- 超名門大学の講義を視聴できるMOOCとは
- どんなコースが学べるのか
- JMOOC公認の4つの受講サービス
世界中で流行するMOOCとは
コロナ禍でおうち時間が増えた昨今、自宅での自分磨きを始めたいと考えている人は多いのではないでしょうか。
そんな時におすすめなのが、アメリカを中心に世界中でムーブメントになりつつある MOOC(ムーク)です。
名門大学の授業を自宅で手軽に受講可能なプラットフォームとあってユーザー数を伸ばしていますが、実際にオンライン講座を自分で続けていける人は少ないものです。
本当に1円も掛からないの?
何を勉強できて、どんなメリットが得られる?
学位を取れないと意味がないのでは?
通信制と通学制、それぞれの海外大学院に通ったことがある筆者が、MOOCのメリットや有効な使い方、具体的なサービスについて解説します!
自宅で名門大学の講義を受けられる
固有名詞のように聞こえるMOOCですが、直訳すると「大規模公開オンライン講座(Massive Open Online Courses)」で、WEB上で公開されている教育機関の講義を視聴できるサービス一般のことを指します。
2000年代後半にアメリカではじまった取り組みで、現在では世界で計4000万人を超えるユーザーが登録しています。
海外では、スタンフォード大学中心のCousera、マサチューセッツ工科大学とハーバード大学が共同開発したedXが有名で、日本では東京大学も講義のオンライン配信を開始し話題になりました。
自宅にいながら老若男女誰もが入試を受けなくても世界トップクラスの教育や著名な教授や講師の授業を受けられるツールとあって、注目を集めています。
JMOOCのサービスはどう?
日本ではJMOOC(ジェイムーク、Japan Massive Open Online Courses Promotion Council)といって、非営利団体「日本オープンオンライン教育推進協議会」が主体となり2014年にサービスを開始しています。
海外有名大学の授業はもちろんのこと、東京大学、慶應義塾大学、早稲田大学に加え、著名人や有名企業による講演など複数のプラットフォームをまとめており、200を超える講座が配信されています。
またMOOCでは日本語で受講できるものはごくわずかですが、JMOOCは日本発のプラットフォームであるため当然ながら完全日本語対応しています。
累計で100万人の受講者が340もの講座を受講しており、講座によってはディスカッション形式の指導を受けられたり、課題に成績をつけてもらえたり、一定の条件をクリアすると「修了証」を受け取ることができるのも魅力です。
JMOOCで学位は取れる?
一方で、学位を取得できる通信制大学院ではないため、あくまで生涯学習を続けたい方や、関心のある分野の勉強をしたいという方向けのサービスです。無料かつ人気のサービスとあって、2020年5月現在、すぐに受講開始できる講義が限られているのも事実です。
「工学」や「自然科学」は比較的が充実していますが、「アート・デザイン」や「人文科学(心理、歴史、他)」に関する講義は空席が限られ、受けられるとしても日程が定まっているなど「いつでもどこでも」という訳ではありません。
また、JMOOCは講義情報を集約したプラットフォームのため、実際にサービスを利用するにはJMOOCと提携する配信元(Fisdom/ gacco/ OpenLearning, Japan/ OUJ MOOC)にも会員登録する必要があります。
JMOOCでおすすめのコース
次に具体的に検討する人のため、2002年5月現在JMOOCで開講中の講座からおすすめをピックアップします。
いわゆる文系の「人文科学」系と、理系の「自然科学」系、そして実務につながる「スキルアップ」系に分けてご紹介します。MOOCの講義は大学レベルなので、自分のバックグラウンドと近いものからスタートするのがおすすめです。
人文科学
ジャンルとしては「アート・デザイン」「教育と学習」「社会科学(経済、コミュニケーション、他)」「人文科学(心理、歴史、他)」が該当します。
イギリスの名門・イエール大学の「心理学」(日本語字幕あり)から、立命館大学の「【経営学】事例から学ぶデジタル・トランスフォーメーション」まで、教養を広げたい人の好奇心を刺激してくれる講義が開かれています。
前者の「心理学」はイエール大学内でも評価が高く、まさに世界最高レベルの教育です。修了証はもらえませんが課題を出す必要もないので、英語の勉強を兼ねて気軽に試すことができます。
後者の「デジタル・トランスフォーメーション」は最新のIT技術を駆使した実践的な経営について4週間で学ぶもので、選択式テストに60%以上正解すると修了証がもらえます。
コンサルタントなど最新のビジネスに精通しているべき職種の人には、キャリアにもプラスになります。
自然科学
続いて、「健康と医療」「工学」「コンピューター科学」「自然科学」「統計・数学」「理工系基礎科目」のジャンルに該当する理系の講義です。
全国の大学・高専が多くの講義を提供していて、「電気回路」や「機械力学」など専門的な講義を受けることができます。
特におすすめなのはIT系の科目。「コンピュータの仕組みⅠ(論理回路編)」という講義で機械工学の基礎を学ぶことから、PythonやJavaScriptといった実践的なプログラミング言語を習得するまで幅広く知見を広げることができます。
IT業界ではたらく人や、これからエンジニアとしての就職・転職を目指す人には、アカデミックな知識を無料で身につけることができる絶好のチャンスです。
スキルアップ
最後に「ビジネスと経営」「資格・試験対策」のジャンルには、より実践的な講義が用意されています。
アメリカの名門・マサチューセッツ工科大学の「ビジネスプラン入門」(日本語字幕あり)から、東京証券取引所の「いざ!資産形成~余裕を持って、余裕を増やす。 ~」まで、プロとして最前線で活躍する専門家から学べるのは大人のスキルアップに魅力的です。
過去開講されていたTOEICや簿記などの試験対策は近年開講されておらず、より先進的な内容に焦点が当てられています。
学習計画の立て方
「せっかく申し込んでも忙しくて続ける自信がない」という声も多いのが通信講座の難しいところです。そこで、本格的にはじめる前に効率的な勉強の仕方についても検討しましょう。
定期的な学習時間とスペースを確保
講義は開始1ヶ月前には登録しなければならず、特に社会人の場合は継続するには事前の学習計画が重要です。
講義案内に明記されている必要な勉強時間から、ラフに「土曜の午前中」「水曜の夜」など時間の目処を立てることがおすすめです。
またスペースについても、集中できない時は作業用BGMを流す、家族や友人と勉強時間を合わせて取り組むなども試してみてください。カフェや図書館に出掛けられない地域もまだ多い昨今、勉強する場所など環境づくりも工夫しましょう。
知見や興味のあるものを選ぼう
JMOOCは大学レベルの講義を提供するプラットフォームなので、講義内容は高等教育レベルです。
いくら興味があっても続かなくては意味がないので、テーマ選びには少し自信がある分野からはじめるのがおすすめです。
どのサービスの会員になるべき?
ここまで読んで受講するモチベーションが上がった人へ、実際に講義を提供するJMOOC公認の4サービスをご紹介します。
最後には海外発のサービスも解説しますので、英語で学習したい人や日本にない言語の語学学習の有料サービスなどにも興味がある人は参考にしてみてください。
JMOOCで利用できる日本のサービス
JMOOCには現在4つのサービス提供者が連携しています。
基本的にはJMOOCで講義を探しその提供元に登録する手順ですが、サービスごとに強みとするフィールドが異なります。
Fisdom(富士通)
富士通が運営するFisdomは、理系科目に強いのが特徴です。
全国の理系大学の機械工学や電気電子工学が提供する授業に加え、基礎科目から勉強したい人向けに東京学芸大学が提供する「高等学校教科」シリーズも充実しています。
またビジネススキルに関する科目もあり、本業がITやコンピュータに近しい業種の人にも向いています。
gacco(NTTドコモ)
現在のところ国内MOOCs最大手で、有名大学や大手企業が多く講座を提供するgacco。
地方自治体が取り組みを紹介する講座や、Google社がリテラシーを伝える講座など、知的好奇心をくすぐられるラインナップです。
初めてオンライン講座を受ける人は、手始めにgaccoに登録するのがおすすめです。
Open Learning, Japan(ネットラーニング)
講義数は他サービスと比べて少ないですが、海外大学の講義を多く配信しているのがOpenLearning, Japanです。
海外名門大学の授業を日本語訳つきで見ることができます。
OUJ MOOC(放送大学)
テレビ、ラジオ、インターネットなどを活用して大学卒業資格を取ることができる放送大学ですが、JMOOC向けに無料講義も提供しています。
MOOCで取得した単位は、学位取得用に換算はできないためご注意ください。
おすすめの海外発サービス
英語に自信がある人や、世界レベルの授業を受けてみたいという人には、海外サービスもおすすめです。
Udacity
MOOC発祥の地であるアメリカ発のUdacityは、ITやマーケティング、ビジネススキルなど様々な専門分野のスキルを学ぶことに特化しています。
特にインターネット系の科目に強く、プログラミングやweb制作などの講義にも力を入れています。
こちらは無料ではなく¥1,270から受講可能となっています。
Coursera
世界最大級のプラットフォームであり、最多の科目数を誇るCoursera。
他と比べても圧倒的に講座数が多いため自分の求める講座を見つけやすく、多言語化への取り組みも行っているので、あまり語学力に自信がなくても受講が可能です。
また、ほとんどの口座が無料で受けられるのもうれしいポイントです。
その他の有名MOOC
イギリスでは現地の放送大学(Open University)が開講するFuture Learn、オーストラリアでは英語学習に特化したMOOEC(Massive Open Online English Course)が有名です。
一部のサービスでは英語学習に特化した有料講義も提供されているため、これから海外留学を検討する人や、英語を学びたいけれどTOEIC対策やオンライン英会話では物足りないという人はぜひ活用してみてください。
MOOCでおうち時間を活用しよう
海外で流行し、日本でもサービスが軌道に乗りつつある MOOC。
よりスキルアップしたいビジネスパーソンや、名門大学の授業を受けて教養を身につけたい人、おうち時間を活用して生涯学習をしたい人など、使い方次第で可能性は無限大です。
日本ではFisdom、gacco、海外ではUdacityやCouseraなどの有名サービスがあり、開講中の講座から最も興味のあるものを提供しているサービスに登録するのがおすすめです。
一方、どれだけ勉強しても学位を取れる訳ではなく、また学習環境も自分で整えなければなりません。
高等教育レベルを受ける自信のある講座からはじめ、自律的に計画とモチベーションを維持できるよう取り組む必要があります。
自分ルールとして勉強する曜日と時間を決める、自宅で集中できるスペースを探すなど、工夫しましょう。コロナ禍でおうち時間が増えた今、自分磨きの手段としてぜひMOOCを検討してみてください!
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