AI外観検査サービス11社を比較!選び方のポイント・メリット・デメリットを解説

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製造業の現場では、品質の一貫性と安定性の確保が成功の鍵と言えます。しかし、従来の目視による外観検査は人的ミスのリスクや検査精度の課題もあるため、AI外観検査サービスの導入を検討している企業も多いのではないでしょうか。

この記事では、製造業の生産効率や品質向上の課題を解決するために役立つ、AI観検査外サービスの選び方や導入のポイントを徹底的に解説します。

目次

AI外観検査サービスの比較のポイント

AI外観検査サービスを選ぶ際には以下の項目に注目すると良いでしょう。

精度の高さ

AI外観検査サービスを選ぶ際にもっとも重要なことは、検査精度の高さです。
高精度のサービスであれば、より細かい欠陥を見つけられ、品質の向上が期待できます。

AI 外環検査にはさまざまな種類があり、検査の内容によって向き不向きがあります。高精度の検査を実施するためには、自社のニーズにあったAI検査モデルを選ぶ必要があります。

カスタマイズできるか?

製造現場のプロセスは企業ごとに異なります。そのため、自社のニーズに合わせてAI外観検査システムをカスタマイズできるサービスを選ぶと導入しやすいでしょう。

既存の製造ラインやシステムと統合できるか?

既存の製造ラインやシステムと統合できるAI外観検査サービスを選ぶことで、機能を迅速に導入でき、かつシステム連携のためのコストも削減できます。

既存のカメラ・照明などの撮影機材や、コンベアなどの搬送機、AIを動かすためのPCやワークステーションなどと統合できるサービスかどうか確認しましょう。

サポートとサービスが充実しているか?

導入から運用、保守までのサポートが充実している会社は、問題が発生したときの対応が早く、信頼性が高いと言えます。システムを導入する際には、テストしつつ調整(チューニング)が必要です。

また、システムが稼働し始めてからも、チューニングは続けるべきです。そのため、具体的にどのような支援が受けられるかを、事前に確認することをおすすめします。

費用はどれくらいかかるか?

AI外観検査サービス導入において、価格は重要な考慮事項です。しかし、多くのメーカーの費用は要問合せとなっています。検査の種類・規模・組み合わせる機材によっても異なり、数十万円から数千万円と金額に幅があります。

また、初期の導入費用だけでなく、維持費やアップデートにかかるコストも考慮に入れなければならないため、導入を検討する際は、複数のメーカーから見積もりを取るようにしましょう。

【11社を比較!】AI外観検査サービスの特徴は?

代表的なAI外観検査サービス11社の特徴を比較しました。自社の課題やニーズと照らし合わせながら、参考にしてみてください。

  1. InspectAI(株式会社アラヤ)
  2. Impulse(ブレインズテクノロジー株式会社)
  3. WisSight(パナソニックソリューションテクノロジー株式会社)
  4. PCベース マシンビジョン向けGigEカメラ・照明 VJシリーズ(KEYENCE)
  5. PhoenixVision/Eye(株式会社VRAINSolution)
  6. AISIA-AD(株式会社システムインテグレータ)
  7. オキカエforAI外観検査(株式会社ASTINA)
  8. AI外観検査(株式会社アダコテック)
  9. MENOU(株式会社MENOU)
  10. Deeptector(NTTコムウェア株式会社)
  11. 外観検査サービス(株式会社PALTEK)

InspectAI(株式会社アラヤ)

株式会社アラヤが提供する「InspectAI」の最大の特徴は、高精度な外観検査能力です。最新のAIアルゴリズムを採用しており、複雑なパターンや微細な変化を認識できるため、様々な種類の不良品を効率的に識別できます。

食品検査では、毛髪・プラスチック片などの異物混入や、商品の割れや欠けや形状不良を検出できます。食品の毛髪混入検査は事前に学習済みであるため、システム導入前の個別の学習は不要です。

対応する検査例
金属部品 傷・ひび割れ・折れ・塗装の色むら・溶接
フィルム・シート 傷・打跡・汚れ
パッケージ 傷・凹み・ラベルの有無・ラベルの位置
電子部品・基板 はんだ付け

導入の際には、AI外観検査に必要な周辺機器やAIを動かすワークステーションなども提案してもらえるため、これから外観検査を自動化したい企業におすすめのサービスといえます。

すでにハードウエアを持っている場合も、機材をそのまま使用できる場合もあるため、コストを削減したい場合は、相談してみると良いでしょう。

Impulse(ブレインズテクノロジー株式会社)

2014年にリリースされた「Impulse」は、すでに多くの企業で導入実績があります。高度な分析技術を有しない企業であっても簡単に導入・運用できる機能が備わっており、幅広いユーザーが利用可能です。

同サービスの最新のアルゴリズムでは、製品や資材の外観検査で微細な異常・不良を高い精度で検出します。複数の角度・方向からの撮像による総合判定や3Dデータの活用により、正確な異常検知を実現しています。

また、一つのサービスで設備の運用・保守の自動化まで完結できることも大きなメリットです。設備や機器の通常の状態を学習し、違う動きをした場合に異常として検知します。さらに、異常の要因の分析まで行えるため、設備の使用寿命を伸ばし、コスト削減に貢献してくれるでしょう。

WisSight(パナソニックソリューションテクノロジー株式会社)

パナソニックのAI外観検査ソリューション「WisSight」はWindows上で動作するソフトウェアであるため、専門的な知識がない現場の担当者でも簡単に操作できます。

また、「疑似画像生成」という独自機能を搭載しており、不良サンプルが不足している場合でも補完できます。

WisSightにはAI外観検査用の標準ソフトウェアが用意されているため、検証用ソフトの開発と実証実験を省略し、スピーディーな導入が実現できます。

PCベース マシンビジョン向けGigEカメラ・照明 VJシリーズ(KEYENCE)

KEYENCEの「VJシリーズ」は、既存のシステムにそのまま導入可能な照明・カメラです。

対応可能なソフトウェアは以下の通りです。

  • HALCON
  • VisionPro
  • LabVIEW
  • OpenCV
  • NeuroCheck
  • Common Vision Blox
  • Matrox Imaging Library (MIL)

出典:KEYENCE VJシリーズ公式ホームページ

VJシリーズは、多彩な照明と高精度の3Dカメラで構成されています。例えば、8色の照明を高速で制御し、検査する物体に適した光で照らすことでより精度の高い検査が行えるマルチスペクトル照明や、物体の表面(2D)だけでなく、物体全体の形状(3D)も同時に検査できるパターンプロジェクション照明を搭載しています。

エリアスキャン3Dカメラは、最大で1.26メートル四方の広い範囲を3Dで撮影でき、大きな物体でも一度で全体の検査が可能です。

同サービスは既存システムとの互換性を保ちつつ、物体の状態を詳細に検査し、迅速に結果を得られる高性能な検査システムと言えます。

PhoenixVision/Eye(株式会社VRAINSolution)

「Phoenix Vision」は、製造現場などの外観検査を自動化できるAI外観検査サービスです。ノーコードで操作できるため、コードの知識が無いスタッフでも簡単に扱えます。

既存システムとの親和性も高く、新たな設備投資不要でAI外観検査を導入できます。

同サービスは複数のAIアルゴリズムを搭載しており、分類・検出・領域抽出・良品学習など、多岐にわたる検出方法が利用可能です。導入することで、製造現場における品質管理が大幅に効率化され、作業コストや時間の削減が期待できます。

AISIA-AD(株式会社システムインテグレータ)

「AISIA-AD」は、異常なキズ・凹み・異物混入などを自動検知できるAI外観検査サービスです。照明・カメラ・各種センサーと組み合わせて使用できるため、異常検出から画像データ処理・判定、判定後の処理までの全工程を効率化できます。

作業の画像処理機や検査装置の画像をスマホで送信すると、AIによる効率化の程度を無料で検証するサービスも不定期で実施しているため、活用してみるのも良いでしょう

オキカエforAI外観検査(株式会社ASTINA)

ASTINAの「オキカエ for AI外観検査」は、人の目でしか確認できなかった品質検査を、AIが代替する外観検査サービスです。

従来のAI外観検査サービスはシステム提供がメインでしたが、同サービスでは装置もあわせて開発できます。これにより、検査作業だけでなく、生産ライン全体の自動化を目指せるようになっています。

AI導入の際には、専任のコンサルタントが装置開発・設置・運用・保守まで一貫してサポートを行うため、AIを初めて導入する企業でも安心して利用できます。

AI外観検査(株式会社アダコテック)

アダコテックのAI外観検査は、ディープラーニングとは異なるHLAC(Higher-order Local Auto Correlation:高次局所自己相関)という独自のAI技術を採用しています。

メッシュシートやカーボンシートなどのパターン模様を持つ表面の外観検査に適しており、シートの変形・破断・歪み・穴あきなどの外観検査も可能です。

良品画像から特徴を学習したうえで作成した検査モデルは、オフラインでも使用できるため、さまざまな生産現場で役立つでしょう。

MENOU(株式会社MENOU)

株式会社MENOUは、製造業のものづくりを高度化するためのAI外観検査サービスを提供している企業です。同社では、運用や改善に関するサポートも提供しており、AI技術を取り入れる際のハードルを下げるための取り組みを行っています。

例えば、目視検査を行っている企業に対し、これまでの1/10程度の初期費用でAI画像検査の自動化を導入した実績があります。また、導入後の運用や改善をサポートし、システムを充分に活用できるよう支援しています。

これからAI外観検査の導入を考えている企業にとって、AIを身近に感じさせてくれる企業と言えるでしょう。

Deeptector(NTTコムウェア株式会社)

「Deeptector」は、AIによる画像認識技術を利用し、さまざまな場面での監視・検査・点検などの作業を自動化・省人化するAI外観検査サービスです。特に、建物・トンネルなどのインフラ設備の劣化診断や、製造業での外観検査で活用されています。

同サービスの特徴は、簡単な操作で繰り返し学習を行いながら、現場が求める形へ画像認識の観点をチューニングできる点です。また、API連携も可能で、数分程度で学習用画像セットの作成から学習まで完了できます。

Deeptectorにはインストール版とクラウド版があり、工場内や外出先など、場所を選ばず利用できます。

外観検査サービス(株式会社PALTEK)

株式会社PALTEKが開発した外観検査サービスの特徴は、2次検査の省人化・無人化を実現した点です。従来のパターン検査装置(AOI)や最終外観検査装置(AVI)は、検出性が高い一方で、誤検知・誤検出が多く、人による2次検査が必要でした。

同サービスでは既存のAVI・AOIシステムと連携し、画像データを受け取ることで、AIによる2次検査が可能になりました。豊富なAIモデルが用意されており、基板・精密部品・金属・プラスチック・食品など、多様な素材の検査に対応しています。

そもそも、AI外観検査とは?

AI外観検査とは?

AI外観検査とは、AI(人工知能)を使って製品や部品の見た目を自動でチェックする技術です。

ここでは、AI外観検査の目的や導入の流れについて解説します。

AI外観検査の目的

AI外観検査の目的は以下の通りです。

  • 効率を上げる
  • 精度の向上
  • コスト削減
  • 品質保持
  • データ活用

AIは手動の検査に比べ、迅速に連続して作業できます。適切な条件下であれば、AIは人間よりも高い精度で欠陥を検出することも可能です。

また、検査を省人化・無人化することで、人件費削減にもつながるでしょう。人間の検査員には疲れや技術の差が生じることがありますが、AIであれば一貫した品質で検査できます。検査データの収集・解析により、継続的な改善に役立てられます。

AI外観検査導入の流れ

AI外観検査を導入する際の一般的な流れを確認してみましょう。

①ニーズ分析

導入前の第一歩として、企業の具体的なニーズや期待する成果を明確にしておきましょう。どのような欠陥を検出したいのか、どれだけの速度や精度が求められるのかをはっきりさせておくことが大切です。

②サービスの選択

利用可能なAI外観検査サービスやソリューションをリサーチし、企業のニーズに適したサービスを選択しましょう。

③システム設計と統合

既存の生産ラインやシステムと統合するための、機器の配置やネットワークの設定を行います。社内で対応できない場合は、AI外観検査サービスの提供企業へサポートを依頼すると良いでしょう。

④データ収集と学習

AIの学習に必要なデータを収集します。良品・不良品の画像やデータを多く収集することで、より高い精度で欠陥を識別できるようになります。

⑤システムとテスト

実際の生産環境でシステムの動作をテストします。この段階の改善が、システムの最終的な精度に影響します。

⑥導入と運用

システムが正常に動作することを確認できたら、全面的に導入し、日常の運用を開始します。

⑦評価と改善

導入後は定期的にシステムの性能を評価し、必要に応じてデータの追加収集や再学習、システムの調整を行い、更なる精度の向上や効率化を図りましょう。

AI外観検査導入のメリット、デメリット

AI外観検査導入のメリット、デメリット

AI外観検査を導入した場合のメリット・デメリットを理解しておくことで、導入後のミスマッチを防ぐことができます。

AI外観検査導入のメリット

AI外観検査を導入するメリットは以下の通りです。

人件費の削減

外観検査にAIを活用することで、作業員の給与や研修コストを削減できます。また、人間の検査員は疲労や集中力の低下が避けられないため、シフト制で検査員を配置するなど一定の休憩を取る必要があります。AIであれば、24時間休みなく稼働できるため、更なるコスト削減が期待できます。

ヒューマンエラーの防止

人間が行う検査作業は、疲労や注意力の低下によりミスを起こす可能性が常に存在します。特に、長時間の作業や繁忙な時期は、欠陥を見逃すリスクが高まります。また、人それぞれ主観が違うため、検査基準の統一がむずかしいケースもあるでしょう。

しかし、AIは疲れることなく一貫して同じ基準で検査を実行するため、人間に起因するミスや偏見を排除し、より正確で安定した検査品質を確保できます。

さまざまなエラーを検知できる

AIは大量のデータを学習することで、微細な欠陥や異常も見つけられます。また、複数の種類の欠陥を同時に認識し、分類する能力も持っているため、一度の検査でさまざまなエラーを検出することが可能です。

AI外観検査導入のデメリット

AI外観検査のデメリットも確認しておきましょう。

学習のための準備期間が必要

AIの精度は、学習に使用するデータの量や質に大きく左右されます。検知の精度を上げるためには、良品・不良品の画像やデータを多数収集し、AIに学習させる必要があります。このデータ収集や前処理、学習の期間は短ければ数週間、長い場合は数ヶ月以上にわたる場合もあります。

AI外観検査の導入を成功させるためには、十分な学習データの確保と時間的な投資が不可欠であるため、短期的に実施したい企業にとってはデメリットとなる可能性もあります。

システムの選択が重要

現在、多数のAI外観検査サービスがありますが、すべてのシステムが企業のニーズや要件に合致するわけではありません。システムの選択を間違えると、期待する性能を発揮できず、無駄な投資になってしまうことも懸念されます。

AI外観検査を選ぶ際は、AIそれぞれの得意・不得意を見極め、自社のニーズを満たすサービスを選ぶ必要があります。

AI外観検査の導入事例

経済産業省の「AI導入ガイドブック」から、株式会社ヨシズミプレスのAI外観検査導入の成功事例をご紹介します。

【AI外観検査導入の概要】

  • 従業員:18名
  • 業種:製造業素材型プレス
  • AIを適用した製品: 直径5mm程度のレーザーダイオード部品
  • 導入費用:約30万円
  • 導入期間:約70日
  • 社内でプログラミングができる人材:0人
  • 事前に用意していたデータ材:なし

【AI外観検査導入による業務の変化】

  • 導入前:月当たり50万個の製品の目視検査を行っており、検査員6名で約10日間かかっていた
  • 導入後:検査に要する総時間を約40%削減。検査員が目視で検査する製品数が95%削減できた(月50万個 → 2万個)

出典:経済産業省:AI導入ガイドブック

AI外観検査の課題

AI外観検査の課題

AI外観検査には、「学習のための準備期間が必要」「システムの選択が重要 」といった課題があるため、導入の際には以下のポイントに注意する必要があります。

外観検査の自動化を失敗しないためには?

  • 明確な目標の設定と適正なシステム選
  • 継続的なアップデート
  • 社内トレーニング

    まず、何を解決したいのか?どんな結果を求めるのかを明確にする必要があります。その上で、自社のニーズに最適なシステムを選択することが重要です。

    また、検査基準の変更に対応するため、システムを定期的に監視し更新しなければなりません。そのためには、AIシステムに詳しいスタッフを育成する必要もあるでしょう。

    AI外観検査に関する疑問・Q&A

    AI外観検査に関する疑問・Q&A

    AI外観検査で何が分かる?

    AI外観検査は、特に以下の点を検出、判別できます。

    • 製品のひび割れ・傷・凹みなどの外観上の欠陥
    • 色の違いや変色
    • 製品の形が規定から逸脱しているか、寸法に違いがあるか
    • 表面の質感、光沢の有無や粗さなどの表面の特性
    • 正確にラベルが貼られているか、印刷のずれや文字の欠けがないか

    このような人の目では見逃しやすい細かな欠陥も高精度で検出できるため、製品の品質向上や生産効率の向上に期待できます。

    AI外観検査の導入費用はいくら?

    AI外観検査の費用は数十万円から数千万円までと金額に幅があります。

    導入の際には、具体的なニーズをしっかりとヒアリングして、複数のメーカーから見積もりを取得することをおすすめします。

    まとめ

    AI外観検査は、製造業における品質の一貫性と安定性の確保に役立つソリューションです。

    多くのAI外観検査サービスから導入するサービスを選ぶ際には、自社のニーズ・要件・予算を見極めることが重要です。本記事でご紹介したAI外観検査サービスの比較内容を参考に、AI外観検査の適切な導入のヒントにしていただけると幸いです。

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