現金を使用せずに支払いを完了させられるキャッシュレス決済。
昨今では様々な店舗やサービスで利用することができるようになってきました。
実際、2020年に行われた調査では国内店舗の約36%がキャッシュレスを導入しており、今後も増加していく見込みです。
本記事では、キャッシュレス決済のメリットのご紹介や各社サービスの導入方法やその比較をまとめてご紹介していきます。
現在導入を検討している経営者の方のご参考になれば幸いです。
キャッシュレス決済の種類は大きく分けて3タイプ
キャッシュレス決済の種類は大きく分けて以下の3種類があります。
- 前払い
- 即時払い
- 後払い
それぞれの種類によって支払いのタイミングやできることが異なります。
ここではそれぞれの種類の特徴についてまとめてきます。
前払い
プリペイド式ともいわれる前払いは「Suica」「PASMO」「nanaco」などに、あらかじめ金額をチャージしておき支払いの際は専用の端末にカードをかざすことで決済されます。
事前審査はなく、駅の券売機やコンビニなどで手軽にチャージすることができることから多くの人が利用している電子マネーの代表例と言えるでしょう。
即時払い
別名、リアルタイムペイと呼ばれる即時払いは、デビットカードのように決済のタイミングで銀行口座から料金が引き落としされる支払い方法のことを指します。
チャージする手間がかからず、手元に現金がなくとも利用可能であることが最大の特徴です。
後払い
ポストペイとも呼ばれる後払いは、クレジットカードのように後から支払いを請求される方法です。
リボ払いや分割払い、一括払いなど支払い方法が複数あることが特徴と言えるでしょう。
キャッシュレス決済サービスを導入するメリット
キャッシュレス決済サービスを導入することで得られるメリットはたくさんありますが、ここでは以下2点について解説していきます。
- 業務効率アップ
- インバウンド需要への対応
会計業務の効率アップ
キャッシュレス決済サービスを導入することで得られる最大のメリットは会計業務の効率アップにあります。
文字通り、紙幣や通貨を使用せずに決済することができるので、現金の受け渡しやお釣りの計算といった会計業務の負担が大幅に削減することが可能です。
また、レジに人を配置する必要がなくなることで人件費の削減や、お金の管理をデータで行えることから計算ミスのようなヒューマンエラーを防ぐことも見込めるメリットもあると言えるでしょう。
インバウンド需要の対応
インバウンド(外国人が日本に訪れる旅行)需要に対応できることもキャッシュレス決済サービスを導入することのメリットの一つです。
諸外国ではキャッシュレス決済の導入が大きく進んでおり、日常生活のなかで当たり前のように使われています。
また、旅行客からしてみれば、現金を日本円に換金する手間がかからないことや、紛失の際のリスクなどを鑑みてもキャッシュレス決済の方が優しいと言えるでしょう。
これは諸外国からの旅行客だけではなく日本人相手にも同じことが言え、「電子マネーが使えるからこの店にしよう」といったように、利用するお店選びの条件にも入ってきています。
キャッシュレス決済の対応ができていないと、このような機会損失につながる可能性があるのです。
キャッシュレス決済比較一覧
キャッシュレス決済サービスは各社から展開されていますが、ここでは6つのメジャーなサービスを比較しながらご紹介していきます。スクロールできます→
支払いの種類 | ポイント還元率 | 概要 | |
---|---|---|---|
PayPay | 前払い/後払い | 0.5~1.5% | 全国260万箇所で利用可能 登録ユーザー数は3,300万人以上 残高を家族や友人に送付可能 |
楽天ペイ | 前払い/後払い | 1~1.5% | 5種類の決済方法から選べる QRコードやオンライン決済に対応 還元ポイントを支払いに使用可能 |
d払い | 前払い/後払い | 0.5~1% | 約4万サイトに導入実績がある QRコードやオンライン決済に対応 ドコモのキャリア決済と連携可能 |
LINEPay | 後払い | 一律0.5% | LINEですぐに問い合わせが可能 QRコードやオンライン決済に対応 「入金申請」ですぐに入金可能 |
メルペイ | 前払い/後払い | なし | メルカリの売上金が使用可能 全国のお店で使用可能 一部ネットショップでも利用可 |
au Pay | 前払い/後払い | 0.5~2.5% | QRコード決済に対応 Alipay/WeChat pay同時申込み可 登録ユーザーは2,200万人以上 |
それぞれのキャッシュレス決済サービスの詳細については以下をご確認ください。
PayPay
PayPayは、スマホで簡単にキャッシュレス決済ができるアプリです。
テレビCMでもお馴染みで知名度も高く、ご存知の方も多いことでしょう。
登録ユーザー数3,300万人を超え、全国でも利用できる店舗は約260万以上であり、キャッシュレス決済アプリのなかでもトップクラスと言えます。
導入時の初期費用および月額費用はともに0円(オンライン決済の場合は要問合せ)であり、決済手数料もかかりません。
売上手数料についても、累計決済金額1万円以上で都度入金とする場合は105円とされており、他のキャッシュレス決済サービスと比べても費用が抑えられます。
また、初期導入における期間も、審査に約2営業日、審査通過後も実店舗であれば最短で1週間程度とスピーディーな導入が可能です。
導入後の問い合わせも365日24時間対応で、万が一の不正利用の際は全額保証するなど安心して利用することができます。
楽天ペイ
大手ECサイトを運営する楽天のグループ企業が提供する楽天ペイは、ユーザー数は2020年9月の時点で5,000万人を突破しており多くの人が利用をしているサービスです。
また、楽天ペイ以外で貯めたポイントも支払いに使用することができ、2019年の顧客満足度調査のキャッシュレス決済業種にて1位を獲得しています。
導入においては、カードリーダーの購入費がかかりますが、年会費や月額費用などの固定費、入会金はかからず無料で導入することができます。
決済手数料は実店舗で3.24%、振込登録口座が楽天銀行であれば365日翌日に自動で入金されるという、現金並みのキャッシュフローで対応をしてくれることも魅力的です。
加えて、中国2大QRコード決済にも対応していることから、インバウンド需要にも対応することができるので機会損失をせずに済みます。
セキュリティ面についても決済カード情報保護の国際基準「PCI DSS」の準拠認定を獲得しているので安心して利用することができると言えるでしょう。
d払い
d払いはNTTドコモが提供するキャッシュレス決済サービスで、登録ユーザー数は約3,000万人、利用可能店舗数も全国で約260万箇所あります。
その最大の特徴は、クレジットカードを持っていなくても月々の携帯料金と合せて決済できる点です。
これに加え、dカードGOLDと組み合わせることで多くのポイントが還元されることもユーザーにとって魅力的であると言えるでしょう。
裏を返せば、ドコモユーザー以外には使いにくいと捉えられますが、dポイントクラブ会員数は約7,900万人、dポイントの利用は2020年の上半期で1153億(1ポイント=1円)であると発表されていることから需要が高いことが読み取れます。
導入においても、初期費用や月額費用、売上金の入金手数料などは一切かからず、決済手数料の3.24%のみなのでランニングコストも抑えることが可能です。
導入までの期間は1ヵ月程と長めなので、導入を検討している人は早めに手続きを開始するようにすると良いでしょう。
LINEPay
LINEは世界で登録者数が6億3,000万人以上であり言わずと知れた世界的SNSアプリです。
そんなLINEのグループ企業であるLINEPayは、日本・台湾・タイ・インドネシアの4カ国で4000万人以上で利用されており、2018年に発表されたLINE Pay Global Allianceがあるようにインバウンド需要への対策もしっかりと整っています。
初期費用については基本無料(StarPay端末の場合38,000円(税別)/別途、ネットスターズ社と端末の契約が必要)ですが、月額費用としてLINE Pay 据置端末の使用料1,500円がかかります。
また、売上金の入金申請をした際の手数料は1回につき250円です。
売上金額に対するパーセンテージではなく、固定の手数料なのでまとめて申請をすることでコストを抑えることができることはメリットであると言えるでしょう。
売上金の振込については、基本的に月末締めの翌月末振込みですが、有料の「入金申請」をすることで確定している売上金をすぐに受け取ることも可能です。
その他、来店促進施策としてLINEのメッセージ送信や割引クーポンを発行することができるなど、LINEならではのサービスを利用することができます。
ほとんどのスマホユーザーがLINEを利用していると言っても過言ではない現代において、LINEでのメッセージ送信は来店促進施策として効果は抜群です。
キャッシュレス決済サービスの導入以外のメリットもあるので、それらも踏まえて検討するようにしましょう。
メルペイ
メルペイは、出品・購入ができるフリマアプリであるメルカリアプリで簡単にスマホ決済できるサービスです。
登録ユーザー数は500万人以上ですが、他のキャッシュレス決済サービスと比較すると見劣りしてしまいます。
しかし、メルカリの月間利用者数は約1,800万人、ドコモとの業務提携をしていることから今後の拡大も見込まれるサービスでもあります。
導入においては、初期費用や月額費用は0円です。
決済手数料は1.5%ですが、売上金の入金手数料は10万円以上まとめての場合0円、通常の場合でも1回200円と比較的リーズナブルです。
その他、LINEのようにメッセージを送付する施策はありませんが、代わりにキャッシュレス決済で最大5%の還元をするといった来店促進施策があります。
au Pay
au PayはKDDIが運営するキャッシュレス決済サービスで、会員数は約2,500万人以上であり、スマホアプリで簡単に決済ができます。
ユーザーは、利用時にPontaポイントが貯まることからユーザー満足度も高く、今後も拡大が見込まれるサービスでもあります。
導入時は、初期費用や月額費用は0円です。
決済手数料は3.24%かかりますが、売上金の入金手数料はどの銀行からでも0円なのでお得です。
また、中国で普及しているAlipay/WeChat payといったキャッシュレス決済サービスにも、au PAYと同時に申込みすることが可能なのでインバウンド需要への対策が可能であることも魅力的であると言えるでしょう。
キャッシュレス決済の導入方法
キャッシュレス決済を導入する方法は大きく分けて次の2つです。
- キャッシュレス決済サービス会社1社と直接契約
- 決済代行サービス会社と契約
ここまで各キャッシュレス決済サービスをご紹介してきましたが、それぞれ利用するにあたり専用端末の導入や入金日に合わせて会計処理をしなければなりません。
1サービスの導入のみであれば特段問題はありませんが、さまざまなユーザーのあらゆるニーズに応えるためには複数のサービスを導入する必要も出てきます。
その際、複数社と直接契約をしているとその分の専用端末の導入や、入金日に合わせた会計処理など手間が発生してしまいます。
決済代行サービス会社と契約をした場合、複数のキャッシュレス決済サービスを同時に利用でき、決済代行サービス会社が用意する端末1台で済みます。
その分、決済代行サービスへの手数料といったランニングコストが加算されますが、サービスごとに会計処理をしなければならないといった事務作業が軽減されるというメリットがあります。
その他、1社ずつ直接契約をすると端末の導入費用に加え、それぞれを置くスペースの確保なども必要になってきます。
これらのことから、複数のキャッシュレス決済サービスを導入する場合には、決済代行サービスの利用がおすすめです。
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決済方法を増やして販売機会の損失を防ぐべき
この記事では、キャッシュレス決済という現金支払い以外の支払い方法を導入することで、次のようなメリットがあることをご紹介してきました。
- 会計業務の効率化
- インバウンド需要への対策
諸外国ではキャッシュレス決済が進んでおり、日常的に利用されている決済方法です。
海外からの旅行客にとってキャッシュレスで会計が済ませられることは、日本円に換金する手間や不慣れな単位での金額の計算をしなくても済むというメリットがあり、非常に需要が高いです。
また、日本ではまだまだ諸外国と比べてキャッシュレス化が遅れてはいますが、着実に進んできており「キャッシュレス決済ができるか否か」はお店選びの際の条件とするユーザーも増えてきています。
キャッシュレス決済サービスを導入していないと、このようなユーザーを逃すこととなり販売機会の損失へとつながっていきます。
また、キャッシュレス決済は各社からサービスが展開されていますが、1社に絞って契約をしてしまうと、それ以外のサービスユーザーを取りこぼしてしまいます。
そうした事態に陥らないためには、本記事でもご紹介したような利用ユーザーの多いサービスを複数利用する必要があります。
その際、会計処理や入金処理、端末の導入などの負担を軽減したい場合には、決済代行サービスの利用も検討していくと良いでしょう。