スマホが広く普及し、LINEをはじめとしたチャットアプリが一般的に使われるようになり、今では友人や家族同士で電話番号宛に電話をかける頻度も少なくなりました。
一方、仕事で電話を使わざるを得ない方にとって、通話料金の節約に貢献しているのがIP電話アプリです。
しかし、一口にIP電話アプリといってもさまざまな種類があります。
- 料金が複雑で分かりにくい
- 種類が多すぎて選べない
- そもそも他社と比べて何が違うのか分からない
このように悩みを抱える方も少なくないのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、IP電話アプリの特徴や選び方を中心に詳しく解説します。
ビジネスにもプライベートにも役立つIP電話アプリの導入を検討している方は、ぜひ最後までお読みいただき参考にしてみてください。
IP電話アプリとは
そもそもIP電話アプリとは、インターネット回線を使った電話サービスを提供するためのアプリです。
従来の電話は通話用のアナログ回線を使用するのが一般的ですが、IP電話は電話回線を使用せず、インターネット用のデータ通信回線を活用して通話を行います。
スマートフォンの場合、端末の機能である「電話」を使用すると通話料金が発生しますが、IP電話を利用すればWi-Fiまたは携帯電話ネットワークのデータ通信機能として通話を行うため、通話料金が発生しません。
ただし、IP電話は従来の電話番号は使用できず、その代わりに「050」で始まるIP電話専用の番号が割り当てらることが多いです。
スマートフォンでIP電話を利用する際には、050番号が利用できる専用のIP電話アプリをダウンロードする必要があります。
おすすめのIP電話アプリ
スマートフォンで利用できるIP電話アプリはさまざまなものがあります。
今回はその中から以下のおすすめアプリの概要をご紹介するとともに、それぞれのメリットやデメリットについても詳しく解説します。
03plus
03plusは株式会社グラントンが運営する、スマートフォンから固定電話番号で使えるIP電話アプリサービスです。
サービスの特徴
市外局番入りの番号で使用できるため名刺に記載する際など社会的な信用を得られやすく、使い勝手は携帯電話と同様に利用することができます。
ひとつの電話番号を複数人で使用したり番号の追加も可能で、パーク保留機能を使えばいったん保留の後に他の担当者へ繋ぐことも可能です。
まさに固定電話をスマホ内で持ち歩くようなイメージで使用できます。
料金設定も月額基本料金¥980(基本ID+契約番号)初月基本料0円(0円スタートプランの場合)とリーズナブルで、10分かけ放題などのプランや支払い方法から利用状況に合わせた料金プランを選べます。
基本料金 | <0円スタートプラン(申込みから次25日まで期間の適用)> 初期費用0円 基本料金0円 <基本料金プラン(月払い)> 初期費用5,000 円 基本料金980円/月 <基本料金プラン(年払い)> 初期費用3,800 円 基本料金11,760円/年 |
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国内通話料 | <0円スタートプラン> 初期費用0円 基本料金0円 <基本料金プラン(月払い)> アプリからの発信:20円/30秒 専用IP電話機、宅内機器からの発信:市外局番宛 8円/3分、その他携帯宛など 17.5円/1分 <基本料金プラン(年払い)> アプリからの発信:20円/30秒 専用IP電話機、宅内機器からの発信:市外局番宛 8円/3分、その他携帯宛など 17.5円/1分 |
03plusのメリット
スマートフォンアプリから市外局番の利用が可能なため、外出先や別の拠点からでも固定電話の番号にて発着信することができます。
また、事務所移転の際でも同一市外局番内であれば番号を変える必要がないため、そのまま引き継ぐことができ、クラウド上に共有のWEB電話帳を持てるので、取引先の番号など紛失や消去することもなく利用できます。
FAXについてもクラウドにて利用できるため、機器移動も不要でアプリやPCからの送受信が可能です。
また、03plusアプリを個人のスマートフォンに入れて利用する場合でも、個人の携帯代とは別に業務用の通話料のみを会社が負担する事もできるため、経費処理も簡単にできます。
03plusのデメリット
03plusの唯一のデメリットと考えられるのは、固定電話の代わりとして使用する際には、利用品質がインターネット環境によって左右される点です。
インターネット環境が悪い場所での利用では、繋がりにくかったり通話品質が落ちるといったことが考えられます。
環境が万全であれば全く問題無いため、まずは利用される状況や環境を確認のうえ、利用を検討されることをおすすめします。
https://03plus.net
050plus
050plusは、NTTコミュニケーションズ株式会社が提供するIP電話アプリです。
サービス特徴
050plusは、050から始まる番号にて、ひとつの端末をプライベートとビジネス利用で使い分けることが可能です。
また、使用端末は携帯電話だけでなくタブレット利用も可能であるため、活用の幅も広がります。
提供元は、大手通信会社のNTTグループであるNTTコミュニケーションであるため、初めてIP電話アプリを導入しようとしている人でも安心して利用できるといえるでしょう。
基本料金 | 月額330円(税込) |
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国内通話料 | 050plus同士や提携先は無料 携帯電話:1分 17.6円 固定電話:3分 8.8円 |
050plusのメリット
通常、IP電話アプリであっても海外との通話では通信料が発生するのが一般的です。
しかし、050plusでは海外との通話であっても国内での通話料と同じ金額で利用することができます。
また、050plusがインストールされている端末同士であれば、国内外問わず無料で通話可能であることもメリットであるといえるでしょう。
050plusのデメリット
海外からの通話であっても、050plus同士であれば無料、携帯電話や固定電話宛であっても国内の通話料と同一で使用可能ですが、インターネット回線を使用するため通信容量に注意しなければなりません。
ビシネス利用目的で会社から月額料金や通話料が支払われていても、通信容量は個人で契約しているプランに依存してしまうため、利用の際にはWi-Fiをはじめ通信環境に気を付けるようにしましょう。
https://service.ocn.ne.jp/phone/ip/050plus/
Skype番号
IP電話の先駆け的な存在としても知られ、今なお多くのユーザー数を誇るSkype番号について紹介します。
サービスの特徴
Skype同士であれば無料で通話やビデオチャットが利用できることはおなじみですが、実は専用の050番号をもってIP電話を利用することも可能です。
Skype番号を契約していれば050番号が取得できるため、IP電話として着信することは可能ですが、こちらから発信する際には月額プランまたはSkypeクレジットを購入しなければなりません。
これは発信先の国によっても料金プランは異なり、たとえば日本の場合は発信先と通話時間に応じて月額404円〜2,040円までのプランが用意されています。
基本料金 | <携帯電話と固定電話 300 分間通話> 723円/月 <携帯電話と固定電話 100 分間通話/固定電話 無制限通話> 404円/月 <携帯電話と固定電話 無制限通話> 2,040円/月 |
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国内通話料 | <携帯電話と固定電話 300 分間通話> 3円/分 <携帯電話と固定電話 100 分間通話> 5円/分 <固定電話 無制限通話> 1 か月あたり 2,000 分使用する場合は 0円/分 <携帯電話と固定電話 無制限通話> 1 か月あたり 2,000 分使用する場合は 1円/分 |
海外通話料 | 米国 携帯電話と固定電話宛無制限通話:月額298円 米国およびカナダ:携帯電話と固定電話宛無制限通話:月額723円 |
Skype番号のメリット
Skype番号の最大のメリットは、海外への通話料が極めて安価という点です。
特にアメリカおよび北米を対象としたプランは月額298円〜723円で携帯電話にも固定電話にも無制限で通話が可能。
これはSkypeの運営元がマイクロソフトであることが大きいと考えられますが、日本でも月額2,040円で無制限通話ができるプランを提供しています。
また、Skype番号の基本料金も1ヶ月単位で契約するよりも長期で契約したほうがお得になる点もメリットといえるでしょう。
Skype番号のデメリット
Skype番号は他社のIP電話アプリと比べると料金体系が複雑で、初めて利用する方にとっては少し分かりづらく感じる可能性があります。
一般的には基本料金+使った分の通話料の合計額が請求されるケースが多いですが、Skype番号の場合は月額プランまたはSkypeクレジットとよばれる料金をまとめて支払い、その範囲内で利用します。
そのため、今だけ仕事で一時的に利用したい方や、毎月のIP電話使用頻度がそこまで高くない方にとっては割高の料金になる可能性もあるでしょう。
https://www.skype.com/ja/features/online-number/
LaLa Call
LaLa Callは、株式会社オプテージが提供しているIP電話アプリです。
サービス特徴
LaLa Call同士であれば通話が無料でできるほか、携帯への通話が通常よりも約60%、固定電話への通話が約93%お得と、格安で利用できるのが特徴的です。
月々の通話料金を、docomo・au・ソフトバンクといった代表的なキャリア3社の料金プランと比較することもできるため、お得感を確認や現在の料金プランの見直しにも役立てることができるでしょう。
もちろん、IP電話アプリならではの050番号も取得できるため、1台のスマホで仕事とプライベートの連絡を使い分けや、Webサービスやネットショップでの番号登録に利用することもできます。
基本料金 | 月額110円(税込) |
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国内通話料 | LaLa Call/ビジネスLaLa Call/eo光電話/オフィスeo光電話/光電話オフィス:無料 携帯電話:30秒 8.8円 固定電話:3分 8.8円 |
LaLa Callのメリット
LaLa Callを利用するメリットは、機能の多彩さにあります。
留守番電話機能が標準で使用できるほか、LaLa Call同士で最大30人でのトークができるチャット機能なども搭載されています。
また「トクトク表示」では、大手キャリアと料金プランを比較でき、通話明細や累計額を確認できるため、その名の通りお得感を感じられることはもちろん、使用しているキャリアの料金プランの見直しにも役立てることができるでしょう。
LaLa Callのデメリット
LaLaCallに限らず、IP電話では電話回線の代わりにインターネット回線を利用することで通話料を安くしていますが、そのぶん通信容量を消費するというデメリットがあります。
また、通信環境が良くない場所で使用すると音質にも影響が出るため、使用する場所に注意するほか、Wi-Fiを活用することも検討してみましょう。
https://lalacall.jp/
トビラフォン Cloud
トビラフォン Cloudは、スマートフォンをビジネスフォンとして使うことができるビジネス向けIP電話アプリサービスです。
サービスの特徴
トビラフォン Cloudは、スマートフォンをビジネスフォンとして利用することができるIP電話アプリです。
このアプリを入れておけば、通話はもちろん、内線・保留・転送などビジネスフォンの機能をスマートフォンで利用することができます。
トビラフォン Cloudの利用者同士の通話や内線はもちろん無料、NTTコミュニケーションズグループが提供するIP電話サービスへも無料にて通話が可能です。
基本料金 | 基本セット料金 月額3,300円 初期費用33,000円 |
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国内通話料 | 国内一般加入電話 8.8円/3分 国内携帯電話 17.6円/1分 内線通話、転送 無料 IP電話サービス 8.8円/3分 |
アプリを入れるだけで最短翌営業日よりビジネスフォンとして利用開始できます。
社外や遠隔地でも内線通話料は0円、屋外や近年定着してきたリモートワークでも内線や保留、転送の機能を活用できます。
また、迷惑電話フィルタにより無用な営業電話をブロックしてくれたり、発着信や録音ファイルデータも一元管理できるためトラブル対策も万全。
複雑な設定も不要、誰にでもすぐに使い始められるわかりやすいインターフェイスでストレスなく導入・運用が可能です。
トビラフォン Cloudのデメリット
クラウドPBXでは、通話はインターネット回線を利用するため、音質やつながりやすさはネット環境に依存します。
ビジネスでの使用前提であれば、特にオフィスのネット環境や、Wi-Fi環境を導入前に必ずチェックしておきましょう。
https://tobilaphone.com/biz/cloud
My050
続いては、ブラステル株式会社が提供しているIP電話アプリMy050について紹介します。
サービスの特徴
My050は月額基本料金は無料で利用でき、日本国内の固定電話宛通話料は3分あたり8.79円、携帯電話には1分あたり19.8円という料金でサービスを提供しています。
また、海外への通話料はアメリカが固定電話・携帯電話ともに1分あたり3.99円、中国は4.33円となっています。
数あるIP電話アプリのなかでもシンプルな料金体系で分かりやすく、初めてIP電話を利用する方にもおすすめです。
基本料金 | 無料 |
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国内通話料 | 一般加入電話宛:10.50円/3分 携帯電話宛:19.80円/1分 衛星電話宛:56.88円/1分 |
海外通話料 | アメリカ 固定電話宛:6.49円/1分 中国 固定電話・携帯電話ともに11.50円/1分 |
My050のメリット
My050はIP電話アプリのなかでもシンプルな料金体系が魅力的ですが、転送機能が無料で利用できるのもメリットのひとつです。
外出先でIP電話アプリを利用する際、データ通信容量を節約するためにネットワーク通信をオフにしておきたいときもあるでしょう。
転送機能を利用すれば、050番号にかかってきた電話を携帯電話番号に転送させることもできるため、大切な用件を聞き逃す心配もありません。
My050のデメリット
My050の国内通話料は他社のIP電話アプリと比較しても決して安いとは言えないため、周囲に同じMy050を利用しているユーザーが多い方や、国際電話を利用する頻度が高い方におすすめです。
https://www.brastel.com/personal/my050/jpn/
G-Call050
G-Call050は、株式会社ジーエーピーが提供するIP電話アプリです。
サービス特徴
G-Call050は、国内外での通話が格安でできることが特徴的なIP電話アプリです。
他サービス同様、G-Call050同士での通話が無料であることはもちろん、アメリカ・ハワイへの通話は1分5円、中国・韓国・シンガポールへは1分10円で通話することが可能です。
国外から国内へ通話する際は、発信先が携帯電話であれば1分17.6円、固定電話であれば3分8.8円と発信元に関係なく一律料金なので安心して利用できます。
基本料金 | 月額308円(税込) |
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国内通話料 | 携帯電話:1分 17.6円 固定電話:3分 8.8円 |
海外通話料 | アメリカ・ハワイ 5円/分 中国・韓国・シンガポール 10円/分 |
G-Call050のメリット
G-Call050を利用するメリットは、国内外での通話が格安で行えることです。
働き方が多様化した現代において、G-Call050はインターネット環境があれば場所を選ばず利用できるため、グローバルに働く人にとって心強い味方となってくれます。
また、留守番電話やメール通知、アプリを起動していなくても使用可能といった機能も搭載しているため、シンプルでありながら使い勝手が良いといえるでしょう。
G-Call050のデメリット
G-Call050は通話に特化しており、多種多様な機能搭載やサービスはありません。
多くの機能が使用できるサービスを利用したいと考えている人にとってはデメリットに感じる場合もあるでしょう。
https://www.g-call.com/050/
SUBLINE
SUBLINEは、株式会社インターパークが提供する050電話アプリです。
サービス特徴
一般的にIP電話アプリではインターネット回線を使用して通話を行いますが、SUBLINEでは一般電話回線(PSTN)を使用しています。
このため携帯電話同様の通話品質で安定していることが特徴であるといえるでしょう。
また、電話帳のような顧客の個人情報はセキュリティが確保されたクラウド上で管理されるため、端末を紛失しても情報漏えいの心配も不要です。
基本料金 | 月額308円(税込) |
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国内通話料 | 携帯電話:1分 17.6円 固定電話:3分 8.8円 |
SUBLINEのメリット
SUBLINEのメリットは、用途に合わせて選べる2プラン4コースが用意されていることです。
1番号取得から最大100番号まで取得可能なコースがあるため、個人利用からビジネス利用まで幅広く対応できます。
仕事用に社用携帯を貸与している企業も多いですが、個人端末にアプリをインストールするだけで使用できるため、コストを抑える効果も期待できるでしょう。
SUBLINEのデメリット
SUBLINEの通話は、一般の電話回線を使用して行われるため、通話音質が安定している反面、通話料は他社のIP電話アプリと比較して高めとなっています。
とにかく通話料を抑えたいと考えている人には向かないサービスといえます。
https://www.subline.jp/
IP電話アプリの選び方
IP電話アプリによっても料金は異なることがわかりましたが、これ以外ではどのような点に注意すれば良いのでしょうか。
今回は、特に押さえておきたい3つのポイントについて紹介します。
周囲の人間が利用しているIP電話アプリを確認する
IP電話アプリ選びのもっとも重要なポイントとして、同じアプリを利用しているユーザーがいるかを確認しておくことが挙げられます。
多くのIP電話アプリは、同じIP電話同士であれば通話料金が無料となっています。
たとえば仕事でよく電話をする企業が利用しているIP電話と同じアプリを利用すれば、通話料のコストを大幅に軽減できます。
緊急発信ができない
これは多くのIP電話アプリに共通して言えることですが、050番号からは110番や119番といった緊急発信はできません。
そのため、050番号を固定電話の代わりとして導入すると、いざというときに警察や消防に通報できなくなります。
IP電話はあくまでも通話料を節約するためのひとつの手段に過ぎないことを覚えておきましょう。
電話に出られないときの対応
IP電話はインターネット回線を利用するため、通話時間に応じてデータ通信容量も上昇します。
通信容量が少ないスマホのプランを契約していると、いざというときに会社や家族と連絡がつかなかったり、取引先からの電話を受けられないというリスクもあります。
そのような場合に備え、留守番電話や転送電話といった機能が使えるIP電話アプリを選択することもひとつの方法です。
インターネットを介したIP電話と同じく、テレビ電話替わりとしても活用できるWEB会議システムについても下記の記事で比較検討しています。
用途に合ったIP電話アプリを比較検討しよう
今回紹介したIP電話アプリはいずれも操作が簡単で使いやすいものばかりですが、これら以外にもさまざまなIP電話アプリが存在します。
提供している事業者によっても通話料金やユーザー数は異なるため、用途に合ったIP電話アプリを検討するためにも、今回紹介した内容をぜひ参考にしてみてください。