりづらく、人間関係に軋轢が生じる懸念もあります。
そこで、テレワークの環境下でも相手の表情や感情が伝わる手段として、Web会議システムを活用したコミュニケーションが取り入れられるようになりました。
代表的なWeb会議システム4選
電子会議に対応したWeb会議システムはさまざまなものがありますが、今回はその中でも特に代表的な各サービスを4つ紹介します。
ZOOM
さまざまなメディアでも取り上げられ、Web会議システムのなかでも有名な存在となったのがZOOMです。
ZOOMは米国のZoom Video Communications社が提供しているWeb会議システムで、1対1のミーティングは時間無制限で無料、3名以上のグループミーティングであれば1回あたり40分まで無料で利用できます。
有料プランは「プロ」「ビジネス」「企業」の3タイプが用意されており、コストを一覧で比較すると以下のような違いがあります。
プラン | 基本 | プロ | ビジネス | 企業 |
価格 | 無料 | 20,100円/年/ライセンス | 26,900円/年/ライセンス ※10ライセンスから購入可能 | 27,000円/年/ライセンス ※100ライセンスから購入可能 |
参加人数 | 100名まで ※1対1のミーティングは無料 3名以上の場合は1回あたり40分まで | 100名まで | 300名まで | 500名まで |
ZOOMは企業のWeb会議システム以外にも、友人や知人同士でオンライン飲み会に使用するケースも増えており、もっとも身近なWeb会議システムといえるでしょう。
招待を受けてWeb会議に参加する場合でも、わざわざアカウントを取得する必要もなく、対象のURLをクリックするだけで簡単に参加できるほか、PCやスマートフォンなどデバイスを問わず利用できるのも大きなメリットです。
Cisco Webex Meetings
Cisco Webex Meetingsは、米国のネットワーク機器ベンダーであるシスコシステムズ社が提供しているWeb会議システムです。
1ヶ月あたり1億3,000万人ものアクティブユーザーを誇り、世界でも有数のWeb会議システムといえる存在です。
一部のWeb会議システムではセキュリティの問題が取り沙汰されたことがありましたが、Cisco Webex Meetingsはマルチレイヤセキュリティで極めて強力な暗号化を実現。
機密情報を扱うWeb会議においても安心して活用できます。
また、ZOOMと同様にWeb会議の招待者はアカウントを取得する必要がなく、URLをクリックするだけでPCやスマートフォンからすぐに参加できるのも嬉しいポイントです。
Cisco Webex Meetingsを導入する際の注意点としては、公式サイトでは料金プランが明示されておらず、代理店もしくはシスコシステムズ社へ直接問い合わせる必要があることです。
Microsoft Teams
Microsoft Teamsは、その名の通りマイクロソフト社が提供しているWeb会議システムです。
サービスの位置付けとしては「Office 365」に付随したもので、マイクロソフトアカウントを持っている方であれば無料で利用できます。
同時接続可能な人数は実に10,000人と圧倒的に多く、官公庁や教育機関、大手企業への導入実績も豊富です。
また、他のWeb会議システムと同様、参加者のプライバシーに配慮して背景を自由にカスタマイズする機能も実装されていたり、発言する際には「手を挙げる」ボタンをクリックする機能もあるなど、大人数でもスムーズに会議が進行できるような配慮が見られるシステムです。
Google Meet
Googleには10名までのビデオ通話が可能なGoogleハングアウトというサービスがありますが、さらに大人数でのWeb会議を実施する際にはGoogle Meetがおすすめです。
最大100名までの同時接続が可能で、PCはもちろん、iOSやAndroidに対応した専用アプリもあり、デバイスを問わず外出先からでもWeb会議に参加できます。
また、クラウド上に資料データなどを共有・保存できるストレージも用意されており、保存容量はプランによっても変わります。
Googleハングアウトは友人や知人同士での少人数のコミュニケーションに向いているのに対し、Google Meetはビジネスに特化した用途を想定したサービスといえるでしょう。
Google Meetの料金プランは「Business Starter」「Business Standard」「Business Plus」「Enterprise」があり、それぞれ以下のように設定されています。
プラン | Business Starter | Business Standard | Business Plus | Enterprise |
価格 | 680円/ユーザー | 1,360円/ユーザー | 2,040円/ユーザー | 要問い合わせ |
参加人数 | 100名まで | 150名まで | 250名まで | 250名まで |
クラウドストレージ | 30GB/ユーザー | 2TB/ユーザー | 5TB/ユーザー | 必要に応じて増やせる保存容量 |
Web会議システムの選び方
Web会議システムには上記で紹介した4つのサービス以外にも、さまざまなものが存在します。
しかし、だからこそ選択肢がありすぎて何を基準に選べば良いのか分からない方も多いことでしょう。
そこで、Web会議システムを選ぶ際のポイントをいくつか紹介します。
セキュリティ上の信頼性
友人や知人同士でのコミュニケーションに活用するのとは異なり、Web会議では機密事項など外部に漏れてはいけない情報をやり取りすることも多いものです。
そこで、Web会議システムを選ぶ際にはセキュリティの信頼性がきちんと担保されたものを選ぶ必要があります。
セキュリティ上の信頼性を判断する際には、最低限「暗号化されているか」「会議参加者がパスワードなどを入力して認証できるか」などを確認しておくことが重要です。
誰でも簡単に操作できるか
Web会議システムを導入したは良いものの、操作が複雑で社員が十分に操作・運用できないケースもあります。
そこで、誰でも簡単に操作でき、Web会議システムへ参加できるかを確認しておくことも重要です。
特に招待者がURLを受け取った後、アカウント登録などをすることなくワンクリックで参加できるようなWeb会議システムが理想的といえるでしょう。
また、重要な会議は録画機能が備わったWeb会議システムで運用することで、後から内容を振り返ったり、確認漏れを防いだりすることにもつながります。
映像や音声が途切れずに利用できるか
インターネットの回線のスピードは十分出ているにもかかわらず、参加者が増えてくると映像や音声が途切れてしまったり、音質が悪くなったりするケースもあります。
数名で利用したときには問題がなくても、数十名、数百名が同時にアクセスしたときに通信に問題が顕在化する可能性もあります。
特に大人数での会議や研修を開催する機会が多い企業の担当者は、事前にトライアル環境などで確認しておき、品質の高いWeb会議システムを選ぶようにしましょう。