メールや電話といった既存のコミュニケーションよりも気軽に同僚と連絡出来る「社内SNS」の導入は、大企業やITベンチャーにとどまらず様々な業界で広がっています。
- 本当に生産性は上がる?
- 無駄話が増えるなどデメリットはないの?
- 失敗しないための選び方は?
今回は社内SNS活用のコツと共に、最新ツールをご紹介します!
社内SNSを使う目的
働き方改革やコロナ禍によるテレワークの推進により、メールや電話よりも気軽にコミュニケーションが取れる社内SNSの活用が進んでおり、その利用率は84.6%にものぼっています。
部署やチーム、あるいはプロジェクト単位のチャットグループでの業務連絡やファイル共有など、業務が迅速化する仕掛けがたくさんあります。
加えてセキュリティ権限もしっかりしているので、迅速化を求めてLINEやFacebookといった外部アプリを使っている場合は、むしろ安全性を高められるメリットもあります。
コミュニケーションの促進
社内SNS活用の最大のメリットは、チーム内や部署を超えたコミュニケーションが促進されることです。
たとえばカジュアルに会話をしたい時にメールするのは仰々しく感じたり、とはいえ些細なことで電話をするのは遠慮してしまう場面はないでしょうか。
そんな時に社内SNSであれば、チャットや掲示板などで気軽にコミュニケーションを取ることが出来ます。
定型的な挨拶文や取り次ぎの手間が要らないだけでなく、打合せ中にさっと返信を入れたり、絵文字を使うなどスピーディかつカジュアルな連絡が可能。
そのため、部署や専門性、世代の垣根を越えた会話が生まれやすく、コミュニケーション効率がアップする効果が期待されています。
全ての情報はクラウドで管理されPCやスマホなどどの端末からでも常に最新の状態を確認できるため、連携の齟齬やアップデート不足による業務の漏れも防ぐことも出来ます。
ノウハウ・情報共有の効率化
過去の提案資料や分析結果を共有したり、CRM(顧客関係管理)など顧客情報や案件情報を管理する外部ツールと社内SNSを連携させるのもよくある使い方です。
こうすることで従来は個人やプロジェクトごとに蓄積されていたノウハウが広く共有され、情報がよりスピーディかつ効率的に伝わります。
資料探しで疲弊することが減り、社内の聞くべき相手にアクセスしやすくなるので、生産性向上にも期待できます。
社内SNSの利点をコミュニケーション促進だけだと考えている人が多いのも事実。
しかしわざわざ貴重なリソースを使って導入するのですから、効果的なナレッジマネジメントによる業務効率の向上という実利的なメリットもよく意識しましょう。
失敗しない社内SNSの運用方法
一方、保守的な会社などでは社内SNSがむしろ業務を阻害するという見方も根強く残ります。
そのため他のソフトウェア導入と同様に、社内SNSの運用にあたってもまずは運用方針をクリアにすることが大切です。
SNS疲れ対策のためのルールを決める
まず決めておくべきことは、いわゆるSNS疲れ対策のためのルールです。
FacebookやTwitter、Clubhouseが流行した時もそうであるように、新しいSNSが流行すると付き合い方に慣れるまでは多少のストレスが生じます。
社内のグループウェアや掲示板など、既にたくさんのツールがある上に社内SNSが加わるだけで厄介なのに、チャットは少し放っておくと未読メッセージが何十件も貯まってしまうことも多々あります。
そもそもチャットに慣れていないと、返信しなくてはいけないものが埋もれてしまったり、逆にどれくらいの温度感や言葉遣いで発言すべきか悩ましい場面も出てきます。
SNS疲れのせいで人が離れてしまっては本末転倒なので、事前に以下のような対策をブレストしておくことがおすすめです。
- 多人数が参加するチャットでは、発言ルールをつくる
- 週末は社内SNSを開かない
- 状況に応じてコミュニケーションツールを検討し、社内SNSに依存しない
雑談と業務連絡のバランスを取る
いわずもがな、雑談と必要な業務連絡のバランスも重要です。
雑談から新たなアイデアが生まれたり、雑談で関係者と信頼関係ができ仕事を頼みやすくなるといったメリットはありますが、そこに時間が掛かり業務に差し障りが出ては意味がありません。
あくまで社内SNSは仕事のためのツールだという前提を徹底しましょう。
社内SNS導入の目的が、在宅ワークで減ったカジュアルなコミュニケーションを図るためか、より実利的に顧客や案件情報と紐付けてノウハウ共有がしたいのかでは、その付き合い方も変わってきます。
どちらが100%という訳ではなく、雑談と業務連絡のバランスを意識するようにしましょう。
おすすめの社内SNSツール5選比較一覧表
2010年以降、国内外で様々な社内SNSツールがリリースされています。
評判の良いサービスを厳選したので、ぜひ機能を見極めながら検討してみてください。
無料で使える機能も多いため、色々と試しながら部署や全社での導入を検討するのも一手です。
スクロールできます→
サービス | 特徴 | 無料プラン | アプリ対応 |
---|---|---|---|
Chatwork | 運用実績10年超の代表的なサービスで、導入費用も廉価 | あり | iPhone/Android/ブラウザ |
Slack | 外部連携に強いアメリカ発のサービスで、IT部門に人気 | あり | Phone/Android/ブラウザ |
direct | 「現場」を意識した設計の純国産サービス | あり | iPhone/Android/ブラウザ |
Talknote | 「いい会社を作る」がコンセプトで、社員のモチベ管理に効果 | あり | iPhone/Android/ブラウザ |
Microsoft Teams | Office365とオールインワンで活用可能 | あり | iPhone/Android/ブラウザ |
Chatwork
まず紹介するのは、社内SNSの代表格であるChatwork(チャットワーク)。
ビジネスチャットツールを根幹に、タスク管理やファイル共有、ビデオ通話など豊富な機能でシェアを獲得してきた先駆け的な存在です。
2011年のサービスインから運用実績は既に10年を超え、英語や日本語だけでなく、スペイン語やベトナム語、タイ語へも多言語化され、世界中で利用されています。
赤と黒を基調にしたシンプルな設計で老若男女誰でも使いやすく、導入費用も1人あたり500円/月(税別)と社内SNSツールの中でもお手頃です。
チャットやタスク管理、そして社外のメンバーの追加など社内SNSの代表的な機能は全て網羅されています。
さらにチャット機能は単なるメッセージのやり取りにとどまらず、自分だけのメモやファイル置き場として利用できる「マイチャット」、重要なチャット内容を上部に固定しておく「ピン機能」などオリジナル機能も搭載。
また、チャット機能では「既読機能はむしろ関係を阻害しかねない」という理由で、最近のアプリにはめずらしく既読マークが付かないことも特徴のひとつです。
Slack
Chatwork最大のライバルといわれているのがSlack(スラック)。
Chatworkが日本国内で絶大なシェアを誇るのに対し、グローバルではSlackが優勢とみる動きもあります。
アメリカ発のサービスで、ワークスペースといわれるホーム画面や文字フォント、独自に作成もできる豊富な絵文字など、デザインは全体的にシンプルさよりもおしゃれさや高度さが優先されたつくりです。
よりテクニカルには、Googleドキュメント、Dropbox、GitHubなど外部サービスとの連携に強く、またAPIを利用したアプリ作成機能や、簡単な質問に自動で返答してくれるボットユーザーまで搭載しています。
そのため、日本では特にIT企業や海外とのやり取りが多い事業会社、そしてエンジニアを多く抱える部署からの支持が厚いです。
社内SNSは全社的な導入に限らず、部門ごとでの導入も出来るので、エンジニアの多いIT部門ではSlackの人気が圧倒的という会社もあります。
導入費用は1人あたり960円/月(税別)。
外部連携など最新の開発投資をどんどん行うサービスのため、ほぼ半額で導入できるChatworkと比べると費用はやや割高です。
direct
株式会社L is Bが運営するdirectも、純国産の堅牢なセキュリティ体制が人気で日本国内で2500社の導入実績を誇ります。
社内SNSでは精緻な社内情報や取引先をやり取りし、しかもPCやスマホなど複数のデバイスからログインするので、導入時には情報漏洩リスクが懸念されます。
その点directは開発体制が全て日本にありサポート体制も整っているため、保守的な企業でも安心して利用できます。
基本のチャット機能、通話機能、アンケートやファイル共有・ノート機能は、10名まで無料で利用可能。
オプションとして、手元の端末からモニターに投影する「サイネージ」、設定した時間にPCをロックする「勤務時間管理」などの機能も備えています。
料金体系はカスタマイズ次第で、たとえば「マックスプラン」では基本料金50,000円/月で最大100名まで利用可能です。
日本企業における「現場」にフォーカスした設計で、製造業やゼネコンなどまさに「現場」を持つ業界からの支持が厚いのも特徴。
独自のチャットボット連携により日報作成や発注管理を効率化することができるなど、トップ2社にはない独自の機能が豊富。
まずは直接話を聞いて自社にぴったりの導入方針を提案してもらうのがおすすめです。
Talknote
導入企業は約1000社と大規模ではないながらも、「いい会社を作る」をコンセプトに根強いファンがいるのがTalknote(トークノート)。
単なるコミュニケーションの活性化をはかるだけではなく、Talknoteを「カルチャーマネジメントツール」と位置づけています。
経営理念の浸透や企業文化の醸成、そして仕事に対するモチベーションアップを念頭にサービスを展開しているのが特徴です。
独自の機能には、Talknoteへのアクセス時間や投稿数からメンバーの意欲低下や不調を察知できる「アクションリズム解析」、ログイン時間が極端に長い場合に上長にアラートが送信される「オーバーワーク検知」があります。
そして誰とどれくらいやり取りしたか定量的にわかる「上位メンバーの可視化」など、単なるチャット機能の枠を超えて、コミュニケーションの実態を可視化し、経営を能動的に手助けしてくれるツールです。
また、普段PC作業に慣れ親しんでいない人でも扱えるようにスマホに特化した使いやすい設計になっており、飲食や介護・福祉・医療、美容業界など幅広い業界で採用されています。
Microsoft Teams
最後に紹介するMicrosoft Teamsは、日本マイクロソフトが「Office365でチームワークを実現するためのハブ」として2019年にリリースしたツールです。
現時点では機能の独自性は薄いですが、普段からOffice365やTeamsを利用している会社ならばコミュニケーションツールを一元管理できるメリットがあります。
またOffice365を有料契約している場合は追加料金なく利用できるため、Office365と他の社内SNSツールを併用し二重にコストが発生している場合は、一本化によるコストカットも実現できます。
チャットやファイル管理といった基本的な機能はもちろんのこと、マイクロソフト社のあらゆるサービスとシームレスに連携できるため、メールやカレンダーとの同期もスムーズ。
Teamsでビデオ会議しながらOutlookでメールを開き、同時にSlackのチャットを追い、ファイル共有はGoogle DriveやDropbox、毎朝セットアップだけで時間が掛かる、なんてことはありませんか?
Microsoft Teamsならばこれらの動作を全てひとつのサービス上で可能になので、使い方に慣れてしまえば生産性アップにも効果的です。
コミュニケーション活性化で新しいアイデアが生まれる
ひとくちに社内SNSといっても、ただチャット機能でスピーディかつ気軽に連絡が取れるだけではなく、サービスそれぞれに特徴があり叶えたい目標により選ぶ基準は様々です。
単なるコミュニケーションの促進や情報共有の効率化だけでなく、外部連携による生産性向上や日報作成の簡略化、そしてモチベーション管理まで、使い方次第で新たなアイデアやアウトプット、組織力の向上が見えてきます。
無料で体験できるものも多いので、まずは一度お試しから導入を検討してみてください。