今回の記事では、会計システムの特徴や選び方のポイントはもちろん、おすすめの会計システムを比較しながら詳しく解説します。
バックオフィス業務のDX化を推進するためには、勤怠管理システムや給与計算システムなど、さまざまなツールの導入が最適です。
中でも、経理・財務部門をはじめとしてさまざまな部署で活用できるのが会計システムですが、どのような基準で選べば良いのかいまいち分からないという担当者も多いのではないでしょうか。
これから新たに会計システムの導入を検討している企業はもちろん、現在利用中の会計システムから乗り換えを検討している企業もぜひ参考にしてみてください。
会計システムは大きく2種類に分かれる
一口に会計システムといっても、導入形態によって「クラウド型」と「インストール型」の2種類に分けられます。
クラウド型とは、PCにアプリケーションをインストールすることなく、インターネット上のサービスとして利用する形態です。
「Office365」などのサブスクリプション型のサービスと同じようなものと考えると分かりやすいのではないでしょうか。
一方、「インストール型」とは、従来のアプリケーションのようにPCにインストールして利用する形態のことを指します。
現在、多くの会計システムはクラウド型へ移行が進んでおり、主流になりつつあります。
クラウド型のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
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クラウド型の会計システムは、ほとんどがスマートフォンやタブレット端末などからもアクセスが可能で、OSを選ぶことなく利用できます。
一方、オンライン環境下で利用するのが前提となっているため、インターネット環境がない場所では利用できないというデメリットもあります。
インストール型のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
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インストール型の最大のメリットは、インターネットに接続できないオフライン環境下でも利用できる点にあります。
また、パッケージ購入やダウンロード購入後は、クラウド型と異なり月額や年額での継続的なコストは発生しません。
一方、データはPC本体に保存されるため、PCが壊れたり紛失したりするとデータが消失するリスクがあります。
会計システムの選び方
会計システムを選ぶ上では、クラウド型とインストール型の導入形態以外にどのような点に注意すれば良いのでしょうか。
今回は特に重要な3つのポイントをピックアップして、会計システムの選び方を紹介します。
会社の規模や業種に適切かどうか
会計システムを利用するユーザー数は、会社の規模によっても異なるものです。
たとえば、数人程度の小規模な会社の場合、ソフトをインストールする手間は少ないためインストール型のシステムでも問題ないでしょう。
しかし、数百名、数千名といった単位で導入しなければならない場合、インストールの手間を考えただけでもクラウド型のほうが適しているといえます。
ただし、クラウド型の会計システムの中でも、最適な導入規模が異なる場合があります。
たとえば、100名以下の小規模な組織を想定している場合もあれば、1,000名以上の大規模な組織に対応している会計システムまでさまざまです。
また、経費精算や売上を計上する際、業種によっては特殊な科目を使用する場合もあるでしょう。
たとえば建設業の場合、工事の一部が完了したタイミングで代金の一部を計上するケースもあります。
このような慣習・ルールは他の業種では見られない特殊なものなので、それに対応できる仕様の会計システムを選ぶ必要があります。
操作性・扱いやすいかどうか
会計システムを導入する理由として多いのが、会計業務の効率化です。
たとえば経費精算を例にとっても、担当者が直接経費の内訳と科目を登録できれば経理部門の業務は軽減できます。
しかし、会計システムが使いづらいと一般の社員にまで会計システムの活用が浸透せず、本来の目的である業務効率化が実現できません。
そのため、会計システムを選ぶ際には、誰にとっても操作がしやすく扱いやすいシステムであることが重要となります。
システムの操作メニューを確認し、レイアウトの見やすさやインターフェースの操作性などを注意深く観察するようにしましょう。
導入費用・コスト
最後のポイントとして重要なのが、導入時の費用やランニングコストです。
クラウド型とインストール型の会計システムを比較したとき、導入費用が安価なのはクラウド型の場合がほとんどです。
しかし、クラウド型は月額または年額での継続的なコスト支払いが発生するため、トータルで比較することが重要といえるでしょう。
また、企業によっては会計の都合上、多少ランニングコストが高くなったとしても導入コストを抑え、毎月の経費として計上したい場合もあると思います。
そのような場合には、インストール型よりもクラウド型の会計システムのほうが適しています。
おすすめの会計システム比較一覧表
特徴 | |
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マネーフォワード クラウド会計 |
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会計freee 法人向けクラウド会計 |
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SuperStream-NX 会計ソリューション |
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弥生会計 |
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わくわく財務会計 |
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会計システムを選ぶ際には、実際に提供されているシステムを比較し、それぞれの特徴を見分けながら検討するのが分かりやすいです。
そこで今回は、5種類の会計システムを例に挙げながら、それぞれのシステムの違いや特徴について紹介しましょう。
いずれも幅広い企業規模・業種に対応できる会計システムのため、自社に合ったものを吟味してください。
マネーフォワード クラウド会計
マネーフォワード クラウド会計は、株式会社マネーフォワードが運営しているクラウド型の会計システムです。
税率の変更や法令改正などのタイミングで自動的にアップデートされ、常に最新のバージョンが利用できます。
また、マネーフォワード クラウド会計にはAIの機能が搭載されているため、たとえば売上を計上する場合、入力した内容をもとにビッグデータが対象となる科目を提案します。
これにより、使えば使うほど自動仕訳の精度が向上し業務効率化を実現できます。
さらに、マネーフォワードではクラウド会計システム以外にも、給与計算や勤怠管理、経費精算といったさまざまなシステムを提供しています。
これらのシステムと連携することにより、経理・財務部門だけではなくあらゆるバックオフィス業務を包括的に効率化できます。
マネーフォワード クラウド会計の料金プランは以下の通りです。
小規模事業者向けプラン 「スモールビジネス」 |
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中小企業向けプラン 「ビジネス」 |
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IPO準備・中堅〜大企業向けプラン |
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年額プランと月額プランが用意されていますが、1ヶ月あたりのコストを比較すると年額プランのほうがお得になります。
また、いずれのプランも初期費用は無料となっています。
会計freee 法人向けクラウド会計
会計freee 法人向けクラウド会計は、freee株式会社が運営するクラウド会計システムです。
freeeといえば、企業向けはもちろんフリーランス・個人事業主向けの会計システムとしても有名な企業です。
たとえば、従来は税理士に会計業務を丸投げしていたものの、自社の経理部門で内製化する場合、実務上のさまざまな疑問が生じることもあるでしょう。
税理士にその都度確認するという方法もありますが、会計freee 法人向けクラウド会計ではサポートが充実しているため、その場で解決できる場合も多いです。
相談窓口はチャットや電話、メールなどが選択でき、さらにヘルプページやYouTube、セミナーでの体系的な学習も可能。
会計の専門知識がない担当者でも、会計freeeを活用し丁寧なサポートを受けながら業務を行っていけば、自社の会計業務を内製化することも十分可能なはずです。
会計freee 法人向けクラウド会計の料金プランは以下の通りです。
ミニマム |
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ベーシック |
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プロフェッショナル |
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最も安価な「ミニマム」はユーザー数の上限が3名までとなっているため、「ベーシック」が最も多くのユーザーに選ばれているようです。
大規模な組織で複雑な部門設定や申請経路を設定する必要がある場合には、「プロフェッショナル」がおすすめです。
SuperStream-NX 会計ソリューション
SuperStream-NX 会計ソリューションは、スーパーストリーム株式会社が提供している会計システムです。
多言語・多通貨に対応しているほか、国際財務報告基準(IFRS)にも対応しているのが大きな特徴で、さまざまな国で事業を展開するグローバル企業にとっては最適なシステムといえるでしょう。
SuperStream-NX 会計ソリューションは、クラウド型以外にもインストール型やエンジンライセンス型といった形態でも提供しています。
エンジンライセンス型とは、ユーザー数および法人数に上限なく利用できる形態のことで、将来的に事業や拠点数の拡大を計画している企業には最適です。
クラウド型およびエンジンライセンス型の場合、日本国内はもちろん海外に複数の拠点をもつ企業においても、手軽に信頼性の高い会計システムを導入できます。
SuperStream-NX 会計ソリューションの料金プランは、いずれの導入形態においても個別の問い合わせが必要です。
料金プラン |
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弥生会計
弥生会計は、会計や確定申告用ソフトとしておなじみです。
家電量販店やPC専門店などで一度は目にした方も多いのではないでしょうか。
弥生シリーズは1987年から販売が開始され、個人向けのPCが徐々に普及し始めた2000年代初頭からパッケージソフトの売上が急拡大しました。
現在では、インストール型の「弥生会計」と、クラウド型の「弥生会計オンライン」を提供しており、日本国内においてトップクラスのシェアを誇ります。
また、給与計算や販売管理、顧客管理といったさまざまなシステムも提供しており、それぞれが連携できる点も弥生会計の大きな強みといえるでしょう。
クラウド型として提供されている「弥生会計オンライン」の料金プランは以下の通りです。
セルフプラン |
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ベーシックプラン |
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キャンペーン中につき、初年度無料または割引の特典が利用できますが、次年度はキャンセル不可のため注意が必要です。
わくわく財務会計
わくわく財務会計は、株式会社コラボが提供しているインストール型の会計システムです。
インストール型の弱点として、税率や法改正にともなうアップデートにタイムラグが生じやすいことが挙げられますが、わくわく財務会計ではいち早くアップデートに対応してきた実績があります。
また、大手が提供しているクラウド型システムにも負けない万全のフォロー体制を整えており、システムの操作方法で分からないことがあってもその場ですぐに解決できます。
小規模の企業に最適な会計システムですが、複数のユーザーで利用したい場合にはネットワーク対応の「らんらん財務会計」というソリューションもあります。
インストール型の「わくわく財務会計」の希望小売価格は以下の通りです。
希望小売価格 |
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エコパッケージ |
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ダウンロード販売 |
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ちなみに、導入前に機能や使い勝手を確認してみたい場合には、30日間の無料体験版も提供しています。
製品版へ移行する際にも、無料体験版で作成したデータはそのまま引き継げるため安心です。
会計システムによって経理業務の効率化を実現できる
DX推進の第一歩として、バックオフィス業務の効率化に着手する企業も多い中、システム選定は重要なポイントとなります。
勤怠管理システムや給与計算システムなどと並び、会計システムは経理や財務部門の効率化に欠かせないものです。
ただ、企業規模や対象の事業によって、それぞれ最適なシステムは異なるもの。
今回紹介した会計システム以外にも、さまざまなソリューションがあるため、ぜひ複数のシステムを比較しながら最適な選択肢を検討してみてください。